タヌキ駆除は市役所・保健所に頼める?自治体の対応は3つの型に分かれる

結論から言うと、タヌキの駆除を市役所や保健所に頼めるかは、自治体ごとに違います。公式ページを見ると、市が捕獲や駆除を行わず専門業者を案内する型、市や区が捕獲許可の窓口になり個人の捕獲を支える型、わなの貸出や費用の補助で支える型に分かれます。宮崎市のように、保健所の動物愛護センターは犬や猫を担当し、野生動物は農政の担当課が受ける例もあります。

同じ「市役所に相談」でも、窓口の課が違うことがあります。環境課、農政課、林業担当、区役所の区民生活課など、お住まいの自治体の公式ページに「鳥獣」や「野生動物」の案内があるかを先に見てください。ハクビシンを含めた自治体の対応の型は、ハクビシン駆除は市役所・区役所に頼める?でも比べています。

タヌキ駆除は市役所・保健所に頼める?自治体の対応は3つの型に分かれる:確認項目
自治体(確認日:2026年10月3日)掲載されている対応窓口の表示
市川市(2025年10月27日更新)市ではタヌキの捕獲や駆除を行っていない。対策をしても被害が出る場合は、県の許可を得た専門業者への依頼を検討するよう案内。業者が加入する組合も紹介し、相談は無料、現地調査や駆除は有料と掲載環境部自然環境課
京都市(令和8年4月改訂のQ&A)イタチ・タヌキ・コウモリは、行政機関による捕獲や駆除を行っておらず、自身での対処をお願いするとしている。難しい場合は業者へ(費用は自己負担)Q&Aに関係機関の電話番号一覧を掲載
長野市(2026年8月4日更新)狩猟免許がなくても、要件を満たせば被害者本人がタヌキなど小型鳥獣の捕獲許可を申請できる。申請手数料は無料。市は捕殺や処分を行わない農林部森林いのしか対策課
仙台市青葉区(2025年2月3日更新)区役所などから有害鳥獣捕獲許可を受けた個人に、ハクビシン・タヌキ用の箱わなを無料で貸付。設置場所の使用承諾が必要青葉区役所区民生活課、宮城総合支所まちづくり推進課
山形市(令和8年7月31日更新)タヌキ・ハクビシンの捕獲を有害鳥獣駆除業者に依頼する経費の2分の1(上限1万5千円)を補助。令和8年度は上限に達して受付終了環境部鳥獣被害対策課
宮崎市(ページ表示の日付:2026年4月1日)サル・シカ・イノシシ・カラス・ハト・タヌキなどの野生動物の相談は、農政部森林水産課へと案内(掲載ページの問い合わせ先は保健所の動物愛護センター)農政部森林水産課

参考:市川市|タヌキについてのご案内です

読者の疑問

タヌキ駆除は保健所に頼めますか?

比較ガイド

宮崎市は、保健所の動物愛護センターのページで、犬や猫以外の野生動物(タヌキなど)の相談先を農政部森林水産課と案内しています。自治体によって窓口は違うため、まずお住まいの市区町村の鳥獣担当(環境課、農政課、林業担当など)に電話で確認してください。

タヌキ駆除の法律|鳥獣保護管理法では原則許可が必要

タヌキの駆除に関する法律は、鳥獣保護管理法が中心です。タヌキは日本に古くからいる在来種で、環境省の特定外来生物の一覧には入っていません。そのため、外来生物法ではなく、鳥獣保護管理法の枠で捕獲を考えます。

原則禁止と、許可・狩猟の例外

環境省は、鳥獣保護管理法で、鳥獣や鳥類の卵は、狩猟として捕獲する場合を除いて、原則として捕獲、殺傷、採取が禁止されていると案内しています。ただし、生態系や農林水産業に被害が出ているときや、学術研究の必要性が認められるときは、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できます。多くの都道府県では、許可の権限の一部を市町村長に移しています。

タヌキは、鳥獣保護管理法施行規則が定める狩猟鳥獣46種のうちの1つです。狩猟として捕獲するには、わな猟免許の取得と、毎年度猟期前の都道府県への登録が必要で、できるのは法令で定められた猟期と猟法に限られます。北海道以外の猟期は11月15日から翌年2月15日で、都道府県によっては、捕獲が禁止されていたり、捕獲数が制限されていたりします。

