コウモリは何時ごろ活動する?日没後の出入りの時間帯

住宅街で見かけるコウモリの多くはアブラコウモリで、活動の中心は日没後です。東京都ペストコントロール協会は、アブラコウモリが超音波の反射で虫を見つけられるため日没後に活動し、街灯に集まる昆虫を食べると説明しています。前橋市の案内も、活動期間を春から秋の夕暮れとし、夜行性の動物として紹介しています。

夕方の出入りは、時計ではなく日没時刻が基準

出入りの時刻は、季節によって変わる日没の時刻に合わせて動くと考えられます。東京都ペストコントロール協会は、出入りしている穴にはフンが堆積し、夜間の出入りが確認できると説明し、封鎖も日没後に餌を取りに出て屋内から出たところで行うとしています。観察の予定も、その日の日没時刻を天気予報や暦のアプリで調べてから立てます。

研究者の観察例|日没の18分前から75分間

茨城県自然博物館の報告書に、つくば市の建物での観察例があります。2008年6月28日、日没時刻19時、気温23.5℃の日に、18時42分から19時57分までねぐらから飛び出す個体を数えました。アブラコウモリの保育場所だった建物では、幼獣が落ちていた地点の真上の2か所から、それぞれ25個体と1個体が飛び出しています。

これは1日・1か所の記録で、ほかの家の出入りの時刻を示すものではありません。観察の時間を決めるときに「日没の少し前から1時間余り」を参考にはできますが、ほかの家でも同じとは限らないため、数日に分けて確かめる前提で使ってください。

参考:東京都ペストコントロール協会|コウモリとネズミの糞の違い

読者の疑問

コウモリは何時ごろ出てきますか?

比較ガイド

活動の中心は日没後で、夕暮れから夜にかけて建物を出ます。時刻は季節で変わる日没時刻に合わせて動きます。研究者の観察例では、日没19時の日に18時42分から19時57分まで出巣を数えています。ほかの家の時刻を示す記録ではないため、数日に分けて確かめてください。

昼間のコウモリはどこにいる?ねぐらの場所と夜の一時休息

前橋市は、アブラコウモリの生息場所として屋根裏、戸袋、換気口、軒下、瓦の下、高架下、倉庫内を挙げ、日本のコウモリの中で唯一、住家をすみかにする種類としています。国土技術政策総合研究所の調査の手引き(案)も、イエコウモリ(アブラコウモリ)を、年間を通じて家屋を休息場所にする唯一の種とし、屋根瓦の下や雨戸の戸袋の奥、通気口がねぐらになり、数頭から数十頭、100頭以上の集団になることもあるとしています。

昼間のねぐらとは別に、夜の食事の合間に一時的に休む場所もあります。同手引き(案)は、こうした場所をナイトルーストと呼び、調査対象の例として家屋の軒下や橋の下を挙げています。用語解説によると、ナイトルーストを使ったコウモリも夜明け前には昼間の休眠場所へ飛び去るため、朝には空になりますが、フンが残って場所を推定できる場合があるとされます。軒下のフンだけでは、そこが住み着きの場所か、夜の休憩場所かを見分けられない点に注意してください。

昼間のコウモリは、休んでいる間に体温や代謝を下げてエネルギーを節約する状態になる種類が多いと説明されています。国土交通省の天竜川上流河川事務所の資料は、この状態をトーパーと呼び、餌を探せない昼間は冬眠のような状態になっていると書いています。昼間にねぐらの近くで強い音や光を当てて起こす必要はなく、観察は日没前後に外から行います。

昼間のコウモリはどこにいる?ねぐらの場所と夜の一時休息:確認項目
場所資料にある説明観察で分かること
屋根裏・屋根瓦の下前橋市と国総研の資料が、ねぐらの場所として挙げている夕方に屋根と壁の境目などから出入りする姿
戸袋・雨戸まわり国総研の資料が、雨戸の戸袋の奥をねぐらの例として挙げている戸袋の下や窓まわりに落ちるフン
換気口・通気口前橋市と国総研の資料が、換気口・通気口を挙げている外壁の換気口の周りの黒い汚れ、フンの落下
軒下前橋市が生息場所に挙げ、国総研の手引き(案)は軒下を夜の一時休息の場所の例にしている夜間だけ休む場合は、朝に軒下の床や壁にフンが残る

参考:国土交通省 国土技術政策総合研究所|コウモリ類の調査の手引き(案)Ⅴ 日本国内で生息が確認されたコウモリ類(イエコウモリの解説、PDF)

雨の日・寒い日のコウモリの動き|確認できたことと分からないこと

雨や寒さで動きが変わるのかは、「コウモリ 雨の日」が検索候補にも並ぶ疑問です。今回開いた自治体・研究機関・博物館の資料には、気温について触れたものはありましたが、アブラコウモリが雨の日にどう動くかを書いた記述は見つかりませんでした。ここでは、資料に書かれていることと、分からないことを分けて説明します。

