キョンの鳴き声の特徴|公式資料が記す声と、悲鳴にたとえられる理由

農林水産省の野生鳥獣被害防止マニュアル(中型獣類編)のコラムは、キョンが濁った大きな声で繰り返し鳴くことがあり、その声が、人が苦しんでいるような声にたとえられると記しています。鳴き声の役割はよく分かっておらず、不気味な声だと嫌う人も多い、という説明です。人の声にたとえた表現なので、実際の声の高さや長さは、擬音では伝わりにくい点に注意が必要です。

国立環境研究所の侵入生物データベースは、キョンが危険を感じると、人の悲鳴に似た警戒声を発すると書いています。茨城県の案内は、ホエジカと呼ばれ、イヌに似た大きな声で鳴くと説明しています。同じ動物の声を、苦しむ人の声、悲鳴、イヌのような声と、資料ごとに別のたとえで表していることから、聞く人や距離、状況によって印象が変わる声だと読み取れます。

千葉県は、鳴き声に対する苦情が住宅地周辺などで報告されていると記しています。千葉県のキョン防除実施計画によると、令和7年度の市町村アンケートでは、鳴き声の苦情や花壇・植木の被害を含む生活環境被害が確認された市町が、令和2年度の4市から9市町に広がりました。茨城県のページには、農林水産省のマニュアルに由来する鳴き声の動画へのリンクが載っています。実際の声を確かめたいときは、こうした公式の資料から探すのが確実です。出どころや撮影場所の分からない動画は、動物を確認できないため、声を聞き比べる根拠にはしないでください。

キョンの鳴き声の特徴|公式資料が記す声と、悲鳴にたとえられる理由:確認項目
出典声についての記載読み取れること
農林水産省(中型獣類編のコラム)濁った大きな声で繰り返し鳴くことがあり、苦しんでいる人の声にたとえられる。鳴き声の役割はよく分かっていない濁った大声が繰り返される印象
国立環境研究所(侵入生物データベース)危険を感じると、人の悲鳴に似た警戒声を発する警戒したときに出す声がある
茨城県(キョンについて)ホエジカと呼ばれ、イヌに似た大きな声で鳴く吠えるような大きな声という表現もある
千葉県(特定外来生物 キョン)鳴き声に対する苦情が、住宅地周辺などで報告されている住民の生活に影響する音として把握されている

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル【中型獣類編】コラム キョンによる被害とその特徴(PDF、2026年10月3日確認)

読者の疑問

キョンの鳴き声は夜に聞こえますか?

比較ガイド

キョンは朝・夕方・夜間に活動するとされるため、その時間帯に声が聞こえる可能性はありますが、鳴く時間帯を特定した記載は、今回確認した資料にありません。夜に聞こえたという理由だけで、キョンと決めることはできません。

キョンはなぜ鳴く?時期と時間帯で分かっていること

鳴く理由と時間帯について、公的資料で確認できる範囲を分けて整理します。資料に書かれていないことは、分からないと書き、推測で補いません。

鳴く理由|役割はよく分かっていない、警戒声の記載はある

農林水産省の資料は、鳴き声の役割はよく分かっていないとしています。一方、国立環境研究所は、危険を感じたときに人の悲鳴に似た警戒声を発すると書いています。警戒したときに鳴くという記載はありますが、鳴く理由がそれだけだとは、資料に書かれていません。

時間帯|朝・夕方・夜間に活動するとされる

国立環境研究所は、キョンの活動が朝と夕方に盛んになると記しています。茨城県は、早朝や夕方、夜間に活動し、縄張り意識が強く、眼の下の臭腺の分泌物を木の枝などにこすりつけて縄張りを主張すると説明しています。千葉県の計画が紹介する行動圏の調査でも、農地周辺の利用が夜間に高まる傾向がみられたとされています。夜間や朝夕に動く動物なので、その時間帯に声が聞こえる可能性はありますが、鳴き声が出る時間帯を特定した記載は、今回確認した資料にはありません。

時期|一年を通じて繁殖するが、鳴き声との関係は資料にない

キョンは一年を通じて繁殖し、1産1仔で、早ければ生後半年で妊娠します(千葉県、茨城県)。千葉県の計画は、出産が年間を通して行われ、5〜10月に出産のピークがあるとしています。繁殖の時期に鳴き声が増えるのかどうかは、確認した資料に書かれておらず、季節だけから鳴き声の主を決めることはできません。

