害獣の侵入経路を探す前に確かめる3つのこと

侵入口を探して塞ぐ作業は、動物がまだ中にいる状態で進めると失敗しやすくなります。農林水産省の資料は、侵入場所が確認できたら塞ぐ作業になるが、中に居ないことを確認するのを忘れてはいけないと述べています。点検に入る前に、次の3点を確かめてください。

いま中にいるかどうか

天井裏や壁の中から足音、引っかく音、鳴き声が続くときは、中にいる可能性があります。時間帯と頻度を数日分メモしておくと、動物が外に出ている時間帯を探すときにも、調査を頼むときにも役立ちます。

季節と幼獣の有無

農林水産省の資料によると、4月をアライグマの出産時期とし、出産は建物の壁のすき間や木の樹洞などで行われると説明しています。ハクビシンは繁殖期が1月から9月、出産期が3月から11月と推定され、ほぼ年間を通して繁殖します。浜松市の案内は、コウモリについて、まだ飛べない幼獣のいる6月から8月や、冬眠前後を避けて封鎖するよう求めています。このように、安心して塞げる月が決まっているわけではないため、暦だけで日を決めないでください。

卵やヒナのいる鳥の巣

農林水産省の資料は、スズメの繁殖期を3月から9月とし、巣は人家の屋根や壁などのすき間に作ると説明しています。ドバトは、マンションのベランダなど雨のかからない所に巣を作るとされます。大阪府の案内では、卵やヒナのいる巣は撤去できず、巣立ちまで見守り、巣立ち後に撤去するよう求めています。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

読者の疑問

害獣は家のどこから入りますか?

比較ガイド

公的資料では、床下の通風口、軒の破損部分、瓦屋根のすき間、屋根の重なり、換気扇、配管や配線が壁を通る部分、戸袋、基礎のすき間などが侵入に使われる例として挙がっています。動物で入りやすい場所は違うため、地上から見える範囲を順に記録します。

害獣の侵入口を部位別に点検する表|屋根・軒・外壁・換気口・換気扇・戸袋・床下

東京都保健医療局の「都民のためのねずみ防除読本」は、ネズミの侵入経路になりやすい所を図で示しています。電線や電話線の導入部、屋根の下の通気口、雨戸の戸袋、汚れて閉じない換気扇、配管の貫通部、扉、基礎、壁のひび割れや穴などです。農林水産省の資料も、アライグマやハクビシンなどの中型獣類は、地上近くの床下と軒など上部が狙われるとしています。下の表は、こうした公的資料に例のある場所を部位別にまとめたものです。

表の「動物」の欄には、公的資料に例のあるものだけを書いています。載っていない動物が使わないという意味ではありません。

害獣の侵入口を部位別に点検する表|屋根・軒・外壁・換気口・換気扇・戸袋・床下:確認項目
部位入りやすい動物(公的資料に例のあるもの)地上・ベランダから見える手がかり点検の分担
屋根・瓦・棟まわりイタチ類、アライグマ、ハクビシン、スズメ瓦のずれや浮き、屋根の重なりや隅、増築部のつなぎ目地上から見上げて記録する。屋根に上がる確認は業者
軒・軒天・破風アライグマ、ハクビシン、テン、ネズミ軒の破損、軒天の穴や剥がれ、垂木と外壁の間、真下に落ちたフン地上から見上げて記録する。脚立や屋根からの確認は業者
外壁・外壁の通気層ネズミ、アライグマ(外壁と内壁の間に入り込む例)壁のひび割れや穴、外壁材の下端やつなぎ目のすき間見える範囲を記録する。通気層は塞がず相談する
換気口(屋根の下・床下)ネズミ、イタチ類、アライグマ、ハクビシン、タヌキ格子や網の破損・外れ、格子の幅が広い、周りのかじり跡地上から確認できる。取り替えや金網の取り付けは相談する
換気扇・給湯器などの配管引き込み部ネズミ、イタチ類汚れて閉じきらないふた、取り付け部のすき間、配管の引き込み部使用状況を記録する。取り付け部の補修は業者
エアコンなど配管が壁を通る部分ネズミ、イタチ類配管の周りのパテの欠けやすき間、室内外の同じ位置の様子室内外の写真をそろえる。補修は業者
電線・電話線の引き込み部ネズミ外壁と引き込み口の間のすき間、周りの汚れ見える範囲のみ記録する。配線まわりの補修は電気工事の担当者
雨戸の戸袋・シャッターボックスネズミ(コウモリは部位を問わず1cm程のすき間で出入りできるとされる)戸袋の継ぎ目や破損、周辺のフン、出入りする時間帯動かす前に出入りを観察する。開けての確認は相談する
基礎・床下の通風口ネズミ、アライグマ、ハクビシン、タヌキ、イタチ類基礎のすき間や欠け、通風口の網の外れ、周りの掘り返し外周は地上から確認できる。床下に入る点検は業者
ベランダ・庇・室外機の周りドバト(スズメは屋根や壁のすき間に巣を作る)巣材、フン、羽、室外機の上や手すりまわりの巣卵やヒナの有無を遠くから確認する。撤去は管理者・自治体へ相談する

