長崎市が注意を呼びかけるヤスデは、咬まないが生活に支障が出る不快害虫
長崎市の環境政策課は、市内で台湾原産の外来生物ヤンバルトサカヤスデと考えられるヤスデが発生していると案内しています。湿度が高く日光の当たらない、落ち葉の多い土や草地、道端の側溝などを好む虫です。人を咬んだり刺したりせず、農作物にも被害を与えませんが、日常生活に大きな不快感を与える不快害虫とされています。在来のヤスデより大型で、成虫は褐色に淡い縞と濃い縞が見られると説明されています。
環境省の外来種リスト(第2版)にもこの虫は掲載されていて、大量発生すると不快害虫になること、焼却などの刺激を与えると異臭を伴うガスが出ることが記されています。ムカデとの見分けで迷うときは、ヤスデとムカデの違いも参考にしてください。
ヤスデは人を咬んだり刺したりしますか?
長崎市の案内では、人を咬んだり刺したりせず、農作物に被害を与える虫でもないとされています。ただし、日常生活に大きな不快感を与える不快害虫で、強い刺激を与えると悪臭ガスが出るため、注意が必要です。
集団移動は年2回。10〜11月は成虫が動く時期
市の説明では、ヤンバルトサカヤスデの寿命は1年ほどで、卵から幼虫、亜成体、成虫へと脱皮を重ねて育ちます。集団で移動する時期は年に2回あり、4月から6月は幼虫、10月から11月は成虫です。湿度の高い雨上がりの夜によく見られるとされ、交尾期は晩秋ごろで、その後1か月ほどで数百個を産卵し、8日ほどでふ化するという説明です。
2026年10月時点は、成虫の集団移動が始まりうる時期の入り口です。急に家の周りで見かけるようになっても、特別な異変とは限りません。ただ、市は、この虫の大量発生について全国的にも抜本的な解決策が見つかっておらず、一度定着すると根絶は非常に困難としています。1回の対策で終わらせず、季節ごとに環境を整える前提で考えましょう。
| 時期 | ヤスデの状態 | 時期に合わせた対策の考え方 |
|---|---|---|
| 4〜6月 | 幼虫の集団移動 | 下草の除去や土の掘り起こしで日当たりを良くする(市が案内) |
| 10〜11月 | 成虫の集団移動。雨上がりの夜に多い | 側溝の掃除と、壁面・扉のすき間の侵入防止を先に整える |
| 晩秋ごろ | 交尾期。その後1か月ほどで数百個を産卵し、8日ほどでふ化 | 落ち葉がたまった湿った場所を減らす |
発生源を減らす:草刈り、落ち葉、側溝の掃除
市が最初に挙げている対策は、暗く湿った場所を作らないことです。草刈りや落ち葉の除去で、落葉がたまって湿度が高く日光の当たらない場所を減らします。幼虫の時期(4〜6月)に合わせて下草を取ったり、土を掘り起こしたりして日当たりを良くするのも効果的とされています。庭や空き地の手入れは、季節の初めに済ませておくほうが、その後の移動を抑えやすいと考えられます。
側溝は、周辺も含めて清掃を徹底し、ヤスデが入り込まないようにします。雨水と一緒に移動することがあるため、雨の前に、側溝に落ち葉や土砂がたまっていないかを確認しておきましょう。側溝が敷地の外にあって自分では手入れできない場合は、地域の自治会や、道路を管理する窓口へ状況を伝えるのが現実的です。管理会社や大家が所有する敷地であれば、清掃の頻度を相談してください。
侵入防止:外壁・階段・扉のすき間で止める
市の案内は、生息地から居住地域への移動を止める方法として、壁面に滑る素材を貼ること、扉などのすき間をふさぐことを挙げています。道路や側溝から外壁、階段、扉へと上がってくる経路を、手前で止める発想です。
壁や階段に、滑りやすい素材を貼る
養生テープ、アルミテープ、ステンレス材など、表面が滑りやすい素材を塀や壁に貼ると、ヤスデが登れなくなると市は案内しています。階段の段差に養生テープを貼る例も紹介されています。テープをはがすときは、粘着跡や塗装のはがれに注意するよう書かれているため、目立たない場所で試してから広げましょう。
