ベランダにコウモリが来る理由と、居場所の確認

前橋市は、住宅地で見られるコウモリ(アブラコウモリ)の体長を3〜5センチ、体重を5〜10グラムと紹介し、日本のコウモリで唯一、住家をすみかにする種類としています。夕暮れに活動して蚊などの昆虫を食べるため、東京都ペストコントロール協会が述べるとおり、街灯などに集まる昆虫を追って住宅地を飛びます。ベランダで姿を見ること自体は、建物の中に休む場所があることを意味するとは限りません。

居場所の見当は、フンの落ち方でつけます。浜松市は、フンが落ちている場所が侵入口を考える手がかりになるとしています。東京都ペストコントロール協会は、コウモリのフンは大きさが5〜10ミリで、夏の時期に軒先や屋根の下に落ちていることが多く、昆虫だけを食べるのでネズミのフンよりもろいと説明しています。真上の軒、室外機の配管まわり、戸袋などから落ちていないかを、触らずに見上げて確認します。

通り過ぎているだけか、出入りしているか

日没後に飛ぶ姿を見るだけなら、通過している可能性があります。同じ場所へ何度も入る、同じ位置の下にフンが増えるといった様子があれば、近くに出入り口やねぐらがあると考え、記録を続けます。記録は日付、時刻、見えた位置を並べておくと、管理側や業者に状況を説明しやすくなります。

季節で見え方が変わる

前橋市は、活動期間を春から秋の夕暮れ、冬は11月頃から4月頃の冬眠としています。出産期は7月頃で、東京都ペストコントロール協会は、生まれた子が30日ほどで巣立つと説明しています。冬にフンが増えないからといって、いなくなったと言い切れない場合があります。時期と対策の関係はコウモリ対策の時期の考え方で整理しています。

ベランダにコウモリが来る理由と、居場所の確認:確認項目
確認する場所見るポイント触れる前に決めること
フンの真上(軒、上階の底面)フンが一か所に集まっていないか、真上にすき間や汚れがないか先に写真を撮る。拭き取りは記録のあとにする
エアコン室外機と配管まわり配管を通す壁の穴の周りに汚れや黒い筋がないか。前橋市は配管用のすき間を侵入ポイントの一つに挙げている穴の補修は管理側へ相談する
戸袋・雨戸・シャッターボックス周囲や下にフンが落ちていないか。前橋市は戸袋を生息場所の例に挙げている開閉や分解はせず、位置だけを記録する
換気口・通気口の外ぶたふたの破損や外れ、周囲のフン共用部分の可能性があるため、自分で外さない
屋根と壁の境目(最上階や屋根に近い階)すき間や汚れ。前橋市は屋根と壁のすき間を侵入ポイントに挙げている高所には近づかず、外から写真で記録する

参考:前橋市|コウモリについて 市街地にも姿を現します

読者の疑問

マンションのベランダにコウモリが来たら、まずどこへ連絡しますか?

比較ガイド

賃貸なら管理会社か大家、分譲なら管理会社と管理組合の理事会です。種類や原因を断定せず、場所・日時・写真を添えて文書で伝えます。自分で捕まえたり、すき間をふさいだりする前に、管理側の了承を得てください。

ベランダはだれの管理か。標準管理規約で専用使用権を確認する

国土交通省の令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭、屋上テラスを「バルコニー等」とし、区分所有者に専用使用権を認める形を示しています(第14条)。専用使用権は、共用部分のうち特定の区分所有者だけが使える権利です。同じ規約の第21条は、共用部分の管理は管理組合が行うとしたうえで、バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものは専用使用権を持つ人が行うと定めています。

コメントでは、この「通常の使用に伴う」保存行為の例として、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れたときの入替えが挙げられています。一方、屋根や内外壁は、規約の別表で共用部分の範囲に入っています。ベランダのフンを掃除することは入居者側の役割に含まれやすく、屋根や外壁などの建物側の対策は管理組合が扱う、というのが標準管理規約の考え方です。ただし標準管理規約は国が示すひな形で、実際の線引きは建物ごとの管理規約と使用細則で決まります。

