コウモリ駆除は市役所に頼める?自治体9か所の公式案内を比べる

コウモリは野生の哺乳類なので、鳥獣保護管理法でいう「鳥獣」にあたります。環境省は、この法律で鳥獣の捕獲や殺傷が原則として禁止されていること、被害が出ている場合などに環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できる仕組みを説明しています。市役所が民家の屋根裏や軒下のコウモリを追い出す作業を請け負う案内は、今回開いた公式ページには見つかりませんでした。

下の表は、2026年10月3日に開いた自治体の公式ページを、確認できた範囲だけで整理したものです。ページの更新日は自治体ごとに違うため、併記しました。「確認できず」は、その項目がページに書かれていないという意味で、実際の運用は担当課で確かめる必要があります。

コウモリ駆除は市役所に頼める?自治体9か所の公式案内を比べる:確認項目
自治体(ページの更新日)市・県の捕獲や駆除案内している対応業者・窓口の案内
大津市(2023年12月4日更新)駆除や捕獲はしていない。自己対応壁に張り付く個体は市販の殺虫剤で追い払う、との記載。戻ることが多く、対応する業者は少ないとも説明滋賀県ペストコントロール協会へ相談(費用は自己負担)
浜松市(2026年3月13日更新)原則として市では捕獲・駆除等をしていない侵入口の確認、コウモリが家にいない時間帯の封鎖。幼獣のいる6〜8月と冬眠前後は封鎖を避ける自分の所有地・管理地で困難なら専門業者(有料)。他人の所有地は所有者・管理者に相談
横浜市(2026年9月9日最終更新)捕獲や駆除は行っていない。自分で対処難しい場合は専門業者へ業者は自分で探すほか、一例として神奈川県ペストコントロール協会(有料・個人負担)。捕獲許可は神奈川県の自然環境保全課
川越市(2024年12月27日更新)実施の有無の明記は確認できず。業者に頼む場合は自己負担黒くて5mmほどの細長いフンが多ければ棲みつきと説明。消毒と封鎖が必要で、自力が難しければ業者へ複数の業者に相談して費用と内容を確認。埼玉県ペストコントロール協会のサイトを案内
京都市(2026年4月改訂のQ&A集)イタチ・タヌキ・コウモリは行政による捕獲や駆除をしていない忌避剤や、侵入口の金網・板での封鎖を案内。難しければ近所や親戚、業者・工務店へ特定の業者は紹介できない。依頼前に電話で状況を伝え、見積もりを取る。費用は自己負担
名古屋市(2026年4月のQ&A集)コウモリの個別項目は確認できず。イノシシを除く野生鳥獣の捕獲駆除はしていない被害には追い払い(侵入口をふさぐ、忌避剤など)を案内特定の業者は紹介できず、愛知県ペストコントロール協会を案内。複数社の見積りを勧める
香川県(2021年8月公開)県では駆除や捕獲等を行っていない市販の忌避剤、金網や板で家屋のすき間を埋める業者はインターネットなどで探す。対応できる業者もあるが費用は自己負担
北九州市(2025年7月11日更新)実施の有無の明記は確認できず煙の出る害虫駆除剤、ナフタリン等、ライトアップ、侵入口の封鎖を例示。冬眠期と夏の出産期は追い出しが難しい業者に頼む捕獲には福岡県の許可が必要。窓口は福岡県の鳥獣対策係
各務原市(2024年6月12日更新)実施の有無の明記は確認できず忌避装置を市民へ無料貸出。忌避剤、においや超音波、侵入場所を塞ぐ方法を例示業者の案内は確認できず。貸出は環境政策課へ電話予約または窓口

参考:京都市|野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集 PDF(2026年4月)

読者の疑問

コウモリ駆除は市役所に頼めますか?

