ムクドリの駆除は市役所に頼める?「できない」と言われる理由

環境省は、鳥獣と鳥類の卵の捕獲、殺傷、採取は、狩猟による場合を除いて、原則として鳥獣保護管理法で禁止されていると説明しています。例外として、生態系や農林水産業などに被害が生じている場合は、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できます。多くの都道府県は、許可の権限の一部を市町村長に移しており、許可の基準は都道府県の鳥獣保護管理事業計画に定められています。

千葉市は、被害が現に生じているか、そのおそれがあり、被害を防げないと認められる場合に限って、県知事の許可を得て捕獲できると案内しています。長野市も、ムクドリは鳥獣保護管理法で保護されている野鳥で、許可なく捕獲したり傷つけたりしてはならないとしています。「駆除できない」と言われる主な理由は、この許可制にあります。

許可があっても、市街地では難しい面があります。千葉市は、ムクドリの被害がある場所は繁華街や住宅地が多く、猟銃の使用やネットでの捕獲は困難だと説明しています。農研機構は、ムクドリが狩猟鳥であり、2016年に有害鳥獣駆除で約18,000羽、狩猟で約2,200羽が捕獲されたとしたうえで、果樹園などでの捕獲は個体数を抑える効果が少なく、威嚇による防除の補助になっていると述べています。

ムクドリの駆除は市役所に頼める?「できない」と言われる理由:確認項目
立場できること(資料の範囲)条件・注意
個人・店舗(許可なし)追い払い、フンの清掃、集まる場所の環境の見直し捕獲や傷つける行為は禁止(長野市)
自治体管理する施設の対策、相談の受付、許可の案内許可の窓口は都道府県。権限を市町村へ移している地域もある(環境省)
許可を受けた者(業者など)許可された期間・区域・方法の範囲で、捕獲や卵の採取都道府県知事等の許可が必要(環境省)
狩猟者狩猟期間に、法定の猟法で捕獲(ムクドリは1994年から狩猟鳥)狩猟免許と登録が必要。住宅地では困難(千葉市)

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

ムクドリは駆除できないのですか?

比較ガイド

ムクドリは鳥獣保護管理法の対象で、狩猟による場合を除き、捕獲は原則禁止です。被害があり防げない場合に限り、都道府県知事等の許可を得て捕獲できます。許可のない個人が自分で捕まえたり傷つけたりすることはできません。

市役所ができること・できないこと:自治体の対策事例

自治体の対応は、管理する施設の対策と、住民への案内に分かれます。次の表は、3市の公式ページに書かれていた内容の要約です。確認日はいずれも2026年10月3日で、「ページの更新日」はページ上の表示です。他の市区町村の対応は、同じとは限りません。

民有地の捕獲や業者の紹介は、自治体で扱いが違う

千葉市は、民有地や民間施設の被害の相談窓口を環境保全課とし、捕獲を希望する場合は県の許可を得るか、専門の駆除業者に頼むよう案内しています。業者に心当たりがない人には、千葉県害虫防除協同組合を紹介しています。市が民有地でムクドリを捕獲する、とは書かれていません。

東京都の検討資料に載る、千葉県への聞き取りでは、ムクドリは市町村で対応し、私有地では罠の免許を持つ市町村の職員や業者が罠で捕獲することがある一方、大きなねぐらは捕獲が難しいため、公園や道路の管理者が剪定や電線へのとまり対策などを行っているとされています。同じ資料で、大阪府は特定の業者を紹介できないため、ペストコントロール協会を案内するとしています。自治体の役割は、地域で差があります。

