ムササビかどうかの確認|夜の出入り・姿・大きさ
山梨県のレッドデータブックによると、ムササビはリス科で、頭胴長34〜48cm、尾長28〜41cm、体重700〜1,000gです。前肢と後肢の間などに飛膜が発達し、背中は褐色系で色の個体差が大きく、お腹は白く、目と耳の間から頬にかけて淡い色の帯があります。夜行性で、ほぼ完全に樹上で暮らし、樹木の葉・芽・種子・果実を食べ、樹洞を巣にします。
姿と大きさで見る点
環境省の狩猟鳥獣の見分け方でも、ムササビは頬に白斑があり、腹部が白い動物として図示されています。屋根裏の動物がムササビかどうかを確かめる手がかりは、姿の大きさと毛色、夜に出入りする時間帯、屋根に届く樹木の有無です。
夜の出入りを外から確かめるときの注意
屋根に上ったり屋根裏に入ったりして確かめる必要はありません。日没後に庭から出入りの様子を見るか、写真や動画に残す程度にとどめ、動物に近づかないでください。
- 庭の安全な場所から、日没後しばらくの間、屋根と軒を見る
- 出入りした場所と時刻、姿の大きさ(尾の長さを含む)をメモする
- フラッシュを使わず、写真や動画に残す
| 確認する点 | 資料で確認できること | 資料では確認できなかったこと |
|---|---|---|
| 時間帯 | 夜行性で、ほぼ完全な樹上生活(山梨県) | 屋根裏で活動する時刻の具体例 |
| 大きさ・姿 | 頭胴長34〜48cm、腹が白く、頬に淡い帯(山梨県)。頬に白斑(環境省) | 家庭で撮った写真だけで他種と断定できる基準 |
| 声 | ニホンモモンガは鳴き声をほとんど出さない(山梨県) | ムササビの鳴き声の種類や回数 |
| 足跡・フン | 農林水産省の足跡・フンのフローチャートにムササビは含まれない | ムササビの足跡・フンの特徴 |
参考:山梨県|2018山梨県レッドデータブック 動物(哺乳類:ムササビ・ニホンモモンガ)
ムササビは自分で駆除してもいいですか?
許可なく捕獲や殺傷はできません。ムササビは狩猟鳥獣ではなく、鳥獣保護管理法では、被害防止などの目的で都道府県知事(多くは市町村長)の許可を受けた場合に捕獲が認められます。まず侵入口の確認と封鎖、自治体への相談から始めます。
ムササビ・モモンガ・ハクビシン・テンの違い|屋根裏の候補を比べる
屋根裏から聞こえる足音で名前を決めるのは難しいため、姿・大きさ・痕跡の資料を並べて候補を絞ります。次の表は、環境省、山梨県、農林水産省、東京都の資料にある記載だけをまとめたもので、資料にないことは「確認できず」と書いています。
最も分かりやすい違いは大きさです。ニホンモモンガは頭胴長14〜20cm、体重150〜220gで、目が大きく、山梨県は、ムササビより体が小さく鳴き声もほとんど出さないため観察が難しいと書いています。ハクビシンは顔の白い縦線と、長く後半が黒い尾が目印で、テンは夏と冬で毛色が変わり、登る力が高い動物です。ハクビシンの声はハクビシンの鳴き声と屋根裏の足音、テンはテンに似た動物との違いを参照してください。
| 動物 | 大きさ(資料の記載) | 見た目の手がかり | 動き方・痕跡の手がかり |
|---|---|---|---|
| ムササビ | 頭胴長34〜48cm、尾長28〜41cm、体重700〜1,000g | 腹が白く、頬に白斑(淡い帯)。飛膜がある | 夜行性・ほぼ完全な樹上生活。足跡・フンは資料で確認できず |
| ニホンモモンガ | 頭胴長14〜20cm、尾長10〜14cm、体重150〜220g | 目が大きく、腹が白い。尾は扁平 | 夜行性。鳴き声はほとんど出さない(山梨県) |
| ハクビシン | 胴長50〜60cm位(東京都) | 顔に白い縦線、鼻がピンク色、尾は長く後半が黒い(環境省) | 足跡は指5本でパッドが円形。フンは水の中・天井裏・ため糞(農林水産省) |
| テン | 頭胴長40cm前後、尾長20cm前後(農林水産省) | 夏は顔が黒く体が茶褐色、冬は顔が白く体が明るい黄色 | 木登りが得意で、屋根裏や物置を使うことがある。足跡はパッドが半月形で4cm以下 |
ムササビの駆除に関する法律|狩猟鳥獣ではなく、捕獲は許可制
環境省は、鳥獣保護管理法では、狩猟として行う場合を除き、鳥獣の捕獲・殺傷・採取(捕獲等)が原則として禁止されていると説明しています。生態系や農林水産業などに被害が出ている場合などは、環境大臣や都道府県知事の許可を受けて捕獲できますが、多くの都道府県では許可権限の一部を市町村長に移しています。狩猟として捕獲できるのは、狩猟鳥獣として決められた46種だけで、獣類20種の一覧にムササビは入っていません。
