倉庫・工場に鳩が入る理由|開口部・梁・餌になるもの

大阪府は、ドバトが群れで行動し、雨の降り込まない棚状の場所にねぐらや巣を作り、繁殖期が早春から初冬まで長いと説明しています。倉庫や工場では、梁やH形鋼、配管ラック、庇の上などが、人の出入りが少ない棚状の場所に当たりやすい場所です。日本鳩対策センターの公式ショップは、使用場所を「工場・倉庫の天井」「折半屋根」「入り口・庇」などに分けて案内しており、事業所では場所ごとに対策の考え方が変わることがわかります。

対策を決める前に、鳩が入る口、止まる場所、餌の3点を分けて調べます。居つかれた場所は、追い出しにくくなります。神戸市は、巣を作っている場所や寝泊まりしている場所は、ハトの執着心が高い場所と推測できると案内しています。

入る口|シャッター・搬入口・窓の開放

荷役のためにシャッターや扉を開けている時間が長いと、鳩が建物の中へ入りやすくなります。開口部の位置と、開けている時間帯、通路や荷さばき場までの距離を、図面や写真に書き出しておくと、ふさぐ場所と運用で防ぐ場所を分けやすくなります。

止まる場所|梁・配管ラック・庇

鳩が止まる梁やラックの位置を、地上や通路から双眼鏡やカメラで確認します。フンが落ちている床や製品の位置から、真上に止まる場所を逆にたどる方法もあります。高所には上らず、確認できた位置を写真に残し、業者の現地調査で伝えます。

餌になるもの|こぼれた原料・ごみ置き場

ドバトは木の実や草の実、芽、葉など植物性のものを食べる、と大阪府は説明しています。屋外にこぼれた穀物や原料、従業員の食べ残し、ふたのないごみ置き場は、餌場になる可能性があります。大阪府は、ドバトにエサを与えないよう呼びかけています。

参考:大阪府|ドバトでお困りの方へ

読者の疑問

倉庫に入った鳩を、従業員が捕まえて追い出してもよいですか?

比較ガイド

鳩を捕まえることは、許可なしにはできません。環境省は、鳥獣と鳥類の卵は原則として捕獲、殺傷、採取が禁止され、被害がある場合は許可を受けて捕獲できると説明しています。まず、開口部を開けて出す、追い払うなど、捕まえない方法を管理者と相談してください。

鳩被害の種類|製品の汚損・異物混入・設備・従業員の衛生

鳩の被害は、フンや羽毛による汚れだけではありません。大阪府は、巣ができるとまわりが汚れ、ダニや羽虫が発生することもあると案内しています。厚生労働省のHACCPの説明は、食中毒菌汚染や異物混入などを、管理する危害要因の例として挙げています。鳩のフンや羽毛が製品や原料の近くに落ちる状況は、この危害要因にあたる可能性があるため、被害の種類ごとに確認します。

従業員の健康面では、厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックが、ドバトの糞に含まれる菌を吸い込むことによるオウム病を紹介し、2014年と2021年には事業所でドバトが原因の集団感染があったと記載しています。クリプトコックス症は、ハトなど鳥類の糞中でよく増える真菌で、免疫力が低下している人は、鳥類の糞が堆積している所に近づかないよう書かれています。体調の相談は、診断を自分で決めず、産業医や医療機関、保健所へつないでください。

鳩被害の種類|製品の汚損・異物混入・設備・従業員の衛生:確認項目
被害の種類起こること確認する場所最初にすること
製品・包装の汚損フンや羽毛が、製品や包装資材、パレットに落ちる保管棚、パレット置き場、荷さばき場汚れた位置、ロット、日付を写真で記録し、品質管理の担当者へ報告する
異物混入羽毛や巣材が、原料や加工の作業区域の近くに入る原料の受け入れ口、開封作業の区域、ラインの上見つけた位置と時刻を記録し、扱いを社内の責任者と保健所に確認する
設備・建物の汚れフンや巣材が、照明、配管ラック、梁、屋根の樋にたまる梁、ラック、庇、折半屋根の軒先写真と位置を残し、清掃と点検の計画に入れる
従業員の衛生乾燥したフンの粉じんを吸い込むおそれがある。通路や休憩所が汚れる床、通路、休憩所、荷さばき場清掃の担当と保護具を決め、体調の相談先を従業員に伝える

参考:厚生労働省|動物由来感染症ハンドブック2026(オウム病・クリプトコックス症)

食品を扱う施設の鳩対策とHACCP|一般衛生管理での位置づけ

食品を扱う倉庫や工場では、鳩対策を設備工事だけで終わらせず、衛生管理の枠組みと結びつけておくと、記録の残し方と業者への依頼内容が決まりやすくなります。厚生労働省は、令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことになったと案内しています。