賃貸の場合も、分譲マンションの1室を借りているなら規約が関わります。標準管理規約は、専有部分を借りた人がバルコニー等を使えること(第14条第3項)と、占有者が使用方法について区分所有者と同じ義務を負うこと(第5条第2項)を定めています。共用部分として扱われる場所の連絡の基本は、マンション共用部で被害を見つけたときの連絡にもまとめています。

参考:国土交通省|令和7年改正 マンション標準管理規約(単棟型・コメント含む)(PDF)

入居者ができること・承諾が要ることの早見表

ベランダのコウモリ対応を、行為ごとに分けます。表は標準管理規約の考え方をもとにした整理で、実際の可否は管理規約・使用細則・賃貸借契約で決まります。迷う行為は、実施する前に管理側へ文書で確認してください。

表の中央の列は入居者の判断で進めやすいかの目安、右の列はその理由と確認先です。進めやすい行為でも、写真に他の住戸や人が写り込まないようにし、掃除で出たものの捨て方は管理規約のごみのルールに合わせます。位置の記録と相談文の基本は、ベランダのフンの記録と相談文にもあります。

入居者ができること・承諾が要ることの早見表:確認項目
行為入居者の判断で進めやすいか先に確認する相手と理由
フンや姿の写真、日時・位置の記録進めやすい同じ場所の記録が重なると、管理側や業者が調査範囲を決めやすくなる
手すりや床のフンを、素手で触れずに片づける日常の清掃多くの場合進めやすい標準管理規約のコメントは、バルコニーの清掃を通常の使用に伴う保存行為の例とする。規約や細則に清掃方法の定めがないかは確認する
防鳥ネットなど物品の固定、穴あけ、ビス留め承諾が要る可能性が高い標準管理規約の別添は、バルコニーに物品を固定する工事で定められた場所への設置でないものを理事会承認の対象例とし、避難上の支障、防水層・排水、躯体への穿孔を確認する
外壁・屋根・換気口の外ぶた・室外機配管まわりのすき間の封鎖管理側の判断が先内外壁や屋根は共用部分。時期や方法を誤ると、中のコウモリを閉じ込める恐れがある
忌避スプレーや煙の出る薬剤の使用管理側へ事前に連絡するのが望ましい前橋市は燻煙剤の使用時に火災報知器が反応しないよう注意を促している。標準管理規約の別表は消防・防災設備を共用部分としている
捕獲、追い回し、殺傷自分では行わないコウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲等には許可が必要
専門業者への調査・見積もり依頼管理側の了承が先高所や共用部分の作業が含まれる場合、立入りや作業日の調整が必要になる

参考:国土交通省|令和7年改正 マンション標準管理規約(単棟型・コメント含む)(PDF)

フンの掃除と、洗濯物・室外機まわりの注意

ベランダの清掃は入居者が行いやすい作業ですが、触り方には注意が必要です。厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックは、野生動物がどんな病原体を持っているか分からないため安易に触らないこと、動物に触ったら流水で手を洗うことを案内しています。前橋市は、国内でコウモリを直接の原因として発症した事例は現在のところないとする一方、海外ではフンに含まれるカビ菌を吸い込んで感染した例が報告されていると説明しています。

掃除をするときの基本

同ハンドブックは、動物の糞尿は乾燥すると中の病原体が空気中を漂うことがあるため、直接触れたり吸い込んだりしないよう呼びかけています。ネズミのフンの清掃について、米国のCDCは、乾いたまま掃いたり掃除機で吸ったりしないこと、作業前に換気すること、手袋を使うことを示しています。コウモリのフンの清掃手順を定めた公的資料は今回確認できませんでしたが、舞い上げない、素手で触らない、終わったら手を洗う、という基本は共通して考えられます。