比較ガイド

今回確認した自治体の公式ページでは、民家のコウモリを市が追い出したり捕獲したりする案内は見つかりませんでした。大津市・浜松市・横浜市・京都市・香川県は、捕獲や駆除をしていないと明記し、名古屋市も野生鳥獣全般の捕獲駆除はしていないと書いています。住まいの市区町村のページで担当課を確かめ、電話で対応範囲を聞いてください。

市役所がすること・しないこと|助言と案内までが中心

表の自治体に共通するのは、市役所の役割が「情報の提供と窓口の案内」に寄っている点です。侵入口の探し方や封鎖の考え方、忌避剤の紹介、専門業者への相談の勧め、捕獲許可の窓口の案内までは、多くのページに書かれています。一方で、屋根裏の追い出し、封鎖工事、フンの清掃や消毒といった現場の作業を市が行うと書いたページは見つかりませんでした。

相談すると教えてもらえること

電話や窓口で教えてもらえる内容は、各ページの記載から次のように整理できます。載っている項目は自治体ごとに違います。

  • 侵入口の見つけ方(浜松市は、フンが落ちている場所が侵入口と考えられ、1cm程のすき間でも出入りできると説明しています)
  • 侵入口の封鎖の考え方と、避ける時期(浜松市は幼獣のいる6〜8月と冬眠前後を挙げています)
  • 業者の団体の案内(大津市は滋賀県、横浜市は神奈川県、川越市は埼玉県、名古屋市は愛知県のペストコントロール協会)
  • 捕獲許可の窓口(横浜市は神奈川県、北九州市は福岡県の担当課を案内しています)

市が行わないと案内されていること

行わないと書かれているのは、民家のコウモリの捕獲や駆除のほか、特定の業者の紹介と、対策資材の購入費の助成です。

  • 民家のコウモリの捕獲・駆除(大津市・浜松市・横浜市・京都市・香川県。名古屋市は野生鳥獣全般として記載)
  • 特定の業者の紹介(京都市・名古屋市は、行政が特定の業者を紹介することはできないと説明しています)
  • 野生鳥獣対策のフェンスやネットの購入費の助成(名古屋市・京都市)

「捕獲が必要」と言われたら|許可の窓口は都道府県

環境省によると、捕獲許可の権限者は、国指定鳥獣保護区内や希少鳥獣などでは環境大臣、それ以外は都道府県知事で、多くの都道府県ではその権限の一部を市町村長に移しています。基準は都道府県の鳥獣保護管理事業計画に定められているため、窓口は都道府県の担当部局に確認します。許可なしに捕獲や殺傷をすると、鳥獣保護管理法第83条により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。詳しくはコウモリ駆除の法律にまとめています。

なお、大津市のページには市販の殺虫剤で追い払うという記載がありますが、殺傷は法律上の「捕獲等」にあたるため、コウモリに殺虫剤を直接かけて倒す方法は勧められません。使うなら、製品の表示に「コウモリ」の用途がある忌避剤を選び、表示どおりに使います。

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

コウモリ駆除の補助金はある?確認できた範囲と調べ方

今回開いた公式ページに、コウモリの駆除や封鎖工事の費用を補助する制度は見つかりませんでした。名古屋市のQ&A集(2026年4月)は、野生鳥獣対策のフェンスやネットの貸与や購入費用の助成はなく、費用は自己負担と書いています。京都市のQ&A集(2026年4月改訂)も同じ内容です。ただし、確認したのは一部の自治体だけで、ほかの市町村に制度がないとは言い切れません。

「害獣駆除 補助金」で見つかる制度は、対象の動物や申込者が違うことがあります。東京都中央区は、ネズミ対策を町会・自治会・商店街が地域ぐるみで行う場合に、補助率3分の2、構成員の数に応じて20万円から100万円の上限を設けています(2024年5月29日掲載)。対象は地域団体で、ページはネズミ対策の制度として書かれており、個人住宅のコウモリへの言及はありません。利用前に事前相談が必要とも書かれています。

コウモリ駆除の補助金はある?確認できた範囲と調べ方:確認項目
自治体(確認した案内)補助・貸出の記載対象と条件
名古屋市(Q&A集、2026年4月)補助なし。野生鳥獣対策のフェンス・ネットの貸与や購入費用の助成は「ありません」と記載費用は自己負担
京都市(Q&A集、2026年4月改訂)補助なし。フェンス・ネット等の費用は自己負担と記載農作物に大きな被害がある農家は、農(林)業振興センターへ相談
各務原市(2024年6月12日更新)コウモリ忌避装置の貸出(無料)市民で、居住敷地内でコウモリの糞尿などの被害を受けている人。原則1台を14日間、1世帯1回。充電は自己負担
東京都中央区(2024年5月29日掲載)ネズミ対策の補助(コウモリへの言及なし)町会・自治会・商店街などの地域団体。補助率3分の2、上限20万〜100万円。事前相談が必要
  • 市町村の公式サイトで「コウモリ」「鳥獣」「野生動物」を検索し、担当課(農政課、環境課など)を確認する
  • 電話で「コウモリ被害について、費用の補助や機器の貸出はあるか」と聞く。市に窓口がなければ、都道府県の担当課も聞く
  • 補助や貸出があるときは、対象が個人住宅か、コウモリが対象か、事前相談が必要かを確かめてから契約や工事に進む
  • 制度が見つからなければ、補助がない前提で、次の章の費用の抑え方を使う

