毛虫が大量発生したら最初に確認すること|その木は誰のものか
越前市は、私有地におけるネズミ、ハチ、ケムシなどの衛生害虫の駆除は行っておらず、その土地の所有者または管理者が、直接駆除業者に依頼するよう案内しています。石巻市は、一般住宅や民間施設などに発生した毛虫の駆除・防除は行わないとし、居住者、所有者または管理者の責任で対応するよう案内しています。茅ヶ崎市と奈良市も、駆除は土地所有者や管理者が行うものとしています。
連絡や相談の前に、次の情報をそろえておくと、窓口で話が早く進みます。隣の敷地の木が原因のときの伝え方は、近所でも被害があるときの情報共有も参考になります。
- 発生している木の場所(住所や目印)と、その土地を誰が所有・管理しているか
- いつ気づいたか、どの木か、どのくらいの範囲に広がっているか
- 離れた位置から撮った、木全体と毛虫の写真(毛虫には触れない)
- 自分や家族、通行する人に、かゆみや皮膚の症状が出ていないか
毛虫が大量発生したとき、市役所は駆除してくれますか?
公園や街路樹など市が管理する木は、担当課が現地を確認して対応する例があります(盛岡市・福井市)。一方、自宅や民有地の毛虫は、越前市・石巻市・調布市・大阪市のように市では駆除せず、所有者や管理者が対応する扱いが多く見られます。
毛虫の木の所有者・管理者別の連絡先|誰に何を頼めるか
自治体の公式ページを読み比べて、発生場所ごとの連絡先を表にしました。担当課の名前は自治体で違うため、表の「例」は読み替えの目安です。内容は2026年10月3日に開いて確認した公式ページに基づきます。
同じ市区町村でも、公園の木と道路沿いの街路樹では担当課が異なります。市区町村名に「毛虫」「公園」「街路樹」「衛生害虫」を組み合わせて公式ページを探すか、代表電話で毛虫の相談はどの課かを尋ねると早く分かります。
| 発生している場所 | 連絡する先 | 公式ページに書かれている例 |
|---|---|---|
| 自宅の庭木・敷地内 | 所有者(自分)。自分で駆除するか、専門業者に依頼 | 調布市は自宅の害虫は自身での駆除を依頼。大阪市は薬剤の配布や駆除をしないと案内。越前市・石巻市も市では行わない |
| 公園の木 | 市区町村の公園管理の担当課 | 盛岡市は公園みどり課が現地を調査して駆除。福井市は公園課が現地を確認して薬剤を散布。越前市は公園管理者(都市計画課) |
| 道路沿いの街路樹 | 道路管理の担当課 | 調布市は道路管理課、越前市は市道管理者(都市整備課)を案内。盛岡市は市管理の街路樹は公園みどり課 |
| 隣の家の木 | 隣家の所有者・管理者。直接が難しければ町内会や自治会 | 枝が境界を越えるときの民法のルールは別にある(後述) |
| 空き家の木 | 空き家の所有者・管理者。連絡先が分からないときは登記事項証明書などで調べる | 横浜市は、法務局で不動産の登記事項証明書(有料)から土地の所有者を調べる方法を案内 |
| 賃貸住宅・マンションの敷地の木 | 管理会社、大家、管理組合 | 確認した公式ページには記載がない。自分で薬剤を使う前に、契約書や管理規約で植栽の管理者を確かめて連絡する |
| 河川・水路・山林など広い範囲 | その土地の管理者 | 越前市は、自然的要因で広範囲に発生している場合などは対応が難しいこともあると案内 |
毛虫が大量発生しやすい種類と原因
大量発生の原因は種類ごとに違います。公的資料で確認できた範囲を、種類別に整理します。なぜ今年多いのかを断定できる資料は確認できなかったため、種類ごとの性質として読んでください。種類の見分け方は、毒のある毛虫と毒のない毛虫の一覧で整理しています。
チャドクガ|ツバキ科の生垣や植え込みで増える
大阪健康安全基盤研究所は、チャドクガの発生場所はカンツバキ、ヤブツバキなどで、庭や公園でよく見られ、カンツバキの植栽が増えているため大発生することが多くなっていると説明しています。幼虫の毒針毛はかゆみを引き起こし、卵から成虫まで全期間に毒針毛があります。
アメリカシロヒトリ|産卵数が多く、年2〜3回発生する
盛岡市は、アメリカシロヒトリは1匹の産卵数が700〜1000個と極めて多く、約1週間でふ化し、巣網を張った幼虫が集団で葉を食べ、放置すると樹木が丸坊主になると説明しています。名古屋市衛生研究所は、餌を食べ尽くした幼虫が移動して家屋に入り、不快害虫になることがあるとしています。年の発生回数は地域で違い、福井市は年に3回と案内しています。
マイマイガ|約10年間隔で多発する
滝川市は、マイマイガは概ね10年間隔で多発し、ウイルス病などの流行により、普通は1〜3年で終息に向かうといわれると案内しています。成虫は水銀灯の明かりや白っぽい外壁を好み、卵は8月から翌年5月まで見られます。
ヒロヘリアオイラガ|外来種が街路樹で大発生を続ける地域がある
