野良猫対策の超音波式猫よけ器とは|仕組みと「効く・効かない」の考え方
最初に押さえておきたいのは、この機器が野良猫を追い払う道具ではなく、自分の敷地の被害場所に猫が近づくのを減らす補助的な道具として案内されている点です。メーカーのQ&Aも、猫によるフン尿やいたずらを軽減する目的の機器であり、猫の侵入や通過を防ぐものではないと説明しています。
仕組み|センサーが猫を感知して超音波を出す
長野市は、超音波忌避装置を、猫が前方を横切ると作動して、猫が嫌がる周波数の超音波を出す装置と説明しています。環境省の適正飼養ガイドラインも、犬や猫が敷地に入ってこられないようにする方法の一つとして、センサーが猫を感知すると超音波を出す市販の機器を挙げています。
公的資料が前置きする「効かない場合」
自治体の案内は、効果があると言い切る書き方をしていません。貸出制度の多くが「購入前に試す」ことを目的にしているのは、そのためです。確認した範囲では、次のような前置きが書かれていました。
- 長野市:敷地の構造や猫の個体差によって効果がない場合があるため、購入前に効果を確かめる目的で貸し出している。
- 新宿区:効果が出るまで数日かかることがあり、効果には個体差がある。
- 泉佐野市:猫の反応が鈍い場合や、だんだん慣れてしまう場合があり、費用に見合う効果があるかを考える必要がある。
参考:長野市|猫の超音波忌避装置(2026年2月25日更新)
野良猫対策の超音波は本当に効きますか?
猫の個体差があり、効く場合も効かない場合もあります。長野市は敷地の構造や猫の個体差で効果がない場合があると案内し、新宿区も効果には個体差があるとしています。購入前に貸出制度で試すのが無理のない方法です。
超音波式猫よけ器のメーカー表示で確認する項目|検知範囲・電源・防水
借りる場合も買う場合も、パッケージや取扱説明書で確認したい項目は共通しています。次の表は、ユタカメイクの取扱説明書に載っている「ガーデンバリアIII(GDX-3)」の表示を例に、確認する項目と読み方を整理したものです。2026年10月3日に開いた資料に基づく例で、特定の製品を勧めるものではありません。
自治体の貸出機は機種が違うことがあります。大田区の案内は、乾電池式で感知範囲の距離が約10メートルの機器、新宿区の案内はガーデンバリアIIIと、貸出機の仕様はページごとに異なります。借りる前に、自治体の窓口で機種名と仕様を聞いておくと、表の項目と照らし合わせやすくなります。
| 確認する項目 | GDX-3の公式表示(例) | 読み方・確認すること |
|---|---|---|
| 対象動物 | 取扱説明書は、対象動物をネコとハクビシンとし、動物による被害やいたずらを軽減する目的の機器と説明している | 製品が何の動物を対象にしているかを表示で確認する。対象外の動物や、人に向けた使い方はしない |
| 感知の仕組み | 熱を感知する赤外線センサーで、動物の体表から出る赤外線の動きを感知して超音波を出す | 熱の動きに反応するため、猫以外の動物、人、車、風で揺れる植物、室外機の温風でも作動することがある |
| 感知範囲 | 取扱説明書の図では、前方は最大で約13メートル、左右は約90度の範囲 | 被害場所が範囲に入るかを確認する。障害物の後ろは感知できない。大田区の貸出機の案内は約10メートル |
| 音の出力 | 約18〜23キロヘルツの超音波で、約105デシベル。距離が離れると音は弱くなる | 被害場所にできるだけ近づけて置く。数値は仕様の説明であり、効果の保証ではない |
| 電源 | リチウムイオン充電池。USBで充電し、充電時間は約6〜8時間、1回の充電で約1,500回作動と表示 | 乾電池式か充電式かで手間が違う。大田区・長野市の貸出は、単一乾電池4本を利用者が用意する |
| 防水・防滴 | 防滴構造(IP54)で、完全防水ではないと明記。強い雨や水没、横倒しでの使用は避けるよう記載 | 水洗いは不可(大田区の案内)。台風や大雨のときは屋内に収納する |