参考:東京都保健医療局|都民のためのねずみ防除読本(令和7年12月発行、PDF)

害獣は屋根から入る?屋根・瓦・軒まわりで見るところ

農林水産省の資料は、屋根裏や壁のすき間を使う動物の侵入が狙う上部の例として、軒の破損部分、瓦屋根のすき間、増築した継ぎ目を挙げています。シベリアイタチについては、屋根の重なり、入母屋屋根の両隅、床下換気口、給湯器などの配管引き込み部が具体的な侵入ポイントとして示されています。屋根まわりが気になるときは、この上部の弱点を順に見ていきます。

屋根の重なり・瓦・棟のすき間

公的資料が侵入ポイントに挙げるのは、屋根の重なりと、入母屋屋根の両隅です。確認は、庭や道路から見える範囲で、瓦のずれや浮き、隅の黒い汚れを写真に残すところまでにとどめます。屋根に上がって確かめる必要はありません。屋根の上は踏み抜きによる墜落の危険があるためです。

軒・軒天・破風の破損

軒の破損部分は、農林水産省の資料で、侵入に使われる場所として写真付きで示されています。小さな穴が、動物の破壊行為で広げられて侵入場所になる例も載っています。軒天の穴や剥がれの補修は、換気を残す考え方も含めて、塞ぐ前に相談してください。

屋根へ登る道になる樹木・電線・雨どい

環境省の手引きは、アライグマは木登りが得意で、社寺では柱に爪を立てて登り、すき間から屋根裏に入る例があると述べています。農林水産省の資料は、ハクビシンが電線の上など空中の構造物を使って移動できること、テンが登る能力の高い動物であることを挙げています。屋根に近い枝や電線が建物に触れていないか、地上から見て記録すると、侵入口の候補を絞る助けになります。枝を切る作業や電線まわりの作業は、無理に自分で行わないでください。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

換気口・換気扇・配管・戸袋・床下の通風口|屋根以外の侵入口

屋根まわりより低い位置にも、侵入口は多くあります。農林水産省の資料は、床下の通風口からの侵入が最も多いとしています。東京都の読本は、換気扇、配管の貫通部、戸袋、基礎のすき間をネズミの侵入経路として並べています。部位ごとに、見るポイントを整理します。

床下の通風口・基礎のすき間

建築基準法施行令第22条は、木造の最下階の居室の床について、外壁の床下部分に壁の長さ5メートル以下ごと、面積300平方センチメートル以上の換気孔を設け、ねずみの侵入を防ぐ設備を付けると定めています。ただし、床下をコンクリートなどで覆う場合や、国土交通大臣の認定を受けた床の構造の場合は除かれます。条文の見出しは「居室の床の高さ及び防湿方法」で、換気孔は湿気を逃がす開口でもあります。東京都の読本も、通気口の格子が破損しているときは通気口全体に金網をかぶせ、格子の幅が1.25cm以上と広すぎるときは1cm位のものに取り替えると示しています。