山梨県のレッドデータブックは、ムササビは以前は狩猟獣だったが、1994年に除外されたと記しています。環境省の見分け方の資料でも、ムササビは誤認されやすい非狩猟鳥獣として載り、狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲は法律で禁止され、誤認捕獲は違法と書かれています。罰則は、現在の条文(第83条)では1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です(環境省の資料は旧表記で書かれています)。どの動物か分からない段階で、箱わななどの捕獲道具を自分で置くのは避け、許可の要否を窓口に確認してください。
薬剤にも注意が必要です。e-Gov法令検索の鳥獣保護管理法第36条は、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法による鳥獣の捕獲等を、原則として禁止しています。毒餌や殺虫剤で屋根裏の動物を殺す方法は、手順として選べません。
| 行為 | 法律上の扱い(確認できた範囲) | 根拠 |
|---|---|---|
| 侵入口を特定し、中にいないことを確認して封鎖する | 被害防止対策として自治体が案内している | 相模原市の案内 |
| 箱わな・かごわななどで捕まえる | 捕獲等にあたり、狩猟鳥獣ではないため許可が必要 | 環境省 捕獲許可制度の概要・狩猟制度の概要 |
| 毒餌・殺虫剤などで殺す | 爆発物・劇薬・毒薬を使う猟法は原則禁止 | 鳥獣保護管理法第36条 |
| 捕まえて自分で遠くへ放す | 捕まえること自体が許可の対象。許可の条件は窓口で確認する | 環境省 捕獲許可制度の概要 |
追い出しと侵入口の封鎖の進め方|中にいないことを確認してから
相模原市は、屋根裏に住み着いた動物への対策として、建物の周りを調べて侵入口を特定し、動物が建物の中にいないことを確認してから侵入口をふさぐこと、屋根裏への経路になる庭木の枝をできるだけ切ること、生ごみやペットの食べ残しを放置しないことを案内しています。天井裏に入った動物は、食べ物を探すために外へ出る、という説明も添えられています。
封鎖に使う資材について、農林水産省の中型獣類マニュアルは、金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は破壊されるおそれがあるため使わない、と述べています。このマニュアルの対象はアライグマ・ハクビシン・テンで、ムササビを対象にした封鎖の公的資料は今回確認できませんでしたが、屋根裏を休息や繁殖に使う動物に共通する考え方として参考になります。侵入口が屋根の上など高所にある場合は、転落の危険があるため、地上や点検口から見える範囲の確認にとどめ、作業は専門の事業者に任せます。
進める順序のまとめ
次の順序で進めます。順番を飛ばして先に封鎖すると、動物を閉じ込めるおそれがあります。農林水産省は、侵入は地上近くの床下と軒など上部が狙われ、床下は通風口からが最も多いこと、上部は軒の破損部分、瓦屋根のすき間、増築した継ぎ目が多いことを挙げています。
- 夜に庭から出入りの時間と場所を見て、写真や動画に残す
- 外から侵入口の候補を探す(軒の破損、瓦のすき間、増築のつなぎ目、床下の通風口)
- 数日間、新しい出入りがないかを確認し、中にいないことを確かめる
- 丈夫な資材で封鎖し、屋根に届く枝を切る
- 封鎖後も、新しい物音やフンがないかの記録を続ける
追い出しに薬剤を使う前に
相模原市の案内には、追い出しに市販の煙が出るタイプの殺虫剤が効果的とする記載があります。一方、バルサン20gの商品ページ(2026年10月3日確認)の適用害虫は、ゴキブリ、屋内塵性ダニ類、イエダニ、ノミ、トコジラミ、ハエ成虫、蚊成虫で、ムササビなどの哺乳類は載っていません。薬剤は製品表示に従うことが前提です。表示にない対象への使用は避け、使うかどうかは自治体や専門業者に確認してください。
子育て中かもしれないとき
ムササビの繁殖期は、今回確認した公的資料では分かりませんでした。子がいるかどうかは外から断定できないため、巣材の持ち込みが続く、子の気配がありそうなど、封鎖をためらうときは、時期で判断せず、自治体の鳥獣担当に相談してください。ハクビシンの追い出しの考え方はハクビシンを屋根裏から追い出す方法にまとめていますが、ムササビにそのまま当てはめず、順序の参考にとどめます。