許可捕獲(被害防止のための捕獲)

狩猟以外で、被害を防ぐために捕獲する場合は、許可を受けて行います。環境省の整理では、許可捕獲は許可された期間なら年中いつでも可能で、方法は問わない一方、危険猟法などには制限があります。申請先は都道府県知事等で、許可の基準は都道府県が定める鳥獣保護管理事業計画に書かれているため、詳細は都道府県の担当部局に確認するよう案内されています。

毒餌と罰則

環境省は、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法を、人の身体や生命への危険を防ぐために禁止された危険猟法としています。殺鼠剤などの毒餌を、タヌキに使うことはできません。

罰則は、e-Govの条文に定められています。許可を受けずに、狩猟期間外に狩猟鳥獣の捕獲等をした場合などについて、第83条に「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」とあります。2025年6月施行の改正刑法で「懲役」は「拘禁刑」に一本化されたため、古い案内に「懲役」と書かれていても、現在の条文では拘禁刑です。

タヌキ駆除の法律|鳥獣保護管理法では原則許可が必要:確認項目
項目狩猟許可捕獲
何をする行為か狩猟期間に、法定猟法で狩猟鳥獣を捕獲等する法で定める目的(被害防止、個体数調整など)で許可を受けて捕獲等する
手続き狩猟免許の取得と、毎年度猟期前の登録許可申請(申請先は都道府県知事等)
捕獲できる時期法令で定められた狩猟期間中許可された期間(年中可能)
方法法定猟法(網猟、わな猟、銃猟)方法は問わない(危険猟法等は制限あり)
対象の鳥獣狩猟鳥獣46種(タヌキを含む)狩猟鳥獣以外も含む

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

アライグマ・アナグマとの違い|タヌキは外来種防除の対象ではない

アライグマは特定外来生物に指定され、外来生物法に基づく防除が行われています。環境省の手引きによると、アライグマの捕獲には、外来生物法の防除実施計画に基づく方法と、鳥獣保護管理法の許可捕獲の2通りがあり、どちらも狩猟免許をもたない一般市民を捕獲従事者にできます。タヌキは外来生物法の対象ではないため、アライグマ向けの防除実施計画を使ってタヌキを捕獲することはできません。

自治体の対応が違うのは、このためです。たとえば京都市は、アライグマやヌートリアは外来生物法に基づいて市が捕獲する一方、イタチ・タヌキ・コウモリは行政機関による捕獲や駆除をしていないと、同じQ&Aの中で書き分けています。見かけた動物がアライグマか、タヌキかで、役所の対応が変わる可能性があるわけです。

環境省の手引きは、アライグマと取り違えやすい動物としてタヌキ、アナグマ、ハクビシンを挙げ、尾の縞、足跡、耳の形などの見分けを整理しています。窓口へは「タヌキらしい動物」と伝えるだけでなく、尾に縞があるか、足跡の指が4本か5本かなどを添えると、手続きの入り口を間違えにくくなります。比べ方は、アライグマとタヌキの違いと、アナグマとタヌキの見分け方にあります。

アライグマ・アナグマとの違い|タヌキは外来種防除の対象ではない:確認項目
見かけた動物制度上の扱い窓口で変わりやすい点
タヌキ鳥獣保護管理法の対象(狩猟鳥獣)。特定外来生物ではない捕獲は許可か狩猟が必要。市が捕獲を行わない自治体もある
アライグマ特定外来生物。外来生物法に基づく防除の対象で、鳥獣保護管理法の許可捕獲も使える自治体が防除実施計画で、檻の設置や貸出を行う例がある(京都市など)
アナグマ鳥獣保護管理法の対象で、狩猟鳥獣46種に含まれる。特定外来生物ではないタヌキと同じく、捕獲には許可か狩猟が必要。まず動物の取り違えがないかを確認する