換気扇・給湯器・配管の貫通部

東京都の読本は、防火ダンパーが油汚れで閉まらない換気扇は閉まるよう掃除し、取り付け部のすき間はパンチングパネルなどで塞ぐ例を挙げています。配管が壁を貫通する部分は、不燃性のパテやモルタルで埋めるとされ、電気配線が壁を貫通する部分は、危険なので電気工事の担当者に頼むよう注記されています。排気や吸気の通り道を塞ぐおそれがあるため、自分で詰め物をせず、写真で記録して相談するのが安全です。

戸袋・シャッターボックス

東京都の読本は、雨戸の戸袋のすき間を侵入経路に挙げ、戸袋の中のすき間に丸めた亀甲金網や金属たわしを詰める例を示しています。コウモリは1cm程のすき間で出入りできるとされます。コウモリが戸袋やシャッターボックスの周辺に出入りしているように見えるときは、出入りの時間を観察する段階では動かしたり、中を開けたりしないでください。

外壁のひび割れ・外壁材の下端

壁のひび割れや穴も、東京都の読本が侵入経路に挙げる場所で、不燃性のパテやモルタルで埋める例が示されています。サイディングなどの外壁は、裏面に空気の通り道をつくる外壁通気構法が採られていることがあり、メーカーの公式ページは、この通り道が湿気を放出して結露を防ぐと説明しています。外壁の下端のすき間を通気層ごと塞ぐと、通気を損ねるおそれがあるため、塞ぐ前に通気の取り方を相談してください。

参考:e-Gov法令検索|建築基準法施行令(第22条 居室の床の高さ及び防湿方法)

害獣が通れるすき間の大きさの目安|公的資料で確認できた動物だけ

「どのくらいのすき間があれば入れるのか」は、動物ごとに答えが違います。公的資料で数値が確認できる動物は限られます。下の表は、省庁や自治体の資料に書かれている数値だけを集めたもので、資料に数値がない動物は「確認できず」と書いています。

数値は目安であり、これより狭ければ安全という意味ではありません。農林水産省の資料には、小さな穴を動物が壊して広げ、侵入場所として使う例が載っています。塞ぐ材料についても、金属や板などの丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は壊される可能性があるため使わないとされています。見つけた穴やすき間は、大きさにかかわらず記録してください。

害獣が通れるすき間の大きさの目安|公的資料で確認できた動物だけ:確認項目
動物資料にある数値数値の文脈と読み方
コウモリ1cm程のすき間で出入りできる浜松市の案内。糞が落ちている場所が、侵入口を探す手がかりとされる
ネズミ(家ネズミ)通れる大きさの数値は確認できず。修繕では網目幅1cm以下の金網を使い、通気口の格子幅が1.25cm以上なら1cm位のものへ取り替える東京都の読本。塞ぐ材料や格子の目安であり、通れる限界の数値ではない
シベリアイタチ(チョウセンイタチ)3cm程の穴やすき間でも侵入する農林水産省の資料のコラム。体の小さい個体の例として示されている
テン体重約1kgの飼育オスが5cm角のワイヤーメッシュを通り抜けた。すき間は5cmより小さくするのがよい農林水産省の資料。飼育個体の観察に基づく例
ハクビシン6cm×12cmのすき間があれば侵入できる農林水産省の資料。夏は涼しい床下、気温が下がると暖かい天井裏を休憩場所に使うとされる
アライグマ家屋の穴の数値は確認できず。農地の電気柵の資料では、10cm以上の隙間があれば侵入できるとされる環境省の手引き。農作物用の柵についての記述で、家屋の穴にそのまま当てはめない
ドバト・スズメなどの鳥数値は確認できず農林水産省の資料は、スズメが屋根や壁のすき間に、ドバトがベランダなど雨のかからない所に巣を作ると説明している