寒い日|気温と出入りの関係を示す資料

茨城県自然博物館の報告書は、つくば市の観察で、日没時の気温が20℃以上の日はほとんどの個体がねぐらから出るとされる先行研究にもとづいて、出巣数を数えたと書いています。気温が出入りに関わるという前提で調査されていることが分かります。

神奈川県立生命の星・地球博物館の報告(秦野市)には、同じ建物を使うヒナコウモリについて、気温が15℃を下回ると活動が低下して出巣しなくなり、翌年は夕方の気温が15℃を超えると出巣し始めた、という記録があります。ヒナコウモリの例で、アブラコウモリの数値ではないため、15℃を住宅のコウモリの基準にはできません。

雨の日|資料では確認できず、見えなかった夜は不在の証拠にならない

雨の日に飛ぶか飛ばないかを、この記事では断定しません。国土技術政策総合研究所の手引き(案)は、活動期の中でも、ある時期にはコウモリの飛翔がまったく確認されず、別の時期には一度に多数が捕獲される例があること、バットディテクターに反応がなくても生息していないとは言えないことを注意しています。

雨や寒さで姿が見えなかった夜も、「いなくなった」とは判断できません。雨の日の高所作業は足元が滑りやすく危険なので、国民生活センターが勧める「脚立やはしごを使わない方法の検討」「滑りにくい靴などの準備」を守り、高所の確認は業者に任せる前提で記録だけを残してください。

「コウモリ駆除 雨の日」と調べる人は、雨の日に追い出しや封鎖をしてよいかも気にしているはずです。この点を示した資料も、今回は確認できませんでした。東京都ペストコントロール協会は、封鎖を日没後に屋内から出たところで行うと説明しており、作業の可否は、天候だけでなく、コウモリが出たことの確認、時期、足場の安全をあわせて業者が判断します。

参考:茨城県自然博物館|茨城県自然博物館総合調査報告書 茨城県南西部地域を中心とした脊椎動物(2006−2008)(PDF)

コウモリは冬になるといなくなる?冬眠の時期と冬眠前後の注意

前橋市は、アブラコウモリの活動期間を春から秋とし、冬は11月頃から4月頃まで冬眠するとしています。東京都ペストコントロール協会も、11月頃に冬眠すると説明しています。国土交通省の天竜川上流河川事務所の資料によると、冬眠中のコウモリは代謝を抑えて体温を気温との差が1〜2℃の範囲まで下げ、極端な場合は呼吸も1分間に1回程度になるとされます。

冬眠は、動き回らなくなるという意味で、建物からいなくなるとは限りません。国総研の手引き(案)は、イエコウモリが年間を通じて家屋を休息場所にするとしており、冬眠も建物の中で過ごす個体がいると考えられます。浜松市は冬眠前後の封鎖を避けるよう注意し、北九州市も冬眠時期は追い出しが難しいと書いています。冬にフンの落下が止まっても、封鎖が安全になったという意味ではありません。

神奈川県立生命の星・地球博物館の報告には、ヒナコウモリは越冬中でも気温の高い日は出巣することがある、という記述もあります。ヒナコウモリについての記述で、住宅のアブラコウモリに同じことが起きるかは今回の資料では確かめられませんでした。それでも、冬に姿が見えないことは建物にいない証拠にならないため、「冬だからいない」と決めて封鎖を急がないようにします。

コウモリは冬になるといなくなる?冬眠の時期と冬眠前後の注意:確認項目
季節資料にある状態観察・対策での注意
春(3〜4月頃)前橋市は冬眠の期間を11月頃〜4月頃としている。ヒナコウモリの観察例では、夕方の気温が15℃を超えると出巣が始まった冬眠明けの時期で、出入りが始まる日は気温で前後する。観察は日没時刻と気温を一緒に記録する
初夏〜夏(6〜8月)前橋市は出産期を初夏(7月頃)とし、浜松市は飛べない幼獣のいる時期を6〜8月としている幼獣がいる可能性があり、封鎖は避ける。落ちている個体の扱いは別の記事で確認する
秋(10〜11月)前橋市は繁殖期を10月とし、11月頃から冬眠に入るとしている。東京都ペストコントロール協会も11月頃の冬眠を説明している冬眠前後は封鎖を避ける(浜松市)。暖かい夕方はまだ出入りする場合がある
冬(11月〜4月頃)冬眠(前橋市は11月頃〜4月頃)。ヒナコウモリでは、越冬中でも気温の高い日に出巣する例がある封鎖や追い出しは難しい時期(北九州市)。観察は気温の高い日の夕方を中心にする

