国民生活センターが公表している、害虫・害獣駆除の相談の傾向
国民生活センターは2024年4月24日の報道発表で、ゴキブリやハチなどの害虫、ネズミなどの害獣を駆除する「害虫・害獣駆除サービス」の相談が、全国の消費生活センター等に寄せられ、ここ数年増加していると公表しました。数字は、消費生活センター等の相談を集めるPIO-NETの登録分で、シロアリ駆除は除いた集計です。
相談件数:2023年度は2,000件を超えた
2023年度の相談は2022年度同期の約1.5倍で、2,000件を超えました。自宅に害虫が出て慌ててインターネットで検索し、格安料金を表示する業者に来てもらったところ、表示とかけ離れた高額な料金を示される事例が最近多いと説明されています。
契約当事者の年代:若い世代の急増と、高齢の相談
契約当事者が10〜20歳代の相談は急増し、2023年度は2022年度同期の約2.6倍と説明されています。一方、年代別の割合では、60歳代以上を合わせると約4割を占め、若い人だけの問題ではありません。2026年7月の見守り情報には、80歳代の方がハチの巣の駆除で約15万円を請求された相談が載っています。
2025年3月の公表:作業後に高額請求された事例
2025年3月の公表では、ゴキブリ駆除で、作業後に約20万円、約50万円を請求された相談が紹介されました。いずれも、広告に「約500円〜」「約1,000円から」と表示されていたと書かれています。ここで紹介する内容は公表された相談の一部で、特定の事業者を示すものではありません。
参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)
害獣駆除の悪徳業者は、最初の電話で見分けられますか?
電話だけで見分けるのは難しいです。確認できるのは、広告の金額が何の作業の金額か、総額が変わる条件、追加費用、キャンセル料、他社と比べてから返事をしてよいか、への答え方です。答えが曖昧、または他社と比べさせない場合は、訪問の予約を見合わせ、ほかの事業者にも見積もりを頼んでください。
害虫・害獣駆除の相談事例の類型と、その場で確認できるサインの対応表
次の表は、国民生活センターが公表した相談事例の概要を、確認のしかたに置き換えたものです。出来事は公表された範囲に限り、特定の事業者を示すものではありません。事例にはゴキブリやハチの駆除が多く含まれますが、ネズミやコウモリの駆除でも同じ型の相談が公表されています。右側の「サイン」が見えた時点で、一度手を止める目安として使います。
1つのサインだけで悪質と決めつける必要はありません。「〜円から」は最低額の表示で、現場の状況次第で総額が変わるため、理由が書面で説明されれば、納得して契約できる場合もあります。サインが重なる、または書面での説明を求めても出ない場合に、その場の契約を止める、というのが当サイトの目安です。
| 相談事例の類型(国民生活センター公表) | 事例に出てくる表示・言葉・出来事 | その場で確認できるサイン | 確認する先・次の行動 |
|---|---|---|---|
| 表示額と実際の料金の差 | 「約500円〜」「一軒家約5,000円〜」「コウモリ駆除が約8,000円から」などの広告に対し、約10万円、約13万円、約130万円の見積書や契約になった事例 | 広告の金額と見積書の総額が桁で違う。「〜から」の条件を説明しない | 総額と内訳を書面でもらう。納得できなければ、その場で契約せず他社と比べる |
| 不安をあおる説明 | 「刺されて死ぬ」「近所の人を刺したら裁判や補償問題になる」「卵があった」「ネズミがたくさんいる」と告げる事例。「今なら約150万円を約100万円にする」と示し、その場の契約を促す事例 | 危険を強調し、「今なら安くなる」と当日の契約を促す | 本当に緊急かを冷静に考える。根拠や写真の提示を求め、複数社の見積もりを取る前提を伝える |
| 作業の強行・中断を聞き入れない | 作業の中止を求めても聞き入れられず、実施した分として約7万円を請求された事例 | 契約や金額の合意の前に作業が始まる。止めてほしいと言っても続ける | 作業の開始前に、内容と金額を書面で確認する。中止を求めた日時を記録し、188に相談する |
| 書面に具体的な内容がない | 契約書に作業内容が「一式」とだけ書かれていた事例。作業請負契約書にクーリング・オフの記載がなかった事例 | 内訳のない「一式」。事業者名、日付、クーリング・オフの記載がない | 作業の前に、作業内容、数量、金額、事業者名、連絡先を書面で確認する |
