スズメの巣作りは何月から何月まで?資料ごとの繁殖期を比べる

農研機構の資料は、スズメの繁殖期を2〜9月、多くは3〜6月とし、年に1〜3回繁殖すると説明しています。農林水産省の鳥獣被害対策マニュアルは繁殖期を3〜9月、バードリサーチは4〜8月としており、資料によって始まりと終わりの月が少しずつ違います。日本野鳥の会は、2月ごろにオスが求愛のさえずりを始め、3月にはワラや小枝をくわえて巣を作り、9月ごろまで子育てが続くと紹介しています。

月の幅が出る理由は、地域や環境で繁殖の進み方が違うためと考えられます。加藤ら(2013年)は、東京都豊島区の市街地と埼玉県ふじみ野市の農村部で、2010年の5月中旬から9月中旬に巣を調べ、繁殖のピークが市街地で3回、農村部で2回だったと報告しています。自宅の周りでいつ始まるかは、表の月を目安にしつつ、実際の出入りで確かめます。

スズメの巣作りは何月から何月まで?資料ごとの繁殖期を比べる:確認項目
資料繁殖期の記載繁殖回数備考
農研機構(Ver.4.2)2〜9月、多くは3〜6月年に1〜3回鳥種別の生態資料
農林水産省 鳥獣被害対策マニュアル3〜9月年に1〜3回鳥類編のスズメの項
バードリサーチ(2005年)4〜8月繁殖期間中に2〜3回生態図鑑のスズメ
日本野鳥の会2月ごろ求愛のさえずり、3月に巣作り、9月ごろまで子育て年に2〜3回身近な野鳥の観察ガイド
加藤ら(2013年)調査は5月中旬〜9月中旬繁殖ピークは市街地3回、農村部2回豊島区と、ふじみ野市の2か所の調査

参考:農研機構|鳥種別生態と防除の概要:スズメ(Ver.4.2、PDF)

読者の疑問

スズメの巣作りは何月から始まりますか?

比較ガイド

日本野鳥の会は、2月ごろに求愛のさえずりが始まり、3月に巣材をくわえて巣を作ると紹介しています。繁殖期は資料により2〜9月、3〜9月、4〜8月と幅があり、多くは3〜6月です。

スズメの巣作りから巣立ちまでの日数:産卵・抱卵・育雛

スズメの1回の繁殖は、巣作り、産卵、抱卵、ヒナの育雛、巣立ち、巣立ち後の給餌と進みます。バードリサーチは、産卵が1日1個ずつで、1腹の卵が4〜7個、抱卵期間が12日、育雛期間が14日、巣立ち後も親鳥の給餌を10日間くらい受けると記しています。農研機構も、卵が4〜8個、抱卵は雌雄で行い約12日で孵化、育雛も雌雄で行い約14日で巣立つとしています。

立教大学の解説は、最後の卵が産まれてから10〜12日後に孵化し、孵化から巣立ちまでは約2週間、巣立ち後もしばらくは親と一緒に行動して給餌を受けると述べています。資料の数字はおおむね一致しています。

日数を足すとどれくらいか

卵を1日1個ずつ4〜7個産むとすると、産卵に4〜7日かかります。これに抱卵の約12日と育雛の約14日を足すと、産卵が始まってから巣立つまでは約30〜33日、巣立ち後の給餌も含めると約40日強です。この足し算は資料の日数をつないだ当サイトの整理で、天候や個体で前後します。

巣作りそのものにかかる日数は、確認した公的資料に数値がありませんでした。巣材を運ぶ姿を見た日が、卵のない日とは言い切れません。

スズメの巣作りから巣立ちまでの日数:産卵・抱卵・育雛:確認項目
段階資料に書かれた日数住まいで見えること(目安)
巣作り(巣材運び)日数を示す資料は読めなかったワラや枯草をくわえて、同じすき間へ出入りする
産卵1日1個ずつ、4〜7個(4〜8個とする資料もある)外からは見えない
抱卵約12日巣の中の動きは外から分かりにくく、ヒナの声もまだしない
育雛約14日エサをくわえた親鳥の出入りが増え、ヒナの声が聞こえることがある
巣立ち後約10日、親の給餌を受ける巣の外の電線や植え込みなどで、親子が一緒にいる

参考:バードリサーチ|Bird Research News 生態図鑑 スズメ Vol.2 No.4(PDF)

スズメは年に何回繁殖する?2回目以降と同じ場所の使い方

年に1〜3回という幅のなかで、2回目以降は、1回目のヒナが巣立った後に続くと考えられます。加藤ら(2013年)の調査では、繁殖の初期に使われた場所のうち、市街地は33か所中15か所(45%)、農村部は47か所中8か所(17%)が、その後の繁殖でも使われていました。同じペアかどうかは調べられていません。

三上ら(2015年)は、冬のスズメの群れが古巣または新巣から半径40m以内で見られることから、古巣をねぐらに使い、古巣の近くに翌年の巣を作ることが多いと考察し、営巣場所への強い執着があるとしています。毎年同じ場所へ来る理由と、補修の順序はスズメが屋根のすき間に巣を作ったときで扱っています。ここでは、暦の上で「空いた後にまた来る」ことを前提に、時期を考えます。

参考:J-STAGE|加藤貴大ほか「都市部と農村部におけるスズメの営巣環境,繁殖時期および巣の空間配置の比較」『日本鳥学会誌』62巻1号(2013年、PDF)