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・キョン

夜に似た声で鳴く動物との比較|シカ・猫・キツネ・屋根裏の動物

夜の叫び声のような音は、キョンのほかにも、いくつかの動物で起こります。次の表は、公的機関や研究機関の資料に、鳴き声や活動の記載があった動物だけを載せています。声の描写が資料で確認できなかった部分は、確認できなかったと書いており、載っていないことは鳴かないという意味ではありません。

夜に似た声で鳴く動物との比較|シカ・猫・キツネ・屋根裏の動物:確認項目
動物資料にある声・活動の記載聞こえやすい時期・場面先に確認すること
キョン濁った大きな声の繰り返し、人の悲鳴に似た警戒声、イヌに似た大きな声(農林水産省、国立環境研究所、茨城県)朝・夕方・夜間に活動するとされる。通年繁殖住んでいる地域が、房総半島、伊豆大島、茨城県など確認のある地域か
ニホンジカ秋の繁殖期に、オスが甲高い声でメスにアピールする(福井県自然保護センター)秋。山林や草原に近い場所秋かどうか、シカの生息地に近いか
猫(発情期)発情期の鳴き声は、不妊去勢手術で抑えられるとされる。鳴き声がうるさいという苦情が市に寄せられている(酒田市)発情の時期。住宅地の屋外野良猫や放し飼いの猫が周囲にいるか
キツネ繁殖期は12〜2月(国立環境研究所のキタキツネの項)。声そのものの描写は、今回確認した資料に見つからなかった冬の繁殖期。キツネの生息地キツネの目撃や足跡が近くにあるか
屋根裏・壁の中の動物ネズミ、ハクビシン、アライグマ、イタチなどの声や足音は、別の記事で比べている屋内で、足音とともに聞こえる屋内の音か、屋外の声かを分ける

参考:福井県自然保護センター|シカの恋の季節(平成30年11月16日、2026年10月3日確認)

屋内の音と屋外の声を分ける|どの記事で調べるか

屋根裏や壁の中から聞こえる声や足音は、屋外の叫び声とは別に考えます。屋内の音は、害獣の鳴き声を動物別に比べた記事で一覧で確認できます。ハクビシンはハクビシンの鳴き声と足音の記事、アライグマはアライグマの鳴き声と幼獣の声の記事で、それぞれ整理しています。

どの動物でも、声の擬音だけで種類を決めるのは危険です。場所(屋外か屋内か)、時期、地域、姿の有無、足跡や食べ跡などの痕跡を合わせて絞り込みます。夜に聞こえた声を録音し、日時と場所を記録しておくと、自治体や調査の担当者が候補を絞る材料になります。

自分の地域がキョンの分布域かを確認する方法

キョンが野外で定着していると公的資料が示しているのは、千葉県の房総半島と東京都の伊豆大島です。茨城県は、2017年以降に確認した個体が6例(2026年6月4日時点)で、いずれもオスだとしています。ご自身の地域がどこに当たるかは、次の表の順で確認できます。

自分の地域がキョンの分布域かを確認する方法:確認項目
確認先載っている情報読むときの注意
千葉県の特定外来生物キョンのページ定着後に分布が拡大し、県中南部の17市町で繁殖が確認されている。防除の区域は県全域防除の一部を行う市町村の一覧は、分布の一覧ではなく、防除の体制を示すもの
千葉県のキョン防除実施計画令和7年度に分布が確認された市町は18市町。令和6年度の推定生息数は約94,100頭(中央値)ページと計画で市町の数が違う理由は資料に書かれていない。最新の状況は県に確認する
東京都のキョン対策のページ伊豆大島全域が防除区域。推定生息数は12,707頭(令和7年末、中央値)対象は大島。他の島や都内の他地域についての記載ではない
茨城県のキョンについてのページ確認個体は6例。神栖市、石岡市、筑西市、下妻市、境町、古河市で、すべてオス農作物被害・生活環境被害は報告されておらず、侵入の初期段階という位置づけ
国立環境研究所の侵入生物データベース国内の移入分布は千葉と伊豆。環境省の令和7年度アンケートに基づく市区町村別の分布地図と一覧への案内がある都道府県単位の地図と市区町村単位の地図は作り方が違い、一致しない部分がある

