害獣駆除の補助金・助成金は、制度の型で分けて探す

「補助金」「助成金」という呼び方が同じでも、中身は自治体ごとに違います。業者に支払った費用の一部を補助するもの、捕獲器を貸し出すもの、防護柵や防鳥ネットの購入を補助するもの、捕獲数に応じて報奨金を出すものなど、いくつかの型があります。公式ページを読む前に、探している制度がどの型かを決めておくと、対象に当たるかの判断が早くなります。

害獣駆除の補助金・助成金は、制度の型で分けて探す:確認項目
制度の型内容公式ページの例(2026年10月3日確認)向く場面
業者費用の補助業者に支払った調査・追い出し・捕獲・清掃・封鎖などの経費の一部を補助熊谷市(アライグマ・ハクビシン。補助率2分の1、上限5万円)、山形市(タヌキ・ハクビシンの箱わなによる捕獲等の経費。2分の1、上限1万5千円)家の中への侵入が確認され、業者に頼む前提のとき
工事費の補助侵入口を塞ぐ閉塞工事の費用を助成足立区(ハクビシン・アライグマ。助成率10分の10で最大10万円。区の捕獲事業を利用し、屋内の侵入口が確認された人が対象)捕獲後に、侵入口を塞ぐ工事を頼むとき
現物支援(貸出・回収)捕獲器の貸出、捕獲した個体の回収・処分奈良市(イタチ等の捕獲器、アライグマの捕獲檻の貸出)、宇都宮市(箱わなの貸出。回収・処分は無料と表示)、横浜市(住居内への侵入に限る、専門業者による「はこわな」の設置と回収)自分で許可を取り、設置と見回りを担えるとき
購入費・資格の補助捕獲器の購入費、わな猟免許の取得費宇都宮市(わな購入費は2分の1・上限5万円、免許取得は2分の1・上限1万円)農地の被害や、継続して捕獲に取り組むとき
防護・防鳥資材の補助防護柵や防鳥ネットの設置・購入費宇都宮市(農業者の防護柵)、三木市(ごみステーションの防鳥ネット。2分の1、1か所9千円が限度)農地やごみ置き場など、侵入や食害を防ぐとき
巣の除去費の補助カラスやスズメバチの巣を除去した経費の一部江戸川区(個人の住居。3分の1、上限7千円。高所作業用車を使った場合は1万4千円)巣の除去を業者に頼むとき
報奨金捕獲した頭数に応じた支払い宇都宮市(イノシシ。成獣1頭8,000円、幼獣1頭6,000円)農林業被害の捕獲に参加するとき

参考:熊谷市|熊谷市アライグマ・ハクビシン防除補助金のご案内

読者の疑問

害獣駆除に補助金は出ますか?

比較ガイド

自治体ごとに違います。熊谷市は補助率2分の1・上限5万円の費用補助、足立区は侵入口の閉塞工事に最大10万円の助成、山形市は上限1万5千円で今年度分は受付終了でした。お住まいの市区町村の公式ページで確認します。

住宅の駆除費に使える補助が限られる理由と、代わりに使える支援

国の仕組みは、個人が住宅の駆除費を直接受け取る制度としては説明されていません。農林水産省と環境省が公表している交付金は、いずれも自治体や地域の協議会などが行う事業を支える仕組みです。

個人にとっての窓口は、あくまで市区町村です。今回確認した自治体では、住宅の駆除費の補助のほか、貸出や回収などの現物支援、侵入口の閉塞工事の助成といった形で、住民向けの支援が用意されていました。国の交付金が自治体の取組を支えていても、住民が受け取れる内容や金額は、自治体の要綱や予算で決まります。

農林水産省の交付金:農林水産業の被害対策

農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金の支援内容(令和8年4月改訂)は、市町村が作成する被害防止計画に基づき、農林水産業等に被害を及ぼす鳥獣の捕獲、被害防除、生息環境管理の取組を支援すると説明しています。交付は国から都道府県を通じて、地域協議会や民間団体などに行われる流れが図示され、まず被害防止計画を策定している市町村に相談するよう案内されています。侵入防止柵の整備や捕獲機材の導入、捕獲活動の経費などが支援の内容に並びます。

環境省の交付金:地方公共団体が行う防除事業

環境省は、令和5年4月に施行された改正外来生物法で、都道府県は特定外来生物の被害防止措置を講じ、市町村もそれに努めることになったとして、地方公共団体が行う防除を交付金等で支援する制度を紹介しています。交付金の対象は、生態系や人の生命・身体に係る被害の防止に向けた事業で、農林水産業への被害の防止を目的とする場合は対象外と、Q&Aに書かれています。

参考:農林水産省|鳥獣被害防止総合対策交付金の支援内容について(令和8年4月改訂、PDF)

動物別の傾向:アライグマ・ハクビシン・イタチ・ネズミ・コウモリ・ハト

確認できた制度は、アライグマとハクビシンに偏っています。熊谷市と足立区は、家屋への侵入被害の防止を目的に挙げています。イタチ、ネズミ、コウモリ、ハトは、今回開いた公式ページの範囲では、住宅の駆除費を補助する制度は見つかりませんでした。見つからなかったことは、制度がないことを意味しないため、お住まいの自治体の公式ページで確認してください。

動物別の傾向:アライグマ・ハクビシン・イタチ・ネズミ・コウモリ・ハト:確認項目
動物今回確認した制度の型公式ページの例読むときの注意
アライグマ貸出、業者費用の補助、閉塞工事の助成奈良市、熊谷市、足立区、横浜市特定外来生物のため、横浜市は被害がなくても捕獲の申請が可能で、事前の届出が必要と案内している。許可・従事者証・届出を確認する
ハクビシン貸出、業者費用の補助、閉塞工事の助成宇都宮市、熊谷市、山形市、足立区、横浜市居住地や、被害を受けた建物・土地の所在地が市内であることなどの条件を読む
タヌキ業者費用の補助、箱わなの貸出山形市、宇都宮市山形市は個人が対象で、市内に所有する建物や土地の被害が条件
イタチ捕獲器の貸出奈良市(イタチ等捕獲器)貸出は農作物被害等の防除のためと書かれ、従事者証が必要。住宅向けの費用補助は今回確認できず
ネズミ今回確認できず-自治体の公式ページで、動物名と「補助」「相談」を組み合わせて確認する
コウモリ今回確認できず-自治体の公式ページで、動物名で検索して確認する
ハト・カラスごみステーションの防鳥ネットの購入助成、カラスの巣の除去費の助成三木市(ごみの散乱防止)、江戸川区(ヒナや卵のあるカラスの巣)。ハトを対象にした補助は今回確認できず。横浜市は私有地の野鳥の駆除は行わないと案内卵やヒナのあるカラスの巣の除去は、鳥獣保護法の許可を受けた業者への委託が必要と江戸川区が案内している

参考:横浜市|野生動物による生活被害について

自治体公式ページでの探し方:検索語と担当課の名称

自治体の公式ページは、「補助金」だけで探すと見つからないことがあります。確認したページでは、制度の名称が「補助事業」「助成金」「貸出」「防除」「捕獲等費補助」など、自治体ごとに違いました。動物名と制度の語を組み合わせ、担当課の名称も手がかりにして探します。

検索語は動物名と制度の語を組み合わせる

市区町村名に動物名と複数の語を組み合わせて検索すると、制度に行き当たりやすくなります。次の組み合わせを、動物名と市区町村名を入れ替えて試します。

  • 「(市区町村名) アライグマ 補助金」「(市区町村名) ハクビシン 捕獲 補助」
  • 「(市区町村名) 捕獲器 貸出」「(市区町村名) 捕獲 従事者証」
  • 「(市区町村名) 侵入口 閉塞 助成」「(市区町村名) 有害鳥獣 防除」
  • 「(市区町村名) スズメバチ 駆除 補助」「(市区町村名) 防鳥ネット 助成」

担当課の名称は自治体ごとに違う

今回開いたページでは、足立区が保健所の生活衛生課動物愛護係、熊谷市が環境政策課、山形市が環境部の鳥獣被害対策課、宇都宮市と奈良市が農林・農政の担当課、江戸川区が環境部環境課、横浜市がみどり環境局の環境活動事業課でした。農作物の被害は農政系、家屋への侵入や生活被害は環境・衛生系の担当が窓口になっている例が見られます。

関西の地域別の記事から確認する

関西の地域別の記事には、大阪の害獣相談の窓口、奈良市のアライグマ捕獲檻の貸出、京都市のアライグマの相談、西宮市のアライグマ対策と捕獲箱の貸出条件があります。他の地域でも、同じ手順で担当課を探します。奈良市のアライグマ捕獲檻の貸出は、確認日時点で貸出数1基、個人は2週間、自治会は最大2か月と書かれています。

参考:奈良市|アライグマ捕獲檻の貸出について

対象者・対象経費・申請時期の読み方:自治体の実例表

公式ページでは、次の4点を順に読みます。誰が対象か(居住地、建物の所有、個人か団体か)、どの動物と被害が対象か、どの経費が対象か(業者の範囲、消費税の扱い)、いつ申請するか(年度、予算上限、契約や着工との前後)です。次の表は、2026年10月3日に開いた公式ページの記載を、この4点で並べたものです。

表を見ると、同じ「補助」でも、居住地、所有する建物、農地の有無、個人か団体か、業者の資格など、条件が細かく分かれています。条件を読んで当てはまらない場合は、貸出や相談窓口など別の支援を探します。更新日が古いページは、現在の年度の内容と違うことがあります。宇都宮市のページの更新表示は令和7年6月3日で、今年度の受付状況までは分からないため、申請前に窓口で最新の状況を確認してください。

