ハクビシンの赤ちゃんを見つけたとき|屋外か屋根裏かで最初の行動が変わる
赤ちゃんと思われる動物を見つけた場所が、庭や道路などの屋外なのか、屋根裏や床下から聞こえる音なのかで、取るべき行動は変わります。屋外の場合は、近づかずに離れて見守ることが基本です。福井市の野生動物Q&Aは、幼獣やヒナ鳥がうずくまっているときの対応として「そのままにしてください」と案内し、近くに親がいても人間が怖くて近寄れないことを理由に挙げています。
屋根裏の場合は、姿を見ていなくても、子の鳴き声や足音から子育て中と推測されることがあります。世田谷区のQ&Aは、ハクビシンが同じ場所に棲みつくのは出産と子育てのためで、それ以外の時期は場所を転々と変えると説明しています。毎晩同じ場所で音が続くときは、子育て中の可能性を考えて、塞ぐ作業や追い出しを急がないでください。次の表に、状況ごとの最初の行動を整理します。
| 見つけた状況 | 最初の行動 | 避けること |
|---|---|---|
| 庭や道路に小さな動物がうずくまっている | 距離をとり、近づかない。ペットや子どもを遠ざけて様子を見る | 触る、箱や袋に入れる、連れ帰る |
| 子連れの動物を夜に目撃した | 見守り、日時と場所を記録する。餌になる生ごみや果実を外に置かない | 近づいて追い払う、餌を与える |
| 屋根裏や天井裏から高い鳴き声や小さな足音がする | 音の時刻と回数を記録し、自治体か専門業者に子育て中の可能性を伝える | 天井裏に入る、侵入口を塞ぐ、追い出しを急ぐ |
| 弱っている、動けない、死んでいるように見える | 素手で触らず、自治体の窓口か施設の管理者に状況を連絡する | 自力で保護して世話をする |
参考:福井市|福井市野生動物に関する相談Q&A集(令和8年8月、PDF)
ハクビシンの赤ちゃんを拾ってしまったらどうすればよいですか?
すぐに元の場所へ戻すのが基本です。福井市は、すでに保護してしまった場合はすぐに元の場所に戻すよう案内しています。素手で触れた場合や体調に不安がある場合は、診断を自己判断せず、医療機関に相談してください。
ハクビシンの赤ちゃんの成長の目安|出産の時期と母子の様子
農林水産省の野生鳥獣被害防止マニュアル(中型獣類編)は、ハクビシンの妊娠期間を約2か月、1度に生まれる子を1〜4頭と説明しています。子は生後1か月くらいからねぐらを出て母親について出歩くようになり、生後3か月で成獣と同程度の体重になります。ただし子別れの時期は明確ではなく、母親と同じ大きさになっても一緒に行動する様子が観察されるとも書かれています。
出産の時期は、資料によって幅があります。国立環境研究所のデータベースは出産期を3〜12月、農林水産省は3〜11月と推定しています。東京都は一年中繁殖が可能で年に1回出産すると説明し、世田谷区のQ&Aは特に春先が多いとしています。季節だけで「この時期は赤ちゃんがいない」とは判断できません。
| 時期の目安 | 様子 | 出典の記載 |
|---|---|---|
| 生後1週間ほど | 天井裏で母親が子を運ぶ様子や、生後1週間程度の個体の写真が紹介されている | 農林水産省のマニュアル(写真の説明) |
| 生後1か月ごろ | ねぐらを出て、母親について出歩くようになる | 農林水産省のマニュアル |
| 生後3か月ごろ | 体重が成獣と同程度になる | 農林水産省のマニュアル |
| それ以降 | 子別れの時期は明確でなく、母親と同じ大きさでも一緒に行動することがある | 農林水産省のマニュアル |
赤ちゃんの見た目|似た動物と種類を決めつけない
赤ちゃんの見た目から動物の種類を決めるのは、公的資料の範囲でも難しい面があります。次の二つの場面に分けて、決めつけないための考え方を整理します。
見た目だけでは種類を決めにくい
赤ちゃんの毛色や大きさを細かく書いた公的資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。世田谷区のQ&Aは、ハクビシンとアナグマは顔の白い縦線が似ていて、特に幼獣は似ており、区別は尻尾の長さだと案内しています。夜間や距離のある場所では尾まで見えないことが多いため、「ハクビシンの赤ちゃん」と決めつけず、見えた特徴をそのまま記録します。見分け方はハクビシンとアナグマの違いにまとめています。
アライグマの幼獣だった場合
