コウモリのフンの大きさ・形・崩れ方を確認する

公益社団法人東京都ペストコントロール協会は、コウモリのフンを大きさ5〜10mmほどで、夏に軒先や屋根の下に落ちていることが多いと説明しています。昆虫しか食べないため、ネズミのフンに比べてもろいことが特徴とされています。もろいとは、乾くと形が崩れて粉状になりやすいという意味ですが、確かめるために素手で押したり割ったりする必要はありません。

同協会のページでは、アブラコウモリは日本全国に分布し、一般住宅の天井裏や橋脚のすき間など建造物に好んで営巣する種類として紹介されています。出入りに使うすき間は小さくても、フンは出入口の近くに落ちやすいと考えられます。粒の見た目だけでなく、どこにどれだけ落ちているかを合わせて記録します。

ヤモリ・ネズミのフンとの違いは要点だけ押さえる

ネズミのフンは、種類や餌によって形が変わり、雑食のため植物や昆虫の成分が検出されると同協会は説明しています。コウモリは昆虫しか食べないとされているので、植物の成分も混じる雑食のネズミとは食べ物が違います。ただし、雨に濡れたものや古いもの、写真の影で形が見えないものは、この比較が当てはまりません。

ヤモリのフンについては、今回確認した公的資料に見分けの特徴が載っていませんでした。粒の形だけでヤモリやネズミと決めず、落ちている場所の真上の構造と、夕方以降の出入りの有無で確かめます。粒の写真を並べた比較は、コウモリとネズミのフンの見分け方にまとめています。

  • 粒の大きさ・色・崩れ具合を、離れた位置から定規と一緒に撮影する
  • 同じ日に、落ちている位置が分かる引いた写真も残す
  • 一粒だけで動物を決めず、出入りの確認とあわせて判断する
コウモリのフンの大きさ・形・崩れ方を確認する:確認項目
確認する点コウモリのフンで言われること見るときの注意
大きさ5〜10mmほど古いものや雨で崩れたものは、本来の大きさが分からなくなります
もろさ昆虫しか食べないため、ネズミのフンよりもろい確かめるために素手で触らず、写真と目視で崩れ具合を見ます
落ちている時期と場所夏に軒先や屋根の下で見かけやすい落ちた場所と、その場で排泄された場所は別です。真上を確かめます
食べ物の違い昆虫のみ。ネズミは雑食で植物も混じる中身を割って調べる必要はなく、相談時に写真を見せれば足ります

参考:東京都ペストコントロール協会|コウモリとネズミの糞の違い

読者の疑問

コウモリのフンを素手で触ってもよいですか?

比較ガイド

避けてください。厚生労働省のハンドブックは、野生動物がどのような病原体をもっているか分からないため安易に触らず、触ったら手を洗うよう案内しています。掃除では使い捨て手袋とマスクを着け、終わったら石けんで手を洗います。

ベランダ・玄関・換気口の下に落ちるフン|真上の確認箇所

フンの落ちている場所が分かると、出入口の候補を絞れます。東京都ペストコントロール協会の写真例には、エアコン配管の導入部、ベランダに落ちたフン、ひさし下のすき間、壊れた壁、天井裏に堆積したフン、2階の戸袋、通風口が、コウモリの侵入口やフン害の例として並んでいます。どれも建物の外側や換気設備まわりで、地上から見上げて確かめやすい場所です。

すき間の大きさについては、同協会の別ページが6mmほど、浜松市が1cm程度でも出入りできると案内しています。同協会のページには、出入りに使う穴にはフンが堆積し、夜間の出入りが確認できるとも書かれています。つまり、フンが毎日同じ場所に増えるときは、その真上に出入口がある可能性があります。ただし、確認のために脚立や屋根へ上る必要はありません。

地上と室内から確認する手順

手順は、フンの位置を写真に残し、真上を見上げ、夕方の様子を見る、の順に進めます。夕方の観察の進め方はコウモリの出入りを記録する観察の段取り、シャッターボックスの周りでは動かす前に相談することにまとめています。

