モグラ対策の庭の基本|食べ物とトンネルの仕組みを知る
庭のモグラ対策は、モグラが何を食べ、地面の下をどう動くかを知ると、やることの優先順位をつけやすくなります。東京都の病害虫防除指針は、モグラを肉食の動物と説明し、農作物を直接食べるのではなく、えさを探してトンネルを掘る過程で被害が出ると整理しています。
モグラの食べ物は土の中の小動物
指針によると、モグラはミミズ、コガネムシの幼虫、カタツムリ、ナメクジ、クモ、ヤスデ、カエルなどを食べ、機会があれば小鳥やヘビ、ネズミも食べる貪欲な肉食獣です。1日に自分の体重の半分から同量以上のえさが必要といわれ、1日に掘るトンネルは数十メートルに達するとされています。庭の土が豊かで小動物が多いほど、モグラが通る理由は増えると考えられます。
トンネルは本道と側道でできている
同じ指針は、トンネルを本道と側道から成るものと説明しています。範囲は20〜50メートル四方に及び、休息や繁殖のための巣室は土手などに作られ、そこから2〜3本のトンネルが通じています。巣からえさ場に至る本道はよく使われ、まれにしか通らない道や、一度掘って使われない道もあります。庭の一部に塚が見えても、地下の通り道は庭の外へ続いている場合があります。
暮らしの時期と寿命
指針は、3〜5月に交尾し、5〜6月に2〜5頭を産むこと、寿命は3〜4年であることも書いています。夜間にも頻繁に地上を歩行するようで、朝と夕方の活動が盛んだと説明されています。時期の目安は、塚が増えたと気づいた日を記録するときの参考になります。
参考:東京都産業労働局|病害虫防除指針 野ネズミ・モグラの防除法(PDF)
モグラは庭の芝生や野菜を食べますか?
モグラは主にミミズや昆虫の幼虫など土の中の小動物を食べる肉食の動物で、芝や野菜を食べるために掘るのではありません。ただし、トンネルで根が切れたり苗が倒れたりする被害は起こります。根や球根をかじられているなら、野ネズミなど別の動物を疑います。
モグラの食べ物と、根や球根の食害を疑う動物
庭の草花の根や球根がかじられていても、モグラがかじったとは言い切れません。主食が土の中の小動物であることを考えると、根をかじる動物は別にいる可能性があります。東京都の指針は、モグラが掘ったトンネルがネズミの通り道として使われる場合があり、その被害が大きいこともあると説明しています。
かじり跡が根や球根に残っているときは、塚の位置とは別に、歯形や食べ残し、周囲の穴の大きさを記録します。塚と食害の位置が重なっているのか、離れているのかも手がかりになります。モグラかネズミかの見分け方は庭の土の盛り上がりがモグラかネズミの穴かを調べる方法で、庭が掘られるほかの原因は庭が掘られているときの記録の取り方で整理しています。
| 庭で見える変化 | まず疑うこと | 次の確認 |
|---|---|---|
| 土の山が点々とできる | モグラが地中のトンネルから土を押し出した跡 | 山の中心に開口部があるか、山が筋状に並ぶかを写真と図で残す |
| 芝が浮いたようにふかふかする | 地面のすぐ下を通るトンネル、または根の傷み | 踏んで戻した場所が数日後に再び持ち上がるかを見る |
| 球根や根にかじった跡がある | モグラ以外に、トンネルを使う野ネズミなど | 歯形、食べ残し、周囲の穴の大きさを記録する |
| 地表に穴だけが開いている | 別の動物の出入り口の可能性 | 穴の周りに土の山や足跡があるかを確認する |
| 建物の際の地面が沈む・ひびが入る | 排水や配管、地盤など別の原因も含めた確認が必要 | 写真を持って建物の専門家に相談する |
モグラ塚とトンネルの見方|塚の数は個体数ではない
森林総合研究所の資料は、モグラ塚を、掘ったトンネルの土を地上へ押し出してできる塚と説明し、塚の中心の開口部はトンネルに続いていると書いています。一定の区画の塚を数えると、モグラが多く活動している場所かどうかの見当はつきますが、1匹が何個も塚を作るため、塚の数がモグラの数を示すわけではないと注意しています。