子連れの動物がアライグマだった場合、アライグマは外来生物法の特定外来生物です。環境省は、特定外来生物を野外で捕まえて持って帰ること(運搬)は原則禁止で、その場ですぐに放すことは規制の対象にならないと説明しています。ハクビシンは特定外来生物の一覧に載っていませんが、種類が分からない幼獣は、どちらの場合でも持ち帰らないことが安全です。アライグマの親子はアライグマの親子を見かけたときで扱っています。
ハクビシンの赤ちゃんの鳴き声|公的資料で確認できる範囲
世田谷区のQ&Aは、ハクビシンの鳴き声を「にゃ〜 にゃ〜」「ぎゃ〜 ぎゃ〜」と紹介し、主に幼獣が発するとされると書いています。農林水産省のマニュアルも、ハクビシンが家屋をねぐらや出産・子育ての場に使うと、足音や子の鳴き声による騒音が被害として報告されていると説明しています。
一方で、赤ちゃんの声と猫やほかの動物の声を聞き分ける根拠は、今回確認した公的資料にはありません。声だけで種類を決めず、聞こえた日時、天井の位置、続いた長さを記録します。音の見分け方はハクビシンの鳴き声と屋根裏の足音に、一晩のメモの作り方は夜間の天井の音を記録する方法にまとめています。
親が近くにいる?見守るときの考え方
ハクビシンは、基本的に単独、もしくは母子で活動すると農林水産省のマニュアルは説明し、国立環境研究所のデータベースも母仔を中心とした家族単位で生活するとしています。小さな個体を一頭だけ見かけても、親が近くにいる可能性があります。福井市のQ&Aは、人間を怖がって幼獣に近寄れないことに加えて、幼獣が人間に危害を加えられると勘違いして、親から攻撃を受ける危険も挙げています。
見守るときは、距離をとり、犬や猫、子どもを近づけません。人がそばにいる間は、親が戻れない可能性があります。福井市は、時間がたつといなくなるケースが大半だと説明し、すでに連れてきてしまった場合は、すぐに元の場所へ戻すよう案内しています。ただし、車や犬猫の危害が及びそうな場所では、植え込みに隠すなどの少しの移動なら構わないとも書かれています。判断に迷うときは、素手で触れずに自治体へ連絡します。
触らない・連れ帰らない・飼わない理由|法律と衛生面
「かわいい」「かわいそう」と感じて手を出したくなる場面ですが、京都府は、幼獣を保護しても、野生で生きていくために必要な術を人間が教えることはできないとして、ヒナ・幼鳥・幼獣の受け入れを行っていないと説明しています。福井市も、幼いうちに人間に保護された野生鳥獣は、野生での生存率が著しく低下するとしています。手を出さないことは、動物のためにもなります。理由は、次の法律と衛生面の説明のあとに、3点でまとめます。
法律|許可なく捕まえることも、保護して飼うことも認められていない
鳥獣保護管理法の第8条は、鳥獣の捕獲や殺傷を、許可を受けた場合や狩猟鳥獣を狩猟として捕獲する場合などを除いて禁止しています。ハクビシンは狩猟鳥獣に含まれますが、狩猟には免許や登録、期間の条件があり、赤ちゃんを連れ帰る行為はそのどれにも当てはまりません。京都府は、保護した場合であっても野生動物を飼うことは法律で禁止されており、基本的に野生動物は飼えないと案内しています。
許可なく狩猟期間外などに狩猟鳥獣を捕獲した場合は、第83条第1項第2号の対象になり得て、一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金が定められています。罰則の適用は個別の事案ごとに判断されますが、愛玩のための飼養を目的とする捕獲は、省令で許可を受けなければならない目的として別に挙げられており、手続きなしに連れ帰ることはできません。
衛生面|ノミ・ダニや感染症のおそれ
農林水産省のマニュアルは、ハクビシンにはノミやダニが付いており、それらが媒介する病気や、動物自体や糞尿を経由して伝わる感染症があるため、過度な接近は注意が必要だと説明しています。人への感染だけでなく、ペットに感染するおそれがある病気も媒介するため、ペットの生活空間にハクビシンが長時間滞在しないようにすることも挙げています。マダニが媒介するSFTSなどにも注意が呼びかけられ、発熱、倦怠感、消化器症状などの初期症状が出たら医療機関を受診するよう勧められています。
世田谷区のQ&Aも、毛が抜けて病気と思われる野生動物について、寄生虫や感染症の病原体が存在する場合があるため、直接触らないよう案内しています。素手で触れてしまった場合など、体調に不安があるときは、診断を自己判断せず、医療機関に相談してください。
- 親が近くにいて、戻ろうとしている可能性がある