名古屋市衛生研究所は、ヒロヘリアオイラガは外来の種で、1980年ごろから日本各地に広がり、名古屋市内でも大発生を続けていると説明しています。街路樹や庭園のサクラ、モミジ、カシ類などで発生します。毒棘に触れると激しい痛みを伴う皮膚炎が起きるため、触れないようにします。
自治体の貸出・助成・相談室の例|噴霧器や高枝切りバサミの借り方
民有地の毛虫を市が駆除しなくても、個人や地域が自力で行うための道具を貸し出す制度があります。制度は自治体ごとに内容も期間も違い、毎年見直されることもあります。次の表は、公式ページに載っていた例を、ページの更新日つきで並べたものです。自分の市区町村にあるとは限らないため、調べ方の手がかりとして使ってください。
金沢市のように、町会単位の防除に経費の4分の3を助成する例もあります。詳しくは金沢市の毛虫駆除の記事で整理しています。
| 自治体(ページの更新日) | 制度の内容 | 対象・条件 |
|---|---|---|
| 盛岡市(令和8年9月25日更新) | アメリカシロヒトリ防除用の薬剤、噴霧器、一部に高枝切りバサミを23か所に配置し、無料で貸出 | 地域ぐるみの防除向け。数に限りがあり、噴霧器は貸出中の場合があるため事前に問い合わせ。市管理の公園・街路樹は公園みどり課へ連絡 |
| 山形市(令和3年10月29日更新) | 隣組・町内会などが共同で駆除する場合に、約3mまで対応できる高枝切りバサミを貸出 | 1団体1回5本以内で、原則1週間以内。市による薬剤の一斉防除は平成18年度から廃止 |
| 白山市(2022年2月9日更新) | 町内会で防除すると決めた場合に、防除機を積んだ車両の貸出と、最小限の薬剤の提供 | 防除が難しい高齢者のみの家庭や、広域に発生するおそれのあるアメリカシロヒトリ・チャドクガが対象。事業期間は毎年6月上旬から9月下旬 |
| 目黒区 | 高枝切りバサミを貸出(みどり土木政策課みどりの係) | 保健所は個人の敷地内の害虫駆除は行わず、駆除できない人には業者を紹介 |
| 鶴岡市(2026年6月5日更新) | アメリカシロヒトリ防除相談室を6月8日から9月11日の9時〜15時30分に開設 | 2026年の開設期間は終了。期間外は環境政策課が相談を受ける |
- 市区町村名に「アメリカシロヒトリ」「チャドクガ」「毛虫」「衛生害虫」を組み合わせて、公式ページを探す
- 「貸出」「補助」「助成」「噴霧器」「高枝切りバサミ」を加えて、制度の有無を確かめる
- ページの更新日と、年度・期間(例:6月から9月)を確認する
- 対象が個人か、町内会などの団体かを確認する(貸出は団体向けの例が多い)
- 制度がなければ、都道府県のペストコントロール協会の害虫相談所(電話相談は無料)か、保健所の衛生害虫の窓口に相談する
隣家・空き家の木に毛虫が出ているとき|伝え方と民法の線引き
隣の家の木に毛虫が大量に発生していても、毛虫が出ていることだけを理由に、隣家へ駆除を強制できるかを直接説明した公的資料は、今回確認できませんでした。一方で、自治体の多くは、駆除は土地の所有者や管理者が行うものと案内しています。まず事実を伝えて相談するのが、現実的な第一歩です。
枝が境界線を越えている場合は、別の民法のルールがあります。民法第233条は、土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に枝を切除させることができるとしています。令和5年4月1日の改正で、催告しても相当の期間内に切除されないとき、所有者を知ることができないか所在が分からないとき、急迫の事情があるときは、土地の所有者が自分で枝を切り取れるようになりました。
隣家の木の場合|責めずに、事実と写真から伝える
横浜市は、催告してから待つ期間の目安を基本的に2週間程度と考えられるとし、市が代わって隣の木の枝を切ることはできず、当事者同士の話し合いや法律に基づく解決を求めています。切り取りまでの手順は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをすすめています。毛虫の発生を伝えるときは、責める言い方を避け、写真を見せながら話すと進めやすくなります。
- 「ツバキの葉にチャドクガらしい毛虫が群れていて、風で毒の毛が飛ぶと聞いたので知らせに来ました」のように、事実から伝える
- 写真と、気づいた日付を見せる(離れた位置から撮ったもの)
- 自治体の案内(駆除は所有者・管理者が行う)を、批判ではなく情報として共有する
- 直接が難しいときは、町内会や自治会、管理会社を通して連絡する
空き家・所有者が分からない木の場合
横浜市は、土地の所有者は法務局で不動産の登記事項証明書(有料)を取得して調べられるとし、自治会・町内会や近隣の人が情報を把握していることもあると案内しています。空き家の見回りの連絡体制は、空き家の害獣点検の記事の考え方が役立ちます。
