野良猫対策で業者に頼める作業と、頼まない作業
最初に整理すると、業者に頼める作業は「猫が入りにくくする」「汚れを取り除く」ことで、「猫を減らす」作業は含まれません。環境省のガイドラインも、敷地に犬や猫が入ってこられないようにする方法として、ごみの処理を確実にすること、網やネットで進入路を防ぐこと、通り道に水をまくこと、市販の猫専用忌避剤を使うことなどを紹介しています。猫をいなくならせる方法ではなく、猫にとって居心地のよい場所を減らす方法が中心です。
侵入口の考え方は害獣の侵入口はいつ塞ぐ?再発防止工事で確認するポイント、床下の痕跡と建物情報の整理は床下周辺の物音や痕跡。潜る前に調査へ渡す位置と建物情報にまとめています。
| 作業・行為 | 業者に頼めるか(当サイトの整理) | 理由・参考にした資料 |
|---|---|---|
| 侵入口の封鎖、金網・ネットの施工 | 頼める作業 | 環境省ガイドラインが、網やネットで進入路を防ぐ方法を紹介している |
| 床下・物置・天井裏の点検 | 頼める作業 | 猫の出入り口、フン尿の位置、建物の傷みを確認するための調査 |
| フン尿の清掃・消臭 | 頼める作業 | 範囲・数量・消毒との違いを見積書で分けて確認する(後述) |
| 忌避剤の設置・散布 | 頼めるが、効果には個体差がある | 石巻市・泉佐野市は、効果に個体差があり、継続や種類の変更が必要になると案内している |
| 猫の殺傷・毒餌 | 頼まない | 動物愛護管理法第44条で罰則。石巻市は、毒餌を撒くなどの虐待は犯罪と案内している |
| 捕獲して遠くで放す | 頼まない | 愛護動物の遺棄は法律で禁止されている。新居浜市も、動物を捨てることは法律で禁止と案内している |
| 捕獲して行政へ持ち込む | 頼む前に自治体へ確認 | 広島市・高知市は、猫の捕獲や飼い主のいない猫の引取りを行っていないと案内している |
参考:環境省|住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(平成22年2月、PDF)
野良猫の駆除は業者に頼めますか?
猫は愛護動物で、みだりに殺傷すると罰則があります。業者に頼めるのは、侵入防止、点検、清掃・消臭などです。「駆除」と書かれていても、殺傷や遠方への放逐を含む作業は頼まず、作業内容を契約前に確認してください。
業者が殺傷・遠方への放逐・持ち込みを請け負わない理由|条文と自治体資料
動物愛護管理法は、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるを愛護動物とし、人が占有しているかどうかに関係なく、猫が含まれます。第44条は、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者を5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、虐待を行った者と愛護動物を遺棄した者を、それぞれ1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金としています(e-Gov法令検索で2026年10月3日確認。環境省の法律の概要ページでも同じ罰則を案内)。
ここで押さえたいのは、法律が罰しているのは「殺傷」「虐待」「遺棄」で、猫を捕まえること自体を一律に禁じているわけではない点です。それでも猫対策の中心に捕獲を置きにくいのは、捕獲した後の行き先がないためです。広島市は、猫の捕獲を行わず、捕獲した野良猫の引取りも行っていないと案内しています。高知市も、飼い主のいない猫の保護・引取りは行っていないとしています。泉佐野市は、猫は飼い猫と野良猫の区別ができないため、猫の駆除や捕獲を行う公的機関はないとしています。
捕まえた猫を遠くの山や空き地に放す行為は、愛護動物の遺棄にあたるおそれがあります。遺棄にあたるかは個別の事情で判断されますが、依頼する側も、そうした作業を含む「駆除」を頼まないほうが安全です。毒餌については、石巻市が「毒餌を撒くなどの虐待は犯罪」「化学薬品や農薬、毒餌は健康被害につながるため使用しないでください」と案内しています。
| 自治体 | 公式ページの記載(2026年10月3日確認) | 読み取れること |
|---|---|---|
| 広島市 | 猫の捕獲は行っておらず、捕獲した野良猫の引取りも行っていない | 捕獲後の持ち込み先を、行政に期待できない場合がある |
| 高知市 | 飼い主のいない猫の保護・引取りは行っていない(交通事故で大けがの場合など例外あり)。猫は愛護動物で、行政がむやみに捕獲や処分を行うことはできない | 例外の条件は自治体ごとに異なる |