広い範囲に積もっている、手すりの外側など手が届かない、においが強いといった場合は、無理をせず管理会社へ伝えます。清掃を含む対策の考え方はネズミのフンを掃除機で吸う前にの準備とも重なります。

洗濯物と室外機まわり

フンで汚れた洗濯物は、乾いたまま振り払わず、手袋をして汚れを広げないように取り込み、洗濯のあとに手を洗います。フンの真下に洗濯物を干さないなど、位置を変えるのも一つの方法です。

室外機の上や配管カバーの下にフンがたまっていても、室外機を動かす、カバーを外すといった作業は、故障や配管の損傷につながる恐れがあります。掃除の範囲に含めず、管理会社や設備業者に相談してください。体に不調を感じたときは、医療機関を受診し、動物との接触状況を医師に伝えるようハンドブックが案内しています。

参考:厚生労働省|動物由来感染症ハンドブック2026(PDF)

管理会社・大家・管理組合へ伝える内容と、連絡文の例

連絡先は住まいの形で変わります。賃貸なら管理会社か貸主、分譲なら管理会社(管理員)と管理組合の理事会が窓口です。浜松市は、自分の所有地・管理地以外で対策が必要な場合は、施設や土地の所有者・管理者に相談するよう案内しています。最初の連絡では、種類や原因を断定する必要はありません。見つけたもの、場所、日時、困りごと、してほしい確認の4点を、写真を添えて文書で残すと、あとから経緯を示せます。賃貸の報告全般は、賃貸の害獣被害を管理会社へ報告する連絡文にまとめています。

文面は「駆除してください」ではなく、「出入り口の有無の確認と、対応の進め方を教えてください」と書くと、管理側は調査から進めやすくなります。返事がない場合に備えて、連絡した日と相手を記録しておきます。文例は次のとおりです。

  • 件名:ベランダのコウモリのフンについてのご連絡(○号室)
  • 状況:○月○日の夕方、手すり付近に黒く細長いフンが○個落ちているのを見つけました。写真を添付します。
  • 場所:ベランダの手すり側、室外機の右上あたり(見上げた位置の写真も添付します)。
  • 困りごと:洗濯物を干せない、夕方に飛んでくる姿を見かける、においが気になる、など実際の状況を書く。
  • お願い:出入り口の有無の確認と、対応の進め方(清掃の範囲、ネットなどの設置の可否、調査を依頼する場合の窓口)を教えてください。
  • 補足:薬剤は使っておらず、フンには触れていません。確認のため、立会いが必要な日時があればお知らせください。

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている

賃貸と分譲で変わる費用負担の考え方

国土交通省の相談対応事例集は、賃貸住宅の修繕について、借主は原則として修繕義務を負わず、修繕義務は貸主にあると説明しています(民法606条1項)。入居者に故意・過失がある場合は借主が負うこともあります。修繕が必要なときは貸主に通知する義務があり(民法615条)、貸主が相当の期間内に修繕しないときや急迫の事情があるときは、借主が自ら修繕して費用を請求できる場合があるとしています。ただし、必要のない修繕や過度の修繕は費用負担や損害賠償の問題になり得るため、事前の通知と相談が大切とされています。

原状回復のガイドラインは、賃借人が賃貸物を善良な管理者として使う義務(善管注意義務)を負い、日常的な手入れや清掃もその内容に挙げています。ベランダのフンを放置して汚れや臭いを広げると、この点が問題になり得るため、清掃と記録は入居者側で進めておくと安心です。コウモリの駆除や封鎖の費用を貸主と借主のどちらが負担するかを直接定めた資料は、今回確認した範囲にはありませんでした。契約書の特約、管理会社の運用、被害の原因で変わるため、見積もりを頼む前に確認してください。原因別の考え方と契約書で確認する箇所は、賃貸の害獣駆除費用は誰が負担するかで整理しています。