| 保証・返品 | 保証期間は購入から1年。購入後6か月以内は、相談窓口に連絡しても効果がみられない場合に返品を受け付けると記載 | 購入する場合は、保証書と販売店の条件を購入前に確認する。条件は製品・販売店ごとに異なる |
参考:ユタカメイク|ガーデンバリアIII(GDX-3)取扱説明書および保証書(PDF、2025年11月版。2026年10月3日確認)
自治体の猫よけ器貸出制度を比べる|対象・期間・台数・申込方法
超音波式猫よけ器を無料で貸し出し、購入前に試せるようにしている自治体があります。次の表は、2026年10月3日に開いた各自治体の公式ページの掲載内容をもとに、対象・期間・台数・申込方法を並べたものです。制度の有無、条件、在庫は変わるため、実際に借りるときは、お住まいの自治体の窓口で確認してください。表の下には、申し込む前に確認したい共通の注意を挙げています。
表の自治体以外にも貸出を行う自治体があります。茨城県日立市の例は日立市の猫よけ器の無料貸出と市の対応範囲で紹介しています。お住まいの自治体の制度を探すときは、環境衛生課、保健所、動物愛護担当の窓口に電話で聞くと確実です。環境省のガイドラインも、困ったときの相談先として、都道府県・指定都市・中核市の動物愛護管理担当部署、動物愛護センター、保健所を挙げています。
| 自治体(掲載ページの更新日) | 対象 | 期間・台数・費用 | 申込・受取 |
|---|---|---|---|
| 大田区(2025年2月10日更新) | 飼い主のいない猫対策を行う区内の自治会・町会等、または飼い主のいない猫の被害で困っている区民・区内事業所 | 1か月・2台まで・無料。単一乾電池4本は自己負担 | 生活衛生課の窓口。台数に限りがあるため事前に電話。本人確認と区内の住所が分かるものが必要 |
| 新宿区(2026年8月13日更新) | 区内在住の人または区内の土地・建物の管理者で、飼い主のいない猫の被害に遭っている人。過去に利用したことがない人 | 貸出日から1か月・1世帯1回(延長・再貸出は不可)・無料 | 予約フォームで受取日を予約し、新宿区保健所衛生課管理係の窓口で申請書を記入。平日の午前8時30分〜午後5時 |
| 長野市(2026年2月25日更新) | 屋外にいる猫の糞尿被害などで困っている人 | 原則、貸出日から最長2週間・1世帯1台まで・無料。単一乾電池4本は自己負担 | 事前に電話で予約し、借受申請書と本人確認書類を動物愛護センター窓口へ |
| 浜田市(登録日2023年10月23日) | 市内在住の人 | 貸出日から2週間以内。次の予約がなければ最長4週間・無料。単一乾電池4本は自己負担 | 数に限りがあるため、事前に環境課へ相談 |
| 山口市(2021年2月1日更新) | 自己の所有地または借地での被害軽減を目的とする市民 | 貸出日から15日以内・1世帯1回(最大2台)・無料。単一乾電池は自己負担 | 台数に限りがあるため事前に問い合わせ。借用書の記入と本人確認書類が必要。掲載の更新日が古いため、現在の制度を要確認 |
| 各務原市(令和5年10月5日更新) | 居住敷地内で猫の糞尿などの被害を受けている市民 | 原則1台(最大2台)を14日間・1世帯1回限り・無料。単1電池は自己負担 | 電話で予約のうえ、環境政策課の窓口へ。住所が分かる書類を持参 |
| 泉佐野市(2025年8月4日更新) | 掲載ページには対象者の記載なし。事前に相談 | 試用として2週間程度。台数に限りがある | 環境衛生課で受付。貸出を希望する場合は事前に相談 |
- 在庫と待ち時間:台数に限りがあり、事前の電話や予約が必要な自治体が多い(大田区・新宿区・長野市・山口市・各務原市)。
- 借りられる人と場所:自宅や自分が管理する敷地での使用に限る自治体がある(新宿区・山口市)。自治会や事業所を対象に含める自治体もある(大田区)。