参考:名古屋市|野生鳥獣等に関する相談Q&A集(令和8年4月、PDF)

補助金がなくても費用を抑える選択肢|時期・相見積もり・自分でできる範囲

補助がない前提では、金額そのものより「何にいくらかかるのか」を分けて確認することが助けになります。事業者の公式ページにある料金表示はコウモリ駆除の費用にまとめたため、ここでは本人が動ける選択肢を表にしました。

自分でできる範囲にも線があります。観察、写真、フンの清掃、製品の表示に従った忌避剤の使用はできますが、捕獲や殺傷はできません。屋根の上や高所の作業は転落の危険があり、東京都ペストコントロール協会も、出入口が高所の場合は作業に危険が伴うとして、脚立やはしごからの転倒に注意するよう案内しています。費用を抑えたくても、無理な高所作業は選ばないでください。

補助金がなくても費用を抑える選択肢|時期・相見積もり・自分でできる範囲:確認項目
選択肢やること注意点・根拠
相見積もりを取る建物の状況と出入口の候補を同じ内容で伝え、複数社に見積もりを頼む川越市と名古屋市は複数の業者や見積りで比べるよう勧め、国民生活センターは比較する時間を与えない事業者とは契約しないよう助言しています
作業の時期を相談する封鎖を避ける時期(幼獣のいる6〜8月、冬眠前後)を踏まえ、作業できる時期を業者と決める浜松市と北九州市が時期への注意を案内。大津市は追い払っても戻ることが多いと説明しているため、再訪や追加作業の条件と費用を見積もりで確かめます
自分でできる確認を済ませる出入りの時間帯と場所の観察、フンの落ちる位置の写真、使った製品の記録を渡す調査の範囲を絞りやすくなります。観察は地上や窓越しから行い、高所には上がりません
作業範囲を分けて頼む追い出し、出入口の封鎖、フンの清掃、消毒を別の項目にして見積もってもらう見積書が「一式」だけのときは、項目ごとに書き直してもらいます
自治体の貸出を確かめる忌避装置などの貸出がある市かどうかを問い合わせる各務原市の貸出は、無料ですが14日間・1世帯1回という条件があります
無料の電話相談を使う都道府県のペストコントロール協会の害虫相談所へ電話で状況を伝える日本ペストコントロール協会は、電話などの相談は無料で、現場調査や施工は原則有料と説明しています

参考:川越市|コウモリによる生活被害

相談するときに伝える情報|市役所・協会・業者で共通の6項目

市役所でも協会でも業者でも、最初の電話で聞かれる内容は似ています。京都市のQ&A集は、依頼前に電話で原因の動物や被害の状況を伝え、どんな対策をするのかを相談したうえで来てもらうよう勧めています。伝える内容を先にまとめておくと、市の対応範囲なのか、業者の仕事なのかを、窓口の担当者が判断しやすくなります。