スズメの巣からいなくなったときの確認:本当に空か

親鳥の出入りや鳴き声が見えなくなる理由は、巣立ちが済んだ場合だけではありません。抱卵の時期や孵化して間もない時期は、ヒナの声が聞こえにくくなります。加藤ら(2013年)は、巣のヒナの声を確認できるのを孵化後6日齢以降と仮定しています。巣立ち後も、約10日は親が巣の外でヒナに給餌します。さらに、2回目の繁殖が同じ場所で始まることもあります。

加藤ら(2013年)は、巣を直接観察しておらず、繁殖の失敗やそれによる再繁殖は分からないとも述べています。静かになった事実だけでは、空になった理由は決められません。

空かどうかを見るときの順番

確認は、巣から離れた地上から、朝夕など時間帯を変えて、日を変えて何度か行います。次の項目がそろって初めて、巣立ちが済んだ可能性が高いと言えます。

  • 巣立ち後の給餌期間(約10日)を過ぎても、同じすき間への出入りが見られない
  • 入口に、新しい巣材がはみ出していない
  • 巣の近くで、ヒナの声や、エサを運ぶ親鳥の姿がない

中が見えない巣は、自分で確かめようとしない

屋根の奥や換気口の奥は、外から中を確認できません。点検口やカメラで確認できる業者や、自治体の窓口に、確認の方法を相談してください。撤去してよいかの判断はスズメの巣の撤去はいつできるかに、卵やヒナがあるときの連絡先は巣に卵やヒナがあるときに管理者と自治体へ確認することにまとめています。

参考:立教大学図書館|展示資料「スズメの繁殖生態」(松井晋・笠原里恵、PDF)

巣作りの始めに気づいたとき:卵がない段階で確認できること

清瀬市は、営巣中や営巣直後の巣が「カラ」の場合のみ法律に抵触しないと説明し、巣材が運び込まれているようなら、速やかに撤去して再び野鳥が来ないよう対策することを案内しています。同じ市は、卵やヒナの捕獲は、手に取るだけでも違反になると注意しています。大阪府も、撤去する前に必ず巣の中を確認するよう求めています。

つまり、巣作りの始めに動くことは理にかなっていますが、「卵がまだない」と確かめられる場所に限られます。ベランダの植木鉢や、洗濯機の裏のように、中を見て確認できる場所なら、確認したうえで対処できます。確認できない場所では、始めの段階でも手を出さず、巣材を運ぶ位置と日付の記録にとどめます。

確認できる場所でできる環境の見直し

清瀬市は、野鳥は天敵が少なく風雨を避けられる遮蔽された場所を好み、そのような環境を提供しなければ営巣しないと説明しています。次の見直しは、卵がない時期に行える範囲です。

  • 植木鉢やプランターの置き場所を変える、または撤去する
  • 洗濯機と壁のすき間をふさぐ、またはさらに広げる
  • 雨戸を日中閉めたままにしない(特に2階以上の戸袋)
  • 換気扇や通気口を網などで保護する
  • 葉の茂った庭木を剪定する

参考:清瀬市|繁殖時期の野鳥にご注意ください

スズメの巣の卵とヒナを見つけたとき:触らず、離れる

日本野鳥の会は、巣立ったばかりのヒナが地面にいても、親鳥が近くにいることがあるため、手を出さず、その場を離れてそっと見守るよう呼びかけています。ヒナは巣立ち後に親と過ごす1週間から1か月の間に、食べ物や危険を学んで独り立ちするため、人が連れ去ると生きていけないことがあると説明しています。

巣の中に卵やヒナがいる場合、大阪府は巣を撤去できないとして、巣立ちまで見守るよう案内しています。巣の位置と見た日付を記録し、離れて見守ってください。確認できない巣の扱いは、巣に卵やヒナがあるときに管理者と自治体へ確認することにも整理しています。

参考:日本野鳥の会|野鳥の子育て応援(ヒナを拾わないで)キャンペーン

対策に向く時期のカレンダー:巣立ち後と繁殖前

補修や防鳥網などの対策は、卵とヒナがいないと確かめられる時期に行います。資料の月は幅があるため、月だけで決めず、実際の出入りと組み合わせます。次の表は、鳥の動きと、住まいで取れる行動を月ごとに並べた目安です。

対策に向く時期のカレンダー:巣立ち後と繁殖前:確認項目
時期スズメの動き(資料の記載)住まいで取れる行動(目安)
10〜1月繁殖期の外。大きな群れは9月下旬に崩れ、小さな群れで村落へ戻る(農研機構)。古巣をねぐらに使うことがある(三上ら)点検と補修の計画期。作業前に、夕方から早朝の出入りを見て、古巣に鳥が泊まっていないか確かめる
2月オスが求愛のさえずりを始める(日本野鳥の会)巣材運びが始まる前に、補修や防鳥網を済ませる目安
3〜4月巣材をくわえて巣作りが始まる(日本野鳥の会)巣材の運び込みに気づいたら、卵の有無を確認できる場所だけ対処する
5〜6月繁殖の中心(農研機構は多くが3〜6月)。清瀬市は5〜6月を野鳥の繁殖時期とする巣には触れず見守る。補修は先に延ばす
7〜8月2回目以降の繁殖が続くことがある巣が空に見えても、次の繁殖が始まりうる。出入りを確認する
9月繁殖期の終わり(資料により異なる)巣立ちと空の確認後に、補修と清掃を計画する

参考:日本野鳥の会|キホンのスズメ――身近な野鳥を観察しよう