賃貸と分譲で変わる費用負担の考え方:確認項目
住まい費用の考え方の出発点先に確認すること
賃貸(管理会社あり)建物のすき間や共用部分の対策は、貸主の修繕として管理会社を通じて相談するのが出発点。入居者の落ち度の有無も話題になる賃貸借契約書の修繕・特約の条項、管理会社の対応方針
賃貸(大家と直接)貸主へ通知して相談する。貸主が対応しない場合の扱いは、事例集の考え方を参照連絡した日時と内容の記録。自分で業者を呼ぶ前に貸主の承諾
分譲マンションを借りている共用部分の対策は管理組合、専用使用部分の通常の清掃は使用者が目安。貸主(区分所有者)にも連絡する管理規約と使用細則、貸主と管理会社への連絡経路
分譲(所有)共用部分の対策は管理組合の責任と負担が原則(標準管理規約第21条)。専用使用部分の通常の清掃は使用者管理規約の別表、使用細則、理事会への議題化の手順

参考:国土交通省|民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(PDF・入居中の修繕)

ネットや忌避剤を使う前の確認

前橋市は、換気口や通気口の外ぶたの破損確認と交換、パテやシーリング材でのすき間の補修、金網や目の細かい防鳥ネットで覆う方法、忌避スプレーや燻煙剤での追い出しを案内しています。これは戸建てを含む一般向けの案内です。マンションでは、ネットの固定や穴あけが共用部分に及ぶことが多く、先に管理側の承諾が必要です。承諾の取り方は、ハト対策の記事ですがベランダに防鳥ネットを付けたいときの確認と共通します。

浜松市は、封鎖の際に家の中へコウモリが取り残されないよう注意すること、取り残すと閉じ込めて死なせてしまい、死体が臭気や害虫の発生源になることを挙げています。また、まだ飛べない幼獣のいる6〜8月と、冬眠の前後を避けて封鎖するよう案内しています。ベランダ側のすき間は中の様子が見えにくいため、入居者が自分でふさぐのは避け、出入りの確認ができる人に任せます。

薬剤は、製品の表示に従うことが前提です。ベランダは洗濯物、ペット、子どもの手が届く場所に近いため、使う前に、管理規約や使用細則で薬剤の使用が制限されていないか、煙や臭いが近隣の住戸へ流れないかを確認してください。濃度の調整や他の薬剤との混合は、製品の表示にない使い方になるため行いません。

参考:前橋市|コウモリについて 市街地にも姿を現します

管理側が動かないときの相談先

連絡しても返事がない、費用を理由に動かないといった場合は、段階を踏みます。まず、連絡の記録(日付、相手、内容、写真)を整理し、管理会社の上位の窓口や理事長へ、文書であらためて連絡します。分譲マンションなら、理事会が検討する議題にしてほしいと依頼できます。

外部の窓口として、国土交通省のマンション管理・再生ポータルは、日常の管理組合運営や建物・設備の維持管理に関する相談先として、公益財団法人マンション管理センターの電話窓口を案内しています(受付は土日祝休日と年末年始を除く9時30分から17時、2026年10月3日に確認)。自治体では、横浜市と浜松市は、コウモリの捕獲や駆除を市では行っておらず、専門業者に頼む場合は有料(横浜市は個人負担と明記)と案内しています。捕獲の許可の問い合わせ先は都道府県や市町村で異なるため、お住まいの窓口を確認してください。

業者を選ぶ段階では、管理側が複数の見積もりを比べられるよう、調査・封鎖・清掃・消毒の項目を分けた見積もりを依頼してください。川越市も、複数の業者へ相談し、費用や内容をよく確認してから依頼するよう案内しています。契約を急がせる説明への備えと見積もりの確認項目は、コウモリ駆除の悪徳業者を避ける方法にまとめています。

参考:国土交通省|マンション管理・再生ポータル 専用使用権とは何ですか