出入りの観察のしかたはコウモリの出入りを記録する方法で扱っています。観察は地上か窓越しで行い、屋根や脚立の上には立たないでください。

相談するときに伝える情報|市役所・協会・業者で共通の6項目:確認項目
伝える項目伝え方の例準備のしかた
住まいの形と所有者戸建ての持ち家、賃貸アパート、分譲マンションの1階、など賃貸や分譲は、管理会社・貸主・管理組合の連絡先も控えておく
見たもの黒くて細長い5mmほどのフン、夕方に飛ぶ姿、天井や壁の中からの鳴き声、など川越市は、黒くて5ミリメートル程の細長いフンが多く落ちていれば棲みついていると考えられると説明
日時と時間帯〇月〇日の日没後に、軒下の同じ場所から複数回出入りした日付、時刻、天気、見た場所をメモに残す
季節と子どもの有無夏に小さな個体が落ちていた、鳴き声が増えた、など浜松市は幼獣のいる6〜8月の封鎖を避けるよう案内しており、時期の情報は作業の可否に関わります
写真全景1枚、フンや汚れの代表1枚、すき間の候補1枚屋根の上などからは撮らず、地上や窓越しから撮れる範囲にとどめる
使った製品製品名、使った日、場所、残っている量忌避剤などを使った場合は、製品の用途表示も控えておく
  • 市で対応する範囲(助言のみか、機器の貸出があるか)
  • 捕獲許可が必要な作業を提案されたときの窓口(都道府県の担当課)
  • 補助や貸出の制度の有無
  • 業者の団体の連絡先(市が特定の業者を紹介できない場合がある)

参考:京都市|野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集 PDF(2026年4月)

賃貸・集合住宅でコウモリが出たとき|先に連絡する相手

賃貸住宅やマンションで、出入口が外壁、屋根、換気口、共用部分にあるときは、自分で業者を呼ぶ前に、管理会社や貸主、管理組合へ連絡します。浜松市は、自分の所有地・管理地以外で対策が必要なときは、施設や土地の所有者・管理者に相談するよう案内しています。この場合、市役所に電話しても、案内は所有者・管理者への相談になります。

国土交通省の民間賃貸住宅の相談対応事例集は、賃貸住宅の修繕について、入居者は原則として修繕義務を負わず、修繕義務は貸主にあると説明しています。入居者に故意や過失があるときは借主が負う場合もあり、修繕が必要なときは貸主へ通知する義務があるとされています。コウモリの封鎖工事がどこまで修繕にあたるかは契約内容や状況で変わるため、費用の負担も含め、発注の前に管理側へ文書で確かめてください。

ベランダでの具体的な手順はマンションのベランダにコウモリが来たときで扱っています。

  • 賃貸アパート・マンション:管理会社または貸主
  • 分譲マンション:管理会社(管理員)と、管理組合の理事会
  • 戸建ての持ち家:所有者本人。市役所・協会・業者の順に確認

参考:国土交通省|民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(PDF・入居中の修繕)

役所で対応できないときの業者の探し方|協会の無料相談から

役所で対応できないと分かっても、すぐにネット広告で業者を決める必要はありません。順番は、協会の無料相談、見積もりの比較、契約前の確認です。見積もりの比べ方は害獣駆除の相見積もり、追い出しと封鎖で業者を比べる基準はコウモリ駆除業者の選定基準にまとめています。

協会の害虫相談所と、優良事業所認証

日本ペストコントロール協会によると、47都道府県それぞれに地区協会があり、各協会の「害虫相談所」が電話などでの相談を無料で受け付けています。現場調査や防除の施工が必要な場合は原則有料で、相談内容に応じた事業者を紹介してもらえることもあります。横浜市、川越市、名古屋市のページも、業者の探し方として都道府県の協会を案内しています。

協会の会員かどうかに加えて、同協会の優良事業所認証も参考になります。認証は、事業所専任のペストコントロール1級技術者、機器材や設備、各種保険への加入などの条件を満たした事業所に適用されると説明されています。ただし、コウモリの追い出しと封鎖に対応できるかは別なので、依頼前に確認してください。

ネットの料金表示とトラブルへの注意

国民生活センターは、害虫・害獣駆除の相談が増え、インターネットの表示とかけ離れた高額な料金を示される事例が多いと注意しています。相談事例には、ネットで探したコウモリ駆除業者との契約でうそをつかれた、という事例も含まれます。極端に安い料金を示す広告に注意し、複数見積もりを比べる時間を与えない事業者とは契約せず、不安なときは消費者ホットライン188へ相談してください。

  • 作業の内訳(追い出し、出入口の封鎖、フンの清掃や消毒)が項目ごとに分かれているか
  • 捕獲を伴う提案のときは、許可の有無と窓口(都道府県)を説明できるか
  • 作業できる時期と、幼獣のいる時期・冬眠前後の扱い
  • 追加訪問や追加工事が出る条件

参考:公益社団法人日本ペストコントロール協会|都道府県協会