社寺林や山沿いの住宅で多いケース|侵入口と周辺環境の見方
山梨県の資料は、ムササビは社寺林など里山の環境で確認されることが多く、リゾートマンションのベランダや家屋の屋根裏で営巣することもあり、森林に隣接する環境であれば人に近い場所でも生息できる、と説明しています。本来の巣は大きな木の樹洞で、ねぐらの森の周辺が道路や宅地の開発で切り離されると、生息環境が変わる可能性があるとも記されています。同じ資料には、孤立した社寺林でムササビが樹木の皮をはいだり食べたりして、排除しようとした例もあります。
農林水産省の中型獣類マニュアルは、神社・仏閣や空き家など、人の目が届きにくい建物が休息や繁殖の場所になりやすいため、地域の問題として住民が点検し、修繕箇所を共有するよう勧めています。マニュアルはアライグマ・ハクビシン・テンを対象にした記述ですが、建物側で屋根裏に動物を住まわせない考え方は共通します。社寺や山沿いの住宅では、屋根裏だけでなく庭木の傷みも合わせて記録すると、相談のときに状況が伝わります。
| 場所 | 見る点 | 記録するもの |
|---|---|---|
| 庭木・隣接する森 | 屋根に届く枝、近くの大木や樹洞、樹皮の傷み | 位置と、屋根までのおおよその距離 |
| 軒・瓦・増築部 | 軒の破損、瓦のすき間、増築のつなぎ目(農林水産省) | 地上から撮った写真と、破損の位置 |
| 床下の通風口 | 破損の有無。床下の侵入口として最も多い(農林水産省) | 通風口の位置と状態 |
| 社寺・空き家・集会所 | 地域住民で点検し、修繕箇所を共有する。空き家は所有者の物で、勝手には対処できない(農林水産省) | 管理者・所有者の名前と、連絡した日 |
ムササビの鳴き声は?夜の物音を記録して相談に使う
「ムササビ 鳴き声 夜」で調べる方は多いものの、今回確認した公的資料に、ムササビの鳴き声の種類や回数を書いたものはありませんでした。山梨県の資料が述べているのは、ニホンモモンガがムササビに比べて体が小さく、鳴き声もほとんど出さないため、直接の観察が難しいという比較だけです。ムササビの方が声を出す、とは読み取れますが、声の高さや回数までは分かりません。
屋根裏で夜に動く音がする場合は、声より先に、いつ、どこで、どのくらい続くかを記録します。音が日没後に始まるか、明け方に止むか、同じ経路を何度も通るかが分かると、夜行性の動物かどうかの判断材料になります。やり方は夜間の天井の音を記録する手順、音の原因が分からない段階の整理は天井裏で音がするで扱っています。ほかの動物の声は、公的資料に記載があるものだけを並べた鳴き声の一覧記事で比べられます。
- 音が始まった時刻と、止んだ時刻(日没後か、明け方か)
- 音が移動する向き(庭木から軒、屋根裏への順に聞こえるか)
- 雨や風の日に変わるかどうか
- 録音は日付と一緒に保存し、聞こえた方向を一言添える
相談先の使い分け|都道府県・市町村の鳥獣担当と業者
環境省によると、捕獲許可の権限者は都道府県知事で、多くの都道府県では権限の一部を市町村長に移しています。相模原市のように、アライグマ・ハクビシン以外の野生鳥獣については市では捕獲を行わず、被害防止対策をしても被害が防げない場合に、被害を受けている人が県や市の許可を受けて捕獲できると案内する自治体もあります。窓口の名称や対応は自治体で違うため、まず市区町村の鳥獣担当(農林・環境の担当課)に、種類の見立てと記録を添えて連絡してください。
自分で対応できない場合、相模原市は専門業者への相談も案内し、捕獲には費用がかかる点を注意書きしています。業者に頼むときは、侵入口の調査、封鎖、清掃、捕獲の要否を分けて見積もりを出してもらうと比べやすくなります。依頼先の違いは害獣駆除はどこに頼む?にまとめています。ムササビを対象にした作業実績と、許可に関する扱いを、見積もりの前に質問してください。
| 相談先 | 向く相談 | 準備しておく情報 |
|---|---|---|
| 市区町村の鳥獣担当 | 捕獲許可の要否と申請の窓口 | 日時・場所の記録、姿や侵入口の写真 |
| 都道府県の鳥獣担当 | 許可の権限が県にある場合の相談 | 市区町村で聞いた内容と、記録の写真 |
| 管理会社・管理組合 | 賃貸住宅や集合住宅での調査と封鎖の了承 | 物音の記録(日付・時刻・場所) |
| 調査と施工ができる専門業者 | 高所の侵入口の調査と封鎖 | 見積もりの内訳(調査・封鎖・清掃・捕獲の要否) |