  • 落ちている位置を、床・手すり・窓の下などに分けて写真に残す
  • 真上を見上げ、ひさし、戸袋、換気口、外壁の割れ、配管まわりのすき間を探す
  • 夕方から暗くなるまで、同じ場所を離れた位置から数日観察して、出入りの有無と時刻を記録する
  • 高所や屋根、屋根裏に上がって確かめず、見える範囲で止める
ベランダ・玄関・換気口の下に落ちるフン|真上の確認箇所:確認項目
フンが落ちている場所真上で確認する箇所確認のときの注意
ベランダ・バルコニーの床や手すり下ひさし、軒、上階の床裏、戸袋洗濯物や床の汚れの位置を写真にし、上階へは立ち入らず管理者に伝えます
玄関ポーチ・ドアの前ひさし下のすき間、外壁との取り合い傘立てや靴の置き場所を変え、被害の広がりを抑えます
窓・雨戸・シャッターの前戸袋、シャッターボックス、窓上の小さなすき間カバーを開けたり動かしたりせず、位置と時刻を記録します
換気口・エアコン配管の下通風口のフード、配管が壁を通る部分フードや部材を外さず、通気を保ったまま調査を相談します
外壁に沿った筋状の汚れ壁の割れ、板の浮き、壊れた壁材汚れの高さと幅を、定規や身近な物と一緒に撮影します
室内の天井・押入れの上天井裏、点検口まわり点検口を無理に開けず、においや音の記録とあわせて相談します

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|コウモリでお困りの方へ(侵入口の写真例)

コウモリのフンと健康|触らない・吸い込まない・手を洗う

厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックは、野生動物がどのような病原体をもっているか分からないため、安易に触らないこと、動物に触ったら必ず手を洗うことを案内しています。フンを素手でつまんで確かめたり、掃除のあとに手を洗わないまま食事をしたりしない、という日常の注意につなげられます。フンから病気になるかどうかの判断や治療は、この記事では扱いません。

カナダ・ケベック州政府の案内は、コウモリのフンには人の健康に影響しうる微小な菌類が含まれることがあり、乾くと粉じんになると説明しています。そのため、掃く、家庭用掃除機で吸う、湿らせずに取り除く、の3つを避けるよう示しています。海外の公的案内ですが、乾いた粉を舞い上げないという考え方は、掃除の方法を決めるときの手がかりになります。体調に不安があるときは、医療機関や保健所へ相談してください。

参考:厚生労働省|動物由来感染症ハンドブック2026(PDF)

コウモリのフンの掃除手順|少量なら湿らせて拭き取る

ケベック州政府が示す少量のフンの清掃は、手袋を着けたうえで、弱い水流でフンを湿らせ、石けん水を含ませた布で拭き取り、表面を消毒する流れです。汚染された断熱材など消毒できない物は袋に入れて密封し、手袋を外したあとは石けんと水で手を洗います。国内の公的機関による同様の手順は今回確認できなかったため、海外の公的案内を参考にした一例として紹介します。

大量のフンや手の届きにくい場所については、同州の案内は専門業者に任せるのが望ましいとしています。国内でも東京都ペストコントロール協会が、長期間定着した場合は糞の除去や消毒が必要になり、個人で対処するのが難しいため専門業者へ依頼するよう案内しています。無理に自分で片づけず、範囲を見極めることが大切です。

掃除の前にそろえるもの

同州の案内は、少量の清掃ではゴム手袋を、量が多いときは高性能の防じんマスク、保護メガネ、使い捨ての作業着なども挙げています。これを家庭で用意しやすい形に置き換えると次のとおりです。マスクは顔に合っていないと効果が下がるため、サイズと装着の仕方を確認します。消毒剤は製品の表示に従い、濃さを自分で決めたり他の洗剤と混ぜたりしません。

  • 使い捨てのゴム手袋
  • 粉じんをろ過する防じんマスク(顔に合うもの)と、目を守る保護メガネ
  • 水を霧状に出せる霧吹き
  • 拭き取りに使う、捨てられる布やペーパー
  • 口を密封できる袋(量が多いときは二重にできる大きさ)
  • 消毒剤(種類と使い方は製品の表示に従う)
コウモリのフンの掃除手順|少量なら湿らせて拭き取る:確認項目
手順すること注意点
1 人とペットを遠ざける掃除する場所に家族やペットが入らないようにし、ほかの部屋へ粉が運ばれないよう窓や扉の開け方を決めます掃除中は飲食物を持ち込みません
2 保護具を着ける手袋、マスク、保護メガネを着けますマスクは装着後に顔との隙間を確認します
3 湿らせる霧吹きで、勢いを弱くして水をかけます強い水流を当てると粉じんやしぶきが広がるため避けます
4 拭き取る石けん水を含ませた布やペーパーで、フンを集めるように拭き取ります乾いたほうきでの掃き掃除と、家庭用掃除機での吸い取りは行いません
5 消毒する消毒剤は製品の表示に従って使い、対象の面を拭きます濃さを自分で決めない。他の洗剤と混ぜない。素材への影響を目立たない所で確認します
6 袋に入れて捨てる拭いた布や汚れた物を袋に入れて密封し、自治体の分別ルールに従って出します量が多いときは袋を二重にします
7 手を洗う手袋を外してから、石けんと水で手をよく洗います使った道具も洗うか、捨てられる物は処分します