| 日立市 | 自活できないケガをした成猫や生まれたばかりの子猫は、茨城県動物指導センターへ相談。健康な成猫は対応せず、忌避剤・侵入防止・柵など各自で対応 | 市ではなく、都道府県の施設が窓口になる場合がある |
| 石巻市 | 猫は愛護動物で、飼い主の有無の判断が困難なため、行政で駆除は行っていない。毒餌を撒くなどの虐待は犯罪 | 駆除を前提にしない対策が求められる |
| 泉佐野市 | 猫は飼い猫と野良猫の区別ができず、猫の駆除や捕獲を行う公的機関はない。猫よけ対策は必ず自分の敷地内で行う | 自分の敷地での侵入防止が中心になる |
床下・物置・天井裏に猫が出入りしているときの進め方|閉じ込めを防ぐ確認
封鎖の工事は、猫が出入りする場所では慎重に進める必要があります。出入口を塞いだ時点で猫が中にいると、出られなくなるおそれがあるからです。動物愛護管理法第44条第2項は、愛護動物を、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束して衰弱させることなどを、虐待として挙げています。意図しない閉じ込めが条文のどれに当たるかは事情によって異なりますが、猫の命にかかわる以上、事前に確認する工程が見積もりや作業計画に入っているかを、依頼前に質問してください。
封鎖と清掃の順番は、害獣の追い出し・封鎖・清掃はどの順番?工程表で確認するで確認できます。猫の場合は、順番の前に「中に猫がいないか」の確認が加わる点が違います。
封鎖の前に事業者へ聞く質問票
次の質問は、答えが具体的かどうかで、作業の丁寧さを判断する手がかりになります。口頭だけでなく、見積書や作業計画書に書いてもらいます。
- 封鎖の前に、猫が中にいないことを、どのような方法で、何日かけて確認しますか。
- 確認の結果や写真を、書面または報告書で残してもらえますか。
- 子猫の鳴き声など、猫がいる兆候があった場合は、作業を止めてどこへ連絡しますか。
- 猫が中にいると分かったとき、追加費用や日程の変更はどうなりますか。
- 封鎖後に鳴き声が聞こえたら、どのくらいの期間で再訪してもらえますか。
依頼する側が日常でできる記録
猫が出入りしている時間帯、フンや足跡の位置、鳴き声の有無をメモしておくと、事業者が点検の範囲を決める手がかりになります。写真は離れた場所から撮り、床下や物置に入って猫を探したり、追い出そうとしたりしないでください。追い出そうとすると奥へ入り込み、確認がむずかしくなるおそれがあります。
子猫がいる場合の相談先|動物愛護センター・自治体・団体
子猫が取り残されているように見える場合、高知市は、親猫がエサを食べに行っている、子猫を1匹ずつ運んで引越しをしている途中などが考えられるため、まず親猫が戻ってくるか1日程度様子を見るよう案内しています。慌てて保護すると、人の匂いがつき、親猫の元に返しても育児放棄をする可能性があるとも書かれています。
1日たっても親猫が戻らないとき、高知市は、人工保育をして里親を探す方法のほか、条件に当てはまる場合は県の小動物管理センターへ持ち込む方法を示していますが、行政によるボランティアの紹介は行っていないとしています。日立市は、自活できないケガをした成猫や生まれたばかりの子猫は、茨城県動物指導センターへ相談するよう案内しています。扱いは自治体で違うため、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の動物愛護管理担当部署か動物愛護センター、保健所に電話で確認するのが確実です。環境省のガイドラインも、困ったときの相談先として、これらと獣医師会を挙げています。
法律の面では、動物愛護管理法第35条が、都道府県等に対し、所有者の判明しない猫の引取りを拾得者その他の者から求められた場合の規定を置いています(周辺の生活環境が損なわれるおそれがないと認められる場合などは、引取りを拒否できるとされています)。第36条は、道路や公園などで疾病にかかり、または負傷した猫を見つけた人が、所有者が分からないときは都道府県知事等に通報するよう努めるとしています。業者に頼む作業と、こうした行政・団体への相談は、別の窓口として考えます。
| 状況 | 最初の連絡先の候補 | 根拠・参考にした資料 |
|---|---|---|
| 子猫の鳴き声がする、親猫が戻らない | お住まいの自治体の動物愛護担当、動物愛護センター、保健所 | 高知市・日立市・環境省ガイドライン |
| 公共の場所で負傷した猫を見つけた | 都道府県知事等(動物愛護センター・保健所など)へ通報に努める | 動物愛護管理法第36条 |
| 健康な成猫が敷地に来て困る | 自分の敷地での侵入防止。必要なら侵入防止や清掃を専門業者へ | 日立市・泉佐野市 |
