モグラ対策に「最強」を決められない理由|確認できた根拠の範囲

モグラ駆除の最強の方法を探しても、1つの方法だけで庭からモグラがいなくなると示した公的資料は、確認できた範囲にありませんでした。理由の1つは、モグラが地中で暮らしていて、効果を目で確かめにくいことです。森林総合研究所の資料は、モグラ塚の数はモグラの数を示すわけではないと注意しています。塚が減っても、モグラが減ったのか、別の場所へ掘り進んだのかは、塚の数だけでは判断できません。

そこで本記事は、効くか効かないかを断定せず、公的な防除資料に掲載があるか、自治体の案内に載っているか、確認できる資料がないか、という3段階で仕分けます。東京都の病害虫防除指針は、モグラの主な防除技術として、捕獲器、音や振動で追い払う方法、えさを減らす方法、通路の遮断の4つを挙げています。

参考:東京都産業労働局|病害虫防除指針 野ネズミ・モグラの防除法(PDF)

読者の疑問

モグラ対策の風車は本当に効きますか?

比較ガイド

東京都の防除指針は風車を音や振動で追い払う方法として挙げ、生駒市の案内はペットボトル風車で振動が地面に伝わりモグラが嫌がると説明しています。ただし効果の大きさを示した試験結果は確認できていないため、塚の数と位置を記録して判断します。

風車・ペットボトル風車|振動で追い払う方法の根拠

風車や発信器は、振動や音でモグラを遠ざけようとする方法です。公的資料に載っている点と、載っていない点を分けて見ます。

資料に書かれている内容

東京都の指針は、音や振動で追い払う方法として、モグラ撃退用の発信器や風車の設置を挙げ、風車はペットボトルなどで自作できると書いています。生駒市のFAQ(2026年4月20日更新)は、ペットボトルで風車を作って地面に差して設置すると、風で動いた風車の振動が地面に伝わり、モグラが嫌がると説明しています。

確認できなかった内容と、使うときの注意

どちらの資料も、どのくらいの範囲に、どの程度の期間、どれくらいの割合で効くかは示していません。風が弱い日は風車が回らず、振動も伝わりにくくなると考えられます。設置した日と場所、周囲の塚の位置を記録し、同じ区画で新しい塚が増えるかを比べてください。

市販の振動・音の発信器は、電池式やソーラー式など製品ごとに仕様が違います。購入前に、対象動物にモグラが書かれているか、設置間隔や使用場所の表示があるかを確認します。

参考:生駒市|モグラの被害にあって困っている

ガム・シナモン・炭・木酢液など定番の方法を根拠で仕分ける

ガムでモグラを駆除できるという話は、生駒市のFAQが、消化できないガムを仕掛ける方法を、効果があるといわれている方法の1つとして紹介しています。同じ案内には、シナモンの臭いを嫌がる性質を利用して、切りたてのシナモンの枝を1〜2センチ間隔で通り道に差し込む方法も載っています。いずれも伝聞の形の紹介で、試験の結果や効果の程度は示されていません。

炭、木酢液、ニンニク、ハッカ油などについては、このページを書いた時点で、効果を支える公的資料を確認できませんでした。確認できないことは効かないという意味ではなく、効果を示す資料を見つけられなかったという意味です。試す場合は、他の方法と同時に始めず、1つずつ記録します。

ガム・シナモン・炭・木酢液など定番の方法を根拠で仕分ける:確認項目
方法確認できた記載確認できなかったこと使うときの注意
風車(ペットボトル風車を含む)東京都の防除指針に主な防除技術として掲載。生駒市FAQが仕組みを説明効果の程度、効く範囲、持続期間風が弱いと回らない。設置位置と塚の変化を記録する
振動・音の発信器東京都の防除指針にモグラ撃退用の発信器として掲載製品ごとの効果を比べた公的な試験結果対象動物と設置間隔の表示を読む
ガム生駒市FAQが、効果があるといわれている方法として紹介試験の結果、効果の程度ペットや子どもが触れない場所か確認し、仕掛けた場所を記録する
シナモンの枝生駒市FAQに、通り道へ差し込む方法を掲載試験の結果、効果の持続期間切りたてのものとされるため、差し替えた日を記録する
炭・木酢液・ハッカ油など確認できた公的資料はなし効果の有無そのもの他の方法と同時に始めず、1つずつ記録する
ペットボトルを使った罠確認できた公的資料はなし。捕獲にあたるため法律の確認が必要捕獲方法としての有効性、許可の要否作る前に市町村の鳥獣担当課へ確認する

参考:生駒市|モグラの被害にあって困っている

市販の忌避剤の種類と製品表示の読み方

市販のモグラ向け忌避剤には、強い臭いで寄せつけないようにする錠剤や粒剤などがあります。製品ページや容器には、適用する害獣、有効成分、効果の持続期間の目安、使ってはいけない場所が書かれています。一例として、イカリ消毒の公式ページ(2026年10月3日に確認)は、モグラ・コウモリクリンの適用をモグラとコウモリ、有効成分を粗製ナフタリンと表示しています。効果の持続は、1回の処理でモグラは約3か月、コウモリは約1か月で、使用状況により異なると書かれています。

同じページは、本品は農薬ではないので農作物を対象にした場所では使わないこと、花壇の中での使用は控えること、使用時は手袋とマスクを着用することも案内しています。これは公式ページに掲載された表示の一例で、推奨や他製品との比較ではありません。他の製品や剤型では表示が異なるため、購入する製品の表示を確認してください。