| クーリング・オフを妨げる | 契約書にクーリング・オフの記載があるのに、申し出たら「できない」と言われた事例 | 解約の申し出に応じない。期限や方法を説明しない | 書面または電磁的方法(メールなど)で通知し、控えを残す。188に相談する |
| 事実と異なる説明 | 近所でも同じ駆除をしていると言って足場のある家を示されたが、その家は事業者を知らなかった事例 | 近所の実績や足場の転用など、その場で確かめられない話で信用させる | その場の説明は書面で確認する。確かめられない話は、契約の理由にしない |
| 他社と比べる時間がない | 見積もりのつもりで来てもらったのに、その場で契約した事例。あとで別の事業者に見てもらい、料金や作業内容を疑った事例 | 見積もりの当日に契約を求め、見積書の持ち帰りを認めない | 複数社から見積もりを取る前提で連絡する。比べる機会を奪う事業者とは契約しない |
害獣駆除の見積もり前に電話で聞くこと|総額の目安・追加費用・キャンセル料
国民生活センターは、駆除の作業内容と料金は、住宅の大きさや構造、発生原因や状況によってさまざまになるのが一般的で、サイトや広告の表示額どおりに依頼できるとは限らないと説明しています。電話の段階で、表示額が何を指すのかと、総額が変わる条件を聞いておくと、訪問後の食い違いを減らせます。聞いた内容は日時と一緒にメモします。
「見積もり無料」の範囲は「現地調査・見積もり無料」はどこまで?で整理しています。出張費や高所作業費、キャンセル料が別になる条件も、電話で聞いてメモしておきます。
| 電話で聞くこと | 聞く理由 | 答えを聞いたときの目安 |
|---|---|---|
| 広告の「○○円」は、何の作業の金額か | 基本料金だけの表示と総額は別のことがある | 作業内容を具体的に答えない場合は、見積書で確かめるまで契約しない |
| 私の家の場合、総額はどのくらいの範囲か。何で変わるか | 広さ、構造、発生の状況で総額が変わる | 「行ってみないと分からない」だけでなく、変わる条件を説明するか |
| 見積もり・出張・調査は無料か。断った場合に費用は出るか | 見積もりだけでも費用が出る場合がある | 断っても費用が出ないことを、書面や画面で示せるか |
| 追加費用が出る条件は何か。出る場合は作業の前に書面で知らせてもらえるか | 作業の途中で追加されると、断りにくい | 追加は事前の書面と同意が前提、と答えるか |
| キャンセル料は、いつから、いくらかかるか | 予約や契約後の取消しに費用が出る場合がある | 時期ごとの金額を答えられるか |
| 他社の見積もりと比べてから返事をしてもよいか | 比べる時間を奪う勧誘を避けるため | その場の契約を求めず、見積書を持ち帰れるか |
| 契約書・保証書に載る会社名と、作業する人の所属は何か | 契約相手と、苦情の窓口を知るため | 会社名・所在地・電話番号を答えられるか。外注の有無も答えるか |
害獣駆除の作業前に書面で確認すること
国民生活センターは、サイトや広告に安い価格だけが表示され、訪問を頼んだところ表示額と実際の請求に開きがあった場合や、見積もりのつもりで来てもらった事業者とその場で契約した場合などは、特定商取引法上の訪問販売に該当する可能性があるとしています。訪問販売に当たる場合、事業者は契約書面を交付する義務があり、契約書面には役務の種類や数量、価格などを記載する必要があると説明しています。
契約書に「一式」とだけ書かれていた事例も紹介されています。署名や支払いの前に、次の項目が書面にあるかを確認します。契約書と見積書の食い違いは契約書と見積書の内容が違うときで整理しています。
- 事業者名、所在地、電話番号、担当者名
- 作業の内容を、調査・追い出し・捕獲・封鎖・清掃・消毒などに分けた内訳
- 数量と範囲(封鎖する箇所の数、清掃する面積など)と、それぞれの金額、総額
- 追加費用が出る条件と、その場合の事前の連絡方法
- 支払い方法と時期(作業前に払う金額、残金の時期)
- 保証の年数、対象、対象外の条件、連絡先
- クーリング・オフに関する記載(訪問販売に当たる場合)
参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)
その場で契約を迫られたときの断り方と相見積もり
国民生活センターは、害虫が突然出てきても慌てず、緊急に駆除することが本当に必要かをいったん冷静に考え、複数社から見積もりを取って比較・検討する前提で話を聞くよう助言しています。「すぐに薬剤を撒かないと害虫が増えてしまう」などと不安をあおってその場で契約させようとし、他の事業者と比べる機会を奪う事業者とは、契約しないよう呼びかけています。
断るときの言い方