| 近所で猫が増えている | 地域猫活動への支援(活動資金の助成など)の有無を自治体に確認 | 環境省ガイドライン(地域猫) |
清掃・消臭の見積もりで確認する範囲
猫のフン尿の被害では、侵入防止と並んで清掃・消臭の依頼が多くなります。見積書では、どこからどこまでを、何を使って、どの程度まで作業するのかを分けて確認します。区画と数量の読み方は害獣清掃の見積書を比べる。区画・数量・対象外作業の確認票、「消毒」と「消臭」が別の作業である点は害獣駆除の「消毒」と「消臭」。見積もりで分けて確認したい内容で整理しています。
においが残るという相談の確認順は、害獣駆除後もにおいが残る。追加の消臭を頼む前の確認順にまとめています。においの原因が表面だけでなく下地や床下側に及ぶ場合もあるため、どこまでを作業範囲とし、取り切れない部分をどう扱うかも、見積もりの段階で書面にしてもらいます。
| 確認項目 | 聞き方の例 | 確認したい答え |
|---|---|---|
| 作業範囲 | 床下、物置、天井裏、外周のうち、どこまで作業しますか | 区画ごとに、図や写真で範囲が示されている |
| 清掃・消臭の内容 | 拭き取り、薬剤の使用、乾燥、廃棄物の処分のうち何が含まれますか | 項目ごとに数量と単価が分かれている |
| 消毒との違い | 消毒は含まれますか。別料金ですか | 消毒と消臭が別の項目として書かれている |
| 取り切れない場合 | においが残った場合はどうなりますか | 再訪の条件、追加費用、保証の対象が書面にある |
| 廃棄物 | 汚れた断熱材や荷物の処分は誰が行いますか | 処分費の有無と、対象物が明記されている |
事業者サイトに「野良猫駆除」とあるときに確認する質問
事業者のサイトに「野良猫駆除」「野良猫対策」と書かれていても、その作業の中身は事業者ごとに違います。特定の事業者の表示を比べる目的ではありませんが、依頼前に次の質問で作業内容を言葉にしてもらうと、思っていた内容と違うという行き違いを避けられます。猫を捕獲する、処分する、遠方へ放すといった作業が含まれる場合は、第44条との関係を理由に、依頼を見送ることも考えてください。
| 質問 | 確認したい理由 | 確認したい答えの方向 |
|---|---|---|
| 「駆除」とは具体的に何をしますか | 殺傷や遠方への放逐を含む作業は、依頼自体が問題になるおそれがある | 侵入防止・点検・清掃など、猫を傷つけない作業が列挙されている |
| 捕獲はしますか。する場合、その後どうしますか | 広島市・高知市のように、引取りを行っていない自治体がある | 捕獲を前提にしない説明が基本。捕獲を含むと言われたら、行き先と根拠を書面で出せるかを確認し、納得できなければ見送る |
| 封鎖前に猫がいないことをどう確認しますか | 閉じ込めを防ぐため | 方法・日数・記録の残し方が具体的に説明される |
| 追加費用が出る条件は何ですか | 作業後に高額な請求を受けるトラブルが報告されている | 条件が見積書や契約書に書かれている |
| 保証の対象と期間はどうなっていますか | 別の入口から猫が入った場合の扱いが分かれやすい | 対象範囲、免責、再訪の条件が書面にある |
| 契約相手(施工する会社)はどこですか | 紹介窓口と施工会社が別の場合がある | 会社名・住所・連絡先が契約書に書かれている |
契約前に確かめること|契約相手・追加費用・保証の対象
国民生活センターは、2025年3月4日の公表で、広告の格安料金を見て依頼したところ、作業後に高額な請求をされた害虫駆除のトラブルを紹介しています。「〇〇円から」と表示されていても、その料金で依頼できるとは限らず、特に3ケタ台の極端な格安料金で依頼できることはまずないと注意しています。野良猫対策でも、見積もりの段階で作業範囲と総額を書面にしてもらうことが基本です。
同じ資料は、賃貸住宅なら事業者へ依頼する前に管理会社や大家に相談する方法、複数社から見積もりをとって比較する前提で話を聞くこと、不安をあおってその場で契約させようとする事業者とは契約しないこと、納得できない請求はその場で支払わないことを挙げています。クーリング・オフができる場合があること、おかしいと思ったら消費者ホットライン188(いやや!)に相談できることも案内されています。業者選び全般の質問は、害獣駆除業者の選び方。相談時の答えで比べる7つの質問で確認できます。
- 契約相手(施工する会社)の名称・住所・連絡先が、契約書や見積書に書かれている。
- 追加費用が出る条件(猫が見つかった場合の中断、追加の封鎖箇所など)が書面にある。
- 保証の対象と期間、別の入口から入った場合の扱いが書面にある。
- 作業前後の写真や報告書がもらえる。