市役所ができること・できないこと:自治体の対策事例:確認項目
自治体公式ページに書かれた対応課題として書かれていることページの更新日
千葉市音声をスピーカーで群れやねぐらに流す。ねぐらの樹木の剪定、またはネットで覆う。市有施設や街路樹のねぐらは各施設の管理者へ。「汚れた場所の清掃」が現在できる限りの策音は長期に及ぶと慣れて効果がなくなることがある。剪定やネットは近くの樹木や人工物へ群れが移ることがある。全国的にも抜本的な解決策が見つかっていない2026年6月26日
我孫子市駅前で猛禽類による追い払いを実施し、飛来の確認次第おこなう。飛来が多い6月下旬から12月上旬は街路樹の網掛けと剪定飛来を完全になくすのは難しい。数週間は飛来がなくなるなど一定の効果2023年4月1日
長野市市民に、集団が小さいうちに手を叩く、笛を吹くなどの音と、懐中電灯などの光で追い払うよう協力を依頼。いろいろな方法を交ぜて複数日連続で行うと効果があるとする一度大群で定着すると追い払いが難しくなる。許可なく捕獲したり傷つけたりしてはならない2026年8月19日

参考:千葉市|野生動物による生活上の被害対策(ムクドリ)

ムクドリ対策の場所別の相談先:街路樹・駅前・電線・公園・私有地

ムクドリが集まる場所の管理者によって、最初に連絡する先が変わります。千葉市の連絡先一覧は、河川、下水道、学校、公園、道路施設(街路樹、駅前広場など)、民有地や施設といった種類ごとに、担当する課が異なることを示しています。他の市でも、「その木や施設を管理しているのは誰か」から調べると、窓口にたどり着きやすくなります。

電線や電柱に集まるとき

電線は、建物や木とは別の管理者の設備です。個人が登ったり、物をかけたりすると危険です。東京都の資料にある八王子市の例は、市が街路樹の剪定や植え替えをしながら、電線については電力会社に相談してテグスを張ってもらった、というものです。集まる場所の写真と日時、電柱の番号がわかれば、連絡先でも説明しやすくなります。

夕方に集まる様子を記録してから連絡する

何時に、どの木や電線に、どのくらい集まり、どこで被害が出るかを、短くまとめてから連絡すると、管理者が現地を確認しやすくなります。記録の取り方は、ムクドリが夕方に集まるときの記録と相談方法で具体例を確認できます。

ムクドリ対策の場所別の相談先:街路樹・駅前・電線・公園・私有地:確認項目
ムクドリが集まる場所最初に連絡する先資料の根拠・補足
街路樹・駅前広場の樹木道路を管理する部署(千葉市は土木事務所)千葉市の一覧で、道路施設(街路樹、駅前広場など)は土木事務所。千葉県の聞き取りでは、道路の管理者が剪定などを行うとされる
公園・市民緑地の樹木公園の管理者(千葉市は公園緑地事務所、公園管理課)千葉市の連絡先一覧
学校・保育所・公共施設各施設の管理者(千葉市は学校施設課、幼保指導課、各施設管理者)千葉市の連絡先一覧
電線・電柱電線を管理する電力会社や通信会社東京都の資料で、八王子市は電力会社に相談し、電線にテグスを張ってもらった例。千葉県では、公園や道路の管理者が電線へのとまり対策を行うとされる
私有地(庭木・屋根・戸袋・店舗)所有者・管理者が対応。相談窓口は自治体の環境担当(千葉市は環境保全課)千葉市は、民有地又は施設の窓口を環境保全課とし、許可は県の自然保護課
農作物農業の担当課(千葉市は農業経営支援課)千葉市の連絡先一覧

参考:千葉市|野生動物による生活上の被害対策(ムクドリ)

ムクドリが集まる私有地(庭木・戸袋・店舗)で業者に頼む範囲

私有地の被害は、所有者や管理者が対応するのが基本です。東京都の資料で、大阪府は、私有地の卵の手捕りを、個人が行うか、個人が自費で業者に依頼する形だと説明しています。名古屋市は、民家の敷地内のムクドリを、被害の程度にかかわらず生活環境被害として扱い、捕獲許可を出していますが、ほとんどの相談者はヒナが巣立つまで待つとされています。地域によって、許可の運用が違います。

