バルサンなどくん煙剤の適用対象|ハクビシン・イタチは表示にあるか
レック株式会社の公式サイトで、バルサン 20gの商品ページを開くと、区分は第2類医薬品で、適用害虫はゴキブリ、屋内塵性ダニ類、イエダニ、ノミ、トコジラミ(ナンキンムシ)、ハエ成虫、蚊成虫と書かれています。ハクビシンやイタチなどの動物は、適用害虫の欄に入っていません。
同社の公式FAQは、医薬品のくん煙剤は薬機法の決まりで、ゴキブリ、ダニ、ノミ、ハエ、蚊、トコジラミ、イエダニの駆除に限定され、薬局やドラッグストアでしか売れないと説明しています。不快害虫(カメムシ、ダンゴムシ、ショウジョウバエ、ガなど)向けの雑貨品のくん煙剤も、虫を対象とした製品として別に扱われています。バルサンを動物の駆除や追い出しに使う使い方は、製品が表示する用途に入っていません。
下の表の「記載なし」は、確認した公式ページの適用の欄に、ハクビシンやイタチの記載が見当たらなかったという意味です。他の製品や過去の製品まで含めた断定ではないため、お手元の製品の説明文書も読んでください。
| 製品・区分 | 公式ページの表示 | ハクビシン・イタチの記載 |
|---|---|---|
| バルサン 20g(第2類医薬品、レック) | 適用害虫はゴキブリ、屋内塵性ダニ類、イエダニ、ノミ、トコジラミ、ハエ成虫、蚊成虫 | 記載なし |
| バルサンの雑貨品くん煙剤(不快害虫用、レックのFAQ) | カメムシ、ダンゴムシ、ショウジョウバエ、ガなど、家に発生する不快害虫の駆除用として説明 | 記載なし |
| ネズミ一発退場 くん煙タイプ(アース製薬) | ネズミを忌避(追い出し)する製品で、害虫駆除製品ではないと表示 | ネズミ用。ハクビシン・イタチの記載なし |
参考:レック株式会社|バルサン 20gの商品情報(第2類医薬品・適用害虫)
ハクビシンやイタチにバルサンは効きますか?
確認したバルサンの製品ページの適用害虫に、動物は含まれていません。動物への効果を示す表示はなく、レックのFAQは天井裏と床下では使用できないと案内しています。自治体には、追い出しの方法として燻煙剤に触れる案内もありますが、表示の範囲外の使い方になる点に注意してください。
屋根裏・天井裏でバルサンは使えるか|FAQの表示と動物用くん煙タイプ
レックのFAQは、使用できない場所として、車の中と、天井裏・床下などを挙げています。天井裏や床下を使えない理由は、構造上、煙がうまく行き渡りにくいことです。床下での考え方は床下にバルサンは使える?くん煙剤・粉剤・薬剤散布の適用を表示で確かめるにまとめています。
一方、アース製薬のネズミ一発退場 くん煙タイプは、使用場所に屋根裏・天井裏、床下、倉庫を挙げ、天井裏で使う場合は煙が室内に入らないようにと注意しています。同じくん煙でも、対象が居室の害虫か、ネズミの追い出しかで、使用場所の表示が逆になります。この製品はネズミ用で、用途以外に使用しないよう表示されているため、ハクビシンやイタチに使う根拠にはなりません。
火災警報器・ガス警報器の覆い
バルサンの商品ページとFAQは、煙を感知する火災警報器や、微粒子を感知するガス警報器が反応することがあるため、袋などで覆うよう求めています。アース製薬のネズミ用くん煙タイプも、火災報知器が作動することがあるため覆いをし、直下では使わず、処理後は必ず覆いを取り除くとしています。屋根裏で使う場合は、居室側へ煙が入らないようにという注意が書かれていますが、警報器を覆う場所と、煙の行き先の両方を屋根裏の構造で確認するのは難しい点です。
ペットと人の体調への注意
バルサンのFAQは、ペット(哺乳類)は必ず外に出してからくん煙し、使用後は十分に換気してから室内に戻すとしています。アース製薬のネズミ用くん煙タイプは、ペットや家畜のいる場所では使用しないとしています。人が煙を吸い込んで気分が悪くなったときは、通気のいい所で安静にし、回復しなければ医師の診療を受けるよう、同製品の表示は案内しています。
断熱材・配線など、表示に書かれていない物
バルサンの商品ページは、飲食物、寝具、精密機器、仏壇仏具などへ煙が触れないようにカバーを求める、居室向けの注意で構成されています。屋根裏の断熱材や配線、木部への影響は、確認した表示には書かれていません。アース製薬の製品ページは、缶がセット後に熱くなるため触れないよう注意しており、バルサンのFAQも、煙タイプと霧タイプを同じ部屋で同時に使うと引火や爆発の危険があると警告しています。荷物や配線、断熱材のある屋根裏で、熱や火気の扱いが表示から読み取れない使い方はしない、という判断が妥当です。