扉やサッシのすき間をふさぐ
屋内への侵入を防ぐため、扉などのすき間に隙間テープを貼る方法も示されています。玄関、勝手口、サッシの下は、すき間が見つかりやすい場所です。換気口をふさぐ場合は、空気の通り道を残す必要があるため、換気口の破損を見つけたときの考え方も確認してください。
- 壁・塀:養生テープ、アルミテープ、ステンレス材など滑る素材を貼る
- 扉・サッシ:隙間テープで、すき間をふさぐ
- はがすとき:粘着跡や塗装のはがれに注意する
薬剤を使う前に確認すること
市の案内には、侵入されたくない場所だけに薬剤を帯状にまくと効果があると言われる、という記載があります。ただし、近くの農耕地や河川、用水路(側溝)に薬剤が入らないよう注意することと、農耕地では農薬取締法により登録のある農薬以外は使えないことが添えられています。薬剤の量や混ぜ方は、この記事では示しません。製品のラベルに従い、庭先の子どもやペット、洗濯物への影響も考えて使う場所を決めてください。
市は、薬剤の使用は一時的に効果があっても、やがて効きにくくなること(耐性)があり、人や動植物への影響も心配されると記しています。やむを得ず使う場合は、使用上の注意をよく読むよう求めています。薬剤に頼る前に、草刈り、側溝掃除、すき間ふさぎを先に進めるほうが、市の案内の順序にも沿います。
見つけたときの処分方法と、強い刺激を避ける理由
大量に集まっているヤスデは、ほうきなどではたくと一時的に丸くなり、集めやすくなると市は説明しています。集めたらごみ袋にまとめ、中身が漏れないようにきつく縛ります。袋に入れたまま日光に当てておくと、自ら出す毒で死ぬとされ、死滅後はそのまま燃やせるごみとして出す方法が案内されています。
一方で、火で焼く、熱湯をかけるなど強い刺激を与えると、悪臭のあるガスを出すので十分注意するよう市は呼びかけています。環境省の外来種リストにも、刺激を与えると異臭を伴うガスが出ることがあり、大量に吸い込むと頭痛や下痢、吐き気といった症状が出ることがあると記されています。素手では扱わず、強い刺激を与えない方法で集め、体調が悪くなったときは医療機関に相談しましょう。
| 場面 | 市が案内する扱い | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 玄関や階段に集まっている | ほうきなどではたいて集め、ごみ袋に入れて口をきつく縛る | 素手で触る、袋の口を開けたままにする |
| 袋に集めたあと | 日光に当てて死滅させ、燃やせるごみとして出す | 死滅前に袋を破ったり、別の場所に捨てたりする |
| 退治の方法を迷う | 強い刺激を与えない方法を選ぶ | 焼却、熱湯などの強い刺激(悪臭ガスが出る) |
賃貸・集合住宅、土や植木の移動、窓口の使い分け
賃貸住宅や集合住宅では、外壁、階段、共用の側溝は管理者の持ち物であることが多く、入居者が壁面にテープを貼る前に、管理会社や貸主へ確認しておくと安心です。ヤスデが大量に集まっている場所の写真と日時を管理会社へ送ると、清掃や側溝の手入れを頼みやすくなります。賃貸の害獣被害を管理会社へ報告するときの連絡文の考え方は、虫の相談にも応用できます。
市は、生息地域が広がる最大の要因は、土や堆肥、植木などの移動にヤスデの卵や幼虫が付いてくることだと考えられていると説明しています。発生している場所の土や落ち葉を、別の場所へ運ばないようにしてください。庭の手入れで出た落ち葉や土を車で運ぶ、植木を譲る、といった場面で気をつけたい点です。市の窓口は環境部の環境政策課で、対策のチラシも公開されています。個人宅の駆除を市が行うかどうかは、今回確認したページには書かれていませんでした。