表示を読むときは、モグラと書かれているか、使える場所、保護具や注意、持続期間の目安、農薬かどうか、の5点を確かめます。モグラに効くという広告の言葉だけで選ばず、容器や公式ページの表示と照らし合わせます。

市販の忌避剤の種類と製品表示の読み方:確認項目
表示項目確認すること公式ページの表示例(イカリ消毒、2026年10月3日確認)
適用害獣モグラが書かれているか。他の動物名だけの製品は転用しないモグラ、コウモリ
有効成分と保護具成分名と、においの強さ、手袋やマスクの要否粗製ナフタリン。使用時は手袋とマスクを着用
効果の持続期間目安であること、環境で変わることモグラは約3か月、コウモリは約1か月(使用状況により異なる)
使用できない場所農作物、花壇、室内などの制限農作物を対象にした場所では使用しない。花壇内での使用は控える
農薬かどうか農作物を守る目的で使える製品か農薬ではない

参考:イカリ消毒|モグラ・コウモリクリン(公式商品ページ)

殺鼠剤はモグラに使えるのか|製品表示と法律で確認する

ネズミ用の殺鼠剤をモグラへ転用することは勧められません。公式ページの表示例として、イカリ消毒のメリーネコ3号は、農薬登録のあるネズミ用の毒餌で、適用害獣は野そと表示されています。特長には、野そ以外には使用しないでください、と書かれ、用途は貯穀倉庫、農地、山林での野その駆除です。モグラは対象に含まれていません。

東京都の指針と製品表示が求める使い方

東京都の指針は、殺そ剤は農薬なので、容器やラベルに書かれた使用法に従うこと、人や家畜に有害な薬剤が多いので取り扱いと保管に注意することを求めています。同じ指針のモグラの防除法には、主な防除技術として毒餌は挙がっていません。希釈や混合、使用量は製品の表示に従うもので、この記事では扱いません。

鳥獣保護管理法で確認すること

法律の面でも制限があります。鳥獣保護管理法第36条は、爆発物、劇薬、毒薬を使用する猟法による鳥獣の捕獲等を、原則として禁止しています。例外は、農業・林業の事業活動に伴う捕獲(第13条)と、環境大臣の危険猟法の許可を受けた場合です。モグラは法の対象の鳥獣なので、庭で毒餌を使うことは避け、まず自治体の鳥獣担当課に相談してください。子どもやペット、ほかの野生動物が誤って口にするおそれがあることも、避ける理由になります。

参考:イカリ消毒|メリーネコ3号(公式商品ページ)

効果を確かめる記録の方法|塚の数だけに頼らない

忌避用品の効果は、設置してすぐの印象ではなく、記録で確かめます。森林総合研究所の資料は、一定の区画の塚を数えるとモグラが多く活動する場所かどうかを判断できるとしながら、1匹が何個も塚を作るため、塚の数がモグラの数を示すわけではないと注意しています。数を比べるときは、同じ区画を同じ間隔で見ること、新しい塚の位置を図に残すことが大切です。

東京都の指針にある、トンネルを踏みつぶして、しばらくしてから元のように持ち上がっていれば本道と考えられる、という見方も、通り道が今も使われているかの確認に使えます。踏みつぶした場所と日付を記録し、用品を置く前後で比べます。

効果を確かめる記録の方法|塚の数だけに頼らない:確認項目
記録する項目記録の方法見方
新しい塚の位置と日付庭の簡単な図に番号を書き、日付と写真を残す用品の設置前後で、新しい塚が減ったか、別の場所へ移ったかを見る
踏みつぶしたトンネルの再隆起決めた場所を踏み、数日後に持ち上がったかを確認する元に戻れば、本道が使われている目安になる
使った用品と設置日商品名、設置場所、交換日をメモする複数を同時に始めると、何が影響したか分からなくなる
守りたい区画の被害芝の浮き、苗の倒れ、根の傷みを区画ごとに撮影する塚が減っても被害が続くかを確認する
  • 同じ区画を、同じ間隔で見回す
  • 用品は1つずつ試す
  • 雨や乾燥など天候も一緒にメモする

参考:森林総合研究所 多摩森林科学園|森林の生き物調査プログラム ほ乳類-モグラ-(PDF)

物理的な対策へ進む目安

記録を続けても同じ区画で新しい塚が続くときは、音や臭いの用品だけに頼らず、物理的な対策を考える段階です。東京都の指針は、トンネルが深くても1メートル程度であることから、周囲の地中に深さ50〜60センチの網を張るか、深さ1メートルほどの溝を掘って進路を遮断する方法を挙げています。掘る前に、水道管、ガス管、電気ケーブルの位置を確認します。

目安としては、同じ区画で新しい塚が続く、被害が苗や根に及ぶ、試した用品の記録がそろっている、という3つがそろった段階です。守りたい区画を絞った囲い方や、塚の直し方はモグラの庭・芝生対策にまとめています。

参考:東京都産業労働局|病害虫防除指針 野ネズミ・モグラの防除法(PDF)

捕獲に進む前の法律の確認

ペットボトルの罠など自作の捕獲具や、市販の捕獲器を使う場合は、薬剤とは別に鳥獣保護管理法の確認が必要です。モグラは同法の対象で、神奈川県は農業または林業に係る被害を防止する目的に限り、モグラ科全種を随時捕獲できると案内しています。庭が当てはまるかは自治体の運用で変わるため、市町村の鳥獣担当課に確認してから進めてください。依頼先の違いは害獣駆除はどこに頼む?依頼先6つの違いで比べられます。

参考:神奈川県|野生鳥獣保護の仕組み(家ネズミ3種の法適用)