| 確認項目 | 居室用くん煙剤(バルサン) | ネズミ用くん煙タイプ(アース製薬) |
|---|---|---|
| 対象 | ゴキブリ、ダニ、ノミ、トコジラミなど(区分で異なる) | ネズミの追い出し(忌避) |
| 使用場所の表示 | 部屋を閉め切り、床の中央に置く。天井裏・床下は使用できない(レックのFAQ) | 屋根裏・天井裏、床下、倉庫 |
| 火災警報器 | 煙で誤動作するため、覆いをして使用後に外す | 作動することがあるため覆い、直下では使用しない |
| ペット・家畜 | ペット類は部屋の外へ出し、使用後に換気してから戻す | ペットや家畜のいる場所では使用しない |
| 使用後 | 所定の時間を閉め切り、換気してから入室する | 天井裏・床下は換気不要。倉庫など人が入る所は換気する |
動物の追い出しに煙を使う自治体の案内と、製品表示のずれ
ハクビシンやイタチへの対処として、ゴキブリ・ダニ用の燻煙剤に触れる自治体の案内は実際にあります。大阪市西淀川区は、イタチはダニやノミを持ち込んでいる場合もあるとして、市販のゴキブリ・ダニ用の燻煙剤を焚くよう案内し、煙を嫌がってイタチが出ていくこともあると書いています。堺市は、ダニやゴキブリ用の燻煙剤を焚くと、煙や臭いを嫌がって出て行く、天井で蚊取り線香を焚くのも効果があるようだが、火の取扱いには十分な注意が必要としています。
一方、メーカーの表示は居室の害虫向けで、レックのFAQは天井裏と床下では使用できないとしています。自治体の案内は製品名を挙げておらず、製品ごとの適用や使用場所の表示までは書いていません。案内に従うつもりでも、使い方が製品の表示の範囲を超えることがあるため、使うかどうかは、表示と自治体の説明の両方を見て、自治体の鳥獣担当にも確認してから決めてください。
動物を弱らせたり死なせたりする目的で薬剤を使うことは、鳥獣保護管理法が原則として禁止する捕獲・殺傷に当たるおそれがあります。大阪市西淀川区も、イタチは許可なく捕獲することが禁止されており、まずは捕獲ではなく追い出す方法を試すよう案内しています。法律の整理はハクビシン駆除の法律。罠の許可・外来種としての扱い・毒餌の禁止にあります。
| 資料 | 煙・薬剤についての記載 | 条件・限界の記載 |
|---|---|---|
| 東京都環境局(2026年4月6日更新) | 屋根裏に入ったアライグマ・ハクビシンを、くん蒸式・くん煙式の殺虫剤等でその場から追い出せる可能性はあるとする | 逃げた個体が別の家で被害を起こすおそれがあり、数を減らす根本的な解決にならない。密閉空間でないと煙が行き渡らず、屋根裏に居続けて効果がないこともある |
| 世田谷区(Q&A、2026年8月) | 天井裏などにいる場合の対策として、燻煙剤の使用(煙を嫌うため効果が期待できる)と、蚊取り線香を挙げる | 同じ項目に、建物に面した枝を払うこと、侵入口となる穴を塞ぐことも挙げている |
| 大阪市西淀川区(2026年5月15日の掲載) | イタチ向けに、市販のゴキブリ・ダニ用の燻煙剤を焚くよう案内 | 追い出した後は侵入経路となる穴を塞ぐ。3cmの穴があれば通過できると言われる |
| 堺市(2021年2月22日更新) | イタチ向けに、ダニやゴキブリ用の燻煙剤と、天井での蚊取り線香を紹介 | 侵入口をふさぐことが基本。蚊取り線香は火の取扱いに十分な注意が必要 |
| 農林水産省(中型獣類編のコラム) | 住宅に入るイタチ(シベリアイタチ)への防除は、捕獲や薬剤を使うのでは不十分とする | 動物が入れる穴や隙間をすべて封鎖する方法しかない。3cm程の穴からも入る |
煙で出ても戻る理由|封鎖が必要なハクビシン・イタチの侵入口
煙や匂いで動物が一度出ても、侵入口が残っていれば戻れます。農林水産省のコラムは、屋根裏に入る住環境害獣への防除は、捕獲や薬剤を使うのでは不十分で、動物が建物内に侵入できるすべての穴や隙間を封鎖する方法しかないと述べています。具体的な侵入ポイントとして、屋根の重なり、入母屋屋根の両隅、床下換気口、給湯器などの配管の引き込み部を挙げています。
同じコラムは、一般の人が点検・封鎖するには建築知識が必要で、見落としや事故のリスクがあるため、被害が出ている場合は専門の防除業者に依頼するのが無難としています。封鎖と追い出し、清掃の順番は、害獣の追い出し・封鎖・清掃はどの順番?工程表で確認するにまとめています。
ハクビシンの場合
農林水産省のマニュアルは、ハクビシンは6cm×12cmの隙間があれば侵入でき、夏は涼しい床下、気温が下がると暖かい天井裏を日中の休憩場所に使うと説明しています。ねぐらは1頭が複数の場所を持ち、他の個体と共同や時間差で使うこともあるとされるため、1か所から追い出しても、別の場所へ移るだけになることがあります。東京都環境局も、逃げた個体が別の家で被害を起こすおそれを指摘しています。
イタチの場合
農林水産省のコラムは、シベリアイタチは体が小さく、3cm程の穴や隙間からも入ると説明しています。堺市は、イタチは天井裏で断熱材をほぐして巣を作り、子育てするケースが増えていると述べています。巣のある場所には煙が届くかどうかが構造で変わるため、煙を焚いたことだけで、巣ごと出ていったと判断することはできません。
幼獣がいる時期にくん煙を使わない理由
ハクビシンの繁殖期は1月から9月、出産期は3月から11月と推定され、ほとんど年間を通して繁殖すると農林水産省は説明しています。妊娠期間は約2か月で、1度に1〜4頭が生まれ、樹洞や家屋の天井裏を出産と子育ての場に使います。子は生後1か月ほどでねぐらを出て母親について出歩くようになりますが、母親と同じ大きさになっても一緒に行動する様子が見られ、子別れの時期ははっきりしていません。暦の上で子どもがいない時期を決めるのは難しい動物です。
世田谷区のQ&Aは、ハクビシンが一か所に棲みつくのは出産と子育てのためで、それ以外は場所を転々と変えると説明しています。毎晩同じ場所で足音が続くときは、子育て中の可能性を考えて、煙で追い出す判断を急がないようにします。イタチについても、堺市は繁殖期を4月ごろから8月ごろとし、年に1回5〜6頭を出産すると案内しています。
子がいる状態で追い出しを試みると、母獣と子を引き離したり、子が建物内に取り残されたりするおそれがあります。子どもの有無は、外から音を聞くだけでは確かめにくいため、調査で確認してもらうのが確実です。追い出しの手順と時期の判断は、ハクビシンを屋根裏から追い出す方法。時期の判断と封鎖までの手順で整理しています。
- 子どもらしい短い鳴き声が聞こえる(農林水産省は、足音や子の鳴き声を家屋侵入の被害として報告)
- 毎晩のように、同じ天井の上で足音が続く(世田谷区は、棲みつくのは出産と子育てのためと説明)
- 春から秋にかけての時期(農林水産省は、出産期を3月から11月と推定)
- 天井にシミが出ている、フンのにおいが強い(ねぐらの中で排泄し、糞尿が堆積する例が農林水産省にある)
ノミ・ダニ対策としてのくん煙剤|表示の対象は居室の害虫
バルサン 20gの適用害虫には、ノミ、屋内塵性ダニ類、イエダニが入っています。これは居室で発生したノミやダニを対象にした表示です。屋根裏に動物がいたときの寄生虫対策として、屋根裏にくん煙剤を焚く使い方は、確認した表示にはありません。
農林水産省は、ハクビシンにはノミやダニが付いており、それらが媒介する病気や、ハクビシン自体や糞尿を経由して伝わる感染症があるため、過度な接近に注意が必要で、ペットに感染する病気も媒介するとしています。大阪市西淀川区も、イタチはダニやノミを持ち込んでいる場合もあると案内しています。刺された跡やかゆみ、体調の変化があるときは、医療機関や自治体の相談窓口へ相談してください。
居室でノミやダニが出ているときは、動物とは別に原因を整理します。ノミの発生原因。ペットがいない家でも出る経路と野良猫・害獣の確認が手がかりになります。屋根裏のフンの清掃や消毒は、害獣のフン処理と消毒。少量を自分で片付ける手順と業者に任せる目安を参照してください。
バルサンを焚く前の判断表|状況別の次の動き
ここまでの表示と資料を、状況別にまとめます。くん煙剤を使うかどうかを決める前に、どの状況に近いかを見てください。
| 状況 | 表示・資料から言えること | 次の動き |
|---|---|---|
| 居室でゴキブリ・ダニ・ノミが出ている | バルサンの適用害虫に当たる。居室向けの使い方が表示されている | 動物とは別の対策として、説明文書の使い方と注意に従う |
| 屋根裏から足音・子の声・フンがある | 天井裏はレックのFAQで使用できない。幼獣がいる可能性もある | くん煙の前に調査を相談し、侵入口と子どもの有無を確かめる |
| ハクビシンやイタチを庭で見ただけ | 建物の中にいるとは限らず、追い出す対象がない場合もある | 餌になる物の片付けと、軒や換気口の点検を先に行う |
| ネズミ用のくん煙の使用を考えている | ネズミ用で、用途以外に使用しないと表示されている | ハクビシン・イタチへの使用は表示の範囲外。使わない |
| 賃貸住宅・集合住宅で屋根裏を使う | 天井裏や共用部の作業は、管理者の判断が関わる | 管理会社や管理組合へ先に連絡する |







