ネズミの赤ちゃんの見た目|毛のない時期から目が開くまで

九州大学の研究報告(1960年)は、研究室で飼育した日本産の野棲ハツカネズミの子を観察し、生まれた直後の姿を記録しています。体は桃色で毛がなく、目と耳は閉じていて、爪はすでにあります。体重は出生時で約1gです。

その後の変化は日を追って進みます。耳は生後5日目ごろに開き、体の毛は7〜8日目に生え、前歯は9〜10日目に出ます。目が開くのは平均13.5日目(10〜19日目の幅)で、30日目には体重が約6.6gに達します。ただし、これはハツカネズミの飼育下の観察です。ドブネズミやクマネズミの子を日齢でそろえて示した公的資料は、今回確認できませんでした。日齢の数字は目安にとどめます。

ネズミの赤ちゃんの見た目|毛のない時期から目が開くまで:確認項目
日齢(目安)観察された変化(日本産の野棲ハツカネズミ)
生まれた直後体は桃色で毛がなく、目と耳は閉じている。爪はある。体重は約1g
約5日耳が開く。鼻の周りの毛(ひげ)が目立つ
約7〜8日体の毛(主毛・副毛)が生え始める
約9〜10日下の前歯、続いて上の前歯が出る
約13〜14日目が開く(平均13.5日、10〜19日の幅)。30日目の体重は約6.6g

参考:九州大学学術情報リポジトリ|平岩馨邦・濱島房則「野棲ハツカネズミの生活史IV 乳幼仔における形態の発達と生後の成長」(九州大學農學部學藝雜誌、1960年、PDF)

読者の疑問

ネズミの赤ちゃんはどんな見た目ですか?

比較ガイド

九州大学の観察では、ハツカネズミの子は生まれた直後に桃色で毛がなく、目と耳が閉じています。耳は約5日、毛は7〜8日、目は平均13.5日で開きます。他の種類の日齢は、今回確認できませんでした。

似ている動物の幼獣との見分け方|場所・時期・状況で分ける

子の姿だけで種類を当てるのは、実際には難しくなります。東京都のねずみ防除指針(窓口対応の実践例)のチェック表は、大きさや形態の項目について、幼獣の場合は適用できないと注記しています。そこで、見た目より先に「どこで、いつ、どんな状況で」見つけたかで分けます。

下の表は、見つけた場所ごとに考えられる動物と、資料にある手がかりを並べたものです。種類の確定ではなく、次の動きを決めるための整理です。成獣の違いはドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの違い、庭の穴は庭の土の盛り上がりはモグラ?、地面で動かないコウモリは地面で動かないコウモリを見つけたらで確認できます。

似ている動物の幼獣との見分け方|場所・時期・状況で分ける:確認項目
見つけた場所・状況考えられる動物資料にある手がかり法律上の扱い
家の中(天井裏、押入れ、家電の裏、壁の中)の、紙や布を集めた塊に毛のない小さな個体家ネズミ3種(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)東京都の読本は、暖かく人目につきにくい場所に紙や布を集めて巣を作るとし、営巣場所の例に天井裏、物置、押入れ、壁の中などを挙げる鳥獣保護管理法の適用除外(規則第78条)
庭、畑、空き地の草むらや土の穴にいる小さな個体野ネズミ類(ハタネズミ、アカネズミなど)、モグラ類東京都産業労働局の資料は、農作物に被害を及ぼす主なネズミとしてハタネズミなどを挙げ、モグラは5〜6月に2〜5頭を産み、巣室は土手などに設けるとする法の対象。原則、許可なしの捕獲・殺傷は不可
軒下、屋根瓦の下、戸袋、通気口の周り、または地面や壁に落ちた小さな個体コウモリ(市街地ではイエコウモリが多い)国土技術政策総合研究所の資料では、イエコウモリは瓦の下や戸袋の奥、通気口をねぐらとし、年に1度、初夏に1〜4仔を産む法の対象。原則、許可なしの捕獲・殺傷は不可
種類が判断できない決めつけない幼獣は大きさの項目が使えない(東京都のチェック表の注記)場所で線を引き、不明なら自治体へ確認

