床下の断熱材の種類と留め方:床断熱と基礎断熱の違い
床下の断熱材が落ちたりちぎれたりしているのを見つけたら、まず、その家が床を断熱しているのか、基礎を断熱しているのかを確かめます。国土交通省が掲載する施工資料は、1階の床面で断熱する「床断熱」と、基礎の周囲で断熱する「基礎断熱」を分けて説明しています。床断熱では床下が外部空間になり、床下換気口や通気パッキン材で換気します。基礎断熱では床下を熱的に室内として扱い、床下換気口を設けないと整理されています。
垂れ下がるのは主に床の裏側に付けた断熱材で、基礎の壁に貼った板状の断熱材は、欠ける、はがれるといった形で傷みます。方式で原因の探し方も補修の担当も変わるため、図面や住宅会社の資料があれば先に見ます。資料がなければ、外周に床下換気口が並んでいるか、基礎の内側や外側に板状の材料が貼られているかを、外から見える範囲で記録しておきましょう。
床断熱は根太の間か大引の間に入れる
根太の間に入れる方法では、防湿フィルム付きの繊維系断熱材は、フィルムを室内側に向けて施工します。大引の間に入れる方法では、土台や大引に専用金具などの受け材を取り付けて大判の床用断熱材を敷き込み、たわんで床下の外気が流れ込まないよう注意するとされています。
繊維系の断熱材の下側が床下に露出し、ネットや受け材(桟)で保持されて下側が開いている構成なら、防湿フィルムを省略できる場合もあるといいます。ネットや桟が見えること自体は仕様の一部のことがあるため、外したり切ったりする前に住宅会社へ確認してください。
基礎断熱は基礎の壁に板状の材料を付ける
基礎断熱には、基礎の外側に付ける外断熱と、内側に付ける内断熱があり、どちらも発泡プラスチック系のボード状断熱材が使われます。同じ資料は、断熱材の中をシロアリが這い上がって構造材を食べる恐れや、基礎内断熱では蟻道を見つけにくい場合があることにも触れています。
断熱材の種類は繊維系と発泡プラスチック系
施工資料は断熱材を、グラスウールなどの繊維系と、ポリスチレンフォームなどの発泡プラスチック系に大別し、繊維系は水濡れに注意が必要で、湿気を含むと断熱性能が下がるとしています。床下で見かける白い発泡スチロールのような板は、ビーズ法ポリスチレンフォームなど床や基礎の断熱に適した材料のことがありますが、工事の端材や梱包材が残っているだけの場合もあります。断熱材と決めつけず、住宅会社の資料で確かめましょう。
| 方式 | 断熱材の位置 | 資料にある留め方と注意 |
|---|---|---|
| 床断熱(根太間) | 根太の間 | 繊維系は防湿フィルムを室内側に向ける。寸法が合わなければ切って納める |
| 床断熱(大引間) | 大引の間 | 土台や大引に専用金具などの受け材を付けて敷き込む。たわんで床下の外気が入らないようにする |
| 基礎断熱(外・内) | 基礎の外側または内側 | 発泡プラスチック系のボードを基礎に固定する。床下換気口は設けない。シロアリの経路に注意する |
参考:国土交通省(令和5年度補助事業)|住宅の省エネルギー設計と施工2023【4〜7地域版】(PDF)
床下の断熱材が落ちているのは、ネズミのせいですか?
断定はできません。受け材や押さえ材の不足、外れといった施工・経年、湿気でも断熱材は落ちます。近くにかじり跡、フン、黒い擦れ跡、集められた巣材があるかを確かめ、見分けがつかなければ写真を添えて調査を相談してください。
床下の断熱材が落ちる原因を比べる:施工・湿気・動物
国土交通省が掲載する部分断熱改修の資料は、現況調査で見つかる断熱材の浮きや脱落を、断熱性能が下がるおそれのある「性能低下事象」の例に挙げています。床や基礎では、断熱材の過不足や脱落で構造体との間に空隙ができている状態を施工不良に分類しています。断熱材が落ちていること自体は、動物がいなくても起こり得る建物側の傷みとして扱われているわけです。
床下から断熱を改修する工法について、同じ資料は、根太や大引の間に断熱材を充填し、落下防止の受材を設置すると記しています。別の施工資料も、落下や垂れ下がりを防ぐ押さえ材などでの固定を留意事項に挙げています。受け材が最初から足りなかった、年数で外れた、配管工事などで動かされたまま戻っていない、といった理由は十分にあり得ます。
湿気も無視できません。繊維系の断熱材は水濡れに注意が必要で、資料は床下が湿っていた場合の防湿シートなどの施工も確認するよう求めています。水濡れの跡や変色があるなら、動物より先に、漏水や湿気の原因を建物側で調べます。調べ方は床下の湿気と害虫対策で整理しています。
原因は一つとは限りません。外れて垂れ下がった断熱材を、ネズミが巣材に使っていることもあります。下の表は原因を一つに決めるためではなく、誰に何を先に見てもらうかを決めるために使ってください。
| 考えられる原因 | 現れ方の例 | 確かめる手がかり | 先に相談したい先 |
|---|---|---|---|
