コウモリにハッカ油は効く?市販忌避剤の成分から見る

ハッカ油については、「コウモリ ハッカ油」「コウモリ駆除 ハッカ」が検索候補にも並ぶほど、気にしている人が多いようです。結論から言うと、ハッカの成分がコウモリの忌避剤に使われている例は確認できますが、家庭用のハッカ油で追い出せたことを示す公的資料は、今回の調べでは見つかりませんでした。

市販のコウモリ用忌避剤に表示されている成分

イカリ消毒の「コウモリいやがるスプレー」は、有効成分を天然ハッカ油とIPAとし、用途を「コウモリの追い出し」としています。同社の「コウモリいやがる袋ミニ」も有効成分は天然ハッカ油で、侵入防止・被害防止が用途です。フマキラーの「コウモリバリア」は、有効成分をL-メントールとし、メントールの冷感刺激で寄せつけない、住みついているコウモリも追い出す、と説明しています。

自治体の案内と、公的資料で確認できなかったこと

前橋市は、アブラコウモリの嫌いなものとして光、ハッカ、トウガラシを挙げています。各務原市も、寄せ付けない方法の例として、ナフタレンやハッカなどハーブ系の香りを紹介しています。ただし、どちらも方法の紹介で、家庭用のハッカ油をどの方法で使ったときに追い出せたかを示す検証結果は、今回開いた資料にはありませんでした。

コウモリにハッカ油は効く?市販忌避剤の成分から見る:確認項目
製品(メーカー公式ページの表示)有効成分の表示表示された持続と使い方の注意
イカリ消毒「コウモリいやがるスプレー」天然ハッカ油、IPA効果は約3〜6時間持続(生息状況・使用環境により異なる)。室内では使用を控える。火気を避け、使用後もしばらくは火気を使わない
イカリ消毒「コウモリいやがる袋ミニ」天然ハッカ油(担体:鉱物)効果は約2週間〜1か月持続(使用状況により異なる)。コウモリが近づきにくくなる補助製品。室内での使用はおすすめしない。テープで貼ると塗装面を傷つけることがある
フマキラー「コウモリバリア 450mL」L-メントール冷感刺激が最大24時間持続(使用方法どおり処理した場合。持続時間は材質・使用環境により異なる)。玄関、軒下、戸袋に使う

参考:イカリ消毒|コウモリいやがるスプレー 製品情報

読者の疑問

コウモリにハッカ油は効きますか?

比較ガイド

コウモリ用の市販忌避剤には、天然ハッカ油やL-メントールを有効成分とする製品があり、前橋市もハッカをコウモリの嫌いなものに挙げています。ただし、家庭用のハッカ油で追い出せたことを示す公的資料は確認できませんでした。使うなら、製品の表示に従ってください。

ハッカ油スプレーを手作りするときの注意|持続・ペット・素材

検索候補には「コウモリ駆除 ハッカ油 作り方」も並びます。しかし、コウモリへの使用を前提にした配合や希釈を示す公的資料やメーカー資料は、今回確認できませんでした。当サイトも配合や希釈は示しません。薬剤は、製品の表示どおりに使うのが基本です。

コウモリ用の製品には、持続の目安が数時間から約1か月と表示されています。イカリ消毒は、においそのものの効果には持続期間の限界があると説明しています。手作りのものには、メーカーが表示するような持続の目安がなく、いつまで効いているのかを判断する材料がありません。

ペット・人・住まいへの注意

イカリ消毒の使用上の注意は、忌避剤について、室内(居室)では使用しないこと、ペットや家畜のいる場所では使用しないこと、臭いが強いため少量で試してから使い、乱用を避けることを求めています。ハッカ油を使う場合でも、においが強い点は同じで、居室や、ペットのいる場所への流れ込みに注意が必要です。

  • 居室や、ペット・家畜のいる場所では使わない(イカリ消毒の使用上の注意)
  • においが長く残るため、周囲や近隣への影響を考える
  • 少量で試し、乱用を避け、回収できる量ずつ設置する

素材・植物への注意

同じ使用上の注意は、有機溶剤に弱いプラスチック類のそばでは使わないこと、塗装面、石材、漆喰、白木には使わないこと、植物に直接触れる場所には使わないことを挙げています。製品が違っても、においの強い液体を軒下の塗装面や木部に吹き付ける前に、目立たない場所で確かめる考え方は共通です。

参考:イカリ消毒|使用上の注意(商品全般)

蚊取り線香はコウモリに使える?適用害虫と火気の注意

KINCHO(大日本除虫菊)の「金鳥の渦巻」は、防除用医薬部外品で、効能は蚊成虫の駆除、忌避、侵入阻止です。有効成分はピレスロイドで、約7時間持続すると表示されています。コウモリは、表示された適用の対象に入っていません。

使用上の注意は、換気の良い場所の風上に置くこと、燃えやすいもののそばで使わないこと、付属の線香皿や専用器具以外で使わないこと、小児の手が届かない所で使うことを挙げています。屋根裏や軒下は、木材などの燃えやすいものが近くにあることが多く、表示の使い方と合いません。

もう一つの注意は法律です。鳥獣保護管理法でいう「捕獲等」は捕獲または殺傷で、許可なく行えません。殺虫成分でコウモリを倒す使い方は、許可を受けた作業でなければできないことになります。前橋市や北九州市は、煙で追い出す燻煙剤を紹介していますが、使うなら、製品の適用にコウモリが書かれたものかを確認してください。詳しくはコウモリ駆除スプレーの使い方とコウモリ駆除の法律で説明しています。