参考:前橋市|コウモリについて 市街地にも姿を現します

時間帯別|コウモリの動きとできる確認の早見表

活動時間を、出入口の観察と封鎖時刻の判断に使うために、時間帯ごとの状態と、してよい確認・避ける行動を表にまとめます。コウモリの状態は自治体・協会・研究機関の説明を要約したもので、時刻は日没を基準にした目安です。実際の日没時刻は、日付と地域で変わるため、観察の前に調べてください。

時間帯別|コウモリの動きとできる確認の早見表:確認項目
時間帯(日没を基準)コウモリの状態(資料の説明)できる確認避けること
昼間(明るい時間)屋根裏、戸袋、換気口、軒下などで休む。体温や代謝を下げて休む種類が多い外壁や軒下の目視。フンの落ちる位置、黒い汚れ、すき間の位置を写真に撮るねぐらの近くを叩く、強い光を当てる、すき間を先にふさぐ
日没の少し前〜日没午後から夕方に覚醒し、外へ出る前に毛づくろいに時間を使う種類もある観察する場所を決め、日没時刻・天気・気温を記録し始める屋根や脚立の上など高い場所に立つ
日没後〜夜の前半ねぐらを出て飛び回る。研究者の観察例では日没の少し前から1時間余り、出巣を数えた窓越しや敷地内の地上から、出入りしたすき間の位置と時刻を記録する。動画や写真は短くライトを向け続ける(研究者は低照度の赤色光を使い、光をコウモリに向けない)
夜間虫を追って飛ぶ。軒下や橋の下などで一時的に休む種類もある(ナイトルースト)軒下のフンの落下、鳴き声や羽音の有無をメモする暗い中での高所の点検、フンへの接触
夜明け前〜早朝昼間の休む場所へ戻る。夜の休息場所を使った個体も夜明け前に飛び去る朝に軒下や床のフンが増えていないか確認する1回の観察で出入口を決めつける

参考:国土交通省 国土技術政策総合研究所|コウモリ類の調査の手引き(案)Ⅱ コウモリ相調査段階(ねぐら調査・ライトの使用ほか、PDF)

活動時間を使った出入口の観察方法|安全な立ち位置と記録

東京都ペストコントロール協会は、コウモリが出入りしている穴にはフンが堆積し、夜間の出入りが確認できると説明しています。昼間に見つけたフンの落ちる位置を候補にして、日没前後に出入りを確認すると、同じ場所かどうかが分かります。観察は自宅敷地内の地上か窓越しで行い、屋根、脚立、ベランダの手すり越しには立ちません。

国民生活センターの公表では、脚立やはしごの事故は約8割が屋外で起き、転落した人の半数以上が60〜70歳代でした。暗い時間帯に高所へ上がる観察や点検は避け、高所の確認は業者に任せる前提で、地上から見える範囲の記録だけを残してください。高所の作業で足場が必要になる条件は、コウモリ駆除の足場費用でまとめています。

記録の様式や、動画を相談先へ渡す方法はコウモリの出入りを記録する方法に詳しくまとめています。

  • 昼間:フンの位置と、黒い汚れのあるすき間の候補を写真に撮る
  • 観察の30分ほど前:日没時刻・天気・気温を確認し、立つ場所を決める
  • 日没前後:出てきたすき間の位置と時刻を記録する。見えなければ「見えなかった」と書く
  • 別の日にも繰り返す:同じすき間かどうか、出入口が複数ないかを確かめる

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|コウモリ・防除方法の選びかた

観察結果を対策と相談に生かす|封鎖の時刻と時期の考え方

観察で得た情報は、封鎖の時刻と時期の判断に使います。浜松市は、コウモリが家にいない時間帯に出入口をふさぎ、家の中に取り残さないよう注意することを案内しています。東京都ペストコントロール協会も、日没後に餌を取りに出て屋内から出たところで、4メッシュ金網(5.25mm目)やパテでふさぐと説明しています。出入りの時刻を知らないまま封鎖すると、閉じ込めのおそれがあります。

ただし、全部が出たかどうかは1回の観察では確かめられません。研究資料でも、反応がなくても生息していないとは言えないと注意されています。幼獣のいる時期(浜松市は6〜8月)や冬眠前後は封鎖を避けるため、時期の判断も加えて、封鎖の日程は業者と決めます。時期の考え方はコウモリ対策の時期、自分で行う場合の範囲はコウモリ駆除を自分でする方法とコウモリ駆除の法律にまとめています。

相談では、観察の記録を渡します。日付、日没時刻、天気、見た場所、出た時刻、見えなかった日を一覧にし、写真を数点添えます。「何時ごろ、どのすき間から出る」という情報があると、現地調査で確認する場所を絞れます。観察の記録を持って相談するときに、契約を急がされないための確認点はコウモリ駆除の悪徳業者を避ける見積もり確認でまとめています。

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている