床下でバルサンが使えない理由|部屋用くん煙剤が前提にする条件

レック株式会社の公式FAQは、医薬品くん煙剤を、殺虫成分の入った煙や霧で室内を一度に隅々まで駆除するものと説明しています。使用できない場所として挙げているのは、車の中と、天井裏や床下です。床下を挙げた理由は、構造上、煙がうまく行き渡りにくいことです。

同じFAQには、雑貨品の「家庭用 まるごと殺虫くん煙剤」も載っています。こちらは不快害虫用で、FAQはムカデ、ゲジ、アリなどに効果があるとしています。不快害虫用のバルサンDX煙の説明文書でも、適用害虫にムカデ、ヤスデ、ゲジ、アリなどが並びます。FAQは、使用方法と注意は医薬品のくん煙剤と同じと説明しています。バルサンDX煙の説明文書を見ると、使い方は部屋を閉め切り、床面の中央に置くことが前提で、床下での使い方は書かれていません。

下の表は、部屋用くん煙剤の表示と、床下の条件を並べたものです。右の列は、表示の条件を床下の構造に照らして考えた整理で、製品が床下での使い方を示しているわけではありません。

床下でバルサンが使えない理由|部屋用くん煙剤が前提にする条件:確認項目
確かめる点部屋用くん煙剤の表示床下で想定される違い
使う場所部屋の窓や換気口などを閉め切り、部屋の床面のほぼ中央に置く床下は居室ではなく、外壁に通風口が設けられている。木造の場合、建築基準法施行令は、床下をコンクリートなどで覆う場合などを除き、壁の長さ5m以下ごと、面積300平方センチメートル以上の換気孔を求めている
広さの基準使用量は天井までの高さ2.5mを目安に、畳数で示される床下は高さが低く(公開事例では約47cm)、畳数では測りにくい
煙の行き先煙が隣室に流入する可能性があるため、密閉性の低い隣室にはいないよう求める点検口や床板のすき間、配管の貫通部で居室とつながっている場合は、煙が居室側へ入る可能性を想定する必要がある
感知器・警報器煙感知型の火災警報器やガス警報器が反応することがあり、覆いをして、使用後は元に戻す床下に感知器がなくても、居室側の感知器に煙が届く可能性がある
入室と換気退出後2時間から3時間以上たってから入室し、十分に換気する床下は狭く換気しにくい場合があり、薬剤が残る時間の見当をつけにくい

参考:レック株式会社|バルサン よくあるご質問(医薬品くん煙剤・雑貨品くん煙剤)

読者の疑問

床下にバルサンは使えますか?

比較ガイド

バルサンの販売元のレック株式会社は、公式FAQで医薬品くん煙剤は天井裏や床下では使用できないと案内しています。構造上、煙が行き渡りにくいためです。雑貨品を含め、各製品の説明文書の使用場所も確認してください。

床下でアースレッドなど他社のくん煙剤を使えるか|表示で確かめる3つの点

アース製薬のアースレッドの使い方ページでは、事前準備として窓を閉め切ること、火災報知器に覆いをかけること、ペットや観賞魚を部屋から出すことが示されています。使用後は2時間以上たってから入室し、1時間程度しっかり換気するとされ、使用する部屋や家屋から薬剤が漏れないように注意する旨も書かれています。このページに、床下で使う方法は載っていません。

不快害虫用の「アースレッドイヤな虫用」の製品ページも同じ考え方です。対象害虫の欄にムカデ、クロアリ、シロアリなどが並びますが、使用面積は6畳から8畳のように畳数で書かれ、部屋を閉め切って部屋の中央に置く使い方です。

区分によって、対象にできる害虫の範囲が違う点にも注意してください。レック株式会社のFAQは、医薬品くん煙剤の対象は薬機法の決まりで、ゴキブリ、ダニ、ノミ、ハエ、蚊、トコジラミ、イエダニに限られると説明しています。他社の製品を使うときも、「同じ事情だろう」と決めつけず、説明文書で次の3点を確かめます。

  • 説明文書の「使用してはいけない場所」や「使用場所」に、床下や天井裏が書かれているか
  • 適用害虫の欄に、探している虫(ムカデ、アリなど)が入っているか
  • 区分(医薬品か雑貨品か)と、対象にできる害虫の範囲

参考:アース製薬|アースレッドの使い方(準備・使用後・注意事項)

床下に出る虫と剤型の選び方|ムカデ・ヤスデ・ゲジ・アリ・ゴキブリ

床下で見つかる虫ごとに、公式ページで確認できる剤型と使用場所を表にしました。床下に使えるかどうかは、製品ごとに書かれた使用場所で決まります。表は、使われ方の例であり、特定の製品の推奨ではありません。

ムカデの暮らし方と対策はムカデが室内に入るときの見直しで、アリは屋内のクロアリが繰り返し出るときの確認で扱っています。ゴキブリは、床下に出る場合でも発生源が室内か床下か外か分かりにくいため、調査で確かめてから対策を選ぶと判断しやすくなります。

床下に出る虫と剤型の選び方|ムカデ・ヤスデ・ゲジ・アリ・ゴキブリ:確認項目
虫公式ページで確認できる剤型と使用場所注意したい点
ムカデ・ヤスデ・ゲジアース製薬の「ムカデコロリ 粉剤」は、対象害虫にムカデ、ヤスデ、ゲジゲジが並び、使用場所に植木鉢の下、家の周囲、床下、通風口などが書かれている。堺市は、家屋の周りを取り囲むように粉状や粒状の薬剤を帯状に散布する防除を案内している散布量や帯状の幅は製品表示と自治体の案内に従う。ペット、洗濯物、水辺への飛散に注意する
アリ(クロアリなど)アース製薬の「スーパーアリの巣コロリ」(ベイト剤)は、置き場所に通気口の近くなどが挙がる。「アースガーデン アリ撃滅 粉タイプ」は家のまわりで使い、室内では使わない床下の巣は見えないため、行列の出入り口を確かめてから選ぶ。ベイト剤はシロアリや羽アリを誘引しない
ゴキブリアース製薬の「ブラックキャップ」(ベイト剤)の置き場所は、台所の隅、流しの下、引き出しの中など。バルサンの「まちぶせスプレー」は、畳の下も使用可能と説明されているブラックキャップの置き場所に床下は書かれていない。畳の下は床下とは別の場所
シロアリアース製薬の「シロアリアース」は、床下処理の使い方が表示されている。一方、日本しろあり対策協会は、協会に登録された者が認定薬剤と標準仕様書に基づいて防除を行うとしている被害の範囲は、床下全体と木部の調査で確かめる。後述の理由で、市販薬だけに頼らない

参考:アース製薬|ムカデコロリ 粉剤 550g 製品情報

粉剤・粒剤を建物の外周にまくときの方法と、雨・ペット・子どもへの配慮

ムカデ対策として、粉剤や粒剤を家のまわりに散布する方法は、自治体も案内しています。堺市は、ムカデは湿気のある狭い暗所を好み、草むら、落ち葉の下、石垣のすき間、庭石やブロックの下、プランターの下などに生息しやすいと説明しています。発生源の抜本的な駆除は難しいため、廃材などの撤去と整理整頓、家屋の周りへの薬剤散布で侵入を防ぐ方法が示されています。

アース製薬の粉剤の表示には、風向きを考え、周辺の人家、通行人、ペット、ペットの餌、洗濯物、玩具、観賞魚、食べ物、食用作物に薬剤がかからないようにすること、井戸や地下水の水質を汚染するおそれのある場所では使わないことが書かれています。アリ用の粉剤では、散布後に雨や水がかかると効果が減るため散布し直すこと、魚毒性があるので水槽や池に入らないようにすること、室内では使用しないことが示されています。

散布量、帯状の幅、散布の間隔は、製品ごとに異なります。この記事では数値を示しません。製品の説明文書や公式ページの記載に従ってください。

  • 風向きを見て、人家、通行人、洗濯物、ペットの餌にかからない日を選ぶ
  • 子どもやペットが、散布した場所に近づかないようにする
  • 雨の前後は流れて効果が変わるため、散布し直しの要否も表示で確認する
  • 井戸、池、水槽に近い場所では、表示の使用制限を確認する
  • 散布量は製品ごとの表示に従い、量を増やして効かせようとしない

参考:堺市|ムカデ

薬剤を使ったあとに床下へ入るまでの時間と換気

くん煙剤の表示では、使用後に退出して所定の時間を過ぎてから入室し、換気することが示されています。バルサンDX煙の説明文書は、退出後2時間から3時間以上たってから入室し、換気のために入室するときも、タオルなどで口や鼻を押さえて薬剤を吸い込まないようにするとしています。体に異常を感じたときは、説明文書を持って医師に相談するよう書かれています。床下での使用は想定されていないため、床下に入るまでの時間や換気の方法は、表示にありません。

