毛が抜けて痩せたタヌキは疥癬?自治体が説明している原因

新潟市は、毛の抜けたタヌキの目撃情報が毎年一定数寄せられていると案内し、こうしたタヌキは疥癬症に感染している可能性が高いとしています。疥癬症は、ヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生して起こる皮膚病で、福井市も、毛の抜けたタヌキはこの病気にかかったタヌキだと説明しています。

かかった個体は免疫力が落ち、数週間ほどで衰弱して死んでしまうことが多いと、新潟市、市川市、大分市は説明しています。ただし、周りに餌があると延命して住宅地を歩き回ることがあり、人の暮らしの近くで目に付きやすくなります。大分市は、自然界では疥癬症に感染しているタヌキは多く見られるとも案内しています。

書き方は自治体によって違い、新潟市と市川市は「可能性が高い」とし、大分市、中津市、福井市は疥癬症にかかっていると書いています。いずれも獣医師の診断ではなく、見た目に基づく案内です。毛が抜けて体の模様が分かりにくいときは、アライグマとの取り違えも考えられるため、アライグマとタヌキの違いも確認してください。

毛が抜けて痩せたタヌキは疥癬?自治体が説明している原因:確認項目
見かけた様子自治体の説明まずすること
毛が抜けて皮膚がむき出しになっている疥癬症に感染している可能性が高い(新潟市、市川市)近づかない、触らない、餌を与えない
痩せて住宅地を歩き回っている身近な餌を求めて徘徊する(大分市)。周りに餌があると延命する(新潟市)ペットのえさ、残飯、収穫しない果樹、野菜の残さを片づける
自宅の玄関先や駐車場で衰弱し、動けない必要に応じて保護対応を行うので相談するよう案内(新潟市)触らずに離れ、市区町村の窓口へ連絡する

参考:新潟市|タヌキによる生活環境被害

読者の疑問

毛が抜けたタヌキは疥癬ですか?

比較ガイド

新潟市や市川市は、毛の抜けたタヌキは疥癬症に感染している可能性が高いと案内しています。見た目だけで確定できるものではなく、診断は専門家の判断になります。どちらの場合も、近づかず、触らず、餌を与えないという対応は変わりません。

触らない・餌を与えない・捕まえない理由

確認した自治体の案内は、触らない、餌を与えない、捕まえようとしない、の3点で共通しています。それぞれの理由を、自治体の説明から整理します。人への影響の書き方は自治体で違うため、表で並べたうえで、共通して勧められる対応を最後に挙げます。

触らない理由|ダニと反撃

福井市は、疥癬症にかかったタヌキは衰弱していることが多いものの、不用意に触るとダニが移って人間も発症する場合があり、弱っていても防衛のために反撃してくるので危険だと案内しています。大分県も、タヌキやアナグマのように鋭い牙や爪をもつ動物は安全に保護することが困難で、弱っていても絶対に近づかないよう求めています。県内で野生動物を保護しようとして手を噛まれたことが一因とされる死亡事案があったとも記載しています。

厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックも、野生動物がどのような病原体を保有しているかは分からないため、安易に触らないよう呼びかけています。

餌を与えない理由|延命と接触の増加

福井市は、見かけたタヌキに餌をやると、散らばって暮らしていたタヌキが一か所に集まり、タヌキ同士が接触する機会が増えて、疥癬症の流行を助長すると説明しています。中津市も、餌をあげると延命して他の動物に感染が広がるとしています。かわいそうに見えても、餌を与えないのが自治体に共通した案内です。

捕まえて飼わない・保護しようとしない理由

野生の鳥獣は、許可なく捕まえたり飼ったりすることが法律で禁止されています。和歌山県は、善意で保護した場合でも、個人が許可なく飼育することはできず、罰則を受ける場合もあると案内しています。群馬県も、許可なく捕まえたり飼ったりして保護することは法律で禁止されていると記載しています。