東京都の指針には、トンネルを踏みつぶして、しばらくしてから元のように持ち上がっていれば、よく使われる本道と考えられる、という見方があります。一方で、土が盛り上がった場所は通路そのものではない、とも書かれています。庭では、塚の位置に加えて、塚と塚を結ぶ線上の地面の沈みや盛り上がりも図に書き込むと、通り道の見当がつけやすくなります。
モグラ塚・浮いた芝生の直し方
モグラ塚や浮いた芝生の直し方を示した公的な手順書は、このページを書いた時点で確認できませんでした。そのため、ここでは庭の手入れとして無理のない範囲の考え方を示します。直したあとに記録を残すことで、塚の処理だけで足りるのか、通り道を断つ対策まで必要なのかを判断できます。
塚の土はならして高さをそろえる
塚の土を芝の上に残したままにすると、芝が土に埋まって弱ることがあります。ほうきや熊手で土を薄くならし、低くなった場所に戻して、周囲の地面の高さをそろえます。土が多すぎる場合は、庭の別の場所の土づくりに回す方法もあります。
浮いた芝は戻して軽く押さえる
浮いた芝は、無理にはがさず、元の位置に戻して手のひらや足で軽く押さえます。根が空気に触れて乾くと傷みやすいため、押さえたあとは水を与えて様子を見ます。戻した場所が数日のうちに再び持ち上がるなら、その下のトンネルがいまも使われている目安になります。
- 塚の土をならして、周囲と高さをそろえる
- 浮いた芝を戻して押さえ、水を与える
- 直した日と場所を写真と図に残す
- 新しい塚ができた日付と位置を図に足す
モグラの侵入を減らす方法|境界に網や溝を入れる考え方
東京都の指針は、モグラの通路を遮断する方法として、周囲の地中に深さ50〜60センチの網を張るか、深さ1メートルほどの溝を掘って進路を断つ方法を挙げています。根拠は、モグラのトンネルが深くても1メートル程度だという点です。
庭に当てはめるときは、守りたい範囲を決めることが先です。庭全体を囲むと掘る量も費用も大きくなるため、花壇や菜園、大切にしたい芝生の区画だけを囲む方法もあります。網や溝を入れる前に、水道管、ガス管、電気ケーブル、排水管の位置を確認し、樹木の根を傷めないようにします。
資料は、遮断すればモグラが入らなくなると保証しているわけではありません。隣の庭や畑から入ってくる場合や、囲いの外側を回り込む場合は、囲い方で結果が変わります。囲ったあとも塚の記録を続けて、効果を判断します。
| 対策の種類 | 家庭でできること | 効果の限界と注意 |
|---|---|---|
| 塚の処理(土をならす・芝を戻す) | ほうきや熊手、手と足で行える | 見た目と芝の傷みは直せるが、地下の通り道は変わらない |
| 境界の遮断(網・溝) | 守りたい区画の周りの地中に網を入れる、または溝を掘る | 掘る手間が大きい。埋設物の確認が必要。囲いの外から回り込む場合がある |
| 音・振動の用品(風車など) | ペットボトルの風車を差す、市販の発信器を置く | 効果の程度を示した公的な試験は確認できていない。塚の増減で確かめる |
| えさを減らす(土壌への薬剤) | 家庭向けの手順は資料で示されていない | 農業向けの防除指針に載る方法。庭では勧めず、薬剤は製品表示に従う |
| 捕獲 | 法律と許可の確認が先 | モグラは鳥獣保護管理法の対象。庭が例外に当たるかは自治体に確認する |
忌避剤・振動用品の位置づけ
風車や発信器は、モグラが振動や音を嫌がることを利用して、通り道から遠ざけようとする用品です。東京都の指針は、音や振動で追い払う方法として、モグラ撃退用の発信器や風車の設置を挙げ、風車はペットボトルなどで自作できると書いています。生駒市のFAQも、ペットボトルで風車を作って地面に差すと、風で振動が伝わりモグラが嫌がると説明しています。
