庭に穴を掘る動物は?候補ごとの跡の違いを表で見る
庭の穴や掘り返しは、一つの動物だけが原因とは限りません。神奈川県自然環境保全センターの哺乳類の解説、農林水産省の中型獣類マニュアル、自治体のネズミ対策資料を合わせると、庭で穴や掘り返しの原因になる候補として、モグラ、ドブネズミ、アナグマ、イノシシ、タヌキが挙がります。下表は、それぞれの跡の特徴を公的資料から拾い、庭の状況に当てはめやすい形に並べたものです。
表の特徴が一つ当てはまっても、それだけで犯人を決めないでください。農林水産省の資料も、足跡や糞は目安であり、食害の跡やセンサーカメラの映像と合わせて判断するとしています。複数の痕跡がそろうか、別の動物の痕跡が隠れていないかを確認します。
| 候補 | 庭に残る跡の特徴 | 合わせて確認すること |
|---|---|---|
| モグラ | 土を盛った小山(モグラ塚)ができる。掘ると、下に直径5cmほどの穴が続く | 地中にトンネルを作るため、地上で姿を見ることはほとんどない |
| ドブネズミ | 植込みなどの地面に穴を掘って巣を作る | フンの長さは1〜2cm前後。生ごみの管理や、台所の床下・排水管からの出入りも確認する |
| アナグマ | 食べ物を探して地面を掘り返す。地下でつながる巣穴を作り、出入り口が複数ある | 足跡は5本指で長い爪跡。夜に動く。ミミズや甲虫の幼虫を食べる |
| イノシシ | 食べ物を探して地面を掘り返す。泥浴びをした跡(ぬた場)が残ることもある | 足跡は大きな2本の蹄と、後ろの小さな副蹄。根茎・ミミズ・果実などを食べる |
| タヌキ | アナグマと並んで「掘る」ことが得意な中型獣とされる | 庭の一角に、比較的大きなため糞が残ることがある |
| 動物以外 | 雨水の通り道、水やり、排水の不具合、庭仕事で土が沈む・流れる | 直前の雨、植え替えの時期、近くの排水設備 |
参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ(中型獣類編、平成30年3月・PDF)
穴の直径から動物が分かりますか?
参考情報にはなりますが、穴の大きさだけでは決められません。モグラ塚の下の穴は直径5cmほどとされますが、地面の状態、足跡、フンなど他の痕跡も必要です。無理に測らず、見取り図と全景・近景の写真を揃え、判断の根拠を現地で確認してもらいます。
穴の形と土の動きで絞る。モグラ塚・巣穴・掘り返しの見方
穴の見た目は、土の動きから読み解きます。穴の周りに土が積み上がっているのか、地面に丸い口が開いているのか、地面が広く掘り返されているのかで、候補が変わります。掘って確かめる必要はなく、写真と見取り図の記録で十分です。
土が小山のように盛り上がっている
土の盛り上がりは、モグラが地中のトンネルから不要な土を押し出した跡(モグラ塚)の可能性があります。神奈川県の解説では、掘ってみると下に直径5cmほどの穴が続くとされています。土の盛り上がりとネズミの穴の分け方は 庭の土の盛り上がりはモグラ?ネズミの穴 で詳しく扱っています。
地面に丸い穴が空いている
植込みの根元や物置の脇に丸い穴があるなら、ドブネズミの巣穴のほか、アナグマの巣穴の入り口も考えられます。港区のリーフレットは、ドブネズミが植栽などの地面に穴を掘って巣を作ると説明しています。アナグマの巣穴は地下で複雑につながり、出入り口が複数あって斜面地に多いとされるため、庭の斜面や竹林の近くかどうかも記録します。穴の中をのぞいたり、棒や水を入れたりしないでください。庭に来るアナグマの考え方は アナグマが疑われる庭の穴 にまとめています。
芝や花壇が広くめくれている
芝がめくれ、花壇の土が浅く広く荒らされているときは、食べ物を探した掘り返しが疑われます。神奈川県の解説では、アナグマが朽ちた木の周辺を掘り返して食べ物を探すこと、イノシシが食べ物を探して地面を掘り返すことが紹介されています。農林水産省の資料は、アナグマが土を掘り返して昆虫の幼虫などを好んで食べるとしています。掘り返しは食べ物を探す行動として紹介されており、巣穴とは別に記録しておきます。
足跡・フン・カメラの映像を手がかりにする
穴の周りに足跡やフンがあれば、候補を絞る材料になります。農林水産省の資料では、アナグマの足跡は5本指ですがアライグマより指が短く、長い爪跡が付くことが特徴とされています。タヌキは4本指で犬に似た足跡です。イノシシは、神奈川県の解説によると、2本の大きな蹄の後ろに小さな副蹄が付く足跡になります。タヌキが庭に来る場合の見方は タヌキが庭に来る にあります。
フンは、アナグマが棒状で表面がつやつやした小規模なため糞、タヌキが比較的大きなため糞とされています。庭の同じ場所に繰り返しフンがある場合は、掘り跡とあわせてその位置を図に書き込みます。フンや足跡には素手で触れず、写真で記録して相談先へ見せてください。形は食べた物で変わるため、足跡やフンだけでは決められません。
足跡が取れそうな場所が庭にない場合は、センサーカメラや防犯カメラの映像が役に立ちます。農林水産省の資料は、センサーカメラが対象の姿、活動時間、行動まで分かる有効な手法だとしています。見落としやすい点として、ある動物の痕跡を見つけたことで、背後にいる別の動物を見逃さないよう注意も促しています。
参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ(中型獣類編、平成30年3月・PDF)
庭の見取り図を作って、穴の数と位置を記録する
家、門、物置、花壇、樹木、敷地境界を簡単な図に描き、掘られた箇所に番号を付けます。一枚の写真では写りきらなければ、門から家へ向かって順番に撮ります。土の山がある、芝がめくれている、植物の根元が露出しているなど、見えている状態を言葉にして添えましょう。
深さを確かめるために穴を広げたり、顔を近づけたりする必要はありません。沈み込みや大きな空洞が疑われるところは踏まないで、家族が通らないよう位置を共有します。土が流れた可能性がある場合は、直前の雨や水やり、近くの排水の様子も記録します。動物の痕跡と地盤・排水の不具合は、最初から一方へ絞らず相談します。
| 記録欄 | 記入例 |
|---|---|
| 分布 | 門から花壇の間に3か所、壁際は未確認 |
| 穴の形 | 土の小山が1か所、丸い穴が1か所、芝のめくれが1か所 |
| 地面の状態 | 芝がめくれ、土が片側へ寄っている |
| 直前の変化 | 前日に雨。植え替えは1週間前 |
| 周辺 | 落果が2個。足跡らしきものは撮影のみ |
餌になる物と近づく経路を見直す
大阪市都島区は、落果や生ごみ、ペットの食べ残しを放置しない対策を案内しています。庭にそれらがあれば、動物が原因と決まる前でも日常管理として整理できます。被害の写真を撮った後、未汚染の物と汚れた可能性のある物を分け、いつ片付けたかをメモしておきましょう。
家庭菜園、堆肥置き場、屋外飼育の設備がある場合は、その位置を図へ追加します。「餌をなくせば必ず来なくなる」とは考えず、何を変えて、その後どこに新しい跡が出たかを比べます。野生動物を撮るために餌を置くことは、状況を変えてしまうので避けてください。
大阪府もイノシシのエサ場をつくらないよう、家庭菜園や田畑の周りに野菜くずを放置しないことを案内しています。イノシシらしい掘り返しなら 庭にイノシシが来たら を、果実や菜園、池の被害も重なるなら 庭にアライグマらしき動物 も確認してください。
穴の処理や柵の施工は、候補の動物に合わせて考える
土を戻したい場合も、まず写真を残し、地中の設備や基礎付近に影響がないか気になる点を伝えます。穴の中に動物がいる可能性があるなら、棒で突く、煙や水を入れるといった追い出しは行いません。相談先には穴の位置と、住宅内の音や臭いもあるかを伝え、調査対象を庭だけにするか決めます。
柵を提案されたら対象動物の根拠、地面との接し方、門の開閉、草刈りや排水の維持を確認します。見積もりは囲う長さだけでなく、既存柵との接続や地形に合わせた処理が分かるものにします。隣地との境界が不明なら、設置位置を所有者同士で確認してから進め、隣の敷地を無断で調べないでください。
掘る動物向けの柵の考え方は、公的資料にも例があります。北九州市の市民向け回答は、アナグマ対策として庭の周りに侵入防止柵を設け、下部を30cmほど地面に埋め込むことを挙げ、イノシシ対策では金網柵などで囲む、砂利やコンクリートで掘らせない対策を示しています。農林水産省の資料も、アナグマは穴掘りが得意なため、柵の下部の埋設や、目合い7.5cm四方以下のワイヤーメッシュの利用を示しています。これらは農地や庭先の例なので、ご自宅の地形や既存の柵に合うかは、現地を見る業者や自治体に確認してください。
建物の基礎や床下に近い穴は、早めに調べてもらう
北九州市のアナグマの解説は、地面に穴を掘る習性から建物の下に穴を掘って地盤が緩み、建物が倒れるおそれのある生活環境被害があると紹介しています。庭の穴が基礎や床下の通気口の近くまで続いているなら、庭だけの問題と考えず、建物の周りの調査も相談してください。玄関や物置まわりの傷や汚れは 玄関や物置にかじり跡や黒い汚れ で整理できます。
調査を頼むときは、次の内容を伝えると、現地で見る場所と必要な作業の範囲を決めやすくなります。分からない項目は空欄で構いません。
- 穴の位置と数を書いた庭の見取り図
- 穴の全景と近景の写真(撮影日付き)
- 穴から基礎、床下の通気口、物置までのおおよその距離
- 家の中の音、臭い、フンの有無
- 直前の雨や庭仕事、落果の片付けの履歴
再発の有無は新しい跡で比べる。捕獲は許可と窓口を確認する
対策後の観察は、庭を長時間見張ることより、毎回同じ位置で新しい掘り跡が増えたかを確認する方法が続けやすいでしょう。古い跡の写真と混ざらないよう、埋め戻した日、落果を片付けた日、柵を設置した日を記します。足跡のようなものを見つけた場合も、形だけで動物を確定せず写真を相談先へ送ります。
捕獲の話になった場合、大阪市は対象外の一部のネズミ類などを除く野生鳥獣の捕獲に関する許可制度を案内しています。有害鳥獣の捕獲は、原則として被害防除対策でも被害を防げないときに、被害者や依頼を受けた捕獲従事者が申請して行うものとされます。庭に被害があるだけで自由に捕獲できるわけではありません。地域、種類、方法を自治体へ確認し、誰がどの手続きを行うかを業者との打ち合わせにも残してください。
自治体の対応は地域で異なります。北九州市はアナグマの捕獲や保護を行っておらず、駆除業者は自分で探すか福岡県の業者団体を案内するとしています。自分で捕獲する場合は許可が必要です。お住まいの市町村が何を行い、何を行わないかを、最初の電話で確認しましょう。