触らない・餌を与えない・捕まえない理由:確認項目
自治体人への影響についての記載ページの更新日の表示
福井市不用意に触るとダニが移り、人間も発症する場合がある2022年4月21日
新潟市人に感染した場合、一時的なかゆみや発疹が出ると言われている。まず寄せ付けず、むやみに近づかない2022年5月24日
大分市タヌキに感染しているヒゼンダニが人に感染する可能性は極めて低いが、犬には感染する可能性がある更新日の表示なし(PDF資料)
中津市日常生活で人に感染する可能性は極めて低い。犬や猫は接触で感染する恐れがある2022年7月5日
  • 素手で触らない(福井市、大分市、新潟市)
  • 触れたかもしれないときは手を洗い、かゆみや発疹が出たら、触れた状況を伝えて医療機関に相談する
  • 餌を与えない(福井市、中津市、大分市)

参考:福井市|福井市で目撃される小動物について

飼い犬・飼い猫への配慮|放し飼いを避け、症状が出たら動物病院へ

市川市、新潟市、中津市は、犬や猫が疥癬症のタヌキと接触すると感染する恐れがあるとして、屋外で飼うときは注意するよう案内しています。大分市は、犬に感染する可能性がある一方、飼い猫が野外でタヌキから感染する可能性は少ないようだが、タヌキに限らず野生動物との接触で他の病気に感染する恐れがあるため、屋内飼育を勧めるとしています。

ペットに関する自治体の案内をまとめると、放し飼いをしない、屋外にペットのえさを置きっぱなしにしない、タヌキに近づけない、の3点です。脱毛やかゆみなど、ペットに普段と違う様子が出たときは、タヌキとの接触の心当たりを添えて動物病院に相談してください。診断や治療は獣医師の判断になります。

  • 犬の散歩中に毛の抜けた動物を見かけたら、リードを短く持って距離を取り、引き返す
  • 屋外に置くペットフードは、食べ終わったらすぐ片づける(市川市、大分市、中津市)
  • 犬や猫を放し飼いにしない(大分市、中津市)
  • 脱毛やかゆみなどの様子があれば、タヌキとの接触の心当たりを伝えて動物病院へ

参考:大分市|疥癬症のタヌキについて(PDF)

自治体の対応の違い|保護しない方針の例と連絡先(2026年10月3日時点の掲載)

毛が抜けて弱ったタヌキを見つけたとき、保護してもらえるかは自治体で大きく違います。いくつかの県は、傷病鳥獣の救護を人が原因のけがなどに絞り、農林業や生活に被害を与える動物や、疥癬などの感染症が疑われる動物を救護の対象から外しています。

表のとおり、救護や回収の方針は一致していません。お住まいの市区町村のページに「疥癬」や「毛の抜けたタヌキ」の案内があるかを見て、なければ鳥獣の担当課(環境課、農政課、林業担当など)に電話で確認するのが近道です。連絡のときに伝える整理の仕方は、タヌキが庭に来るときの相談の整理も参考になります。

自治体の対応の違い|保護しない方針の例と連絡先(2026年10月3日時点の掲載):確認項目
自治体掲載されている方針連絡先の表示
群馬県(2026年6月16日更新)傷病鳥獣は原則見守り。タヌキは深刻な被害を与える鳥獣として、疥癬などの疾患・感染症の疑いがある鳥獣とともに、救護の対象外自然環境課(027-226-2874)。休日・夜間は対応不可と掲載
和歌山県自然界で傷ついた野生鳥獣の救護は原則行わない。疥癬にかかったタヌキなど感染症の疑いがある鳥獣は、救護の対象外最寄りの県振興局
京都府(令和8年4月から救護体制が変更)タヌキ・ハクビシン・アナグマなどを、救護の対象から除く所管市町村ごとの振興局等
大分県(2022年3月29日更新)人が原因で傷ついた鳥獣を保護の対象とする。タヌキ・アナグマは安全に保護することが困難で、弱っていても近づかないよう案内保護した場所の市町村ごとの受付窓口
新潟市基本は触れず見守る。自宅敷地内(玄関先や駐車場など)で衰弱し動けない場合は、必要に応じて保護対応を行うので相談最寄りの区役所
中津市農作物や生活環境への被害があるためタヌキを有害鳥獣と位置づけており、保護は行わない林業水産課(0979-62-9050)
東京都(世田谷区のQ&A)疥癬に罹患した野生動物の回収は東京都が行うと掲載。野生動物には直接触らないよう案内東京都環境局 自然環境部 計画課 鳥獣保護管理担当(03-5388-3505)