参考:千葉県|特定外来生物 キョン

叫び声がするとき、分布域の内と外でどう考えるか

農林水産省の資料は、分布拡大と個体数の増加が続き、茨城県へのオスの分散も複数件確認されていると述べています。分布は固定されたものではなく、広がる途中にあるため、最新の状況は自治体に確認してください。検索では、愛知県や埼玉県などの地名と組み合わせた語も見られますが、今回確認した公的資料に、千葉県・東京都の伊豆大島・茨城県以外の記載は見つかりませんでした。

声を聞いた場所と状況ごとに、先に疑うことと次の行動を、次の表に整理しました。これは資料の記載をもとにした当サイトの整理で、動物の種類を断定するものではありません。

叫び声がするとき、分布域の内と外でどう考えるか:確認項目
聞こえた場所先に疑うこと次の行動
千葉県の房総半島の市町(住宅地や山際)キョン。住宅地周辺での鳴き声の苦情が県で報告されている日時と場所を記録し、県の鳥獣対策班か市町村へ連絡する。姿は離れた位置から撮る
東京都の伊豆大島キョンLINEの目撃報告や、大島支庁の窓口を使う
茨城県など、オスの確認があった県キョンの可能性もあるが、確認例は少ない姿を確認できたら、県の生物多様性センターなどへ写真と位置を連絡する
上記以外の地域秋のオスジカ、発情期の猫、キツネなど。分布域の外での確認は、今回の資料にない声を録音して日時と場所を記録する。姿が見えたら、都道府県の外来生物の担当へ連絡する
屋内(天井裏・壁の中)から聞こえるネズミ、ハクビシン、アライグマなどの屋内の動物や、建物の音屋内の音の記録方法に沿って調べる

鳴き声が気になるとき、個人でできることとできないこと

鳴き声そのものを止める方法として、追い払い器具や忌避剤の効果を裏づける公的資料は、今回確認できませんでした。千葉県の防除実施計画は、住宅街での生活環境被害を低減させる効果的な方策について検討するとしており、住宅地での対策は、行政も模索している段階です。個人が自己判断で動くより、県や市町村に状況を伝える方が現実的です。

個人ができないこと|捕獲・運搬・餌付け

できないことははっきりしています。外来生物法は、特定外来生物の飼養や運搬を原則禁じており、捕獲そのものも、行政の防除や鳥獣保護管理法の許可など、決まった枠組みのもとで行われます。庭で見かけた個体を追い回したり、捕まえようとしたり、餌で引き寄せたりすることは避けてください。柵や制度の詳しい整理は、キョン対策の柵とネットを扱った記事にまとめています。

個人でできること|餌を減らし、柵と記録で備える

個人でできることは、庭に餌になるものを残さないこと、花壇や菜園を柵で守ること、声や姿の記録を残して連絡することです。キョンは人慣れしやすく、人家の周辺にも出没するとされるため(農林水産省)、庭先の落ち果実や収穫しない野菜を片付けることも、寄せつけない管理になります。キョンの対策を種類別にまとめたページは、キョンの対策一覧から探せます。

参考:e-Gov法令検索(デジタル庁)|特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

鳴き声と目撃情報を自治体に伝える|録音・動画・メモの残し方

連絡するときに伝える内容は、日時、場所、聞こえた声の様子、姿の有無です。録音や動画が残せるなら、一緒に伝えます。東京都は、伊豆大島で、LINEを使った目撃情報の報告と確認の仕組みを案内しており、集まった情報をわなの設置などの取り組み強化に活用するとしています。茨城県は、県内で撮影した画像・動画と位置情報を提供した人に、1情報あたり2,000円の褒賞金を支払う制度を案内しています(2026年10月3日確認)。

鳴き声と目撃情報を自治体に伝える|録音・動画・メモの残し方:確認項目
伝える項目書き方の例注意
日時午後9時過ぎから約10分間、2〜3回聞こえた回数と、続いた長さも書く
場所自宅の裏の雑木林の方向。住所と最寄りの目印声の方向と、屋外か屋内かを分ける
声の様子濁った大声が繰り返された、悲鳴のように聞こえた、など聞こえたまま動物の名前を決めつけず、たとえは自分の言葉で書く
姿の有無見えた、見えなかった。見えたときは大きさと角の有無撮影は近づかず、離れた位置から
録音・動画スマートフォンで録音。周囲の雑音も一緒に残る出どころの分からない動画と混ぜない

参考:東京都環境局|キョン対策(2026年10月3日確認)