業者に頼める作業は、巣のある戸袋や屋根裏の封鎖、防鳥ネットの設置、庭木の剪定、フンの清掃などです。捕獲を伴う作業は、都道府県の許可が必要です。卵やヒナがいる巣は、撤去や封鎖の前に許可の確認が必要です。千葉市は、ハトがベランダに巣を作った場合について、巣の中に卵やヒナがいなければ撤去でき、いる場合は県からの捕獲許可が必要だと案内しています。

戸袋や屋根裏に巣があるとき

農研機構は、家の戸袋などで繁殖すると、繁殖中の鳴き声や悪臭、繁殖が終わった後のダニの発生が問題になることがあると記しています。巣立ち後の封鎖の順序はムクドリが屋根裏や戸袋に巣を作ったときに、卵やヒナの確認は巣に卵やヒナがあるときに管理者と自治体へ確認することにまとめています。

庭木や店舗前の木がねぐらになるとき

自分の敷地の庭木がねぐらになる場合は、剪定やネットは所有者が行う対策です。ただし、千葉市が説明するように、近くの別の樹木へ群れが移ることがあるため、隣の敷地や街路樹の管理者にも状況を共有しておくと、移動後の対応を相談しやすくなります。

ムクドリが集まる私有地(庭木・戸袋・店舗)で業者に頼む範囲:確認項目
業者に頼む作業見積もりで確認すること費用が変わる要因
戸袋・屋根裏の封鎖、防鳥ネット対象の箇所数と面積、高さ(足場の要否)、材料、通気を塞がないか高所作業、足場、施工範囲
庭木の剪定本数、高所作業の有無、枝の処分が含まれるか木の高さ、本数、処分量
フンの清掃・消毒範囲と回数、対象外の場所汚れの範囲、回数
追い払い(機器・人)実施回数と期間、群れが別の場所へ移ったときの扱い期間、回数、再訪
捕獲を伴う作業許可の有無と申請者、卵やヒナの扱い許可手続き、作業内容

参考:東京都環境局|資料2-4 ムクドリの被害状況及び対策について(PDF)

追い払いは別の場所への移動になりやすい:資料に書かれた注意

千葉市は、ねぐらの樹木の剪定やネットについて、近くの樹木や人工物へ群れが分散して移ることがあると注意しています。農研機構も、街路樹や駅前のねぐらで追い払いを行った結果、ねぐらが分散して被害が拡大することがあるため、ムクドリがねぐらをとってもよい場所を残すなど、共存の方法を考える必要があると述べています。

東京都の資料も、都内で用いられる装置や、他の府県での追い払い、剪定などを挙げたうえで、これらの対策を講じても、ムクドリが次に移動する先で被害が生じることがあると記しています。追い払いは、一つの場所の被害を移す結果になりうるため、実施する場合は、移動先の管理者や近隣と情報を共有します。手法ごとの比較は、ムクドリ対策に音・光・鷹は効くかで扱っています。

参考:農研機構|鳥種別生態と防除の概要:ムクドリ(Ver.3.3、PDF)

市役所へ相談するときに伝えること

「ムクドリを駆除してほしい」と切り出すより、場所、時間、被害を具体的に伝え、「その場所の管理者と、対策を担当する部署」を聞く形にすると、話が進みます。カラスやハトでの市役所への相談の流れも似ているため、カラスの駆除は市役所に頼めるかと鳩の駆除は市役所に頼めるかも参考になります。

  • 場所:住所や、駅名・交差点・目印になる建物
  • 集まる時間帯と季節:夕方から夜、6月下旬から秋、など
  • 被害の種類:フン、鳴き声、悪臭、巣、農作物
  • 木や建物の所有者・管理者が分かるか
  • すでに行った対策と、その結果
  • 写真:木や電線の位置が分かる遠景と、フンの落ちている範囲