ヤモリは家のどこにいる?外壁・窓・戸袋・天井裏・床下
環境省のいきものログは、ニホンヤモリを、夜に民家や街角の明かりに集まる虫を捕って食べる夜行性の爬虫類と紹介し、大きさは10〜14cmほど、春から秋に民家の壁や街角の明かりの下で見られるとしています。国立環境研究所の侵入生物データベースも、木造家屋を中心とした建造物に生息すると記載しています。
下の表は、公的資料で確認できた範囲で、ヤモリと家の場所の関わりを整理したものです。床下は、ここで参照した公的資料に生息場所としての記述がないため、表ではその旨を示しています。
| 場所 | ヤモリとの関わり(確認できた資料の記述) | 見え方・注意 |
|---|---|---|
| 外壁・窓ガラス・照明の周り | 灯りに集まる虫を狙って姿を見せる | 夜に見ることが多い。昼間に縦じまのあるトカゲ類を見たら、カナヘビやトカゲの可能性がある |
| 戸袋・壁のすき間 | 雌が卵を産み付ける場所の一つ | 卵は小さく、見つけにくい |
| 天井裏・屋根裏 | 卵を産む場所の一つ。寒い地方では越冬場所として屋根裏や壁のすき間を使う | 産卵期と冬に使われる可能性がある |
| 床下 | 参照した公的資料に、床下を生息場所とする記述はない | 床下の痕跡は、ヤモリと決めずネズミ・イタチ・タヌキなども考える |
天井裏の音はヤモリですか?
ヤモリは体重が数グラムの小さな動物で、鳴き声も3m離れると聞こえない程度とされています。天井裏の足音やかじる音がはっきり聞こえるなら、ネズミなど別の動物を先に疑い、日時と音の種類を記録します。
ヤモリの鳴き声と動く音|天井裏で聞こえるのはヤモリか
ニホンヤモリは、捕食者に襲われたとき以外は鳴かないと長く信じられてきました。研究者の城野哲平さんの研究紹介によると、飼育下で2個体を出会わせて調べたところ、小さな声で鳴くことが分かり、その声は3mほど離れると聞こえない程度とされています。この成果は2012年に学術誌で報告されています。
体の大きさは10〜14cmほど、体重は2.3〜4.0gと、環境省と国立環境研究所の資料にあります。数グラムの動物が天井板の上を歩く足音が、居室まで聞こえる状況は考えにくいため、「ドタドタ」「ガサガサ」と聞こえる音や、かじるような音が続くときは、ネズミなど別の動物や設備を先に疑います。
音の記録のしかたは夜間の天井の音を記録する。調査に役立つ一晩のメモの作り方、ネズミの音の聞き分けはネズミの鳴き声はどんな音?天井裏の音を時間帯とフンで見分けるで扱っています。
| 候補 | 聞こえやすい音 | 活動の時間帯 | 出典の記述 |
|---|---|---|---|
| ヤモリ | 小さな鳴き声(約3m離れると聞こえない程度)。体重が軽く、足音は目立ちにくい | 夜行性。灯りの近くで虫を狙う | 城野哲平の研究紹介、国立環境研究所、環境省いきものログ |
| ネズミ | 天井裏や壁の中を走り回る音、かじる音 | 夜間にうるさく走り回る | 日本ペストコントロール協会 |
| コウモリ | 羽音、天井裏でのキーキーという鳴き声 | 夕暮れ以降。春から秋に活動し、冬は冬眠する | 前橋市 |
ヤモリのフンの特徴と、コウモリ・ネズミのフンとの比較
害獣・害虫の調査を行う日東防疫(広島)の解説は、ヤモリ・コウモリ・ネズミのフンのうち最も特徴的なのはヤモリで、フンに白いもの(尿酸)が含まれると説明しています。爬虫類と鳥類は尿酸をフンと一緒に排泄するためです。裏を返せば、鳥のフンにも白い部分があるため、白い部分があるだけでは、ヤモリと鳥の区別はつきません。
コウモリのフンは、アース製薬の解説で5〜10mmの茶色とされ、主食が昆虫のためパサパサしていると書かれています。日東防疫も崩れやすいことを特徴に挙げています。ネズミは、ドブネズミが10〜20mm、クマネズミが6〜10mm、ハツカネズミが4〜7mmとされ、ドブネズミは均一でまとまり、クマネズミは細長く散らばる傾向があると説明されています。
写真には、大きさが分かるようにものさしを横に置き、色・形・白い部分の有無・落ちている場所を残します。見分けの詳しい早見表は害獣のフンの見分け方|大きさ・形・落ちる場所を動物別に比べるとコウモリとネズミのフンは見分けられる?にあります。フンは乾いたまま掃いたり吸ったりせず、触らずに調査へ伝えてください。動物の種類が分からない段階で調査を頼むときの比べ方は、屋根裏の動物駆除を業者に頼むときの比較項目にまとめています。
| 動物 | フンの特徴(出典の記載) | 確認のヒント | 取り違えやすい相手 |
|---|---|---|---|
| ヤモリ | 白い部分(尿酸)が混じる | 白いものが付いているかを、触らず写真で確認する | 鳥のフン(白い部分がある) |
| コウモリ | 5〜10mmの茶色。パサパサして崩れやすい | 軒下や屋根の下に落ちていることが多い | ネズミのフン |