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

アライグマ用の箱わなにタヌキがかかったとき

アライグマを捕獲する目的で設置した箱わなに、ハクビシンやタヌキなどの別の動物が掛かることは、よくあるとされています。環境省の手引きは、こうした場合、直ちに放逐すれば捕獲に関する許可は不要で、殺処分などをする場合には、掛かった種に対する鳥獣保護管理法の許可が必要になると説明しています。

許可を受けて捕獲する場合も、考え方は同じです。長野市の、狩猟免許をもたない人向けの案内には、許可を受けた鳥獣以外の鳥獣を捕獲した場合は速やかに放すこと、わなを設置したら1日1回以上見回ることが、注意事項として書かれています。環境省の手引きも、わなの形状や設置場所に気を付けて防除対象以外の鳥獣の錯誤捕獲を防ぐこと、定期的に巡視することを求めています。

借りた箱わなや、自治体から設置してもらった箱わなにタヌキが掛かっていたときは、近づいて開けようとせず、設置者や貸出元の窓口に連絡して指示に従ってください。野生動物は噛みつくことがあり、放す作業にはけがや感染症の危険があります。放す場所や方法も、設置者や自治体の指示に従います。

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

タヌキの捕獲許可の申請先と、認められる条件

許可の申請先は、環境省の整理では都道府県知事等で、多くの都道府県で一部が市町村長に移されているため、実際の窓口は市区町村の場合も都道府県の場合もあります。条件は、捕獲の目的ごとに、鳥獣の種類、員数、期間、区域、方法などの要件が決められています。

例として、長野市は、タヌキやハクビシンなどが農業被害や生活環境への騒音などの影響を及ぼし、被害防除策が必ずしも十分に効果を発揮しないとき、一定の要件を満たせば、狩猟免許がなくても許可を得て捕獲できるとしています。捕獲できる範囲は、塀や囲いのある住宅などの建物敷地内とビニールハウスで、住宅敷地外の自家用菜園は対象外です。許可の期間は1〜6か月の範囲で、申請から許可証の交付まで1週間程度かかります。

他の自治体では条件が違います。許可を受けた個人に箱わなを貸す例(仙台市青葉区)や、駆除業者に依頼する費用を補助する例(山形市)もあります。長野市の詳細は、長野市のハクビシン・タヌキ捕獲の記事でも読めます。

タヌキの捕獲許可の申請先と、認められる条件:確認項目
項目長野市の掲載内容(2026年10月3日確認、狩猟免許をもたない場合)
捕獲できる鳥獣ハクビシン、タヌキ、アライグマ、ドバト、カラスなど
捕獲できる範囲塀や囲いのある住宅などの建物敷地内、ビニールハウス。住宅敷地外の自家用菜園は不可
必要な書類捕獲許可申請書、被害区域と捕獲予定区域の図、使うわなの構造が分かる資料、表明・確約書(長野県猟友会員以外は必要)。申請手数料は無料
許可の期間年間を通じて可能だが、1〜6か月の範囲
許可後の義務わなは1日1回以上見回る。許可を受けた鳥獣以外は速やかに放す。許可証を返納し、捕獲頭数を報告する
処分捕殺、地中埋設、焼却ができない場合は許可にならない。市は捕殺や処分を行わない

参考:長野市|野生鳥獣に関するご案内(小型鳥獣の捕獲許可)

許可がいらない対策|床下の封鎖・餌の管理・畑の柵

捕獲の許可を考える前に、許可のいらない対策を先に行います。農林水産省の中型獣類編は、被害を減らす基本は「食べさせない」「安心できない」環境づくりで、捕獲は重要だが優先順位は低くなるとしています。

床下・基礎の封鎖

タヌキは建物の床下を休息場所にするため、床下通風口などの侵入口を金属や板など丈夫な資材で塞ぐこと、塞ぐ前に中に動物がいないことを確認することが挙げられています。樹脂ネットや薄い合板は壊される可能性があるため使わないとされています。

畑や菜園の柵

畑や菜園では、タヌキは掘る、破くことを優先し、登ることは得意でないため、物理柵は裾を固定することが重要です。目合いを5cm以下、高さを1m以上にし、裾は長めにして埋めるか、鉄筋やパイプを巻き込んで持ち上がらないようにするとされています。