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

地上・ベランダから確かめられる範囲と、高所で業者に任せる範囲

東京都の読本は、侵入口の修繕は材料が手近にあれば比較的簡単に行えるが、天井裏や高所などの危険な場所は専門業者に頼んだ方がよい場合もあると述べています。農林水産省の資料でも、一般の人が点検や封鎖を行うには建築の知識が必要で、見落としや事故のリスクがあるとされています。

厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、スレート屋根の上で雨漏りの修繕中に屋根を踏み抜き、約5mの高さから墜落した事例が載っています。天井裏の点検中に、暗がりで延長コードのコンセントへ手探りでプラグを差し込もうとし、破損して露出した充電部に触れて感電した事例や、高さ約47cmの狭い床下で電動ドリルが換気扇の配線に当たり感電したと推定される事例も公開されています。いずれも仕事として作業していた人の災害ですが、屋根、天井裏、床下に危険があることを示しています。

地上・ベランダから確かめられる範囲と、高所で業者に任せる範囲:確認項目
場所地上・ベランダ・室内から自分でできること業者に任せること
外壁・基礎・通風口の周り見える範囲の穴やひび、網の外れを写真に記録する。フンや足跡の位置をメモする床下に入っての確認、通風口の取り替え、基礎の補修
軒・屋根・瓦庭や道路から見上げて、軒の破損や瓦のずれを写真に記録する屋根に上がる点検、軒天や瓦の補修、高所作業
ベランダ・室外機・エアコン配管手すりや室外機の周りの巣材やフン、配管の周りのすき間を記録する配管まわりの補修、電気配線に近い部分の作業
室内(押入れ・天井・壁際)音の時間帯、天井のシミ、においの変化を記録する。天井裏には上がらない天井裏や床下に入る調査、断熱材や天井板の確認
戸袋・シャッターボックス出入りする時間帯を遠くから観察し、写真を撮る開けての確認、補修

参考:厚生労働省|職場のあんぜんサイト 労働災害事例(スレート屋根の踏み抜き・墜落、No.101379)

侵入口を塞ぐ前の注意|閉じ込め・通気・鳥獣保護管理法

侵入口が見つかっても、すぐには塞がないことが大切です。浜松市は、コウモリについて、家にいない時間帯を調べて塞ぐこと、取り残すと閉じ込めて死なせ、死体がにおいや害虫の発生源になることを注意しています。封鎖の順番や時期の考え方は、害獣の侵入口はいつ塞ぐのかで詳しく扱っています。

閉じ込めと幼獣を避ける

閉じ込めを避けるために、塞ぐ前に次の点を確かめます。農林水産省の資料も、塞ぐ前に中に居ないことを確認することを求めています。

  • 中から音や気配がある間は塞がない
  • 動物が外に出ている時間帯を、観察の記録から判断する
  • 幼獣のいる季節や、卵やヒナの気配がある間は特に避け、迷うときは相談する

換気や通気を止めない

床下換気孔、軒天、外壁通気層は、湿気を逃がす役目を持つ開口です。侵入を防ぐことと、空気の通り道を残すことは両立させる必要があります。穴を板で全部塞ぐ前に、網や格子に直す方法を相談してください。

捕獲や卵・ヒナの扱いは自分で決めない

環境省の資料によると、野生の鳥獣は鳥類の卵を含めて、狩猟による場合を除き、原則として捕獲、殺傷、採取が禁止されています。捕獲の許可は、国指定鳥獣保護区内などを除き都道府県知事が出し、多くの都道府県では一部が市町村長に移されています。ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は法の対象外ですが、ほかのネズミやコウモリ、イタチ、ハクビシン、鳥は対象です。塞ぐ作業が結果として動物を閉じ込めたり、巣の卵やヒナを損なったりしないよう、手順を決める前に自治体の窓口か業者に相談してください。

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている

部位別・動物別の詳しい記事への案内

このページは、家の部位から侵入口を探すための入口です。見つかった場所が決まっているときは、次の記事で、確認と相談の準備を深く扱っています。自分でどこまで対応できるかは害獣駆除を自分でする前に確認する、許可なしでできる作業と業者に任せる境目にまとめています。