ただし、これらの資料は効果の大きさや、どのくらいの範囲に効くかを示していません。庭では追い払いの補助として試し、塚の数や位置が変わるかを記録して、続けるかどうかを決めます。方法ごとの根拠の有無はモグラ対策の風車・ガム・忌避剤の根拠で、表にして整理しています。
「家が傾く」という不安への答え方|建物の専門家へ相談する目安
モグラのせいで家が傾くのではないかという不安は、検索でもよく見られます。このページを書くために確認した公的資料には、モグラのトンネルが建物を傾けると述べた記載はありません。東京都の指針は、トンネルは深くても1メートル程度だと説明しています。
一方で、建物の傾きやひび、床の沈み、戸の閉まりにくさは、地盤の沈下、雨水や排水の流れ、配管の漏水などでも起こります。モグラ塚が建物の際にあっても、原因をモグラと決めつけず、建物の状態を専門家に見てもらうことが大切です。
新築や購入から日が浅い場合は、施工会社や販売会社、保証・保険の窓口への連絡も選択肢です。第三者の窓口としては、住まいるダイヤルがあり、建築士の資格を持つ相談員が電話で技術的な相談を受けています。対象は住宅の取得やリフォームに関する相談なので、当てはまるかは案内ページで確認してください。モグラ駆除を頼む前に建物の診断を先に行うと、原因の取り違えを防げます。
- 外壁や基礎に新しいひび割れが出てきた
- ドアや窓の開閉が重くなった
- 床や敷地に傾きや沈みを感じる
- 建物の際の地面が急にへこんだ
捕獲を考える前に確認する法律
モグラは野生の哺乳類で、鳥獣保護管理法の対象です。環境省は、平成14年の改正でネズミ・モグラ類が法の鳥獣に含まれたと説明しています。家にいるドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は適用外ですが、モグラは含まれません。鳥獣は、許可や狩猟による場合などを除いて捕獲や殺傷が禁止されており(法第8条)、モグラは狩猟鳥獣にも入っていません。
例外として、施行規則の第12条と第13条は、モグラ科の全種について、農業または林業の事業活動に伴いやむを得ずする捕獲を、許可なしでできるとしています。庭や家庭菜園がこれに当たるかは条文に書かれていないため、自治体への確認が必要です。神奈川県は農業または林業の被害を防止する目的に限りモグラ科全種を随時捕獲できると案内し、福井市は同じ目的に限り可能だが許可の申請が必要な場合もあるので相談するよう案内しています。浜松市は、農林業を営む個人が敷地内で捕獲する場合は許可を要しない一方、営業している施設の芝生被害には有害鳥獣捕獲の許可が必要としています。
許可が必要な場面で許可なく捕獲すると、法第83条の罰則(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象になります。毒薬を使う猟法も、法第36条で原則として禁止されています。罠や薬剤を買う前に、市町村の鳥獣担当課へ庭のモグラを捕獲したい場合の扱いを確認してください。依頼先の違いは害獣駆除はどこに頼む?依頼先6つの違いで比べられます。
| 状況 | 確認できた扱い | 根拠・確認先 |
|---|---|---|
| 農業・林業の事業として捕獲する | 農業または林業の事業活動に伴いやむを得ない捕獲は、許可なしでできる | 施行規則第12条・第13条、法第13条 |
| 家庭の庭・芝生で捕獲する | 条文に書かれていない。自治体の運用で異なるため確認が必要 | 市町村の鳥獣担当課、都道府県の担当部署 |
| 営業施設(ゴルフ場など)の芝生被害 | 浜松市は有害鳥獣捕獲の許可が必要と案内 | 浜松市の野生鳥獣Q&A |
| 毒薬を使って捕獲する | 原則禁止。例外は第13条の捕獲と、環境大臣の許可を受けた場合 | 法第36条・第37条 |