貯蔵のみの倉庫と、製造・加工の工場の違い

厚生労働省は、食品又は添加物の貯蔵または運搬のみをする営業(冷凍・冷蔵倉庫業は除く)は、一般的な衛生管理は実施するものの、HACCPに沿った衛生管理を実施する必要はないとしています。工場のように製造や加工をする施設は、一般的な衛生管理に加えて、衛生管理計画の作成、従業員への周知、実施状況の記録と保存、計画の検証と見直しが求められます。自社がどちらに当たるかは、管轄の保健所に確認してください。

一般衛生管理の条文と、鳥の位置づけ

食品衛生法施行規則の別表第17(一般衛生管理の基準)には、窓や出入口は原則として開放したままにしないこと、開放したままにする場合は、じん埃、ねずみ、昆虫等の侵入を防止する措置を講じることが書かれています。ねずみ及び昆虫対策では、施設とその周囲の維持管理、網戸やトラップ、排水溝の蓋などによる侵入防止、1年に2回以上の駆除作業とその記録の1年間の保存などが定められています。原材料、製品、包装資材は容器に入れ、床や壁から離して保存することも示されています。

条文は「ねずみ及び昆虫」を挙げており、鳥は名指しされていません。鳩の侵入やフンの混入を、衛生管理計画のどこに位置づけるかは、管轄の保健所や取引先の監査の基準で扱いが違う場合があります。計画に入れるときは、事前に確認してください。飲食店の例は飲食店のゴキブリ対策とHACCPの点検記録も参考になります。

参考:厚生労働省|HACCP(ハサップ)

場所別の鳩の防鳥方法|梁・天井ネット・開口部・屋外ヤード

稼働している施設では、止まれなくする、入れなくする、餌をなくす、という物理的な方法を中心に考えます。食品や製品の近くで、忌避剤や清掃用の薬剤を使う場合は、製品の表示に従うことを基本に、施設の衛生管理の担当者へ事前に確認します。食品衛生法施行規則の別表第17も、殺そ剤や殺虫剤を使うときは、食品や添加物を汚染しないよう十分注意することを求めています。

下の表は、場所別に、方式の例と運用で決めることを並べたものです。方式の例は、日本鳩対策センターなどの使用場所別の分類と、物理的に止まれなくする、入れなくするという一般的な考え方をもとにした当サイトの整理で、特定の製品や工法を勧めるものではありません。屋根の上の作業は高所の危険があるため、鳩が屋根の上に集まる原因と対策も確認してください。

場所別の鳩の防鳥方法|梁・天井ネット・開口部・屋外ヤード:確認項目
場所方式の例向く状況運用で決めること確認したい点
梁・H形鋼・配管ラック剣山(スパイク)、ワイヤー、梁の間をふさぐネット梁の上に止まり、真下の製品へフンが落ちる高所作業車が入れる通路と、作業の時間帯照明、スプリンクラー、天井クレーンの動きを妨げないか
天井面・梁の下天井ネットで、梁と屋根の間の空間を面でふさぐ鳩が建物の中へ入り、梁の上や天井側に居ついているネットの点検時期と、破れの報告ルート換気、消火設備、点検口の確保
搬入口・シャッターの開口荷役のとき以外は閉める。開放時間の短縮。開口を覆う設備荷役中や休憩中に鳩が入る開ける時間、閉める担当者、荷役中の見張り窓・出入口は原則開放したままにしない、という基準との整合
庇・折半屋根の軒先ネット、ワイヤー、スパイク庇や軒先に群れて止まる屋根上の作業の安全対策と、天候による延期屋根材の傷みと、雨水の流れ
屋外ヤード・荷さばき場餌になる物の管理。密閉容器、清掃、ごみ置き場のふた屋外に原料やごみが置かれ、鳩が集まる清掃の担当と頻度、こぼれたときの対応容器のふた、ごみの保管場所、近隣の餌やり

参考:日本鳩対策センター公式プロショップ|戸建てのソーラーパネル(使用場所別カテゴリー)

捕獲が必要な場合の許可申請|事業所が自分で捕獲できない理由

環境省は、鳥獣又は鳥類の卵について、狩猟による場合を除き、原則として捕獲、殺傷又は採取を禁止していると説明しています。被害が出ている場合などは、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲等ができます。多くの都道府県では、許可の権限の一部が市町村長に移されています。許可の基準は、鳥獣の種類、数、期間、区域、方法などの要件として都道府県ごとに定められており、詳細は担当部局への確認が必要です。事業所でも、製品や施設を守るためだからといって、許可なく鳩を捕まえることはできません。