- 本人確認書類:運転免許証や健康保険証などの提示を求める自治体が多い。
- 電池と返却:乾電池は利用者が用意する自治体がある。返却前に汚れを拭き取るよう求められ、水洗いは不可とされている(大田区・新宿区)。
- 破損・紛失・又貸し:破損や紛失は弁償を求められることがある。又貸しや、被害軽減の目的以外の使用は禁止されている(大田区・新宿区・浜田市)。
超音波式猫よけ器の置き場所・向き・高さの考え方
置き方を間違えると、機器が働いていても効果を確かめにくくなります。新宿区とメーカーの取扱説明書に共通する考え方は、猫が通り抜ける侵入口ではなく、フン尿などの被害が出ている場所に向けて、敷地の内側に置くことです。新宿区は、猫の侵入口に向けて設置しても高い効果は得られないと案内し、メーカーも、侵入口や通路への設置では高い効果が得られないとしています。
高さについて数値を示した公的資料は、今回確認できませんでした。メーカーは、三脚を付けて動物の耳の高さに合わせて照射する設計だとしており、新宿区の貸出機も、三脚を付けた状態で渡され、外さないよう求められています。
車の上に乗る猫への使い方
メーカーのQ&Aは、車の上に乗る猫を追い払うために使うこと自体は可能としつつ、猫が驚いて爪を立て、塗装面を傷つけるおそれがあるため注意するよう案内しています。車まわりで試すときは、傷がつく可能性を考えて、猫が車に飛び乗る位置と機器の向きを事前に確認してください。
| 確認する場面 | 公式案内にある考え方 | 見直しの目安 |
|---|---|---|
| 向き・距離 | 敷地の内側へ向け、被害のある場所に向ける。侵入口や通路に向けても高い効果は得られない。音は離れるほど弱くなるため、被害場所にできるだけ近づける | 猫が来る道ではなく、フン尿の被害が出る場所(花壇、玄関前、車の周りなど)を向いているか。感知範囲に入っていても遠すぎないか |
| 高さ・三脚 | 三脚を付けて、動物の耳の高さに合わせる設計。貸出機も三脚は外さない | 地面近くを歩く猫の方向に向いているか。地面のほこりや泥はねが付かないか |
| 日当たり・天候 | 炎天下を避けて日陰に置き、台風などの強風時は屋内に収納する(新宿区)。推奨温度は約5〜45度(メーカー) | 真夏の直射日光、豪雨や台風の前後の扱いを決めておく |
| 誤作動しやすい場所 | 夜間でも明るい照明の近く、風で揺れる植物や洗濯物、ガラス越し、室外機の風が当たる場所、人や車が通る道路に面した場所、極端に高温になる場所(メーカー) | 作動が多すぎる、猫が来ていないのに作動するときは、場所と向きを変える |
| 道路・隣地への向き | 通行人や車も感知するため、敷地の内側に向けて置く(メーカー) | 歩道、隣家の窓、他人の敷地に向いていないか |
効きにくいケースと慣れ|効果を確かめる記録のつけ方
メーカーのQ&Aは、効果が出るまでに時間がかかった、あるいは効果が見られなかったという報告の例として、近くに餌がある場合や近所に餌を与える人がいる場合、聴力の弱い猫(高齢、病気、子猫など)、縄張り意識が強い猫や攻撃的な猫を挙げています。取扱説明書は、効果が現れる期間を約1〜2週間とし、2週間ほど設置しても効果が見られないときは、設置場所や向きを変えるよう案内しています。
慣れについては、泉佐野市が、猫がだんだん慣れてしまう場合があると案内し、大田区のリーフレットは、猫よけの超音波機器を設置するときは定期的に場所や向きを変えるよう案内しています。置きっぱなしにせず、設置日と向きを記録して、変化を確かめます。記録の考え方は害獣駆除後の経過記録、買う前に効果を確かめる見方は、対象はネズミですがネズミ用の超音波などの機器を買う前に確かめることにも共通する部分があります。
| 記録する項目 | 書き方の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 設置日・場所・向き | 「10月3日、玄関脇の花壇の方向、地面から約30センチ」のように、日付と位置を毎回残す | 場所を変えたあとの変化を、変える前と比べられる |