参考:群馬県|傷病鳥獣の取り扱いについて

庭や床下に居着いたときの対処|餌・追い払い・侵入口・死んでいたとき

庭や敷地に毛の抜けたタヌキが居着いたときは、餌と隠れ場所を減らすことが中心になります。捕獲が必要かどうかは、タヌキ駆除は市役所・保健所に頼める?で、許可の仕組みと自治体の対応を整理しています。床下や物置に入り込まれて業者へ相談するときに確かめたい許可と作業範囲は、タヌキ・アナグマの駆除を業者に頼むときの確認点にまとめています。

餌と隠れ場所を減らす

大分市、新潟市、市川市は、ペットのえさ、残飯、収穫しない果樹、農作物の残さを屋外に置かないよう案内しています。餌があると延命して住宅地を歩き回るため、餌を減らすことが、居着きを防ぐ対策の中心です。

大分市は、自宅の敷地に入ってきたときの対処として、近づかずにホースやバケツで水をかけて追い払う方法を挙げ、住宅地は餌場ではなく、安全な場所でもないと野生動物に認識させるためだと説明しています。夜になると寝床に戻ることがあるため、しばらく見守る、とも書かれています。弱って動けない個体を刺激する方法は適さないことがあるため、距離を保ち、迷うときは窓口に確認してください。

床下や物置に入り込んだとき

新潟市は、床下に居座られた場合、無許可の捕獲は違法なので、煙の出るタイプの殺虫剤で追い払い、侵入口を塞ぐ方法を挙げています。薬剤を使う場合は、製品の表示に従ってください。農林水産省の中型獣類編は、侵入口を塞ぐ前に、中に動物がいないことを確認するよう注意しています。毛が抜けて弱った個体が床下で動けないときや、子がいる可能性があるときは、追い出しや封鎖を急がず、窓口か調査を行う業者に相談します。

死んでいたとき

中津市は、自宅の敷地内で死んでいる場合は自分で対応する必要があり、疥癬症の個体を処分するときは、素手で触れず、ゴム手袋とマスクを着けてごみ袋に入れて密封し、段ボールに入れて市のクリーンプラザに持ち込み、処理後は手洗い、うがい、消毒をするよう案内しています。

和歌山県は、畑など埋められる場所があれば埋め、そうでなければ燃えるごみとして出す、素手で触れない、公園や道路で見つけたときは管理者に連絡する、と案内しています。処理の方法は自治体で違うため、お住まいの市区町村に確認してください。

庭や床下に居着いたときの対処|餌・追い払い・侵入口・死んでいたとき:確認項目
場面自治体の案内にある対応避けること
道路・公園で見かけた近づかず、触れず、そのまま見守る(新潟市、市川市)餌を与える、捕まえようとする
自宅の庭・駐車場に入った餌になる物を片づけ、距離を保って様子を見る。追い払う場合も近づかずに行う(大分市)素手で触る、箱や網で捕まえる
床下・物置にいる追い出したあとで侵入口を塞ぐ(新潟市)。塞ぐ前に中にいないことを確認する(農林水産省)許可なくわなを置く、床下に入って確認する
死んでいた手袋とマスクで素手を避け、自治体の案内に従って処理する(中津市、和歌山県)素手で触る、道路や公園の個体を自分で動かす

参考:中津市|毛の抜けたタヌキに注意してください

自治体へ連絡するときに伝えること|場所・様子・ペットの有無

連絡の前に、次の内容をメモしておくと、担当課が対応を判断しやすくなります。写真は、近づかずに離れた場所から撮ってください。

電話をかける先は、市区町村の鳥獣担当課(環境課、農政課、林業担当など)か、県の自然環境担当課が目安です。窓口によっては休日や夜間に対応しないことがあり、群馬県は休日と夜間は対応できないと掲載しています。平日の開庁時間に連絡してください。

  • 見かけた日時と場所(庭、駐車場、床下、道路など)
  • 毛の抜け方と、動けるか動けないか
  • 同じ個体が何日続けて来ているか
  • 敷地内に餌になる物があるか、飼い犬・飼い猫がいるか
  • 触れてしまった場合は、その状況

参考:群馬県|傷病鳥獣の取り扱いについて