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 2) 窓口対応の実践例(PDF)

素手で触らない理由と、見つけた直後の動き

厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックは、野生動物はどのような病原体を保有しているか分からないため、安易に触らないようにと案内しています。ネズミが関わる感染症として、レプトスピラ症、鼠咬症、腎症候性出血熱などが挙げられ、鼠咬症の例として、ネズミ捕りに掛かったラットを処理中に咬まれて感染・発症した事例が載っています。

東京都の質問集は、鼠咬症はネズミの口の中の細菌によるもので、咬まれても必ず発症するわけではなく、むしろ発症はまれだが、感染すると咬傷部が腫れ、発熱、発疹などを伴うと説明しています。小さな子ネズミでも、咬まれたり引っかかれたりする可能性はあります。傷ができたときは、自分で診断せず、医療機関に動物との接触の状況を伝えてください。

  • 手を出さず、子どもとペットを離す。生きている個体を捕まえようとしない
  • 見つけた時刻、場所、周囲の巣材らしい物を、離れた位置から写真に残す
  • 天井裏や押入れの奥など、巣らしい場所は動かさず、頭数を数えるために崩さない
  • 触れてしまったときは手を洗い、咬傷や体調の変化があれば受診して状況を伝える

参考:厚生労働省|動物由来感染症ハンドブック2026(PDF)

近くに巣と親がいる前提で確認する場所

家の中で子ネズミを見つけたときは、近くに巣があり、親もその家を使っている前提で確認します。東京都の質問集は、ネズミは営巣場所と採餌場所を分けて生活できると説明しています。親が見当たらなくても、巣が放棄されたとは限りません。夜間や人がいない時間帯に活動することが多いとされているため、昼間に親を見ないことも珍しくありません。

東京都の窓口対応のチェック表には、クマネズミの成獣は鳴かないが、幼獣はよく鳴くという注記もあります。音のする場所は、巣の候補を絞る手がかりになります。天井裏の音の聞き分けはネズミの鳴き声と天井裏の音で整理しています。

家の中で見る場所

東京都の読本は、営巣場所になりやすい場所として、天井裏、物置、家具の裏、押入れやたんすの中、壁の中、テレビや冷蔵庫など電気製品の裏を挙げています。電気製品の裏は放熱板で暖かく、巣の近くでコードが齧られて短絡し、巣に引火して火災になることがあると東京都の質問集は説明しています。

  • 押入れ、たんす、引き出しの奥に、細かい紙や布が集まっていないか
  • 冷蔵庫、テレビ、電子レンジの裏や下に、フンや巣材がないか
  • 天井点検口の周りや物置の隅に、フンやこすり跡がないか

外回りで見る場所

ドブネズミは、地中に穴を掘って巣を作る傾向があると東京都の質問集は説明しています。植え込み、緑地、歩道脇のほか、屋内では調理台やカウンターの内部、植木鉢の中など、人目に触れにくい場所に営巣することもあります。家の外壁沿いに物を置くと隠れ場所になるため、壁際の置き物も点検の対象にします。

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

家ネズミとそれ以外で違う法律上の扱い

鳥獣保護管理法は、鳥類または哺乳類に属する野生動物を「鳥獣」とし、鳥獣の捕獲等(捕獲または殺傷)を原則として禁止しています(第2条、第8条)。許可を受けた場合などだけ、例外として捕獲等ができます(第9条)。一方、第80条は、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣で環境省令が定めるものには、この法律を適用しないとしています。

その環境省令(施行規則第78条第1項)が挙げているのが、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミです。条文は種で定められているため、家ネズミ3種の子も同じ扱いになると考えられます。一方、アカネズミなどの野ネズミ類、モグラ類、コウモリは、この除外に含まれていません。農林業の被害防止に伴う捕獲については、モグラ科全種と、家ネズミ3種を除くネズミ科全種を、許可なしで捕獲等できる例外が規則第12条に置かれています。住宅での対応とは別の規定です。