| フン尿の有無と場所 | 毎日同じ時間に確認し、あった場所を写真で残す。片付けた日も書く | 被害が減ったのか、場所が移っただけかを見分けられる |
| 機器の作動と天気 | ランプや音で作動を確認した日時、人・車・風で作動した記録。雨や猛暑の日、猫を見かけた時間帯 | 感知範囲や向きが合っているか、雨や暑さで止まっていないかの手がかりになる |
| 餌・ごみ・近所の給餌 | ごみの出し方、餌皿の有無、近所の餌やりを見かけた日 | 機器以外の原因が残っていないかを確認できる |
近隣・子ども・飼い犬猫への配慮|超音波が聞こえる人や動物がいる
超音波は、人にはほとんど聞こえないとされていますが、聞こえ方には個人差があります。浜田市は、年齢が若い人には機器からの音がよく聞こえるようだとして、気分が悪くなる場合は使用を中止するか場所を変えるよう案内しています。泉佐野市も、人によっては気分が悪くなったり頭痛を起こしたりすることがあるため、設置場所や方向に配慮するよう案内しています。
動物への影響も確認が必要です。大田区は、超音波で子どもや他の動物にストレスを与える場合があるため、設置場所と超音波が届く方向に十分配慮するよう案内しています。メーカーのQ&Aも、飼っている猫や犬にも超音波は聞こえ、体への直接の害ではないものの、ストレスになる可能性があるため、設置方向に注意するよう案内しています。
- 窓や出入り口、隣家の庭、歩道の方向に向けない。
- 子どもが遊ぶ場所、飼い犬や飼い猫の寝床・出入り口に向けない。
- 人に向けたり、スピーカー部に長時間耳を近づけたりしない(浜田市・メーカーの取扱説明書)。
- 家族や近隣から、頭痛や気分の悪さなどの訴えがあれば、使用を中止するか場所を変える。
- 設置前に、近隣へ一言伝えておく。大田区のリーフレットは、猫を追い払う方法を試すときは、騒音などで近隣の迷惑にならないよう配慮するよう案内している。
超音波が効かないときの次の手|清掃・物理対策・行政への相談
貸出期間中に変化が乏しいときは、機器を増やす前に、ほかの原因が残っていないかを確認します。環境省のガイドラインは、犬や猫が敷地に入らないための方法として、ごみの処理を確実にすること、網やネットで進入路を防ぐこと、通り道やフンをする場所に水をまくこと、市販の猫専用忌避剤を使うこと、超音波発生器などの猫よけグッズを使うことを並べています。新宿区も、超音波式の猫よけ器だけでなく、さまざまな方法を組み合わせて試すよう案内しています。
庭での対策全体の順番は野良猫の対策を庭で進める手順、近所の餌やりが原因のときの進め方は野良猫への餌やりで被害が出たときの法律と相談、行政に頼める範囲は野良猫の駆除は保健所や市役所に頼めるかにまとめています。猫を傷つけたり遠くへ放したりする方法は、動物愛護管理法で罰則の対象になりうるため、対策に含めないでください。
| 超音波を試した結果 | 次に確認すること | 組み合わせる対策の例 |
|---|---|---|
| 作動しているのに猫が来る | 被害場所に向いているか、近くに餌やごみがないか、近所の給餌がないか | ごみ・餌の管理、位置を変えて1〜2週間後に再確認 |
| 最初は減ったが、また来るようになった | 慣れの可能性。場所・向きを変えたか、他の方法と組み合わせたか | 場所や向きの変更、網・とげ状マットなどの物理対策、においの種類を替える |
| 誤作動が多い | 照明、揺れる植物、道路、室外機の風が当たる位置になっていないか | 感知範囲から人通りや植物を外す |
| 隣の敷地や共用部にも被害がある | 一軒の対策では限界がある可能性。被害の場所と日時の記録 | 自治会・管理会社・自治体の窓口へ相談 |
| 子猫が増えた、鳴き声が続く | 繁殖が続いている可能性 | 不妊去勢手術の助成や地域猫活動について自治体へ相談 |