堺市は、捕獲の申請者から状況を聞き、必要と判断される場合に許可証を交付すると案内しています。神戸市は、市ではカラスとハトの捕獲等を行わず、民間の捕獲事業者を案内できるとしています。業者が捕獲を提案してきたときは、許可を受けているか、許可を出す窓口はどこか、期間と方法はどうなるかを、見積もりの前に確認します。法律の線引きは鳩の駆除と法律の線引きにまとめています。

  • 鳩を捕まえる、殺傷する、卵やヒナを採取することは、許可なしに行わない
  • 毒餌や毒薬で駆除する方法は使わない(鳥獣保護管理法の危険猟法の禁止)
  • 卵やヒナのいる巣は、許可なく撤去せず、巣立ちを待つ
  • 捕獲を含む提案には、許可の有無と窓口を、書面で確認する

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

業者へ出す見積もり仕様|施工範囲・高所作業車・稼働中の施工・保証

見積もりを依頼する側が先に仕様を書いておくと、各社が同じ条件で金額を出せるため、比べやすくなります。倉庫・工場では、高所作業と稼働中の施工が重なります。労働安全衛生規則は、事業者が労働者に作業させる場合のルールとして、高さ2メートル以上の場所では作業床や防網、墜落制止用器具などの墜落防止の措置を求め、スレート屋根では歩み板や防網で踏み抜きを防ぐことを求めています。これらは業者が守る基準であり、見積もりに足場や高所作業車の費用が含まれているかを確認する手がかりになります。

公益社団法人日本ペストコントロール協会は、事業所専任のペストコントロール1級技術者や機器材、各種保険の加入などの条件を満たした事業所に、優良事業所の認証を与える制度を案内しています。鳥の防除に対応しているかは別に確認が必要ですが、業者の体制を確かめる一つの材料になります。複数社の比べ方は相見積もりの比較手順、高所作業費は出張費・高所作業費の確認メモ、内訳の頼み方は見積書の内訳の頼み方にあります。

業者へ出す見積もり仕様|施工範囲・高所作業車・稼働中の施工・保証:確認項目
仕様の項目書く内容の例見積書で確認すること
施工範囲梁、天井面、開口部、屋外ヤードのどこまでか。図面か写真で範囲を示す範囲ごとの数量(平方メートル、メートル)と単価
高所作業高所作業車や足場の使用、作業高さ、墜落制止用器具の使用機材費と作業員の人数が、別の項目で書かれているか
稼働中の施工作業の時間帯、立入区画、食品・製品の養生、粉じん・火気・薬剤の扱い夜間・休日の割増と、工程を分ける場合の追加費用
巣・卵・ヒナ事前の確認方法と、いた場合の待機や再訪再訪の費用と、巣立ちを待つ期間
清掃・消毒範囲、フンの処分方法、使用する薬剤や接着剤の名称清掃費と施工費が分かれているか。薬剤名を事前に提出するか
保証・再施工保証の範囲と期間、鳩が戻った場合の対応、免責の条件書面に記載され、期間の起点が分かるか
報告書施工前後の写真、施工箇所の図、使った資材の一覧衛生管理の記録として保存できる形式か

参考:e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働安全衛生規則(第518条・第519条・第522条・第524条ほか)

施工後の点検と記録|衛生管理の記録に残す項目

施工は、終わった時点では完了ではありません。ネットの破れ、スパイクの倒れ、開口部の開け閉めの乱れで、鳩は再び入ってきます。食品衛生法施行規則は、営業者に、衛生管理の実施状況を記録して保存すること、衛生管理計画と手順書の効果を検証して必要に応じて見直すことを求めています。鳩の点検の記録も、この流れに組み込むと、監査や保健所への説明で使えます。

ねずみ及び昆虫については、1年に2回以上の駆除作業と記録の1年間の保存が基準にあります。鳩の点検頻度は法令に定めがなく、施設の規模や被害の状況で自社が決めます。倉庫の入庫や搬出口の記録の作り方は倉庫の害虫点検の記録が参考になります。

  • 点検日、点検者、点検した場所(梁、天井、開口部、屋外ヤード)
  • 鳩を確認した数と時間帯、フンや羽毛の量、巣材の有無(写真つき)
  • ネットの破れ、スパイクの倒れ、固定具の緩みなどの状態
  • 開口部の開け閉めの状況と、荷役中の対応
  • 見つけた不具合への対応日と、施工業者への連絡日

参考:e-Gov法令検索(デジタル庁)|食品衛生法施行規則(別表第17ほか)