粉剤、粒剤、スプレーを床下で使う場合も、床下に入る前に、製品の説明文書に「使用後の換気」「薬剤がかかったときの対処」「入室までの待ち時間」の記載があるかを確認します。記載がないときは、製品の問い合わせ窓口に、床下で使ったあとの入室について尋ねてから動く方が安全です。

床下の作業自体にも危険があります。厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、木造住宅の床下(高さ約47cm)で、電源を切っていない換気扇の配線に電動ドリルが当たり、感電したと推定される事例が載っています。床下は、狭さ、暗さ、配線という条件が重なる場所です。無理に入らず、必要なら業者に任せる判断もあります。

参考:レック株式会社|バルサンDX煙 説明文書(雑貨品くん煙剤、PDF)

床下にシロアリの可能性があるとき、市販薬で済ませず調査を受ける理由

日本しろあり対策協会によると、シロアリ防除処理は、協会に登録された者が認定薬剤を使い、防除施工標準仕様書と安全管理基準に基づいて行うことになっています。処理には土壌処理と木部処理があり、両方を行うとされ、標準仕様書は5年を目途に再処理するとしています。市販薬を床下に使うことと、この仕様の防除は、範囲も手順も別のものです。

市販品の側の案内も、アリ用の製品とシロアリを分けています。バルサンのFAQは、アリへの効果は全般に期待できるが、シロアリはアリではなく、シロアリへの効果は確認していないと説明しています。アース製薬のアリ用ベイト剤の製品ページは、シロアリや羽アリは誘引されないと明記し、これらにはエアゾールタイプの別製品を使うよう案内しています。

床下のシロアリ用スプレーには、床下換気口から薬剤を広げる使い方を表示する製品もあります。ただし、協会は被害の手がかりとして、蟻道、蟻土、食痕、空洞音、建物の異常、羽アリの群飛を挙げ、被害は土台や床束から柱、壁の内部、天井裏へ及ぶことがあるとしています。見えない部分の被害は、床下全体と木部を調べないと範囲が分かりません。羽アリが出たときは羽アリが出たら何を残すかも参考にしてください。

  • 蟻道:基礎、束石、土台などに付く土のトンネル
  • 蟻土:木材の割れ目や継ぎ目に詰めた排出物や土砂
  • 食痕:木材の軟らかい部分を食べ、硬い部分が残る
  • 空洞音:被害が進んだ木材をたたくと空洞のような音がする(壊して確かめない)
  • 羽アリの群飛:住まいやその近くでの目撃

参考:日本しろあり対策協会|シロアリ防除の方法

床下の虫を見つけたときの分かれ道|自分で検討するか、調査に回すか

薬剤を使う前に、見つけた手がかりから、どの虫の可能性があるかを絞ります。次の表は、手がかりごとに次の動きを分けたものです。湿気が主な原因のときは床下の湿気と害虫対策を、物音やフンがあるときは動物の調査を、アリの行列を見つけたときは床下に蟻の巣があるときのクロアリとシロアリの見分け方を参照してください。

くん煙剤を使う前の成分や潜み場所の確認は、トコジラミの例でトコジラミにくん煙剤を使う前の確認に整理しています。虫の種類が違っても、表示の使用場所と対象害虫を確かめる流れは同じです。

床下の虫を見つけたときの分かれ道|自分で検討するか、調査に回すか:確認項目
見つけた手がかり考えられる虫次の動き
土のトンネル状のもの、木材の割れ目に詰まった土、羽アリシロアリ市販薬を使わず、調査を受ける。写真と見つけた位置を残す
アリの行列が、基礎や床下通風口の周りを出入りしているクロアリなど(シロアリかどうかの確認が先)触角、翅、腰の形でシロアリと分け、クロアリなら餌とすき間の管理から進める
足の多い細長い虫が、湿った場所や床下の外周で見つかるムカデ、ヤスデ、ゲジなど外周の整理と、表示に床下や通風口が書かれた粉剤などを検討する。咬まれたときは医療機関へ
台所や流しの下から床下へ続く場所でゴキブリを見かけるゴキブリ室内の置き場所が表示されたベイト剤を台所側で使う。床下の発生源は調査で確かめる
虫は見えず、湿気、カビ、においだけがある虫以外(湿気や漏水)の可能性薬剤を使わず、湿気や漏水、地面の状態を調べる
物音、足音、フンがある動物(ネズミなど)虫用の薬剤ではなく、動物の調査と相談へ進む