適用除外は、どんな方法でもよいという意味ではありません。薬剤は製品表示に従い、子どもやペットの安全を優先します。許可なく鳥獣を捕獲等した場合の罰則は法第83条にあり、現行の条文では一年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(狩猟鳥獣以外の場合)。コウモリを見つけた場合も、追い回したり捕まえたりせず、窓口か専門業者に相談する点は同じです。

家ネズミとそれ以外で違う法律上の扱い:確認項目
動物鳥獣保護管理法の扱い根拠家庭での注意
ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ(家ネズミ3種)この法律の規定は適用されない法第80条第1項、施行規則第78条第1項法の許可は要らないが、薬剤は製品表示に従い、誤食と死骸の処理に注意する
アカネズミなどの野ネズミ類、モグラ類鳥獣として規定の対象。原則、許可なしの捕獲等は禁止法第8条、第9条。農林業の被害防止に伴う場合のみ規則第12条の例外住宅での駆除は自己判断で行わず、自治体の鳥獣担当へ相談する
コウモリ鳥獣として規定の対象。原則、許可なしの捕獲等は禁止法第8条、第9条追い回したり、捕まえたりせず、窓口か専門業者へ相談する

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

屋外で見つけた場合の相談先

庭や道ばたで見つけた小さな哺乳類は、家ネズミの子とは限りません。神奈川県の傷病鳥獣救護のページは、野生動物を見つけても基本は手を出さず、自然の営みに任せるという考え方を示しています。哺乳類の子どもについては、親が戻ってくる可能性が高く、人がいると親が近寄れないため、そのままにして立ち去ることを案内しています。人や人工物のにおいが付くと、親が育児を放棄することがあるため、触らないよう呼びかけています。

死んでいる場合は、同じ神奈川県のページが、発見場所の管理者か市町村へ相談するよう案内しています。受け入れの条件や窓口は自治体ごとに異なります。お住まいの市区町村の、野生鳥獣または環境衛生の担当課へ、見つけた場所の状況と写真を添えて確認してください。家ネズミの疑いが強い場合の窓口の使い分けは、ネズミ駆除は役所に頼める?にまとめています。

参考:神奈川県|傷病鳥獣救護(2026年9月1日更新の表示を確認)

巣の除去と侵入口対策の進め方

巣の除去と侵入口の封鎖は、順序を誤ると、臭いやイエダニの問題が残ることがあります。東京都の資料にある考え方を、巣の除去、侵入口の封鎖の順に確認します。

巣の取り除き方と片付けの注意

東京都の質問集は、壁の中で巣を作っているネズミについて、壁の一部を取り外したり穴を開けたりして巣を取り除くのが基本だとしています。ただし実際にはかなり難しい対策のため、専門業者に依頼する方がよいとも書いています。手の届く場所の巣でも、触れる前に写真を撮ります。米国のCDCは、手袋を着けて換気し、乾いたフンや巣材を掃いたり掃除機で吸ったりしないよう案内しています。

侵入口を塞ぐ順序と材料

侵入口を塞ぐ順序については、東京都のねずみ防除指針が、最初は居住空間側(内側)から塞ぎ、部屋ごとに区切って、ネズミの出ない部屋を作り、最後に外側から塞ぐと示しています。子がいる巣の近くで出入り口だけを先に塞ぐと、親や子の行き場がなくなり、死んだ場合の臭いや、イエダニの問題が起きることが考えられます。東京都の質問集は、死んだネズミや巣からイエダニが離れて人を刺すため、死がいや巣は速やかに撤去するよう説明しています。順序は、調査担当者と決めてください。

穴ふさぎの材料は、東京都の読本が、変形しやすくネズミが嫌う金属たわしや亀甲金網、不燃性のパテなどを挙げています。すき間の寸法は、クマネズミで1.25cmが目安とされています。補修の考え方は防鼠金網ですき間を直す前にで確認できます。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 1) 防除の基本(PDF)