参考:ケベック州政府(カナダ)|コウモリのフンで汚染された環境の清掃(英語)

コウモリのフンが毎日増えるときに考えること

フンが毎日のように同じ場所へ増えるなら、掃除で片づけても出入りが続いている可能性があります。東京都ペストコントロール協会は、アブラコウモリは群れをつくり、多いときは100頭ほどのコロニーになることがあると説明しています。また、出入りに使うすき間からフンを落として敷地や建物を汚し、天井裏には糞尿が堆積してにおいや汚損の原因になるとしています。

同協会は、堆積したフンがカツオブシムシ類などの虫の発生源になる可能性にも触れています。掃除のあとに小さな虫が見つかる場合は、フンの場所や量を含めて相談材料になります。まず、掃除の前後で同じ位置から写真を撮り、日付、おおよその個数、洗濯物や床の被害を記録して、増え方を見ます。

掃除の範囲や消毒の考え方は、駆除後の清掃の見積書を比べる確認票や、駆除後の清掃はどこまで必要かも参考になります。

コウモリのフンが毎日増えるときに考えること:確認項目
フンの増え方考えられること次にすること
毎朝、同じ位置に数粒真上や近くに出入口がある可能性位置と個数を記録し、夕方に離れて観察します
数日おきに複数の場所複数の出入口や止まり場がある可能性各場所を簡単な地図にして、まとめて相談します
室内の天井や壁にしみ、においがある天井裏などにフンが堆積している可能性点検口を開けず、写真とにおいの記録を持って相談します
フンのそばに小さな虫が出る堆積したフンが虫の発生源になっている可能性フンの量と場所を伝え、清掃と消毒の範囲を相談します

参考:東京都ペストコントロール協会|コウモリとネズミの糞の違い

集合住宅のベランダにコウモリのフン|管理会社へ伝えること

浜松市は、自分の所有地・管理地ではない場所で対策が必要な場合は、施設や土地の所有者・管理者に相談するよう案内しています。集合住宅では、ベランダの隔て板の上、外壁、ひさし、屋根、換気口の外側などが専有か共用かを、契約書や管理規約で確かめる必要があります。自分で金網やテープを取り付けず、管理会社や管理組合へ連絡するのが基本です。

連絡するときは、気づいた日、フンの位置と個数、洗濯物や床の被害、夕方の出入りを見たかどうかを、写真と一緒に一つの文面にまとめます。連絡文の作り方は賃貸の害獣被害を管理会社へ報告する連絡文、賃貸全般の流れは賃貸で害獣被害が起きたときが参考になります。

  • 住戸番号と、フンが落ちている場所(ベランダ、玄関前など)
  • 初めて気づいた日と、その後に増えた日・個数のメモ
  • 遠景と近景の写真(真上の外壁やひさしが写るもの)
  • 洗濯物の被害や、家族・ペットがフンに触れるおそれの有無
  • 自分で行った掃除の内容と日付(拭き取った、水を使ったなど)
  • 訪問調査に立ち会える日時

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている

コウモリのフン掃除だけで終わらせないための相談目安

東京都ペストコントロール協会は、コウモリが長期間屋根裏などに定着していると、糞の除去や消毒、殺虫が必要になり、個人で対処するのは難しいことがあると案内しています。環境を整えても効果が見られない場合は専門業者へ、とも示し、専門業者は防除処理のあとに糞の除去、消臭、殺虫殺菌などを行って清潔な環境に戻すと説明しています。

見積もりを取るときは、フンの除去だけか、出入口の調査と封鎖も含むのかを分けて聞きます。出入口が開いたままでは同じ場所が再び汚れるため、調査・封鎖・清掃の順番が話の中心になります。聞く項目は害獣の現地調査を頼む前に伝えること、出入りの確認から相談までの流れはコウモリが軒や換気口に出入りしているときの対策にあります。

  • 清掃の範囲(ベランダだけか、天井裏まで含むか)と、面積や数量の書き方
  • 消毒と消臭が別の項目として書かれているか
  • 断熱材など汚れた材料を撤去・処分するか
  • 出入口の調査と封鎖が含まれるか、含まれない場合の別見積もりの有無
  • 作業前後の写真を受け取れるか

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|コウモリ・防除方法の選びかた