- 野生のハクビシンは許可なく捕獲できず、保護して飼うことも法律で認められていない
- ノミ・ダニや感染症の可能性があり、家族やペットにも影響しうる
屋根裏で子育て中かもしれないとき|封鎖を急がない進め方
天井裏から子の鳴き声や小さな足音がするときは、封鎖や追い出しを急ぐと、子が中に取り残されるおそれがあります。農林水産省のマニュアルは、侵入場所が確認できたら塞ぐ作業になるが、中にいないことを確認するのを忘れてはいけないと注意しています。砺波市は、自分での追い払いも可能としつつ、ハクビシンの子どもがいる場合は追い出しが難しくなり、ふん尿の消毒など捕獲後の対策も考えると、専門の業者への依頼をお勧めしています。
捕獲が必要になった場合も、許可が要ります。許可の枠組みと自治体ごとの違いはハクビシン駆除の法律で整理しています。追い出しと封鎖の具体的な順番はハクビシンを屋根裏から追い出す方法にあります。赤ちゃんがいる可能性があるときは、その手順に進む前に、一度立ち止まる点を押さえてください。
子育て中が疑われるときの進め方の順番
子育て中が疑われるときは、次の順番で進めると、取り残しや二度手間を避けやすくなります。いずれも、天井裏や床下に入らず、地上や室内から行える範囲にとどめます。
- 音の日時・場所・続いた長さを記録する(天井裏には入らない)
- 地上から見える範囲で、侵入口の候補を写真に残す(見るだけにして、まだ塞がない)
- 自治体の窓口に、子の鳴き声のような音がすることを伝え、使える制度を確認する
- 専門業者に現地調査を頼む場合は、子育て中の可能性があることを最初に伝える
- 音や痕跡が止まったことを一定期間確認してから封鎖する(期間は調査する人と決める)
参考:砺波市|ハクビシンの対策
弱っている・死んでいる赤ちゃんを見つけたとき|連絡先の考え方
ケガや衰弱が疑われる幼獣を見つけても、救護してもらえるとは限りません。京都府は、救護の対象から除く野生動物として、タヌキ、ハクビシン、アナグマと、ヒナ・幼獣を挙げています。岩手県も、有害性の高い獣類としてハクビシンなどを救護対象から除き、熊本県は生まれて間もない幼獣を保護の対象としていません。福井市は、市で保護できる施設はないと案内しています。まず、お住まいの市町村や都道府県の窓口に、状況と場所を伝えて案内を確認します。
死んでいるように見えるときも、素手では触れません。京都府は、死んでいる野生動物には素手で触れないよう気をつけ、燃えるごみとして廃棄するよう案内し、公共の場で死んでいる場合は管理者へ連絡するとしています。福井市は、道路の種類ごとに連絡先を分け、自宅の庭の場合は一般廃棄物として手袋などで直接触れずに回収するよう勧めています。連絡先や処分の方法は自治体で異なります。
| 見つけた場所 | 連絡先の考え方 | 確認できた自治体の例 |
|---|---|---|
| 道路や公園などの公共の場所 | 道路や公園の管理者へ連絡する | 京都府は管理者への連絡を案内。福井市は道路の種類ごとに連絡先を分けている |
| 自宅の庭などの私有地 | 自治体の案内に従い、素手で触れずに処理する | 京都府は燃えるごみとして廃棄。福井市はカラス程度までなら指定袋で燃やせるごみ、それより大きい場合は土地の所有者がクリーンセンターへ持ち込む |
| 屋根裏・床下・壁の中 | 自分で入らず、自治体か専門業者に相談する | 農林水産省は、糞尿などに直接触れないよう手袋と肌を覆う服装を案内している。回収と清掃の範囲は調査を頼む担当者と決める |
子別れ後の封鎖と清掃|音が止んだあとに確認すること
親子がいなくなったあとも、侵入口をそのままにすると、再び入られる可能性があります。横浜市は、追い出しに成功しても侵入口を残すと再び入られるおそれがあるため、足音などが聞こえなくなったあとに、通風孔、屋根の重なり、雨戸の戸袋の底、増築部分の空間を点検するよう案内しています。侵入できる隙間の目安は、農林水産省が6cm×12cm、東京都が8センチメートル四方としており、小さく見える穴も候補に入れます。
封鎖の材料は、金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は破壊されるおそれがあるため避けるよう、農林水産省は書いています。ためフンや断熱材の汚れは、自分で片付けず、範囲を写真で記録して専門業者の現地調査で相談します。フンの確認は同じ場所にたまるフンの確認に、清掃の範囲の考え方は害獣駆除のあとの清掃にあります。