餌の管理と忌避剤

市の案内にも同じ内容があります。市川市は、換気口や屋根、床下のすき間の確認、フンの早めの処理、生ごみ、ペットフード、果実の取り残しを放置しないことを挙げています。新潟市や鈴鹿市は、煙の出る殺虫剤や忌避剤も案内していますが、薬剤は製品の表示に従ってください。封鎖の考え方は、ハクビシン駆除を自分でする範囲とも重なります。

許可がいらない対策|床下の封鎖・餌の管理・畑の柵:確認項目
対策許可の要否ポイント(公的資料の記載)
床下通風口・基礎のすき間の封鎖不要金属や板など丈夫な資材を使い、塞ぐ前に中に動物がいないかを確認する(農林水産省)
餌になる物の管理不要ペットフード、生ごみ、果実の取り残しを屋外に置かない(市川市)
畑の柵不要裾を埋めるか固定する。目合い5cm以下、高さ1m以上(農林水産省)
忌避剤・煙の出る殺虫剤不要(製品の表示に従う)日が経つと効果が低下するとされる(市川市)。侵入口は追い出したあとに塞ぐ(新潟市)
箱わななどでの捕獲許可または狩猟免許が必要自治体の窓口に相談してから。毒餌は使えない(環境省)

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

役所が対応しないときの現実的な選択肢|業者・補助・管理会社

市が捕獲や駆除をしない場合、選べるのは主に三つです。一つ目は、県などの許可を得た専門業者に、調査と捕獲、侵入口の封鎖を依頼すること。二つ目は、自治体に捕獲許可を申請して、自分で、または許可を得た人に頼んで行うこと。三つ目は、賃貸なら管理会社やオーナーに連絡して、建物側の修繕を依頼することです。

費用については、独自の相場は示しません。確認できた範囲では、山形市が、タヌキ・ハクビシンの捕獲を駆除業者に依頼する経費の2分の1(上限1万5千円)を補助する制度を掲載していますが、令和8年度は上限に達して受付を終了していました(2026年7月31日更新)。補助が使える自治体でも、交付決定の前に実施したものは対象外とされています。市川市は、相談は無料でも、現地調査や駆除などの費用は有料だと案内しています。

業者に見積もりを頼むときは、金額の大小より、何が含まれるかを確認します。捕獲の許可を誰が取るのか、侵入口の封鎖や清掃・消毒が含まれるか、再発したときの対応はどうなるか、書面で見積もりが出るかを確認してください。鈴鹿市は、侵入口を塞ぐ場合に糞尿が堆積していれば清掃や消毒が必要になることがあるとして、専門業者への相談を案内しています。ハクビシン駆除業者の選び方の確認項目も、タヌキの場合に応用できます。タヌキ・アナグマに絞った許可と作業範囲の確認点は、タヌキ・アナグマの駆除を業者に頼むときの確認点にまとめています。

参考:山形市|タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業について

相談時に伝える情報|役所・保健所・業者に共通の項目

窓口へ電話する前に、次の表の内容を整理しておくと、窓口が「許可の対象か」「市の事業の対象か」を判断しやすくなります。賃貸や集合住宅では、先に管理会社や管理組合へ伝え、建物側の修繕を相談してください。

相談時に伝える情報|役所・保健所・業者に共通の項目:確認項目
伝える項目内容の例手続きで役立つ点
被害の場所庭、畑、床下、物置、天井裏。持ち家か賃貸か許可の区域や、管理会社への連絡が必要かが決まる
見た動物の特徴尾の縞の有無、顔の模様、足跡の指の数、フンの場所。写真があれば添えるアライグマ・アナグマとの取り違えを防ぎ、窓口を間違えにくくなる
被害の内容と期間フン、食害、物音、においなど。いつから、どの時間帯か許可の理由となる被害の程度の説明になる
すでに行った対策餌の片づけ、封鎖、柵、忌避剤の使用(製品名と場所)防除策が十分に効果を発揮しないことの説明になる
わなを置きたい場所自分の土地か。囲いがあるか。承諾が必要な隣地や管理者がいるか囲いのある土地や作物のある土地では、土地の占有者の承諾が必要(鳥獣保護管理法第17条)

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律