毛虫が外壁や室内に入ってくるとき|種類ごとの確認と対処
外壁や窓まわりに毛虫やガが大量についたときは、先に種類を確認します。外壁にびっしりついているものが、必ずしも毒のある毛虫とは限りません。次の表は、公的資料の記述を、場面ごとに整理したものです。
| 場面 | 考えられる種類 | 公的資料の対処の例 | 避けること |
|---|---|---|---|
| 軒下・外壁に扁平な卵のかたまり | マイマイガ | 卵には薬剤の効果が期待できず、はぎ取って燃やせるごみに出すか、土を5cmほど掘って埋める。角型ペットボトルの輪切りや粘着テープではぎ取る方法が示されている(滝川市) | 削り落としたまま放置すると、翌年ふ化することがある |
| 白っぽい外壁や水銀灯の近くに成虫 | マイマイガの成虫 | 夜間に屋外の光を抑えると集まりにくくなる(防犯に配慮)。手袋とマスクを着けて手で集める。手の届かない場所はホースで放水(滝川市) | 成虫に薬剤は効果が薄いとされる。鱗粉が舞うためマスクが必要 |
| 食べ尽くした幼虫が窓や壁へ移動 | アメリカシロヒトリ | 人体への直接被害はないが不快害虫になる(名古屋市)。発生源の木の所有者・管理者へ連絡する | 種類が分からないまま素手で触らない |
| 室内に黄色っぽいガが入った | チャドクガ・ドクガの成虫 | 濡れ布巾などで押さえて捕まえ、暴れさせない(目黒区・世田谷区) | 叩く、追い回す、殺虫剤をかける(毒針毛が飛び散る) |
| 取り込んだ洗濯物・洗濯干し場 | チャドクガなど | 洗濯干し場の近くのツバキ・サザンカを確認する(横浜市衛生研究所)。近くにドクガが発生している間は屋外干しを避ける(北海道檜山振興局) | 毛虫がいない時期でも卵や脱皮殻が残る |
業者・造園会社に頼むときの見積もりで確認する項目
この記事では、毛虫の駆除の金額は示しません。公式ページでも、駆除や撤去の作業は有料で、料金は個別に問い合わせると案内されています(調布市)。日本ペストコントロール協会は、各都道府県の協会の害虫相談所で電話などの相談は無料としつつ、現場調査や防除施工が必要な場合は原則有料で、内容に応じた事業者の紹介もできると案内しています。
窓口の違いとして、調布市は、駆除専門業者の紹介窓口として東京都ペストコントロール協会(相談は無料、駆除・撤去は有料)を案内し、植物の病気や毒毛虫以外の害虫には、市内の造園業組合(有料)の紹介も行っています。石巻市は宮城県ペストコントロール協会が業者を紹介するとし、越前市は福井県ペストコントロール協会の害虫相談所(電話相談は無料)を案内しています。見積もりの言葉は会社ごとに違うため、次の表では、作業の内容に置き換えて確認する項目を並べました。
農林水産省・環境省の通知は、自治体が植栽の管理を業者へ委託する場合の取り組みとして、農薬ラベルに表示された使用方法の遵守、周辺住民等への周知、飛散を減らす対策、農薬の使用履歴の記帳・保管などを仕様書に定める例を挙げています。家庭が業者に頼む場合の法的な必須条件ではありませんが、確認する質問の参考になります。見積書が「駆除一式」だけのときの内訳の頼み方と、出張費・高所作業費の確認も合わせて確認してください。
| 見積もりの項目 | 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 現地調査・見積もり | 費用が無料か有料か。断った場合の扱い | 現場調査は原則有料とする協会の案内がある |
| 木の種類・毛虫の種類の判断 | どの木にどの毛虫と判断したか。写真や説明があるか | 種類で毒の有無と対処が違う |
| 高所作業 | 脚立や高所作業車の使用の有無。出張費や高所作業費が別項目か | 届かない高さの枝は、作業方法で費用の項目が変わる |
| 剪定・枝の切り取り | 切る枝の範囲。卵や幼虫のついた枝をどう扱うか | 自治体は枝ごとの切り取りを基本としている |
| 薬剤の散布 | 薬剤名、その木と害虫への適用、散布の範囲と回数、周辺への事前周知、使用記録を残すか | 国の通知が、ラベル遵守・周辺への周知・使用履歴の保管を求めている |
| 作業員の資格・研修 | 農薬の扱いに関する資格や研修の有無 | 通知は、自治体の発注の例として農薬管理指導士などの資格や研修の受講を挙げている(家庭向けの必須条件ではない) |
| 枝葉・毛虫の処分 | 持ち帰りか、自分で自治体のごみに出すか。処分費の有無 | 枝葉には毒針毛が残り、収集作業員の被害も報告されている(世田谷区) |
| 再発の予防・再訪 | 次の発生期の点検や剪定の提案、再訪時の費用 | 毎年同じ木で発生する場合の管理を相談できる |