参考:KINCHO(大日本除虫菊)|金鳥の渦巻(蚊取り線香)製品情報

わさび・ナフタリン・木酢液など、ほかの方法の位置づけ

家にあるものでできる方法は、自治体のページにいくつか紹介されています。ただし、自治体の案内は方法の一例で、効果を検証した結果ではありません。下の表で、資料での扱いと、このサイトの見方を分けて示します。

わさび・ナフタリン・木酢液など、ほかの方法の位置づけ:確認項目
方法資料での扱いこのサイトの見方
ハッカ油(市販のコウモリ用忌避剤)前橋市と各務原市が、嫌いなもの・方法の例として紹介。メーカーは有効成分として表示製品の表示(持続、使用場所、注意)に従う。家庭用の配合は示さない
蚊取り線香今回開いた自治体ページには見つからず。メーカー表示の適用は蚊成虫コウモリは表示の対象外で、火気も伴うため、屋根裏や軒下には使わない
わさび(わさびスプレーなど)今回確認した自治体・研究機関・メーカーの資料に記載を確認できず根拠を確認できないため、勧めない
ナフタリン各務原市がナフタレン(ナフタリン)の香り、北九州市がナフタリン等を置く方法を例として紹介コウモリ用途を表示した製品は今回確認できず。防虫剤は製品ごとの用途表示を確かめ、表示にない使い方は避ける
木酢液・クレゾール石けん液京都市が「忌避剤として効果があるとされているもの」として挙げ、浜松市は刺激臭のあるものを出入口周辺に塗る方法として紹介希釈や使い方はこの記事では扱わない。使う場合は製品の表示に従う
燻煙剤・煙の出る害虫駆除剤前橋市、京都市、北九州市が追い出しの方法として紹介適用にコウモリが書かれているかを確認する。火災報知器が反応しないよう、前橋市は注意している
  • わさびについては、公的資料にもメーカー資料にも記載が見つからなかったため、効果の有無は判断できません。
  • ナフタリンを例に挙げる自治体はありますが、使用量や効果の記載はありません。

参考:各務原市|コウモリ忌避装置(防鳥防獣装置)の貸出について

においと煙だけでは戻ってくる理由

においや煙で一度出ていっても、コウモリは戻ってくることがあります。イカリ消毒の「コウモリいやがるスプレー」のQ&Aは、スプレーは追い出し効果が中心で、数日後に戻る場合は長期の忌避効果がある袋タイプとの併用を案内しています。防鼠金網の製品ページも、においの効果には持続期間の限界があるとしています。

同社の使用上の注意には、臭気性の忌避剤は、においに慣れてしまった個体、感受性の乏しい個体、繁殖期の個体には効果が出にくい場合があること、営巣場所や餌場、風が強い場所でも効果が出にくい場合があることも書かれています。京都市のQ&A集は、一時的に立ち去っても戻る場合があるため、侵入口の封鎖が効果的だと説明し、大津市も追い払っても戻ることが多いと書いています。

においと煙だけでは戻ってくる理由:確認項目
戻ってくる理由(資料の記載)出典確認すること
においの持続に限りがあり、時間が経つと効果が切れるイカリ消毒(スプレー・金網の製品ページ)製品表示の持続の目安と、使った日・場所の記録
においに慣れた個体、繁殖期の個体、営巣場所・餌場では効果が出にくいイカリ消毒の使用上の注意夏に小さな個体がいないか。住み着いた場所が内部のどこか
出入口のすき間が残ると、一時的に離れても戻る京都市Q&A集、大津市のページ出入口の数と位置を、日没前後の観察で確かめる
6mmほどのすき間からも出入りできる東京都ペストコントロール協会換気口、戸袋、瓦の下、配管のすき間など、小さな隙間の見落とし

参考:イカリ消毒|コウモリいやがるスプレー 製品情報

追い出した後の封鎖と時期|閉じ込めないための順番

においや煙で追い出した後は、出入口の封鎖が最後の工程です。東京都ペストコントロール協会は、コウモリが6mmほどのわずかなすき間からも出入りできるとし、日没後に餌を取りに出て屋内から出たところを、4メッシュ金網(5.25mm目)やパテでふさぐと説明しています。イカリ消毒は、追い出す前に金網を張ると、コウモリを閉じ込めてしまうと注意しています。

浜松市は、家の中にコウモリが残っていると閉じ込めて死なせてしまい、死体が臭気や害虫の発生源になるため、取り残さないよう注意することを求めています。封鎖は、飛べない幼獣のいる6〜8月と冬眠前後を避けます。時期の考え方はコウモリ対策の時期にまとめています。

  • 出入りの観察で、出入口の位置と数をつかむ
  • 製品の表示どおりに追い出し、全部出たことを確かめる
  • 日没後に出入口をふさぐ(幼獣の時期と冬眠前後は避ける)
  • 高所は無理をせず、業者に任せる

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている

使った製品を記録して、相談する目安を決める

ハッカ系の忌避剤などを使ったときは、製品名、使った日、場所、設置した数を記録します。業者や窓口は、何をどこで使ったかを知ることで、現場の状況を判断しやすくなります。忌避剤の使用で出入りが変わったかも、日没前後の観察の記録に添えます。

ハッカ油、蚊取り線香、わさび、ナフタリンなど、家庭にある方法を試しても出入りが続くときは、方法を足していく段階ではありません。出入口の数と位置、内部の状態を調べる段階です。東京都ペストコントロール協会も、環境整備を行っても効果が見られない場合は専門業者に依頼するよう案内しています。

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|コウモリ・防除方法の選びかた