対象者・対象経費・申請時期の読み方:自治体の実例表:確認項目
自治体対象者・対象の動物補助額・対象経費申請時期・注意(ページの更新表示)
熊谷市(埼玉県)市内の被害家屋に居住する市民、または被害を受けた市内の空き家の所有・管理者。アライグマ・ハクビシン。事業者(寺社等を含む)は対象外補助率2分の1、上限5万円。埼玉県ペストコントロール協会会員名簿の業者による現地調査、追い出し、捕獲・処分、清掃・消毒、侵入口封鎖令和8年4月1日〜令和9年3月31日。予算額に達した時点で受付終了。同一年度内に交付を受けていないこと、防除施工を同一年度内に完了していること(更新:2026年4月1日)
山形市(山形県)市内に住所があり、市内の建物や土地へタヌキ・ハクビシンが侵入する被害を受け、駆除業者へ捕獲を依頼する個人捕獲等に要する経費の2分の1、上限1万5千円。業者が捕獲できなかった場合も対象令和8年度分は上限に達し受付終了。交付決定通知の前に実施したものは対象外(更新:令和8年7月31日)
足立区(東京都)区のハクビシン・アライグマ捕獲事業を申請から6か月以内に利用し、屋内への侵入口が確認された人。年度内1回侵入口閉塞工事に係る費用のみ、最大10万円(助成率10分の10、消費税相当額を除く)。日本ペストコントロール協会会員の事業者の工事が対象工事契約の締結前に窓口で申請。事前の来所予約が必要(更新:2026年4月1日)
宇都宮市(栃木県)箱わなの貸出は、市内に住所がある人。わな購入費の補助は、市内に住所または耕作地(家庭菜園は含まない)があり、捕獲許可を得ている個人・団体箱わなの貸出は無料、1世帯1基、期間3か月。わな購入費は2分の1、上限5万円捕獲には有害鳥獣捕獲許可の申請が必要。過去2年間に同一の補助を受けていないこと(更新:令和7年6月3日)
江戸川区(東京都)区内の個人の住居(事業所、マンションの共有スペース、賃貸住宅等を除く)。ヒナや卵の入ったカラスの巣、スズメバチの巣の除去を業者に依頼した人除去業者に支払った経費の3分の1(消費税を除く)、上限7千円。高所作業用車の使用時は1万4千円ヒナや卵のないカラスの巣は対象外。カラスの場合は鳥獣保護法の許可を受けた業者が条件(更新:2026年9月1日)
三木市(兵庫県)ごみステーションを管理する区長・自治会長(防鳥ネットを購入して設置する人)防鳥ネット(網目20ミリメートル以下)の購入費の2分の1、1か所9千円が限度予算の範囲内。交付要綱は令和4年5月1日施行

参考:山形市|タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業について

補助がない場合に負担を減らす方法:保険・控除・相見積もり

補助や貸出の対象にならなかった場合も、負担を減らせる可能性は残ります。ただし、どれも条件があります。火災保険や共済は、建物や家財の損害が約款の補償する事故に当たるかで決まり、駆除費用そのものを支払う項目は、今回確認した約款には見当たりませんでした。詳しくは、害獣駆除に火災保険は使えるのか、約款で確認する補償と免責の箇所にまとめています。

国税庁の雑損控除のページは、損害の原因に害虫などの生物による異常な災害を含めています。控除額は、損害金額などから受け取った保険金等を差し引いて計算します。害獣被害や駆除費用が対象になるかは、このページだけでは分からないため、税務署に確認してください。

業者に頼む場合は、複数の見積もりで条件をそろえて比べます。足立区のページも、業者によって費用が異なるため複数の業者から見積もりを取ることを勧めています。公式の料金表示の読み方は、害獣駆除の費用相場、各社公式の料金表示と含まれる作業を動物別に整理で整理しています。

参考:国税庁|タックスアンサー No.1110 雑損控除

申請の前に確認する順番:契約・着工・捕獲の前後

補助金で失敗しやすいのは、申請の前に契約や工事を進めてしまうことです。足立区のページは工事契約の締結前に申請するよう案内し、山形市のページは交付決定通知の前に実施したものは補助の対象外としています。見積もりを取った後、契約書に署名する前に、窓口へ申請の要否を確認します。

捕獲を伴う場合は、許可や従事者証の手続きも先です。横浜市は、野生鳥獣をむやみに捕獲することを鳥獣保護管理法が原則禁止しており、個人が捕獲する場合は許可が必要と案内しています。鳥類の卵の採取も同じく原則禁止とされているため、ハトなどの卵やヒナのある巣は、撤去の前に窓口で確認します。

  • 申請は、見積もり前、契約前、着工前のどの時点までに必要かを、窓口で確認する
  • 業者の指定(協会の会員名簿に載る業者など)があるかを確認する
  • 領収書や完了後の写真、設置状況の写真など、後で提出する書類を、契約時に業者へ頼んでおく
  • 予算の上限で受付が終わることがあるため、早めに窓口へ連絡する

参考:足立区|ハクビシン・アライグマ屋内侵入口閉塞工事費用助成金について