断るときは、理由を説明する必要も、相手を納得させる必要もありません。短く、次の行動を決めて伝えます。たとえば「今日は契約しません。見積書を置いて帰ってください。他社と比べてから連絡します」「家族と相談してから返事をします」「広告の表示と金額が違うので、いったん保留にします」です。身の危険を感じるときは、安全を優先して周囲に助けを求め、警察への通報も考えます。言い方の例は見積もりを断るときの伝え方、契約を急かされた場面は契約を急かされたらにまとめています。
相見積もりの進め方
相見積もりでは、見積書の項目をそろえて比べます。公的資料は「複数社」と助言していて、社数は決めていません。この記事では、2〜3社を目安にしています。総額の違いは、作業範囲、保証、清掃の有無の違いのことがあり、金額だけで業者の良し悪しは決まりません。手順は2社の金額が違うときの比較手順にあります。
害獣駆除が高いと感じたときの確認|内訳と相見積もり
高いかどうかは、金額そのものより、見積書に何が含まれているかで読みます。調査、追い出しや捕獲、侵入口の封鎖、清掃・消毒・消臭、足場や高所作業、保証が、項目ごとに分かれているか、他社と同じ範囲で比べているかを確認します。独自の相場は示しません。内訳の読み方は害獣駆除の費用が何で変わるかにあります。
業界団体の相談窓口として、日本ペストコントロール協会は、全国47都道府県に地区協会があり、「害虫相談所」が電話などの相談を無料で受け付けると案内しています。現場調査や防除施工は原則有料で、相談内容に応じた事業者を紹介する場合もあるとしています。国民生活センターも、複数の事業者から見積もりを取れるよう、各都道府県の協会の連絡先や会員企業の名簿が公開されていると紹介しています。
ハクビシンなど野生鳥獣の駆除で、悪質な勧誘を避ける確認
ハクビシンのような野生動物は、鳥獣保護管理法の対象です。環境省は、鳥獣の捕獲は原則禁止で、被害などがある場合に許可を受けて行うと案内しています。上尾市は、ハクビシンの捕獲には被害がある場合に有害鳥獣捕獲許可が必要で、見かけただけでは捕獲できないと案内しています。「すぐ捕獲しないと被害が広がる」と言われても、許可の有無や手続きの説明を求められます。
アライグマのような特定外来生物は、飼育・保管・運搬が原則禁止で、野外へ放つことも原則禁止です。捕獲後の扱いを誰が行うのかは、見積もりの前に確認します。次の4点を、見積書か説明書で確かめます。
- 捕獲を行うのか、追い出しと封鎖が中心か。見積書の作業名で確認する
- 捕獲を行う場合の許可の種類と、誰が申請するか(事業者・自治体・自分)
- 捕獲後の扱い(回収、運搬)を誰が行うか
- 薬剤を使う作業は、製品名と使用場所を書面で確認する
契約してしまった後の相談先|消費者ホットライン188とクーリング・オフ
消費者庁は、消費者ホットライン188を、困ったときに地方公共団体が設置する身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する窓口と説明しています。国民生活センターも、少しでもおかしいと思ったら、家族や知人、最寄りの消費生活センター等に相談するよう助言しています。請求の相談の準備は駆除の請求トラブルを188へ相談するには、工事後に再発した場合の連絡は保証窓口へ何を伝えるかにまとめています。
| 今の状況 | 取れる行動 | 相談先・準備するもの |
|---|---|---|
| 契約書面を受け取って8日以内 | 訪問販売に当たる場合、書面または電磁的方法(メールなど)でクーリング・オフを通知する。期間内に工事が行われていても、クーリング・オフした場合は、無償で元どおりに戻すよう求められる | 188(最寄りの消費生活センター等)。契約書、見積書、広告の画面、通知の控え |
| 8日を過ぎた | 期間を過ぎても解約できる場合がある。契約の大切な部分で事実と違う説明を受けて誤認して契約したときは、気づいた時から1年(契約時から5年)、取り消せる場合がある | 188。契約書、見積書、広告の画面、説明を受けた日時と内容のメモ |
| 請求額に納得できない | 後日、納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いは避ける | 188。見積書、請求書、やり取りの記録。支払い済みなら領収書や振込の記録 |
| 作業が不十分だと感じる | 作業の写真、日時、受けた説明を記録する。別の事業者に見てもらった事例もある | 188。保証書がある場合は、保証窓口にも連絡する |
| 「クーリング・オフはできない」と言われた | できない理由を口頭で受け入れず、通知を書面またはメールで出して控えを残す | 188。契約書のクーリング・オフの記載、事業者とのやり取り |