| ドブネズミ | 10〜20mmで均一、丸みがある。まとまって落ちる | 1か所に固まっているかを見る | クマネズミのフン |
| クマネズミ | 6〜10mmで細長く不揃い。散らばる | 通り道に点々と落ちているかを見る | コウモリのフン |
| ハツカネズミ | 4〜7mmで先端がとがる | 小さな粒の先がとがっているかを見る | コウモリ・ヤモリのフン |
ヤモリがいることで分かる家の状態:すき間と、照明に集まる虫
三鷹市の紹介は、ヤモリが家に集まる虫を食べるため、日本では昔から家を守る存在として大事にされてきたと伝えています。ヤモリを見かけること自体は、悪い知らせとは限りません。見えている状況から言えるのは、照明の周りに虫が集まっていることと、ヤモリの体が入るすき間があることの二点です。
ヤモリが通れるすき間は、コウモリやネズミも使える可能性があります。前橋市はコウモリの侵入ポイントとして、窓やドアのすき間、換気口や通気口、エアコンと室外機をつなぐ配管用のすき間、屋根と壁のすき間を挙げています。ヤモリを見た場所の周りで、同じ種類のすき間がないかを確かめます。部位別の見方は害獣の侵入経路。屋根・軒・外壁・換気口・床下の部位別チェックが参考になります。
- 夜に外壁や窓の照明の下を見て、虫が集まっているかを確かめる
- 外壁と配管の取り合い、換気口、戸袋、軒天のすき間を、地上から見える範囲で写真に撮る
- ヤモリを見た位置と日付を控え、数日後に同じ場所で別の痕跡が増えていないかを見る
ヤモリが室内に入ったとき:素手でつかまず、外へ出す
三鷹市は、ヤモリが敵に捕まると、しっぽを切って逃げる「自切」をすると紹介しています。つかもうとして尾を切らせてしまうことがあるため、素手でつかまずに外へ出します。厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックは、爬虫類に関連する感染症としてサルモネラ症を挙げ、野生動物はどのような病原体を持っているか不明なことが多いと説明しています。触れたときは手を洗います。
環境省は、鳥獣保護管理法の「鳥獣」を、鳥類または哺乳類に属する野生動物と定義しています。ヤモリは爬虫類のため、この定義には当たりません。ただ、むやみに追い回したり傷つけたりする必要はありません。入り口になるすき間と、虫が集まる照明の状況を見直すことが先です。
- 窓や出入り口を開け、ヤモリが壁や天井にいる間は近づきすぎずに待つ
- 動かないときは、透明なコップなどをそっとかぶせ、厚紙を滑り込ませて蓋をして屋外へ運ぶ(一例)
- 屋外では、壁際や植え込みの根元にそっと放す
- 触れた手や、ヤモリを入れた容器に触れた手は、石けんで洗う
コウモリ・ネズミの可能性が残るときの確認
ヤモリと決めて対策を止めると、本当の原因が進行してしまうおそれがあります。次の三つのどれかに当てはまる間は、ヤモリ以外の動物を前提に確認を続けます。
音が続くとき
天井裏で走るような足音やかじる音が続くなら、体重のある別の動物が疑われます。日本ペストコントロール協会は、夜間に天井裏や壁内をうるさく走り回る音をネズミの被害として挙げています。夕方から夜に羽音や鳴き声が聞こえるときは、前橋市の案内にあるとおり、コウモリの可能性も残ります。時刻と音の種類は、日付つきで書き留めます。
フンが増えるとき
ネズミは、日本ペストコントロール協会によると、エサ場の近くの決まった場所にたくさんフンをします。コウモリのフンは軒下や屋根の下に落ちることが多いとされています。フンが同じ場所に増えていく、粒がヤモリより大きいと感じる、白い部分がないといった場合は、別の動物を前提に調査を相談します。コウモリが軒や換気口に出入りしているときの観察方法も役に立ちます。
天井や壁に変化が出たとき
天井にシミやたわみが出た、においが強くなった、食品の袋に傷がある場合は、ヤモリでは説明がつきにくい状態です。原因を調べる段取りは天井裏のネズミを疑ったら。原因調査を頼むときの伝え方にまとめています。
ヤモリの繁殖期と季節で見る注意点
国立環境研究所のデータベースは、ニホンヤモリの産卵期を5月上旬から7月下旬、雌は戸袋や壁のすき間、天井裏などに卵を産み付け、1回に2個を産むとしています。卵の大きさは長径13〜15mm、短径9〜9.5mmほど、ふ化までの期間は温度によって40〜90日とされています。
卵のような小さなものを天井裏や戸袋のすき間で見つけたときは、取り出さずに、位置と大きさが分かる写真を撮って記録します。鳥の卵やヘビの卵の可能性も残るため、見分け方は屋根裏に藁や綿のかたまり。鳥の巣・ネズミの巣を材料と場所で見分けるの卵の項目で確認できます。冬については、寒い地方ではヤモリが屋根裏や壁のすき間を越冬場所にすると三鷹市が紹介しています。