| 受け材・押さえ材の不足や外れ(施工・経年) | 複数の場所で同じように下がる。断熱材の縁は欠けていない | 金具や桟の有無、縁の状態、後工事の履歴 | 施工した住宅会社、工務店、リフォーム会社 |
| 湿気・水濡れ | 断熱材が湿って変色している。木部や地面にも湿りがある | 水濡れの跡、漏水の有無、床下換気の状態 | 住宅会社、水道設備の業者 |
| ネズミなど動物のかじり・営巣 | 不規則な欠けや穴、断熱材が一か所に集められた塊。近くにフンや黒い擦れ跡がある | かじり跡、フンの大きさと新しさ、通気口や配管まわりの破れ | 害獣の調査を行う事業者、自治体の相談窓口 |
| シロアリなどの虫 | 基礎や土台まわりの断熱材に土の筋(蟻道)が付き、木部が傷んでいる | 蟻道の有無、木部の傷み | 防蟻を扱う事業者 |
動物が原因のときのサイン:かじり跡・フン・巣・通り道
東京都の「ねずみ防除指針」の資料は、ネズミが活動の証拠を残すため、姿を見なくても活動場所や侵入経路を確認できると説明しています。床下の断熱材では、断熱材の傷みと、まわりに残る痕跡を組み合わせて見ます。
ネズミが残すサインの種類と見る場所
同じ指針は、音、齧り跡、糞、足跡、体のこすり跡をラットサインと呼びます。足跡やこすり跡は、体の脂分と汚れが通り道に付いた黒光りした跡です。糞の大きさはドブネズミが1〜1.5cm、クマネズミが1cm前後、ハツカネズミが0.5cmとされ、新しい糞は生息の可能性、大小の糞が同じ場所にあれば繁殖の可能性を示すとされています。
- 音:夜間や早朝に床下や壁の中から聞こえるか、場所はどこか
- 齧り跡:断熱材、配管のカバー、木部、通気口の格子などに歯形のような傷があるか
- 糞:大きさ、新しさ、同じ場所に大小が混じっているか
- 足跡・こすり跡:基礎や配管ぞいに黒光りした筋があるか
断熱材が巣材にされているサイン
同じ指針は、毛のないネズミの子には巣材が欠かせず、紙や布、ビニール類を集めるほか、住宅の断熱材に直接穴を開けて巣にすることがあると説明しています。別の資料は、壁の中の断熱材が暖かく外敵からも守られるため、営巣場所になりやすいとも述べています。
床下では、断熱材に穴が開いている、引き出されて一か所にまとまっている、細かく裂かれた紙や布、ビニールが混じっている、といった見え方になります。ドブネズミの巣は鳥の巣のように整った形ではなく、巣材を集めた程度のことが多いとされるため、形ではなく材料と場所を記録します。巣材の見分け方は細かく裂かれた紙や布はネズミの巣?も参考になります。
床下で動物の出入り口になりやすい場所
東京都の住環境チェック表は、床下まわりの確認箇所を挙げています。床下が布基礎やべた基礎でない場合は、土台・根太・床板のすき間からも出入りするとされ、都の別の資料は、ほとんどの建材はかじられ、金属でもアルミニウム程度なら齧られると注意しています。
- 床下通気口の破損、格子のすき間の大きさ(1.25cm以上)、まわりのすき間
- 基礎と壁のすき間や、床下の開口部
- 壁の配管貫通部(水道管・ガス管・電線・エアコンのダクト)のすき間
- 床下の排水管まわり(洗濯機・浴室・台所・洗面所)
床下の断熱材の写真の撮り方:点検口から撮る・入る前に確認すること
国土交通省が掲載する部分断熱改修の資料は、既存住宅の現況調査を、小屋裏や床下の点検口などからの目視を原則とし、見えない部分はカメラなどで確認するとしています。目視した内容は野帳に書き、根拠として写真を撮り、撮影した部位とアングルを書き込み、断熱材の種類や厚さも分かる範囲で記録します。相談前の記録にも、この考え方を使えます。
東京都の防除指針も、建物の見取図を作って調査結果を図面上に記録するよう勧めています。写真ごとに、見取図のどこからどちらを向いて撮ったかを書くと、担当者が場所を取り違えません。記録の渡し方は床下周辺の物音や痕跡を調査へ渡す方法でも説明しています。
入らない・触らない理由
厚生労働省の労働災害事例には、高さ約47cmの木造住宅の床下で作業中に、換気扇の配線に電動ドリルが当たって感電した例があります。事業者の作業の事例ですが、床下は狭く、配線や換気扇があり、異常が起きても周囲が気づくのが遅れやすいことが分かります。床下へ潜る、断熱材をはがす、電気設備の近くで工具を使うといった作業は自分では行わず、点検口から見える範囲の記録にとどめます。
フンや巣材らしいものは触らず、位置が分かる写真に残すだけにします。片付けや処分は、調査の結果を見てから、誰がどの範囲を行うかを決めます。
| 撮るもの | 撮り方 | メモに添える情報 |
|---|---|---|
| 点検口のまわり | 床の上から、点検口と近くの部屋・設備が入るように撮る | 部屋名、開閉できるか、荷物で塞がれていないか |
| 断熱材の全体 | 点検口を開け、ライトを当てて見える範囲を広く撮る | どちらを向いて撮ったか、見えなかった範囲 |
| 垂れ下がり・ちぎれた箇所 | 正面と斜めの2方向から。断面とまわりの木部や配管も入れる | 気づいた時期、同じ場所の変化 |
| フン・黒い擦れ跡・巣材らしきもの | 触らずに、位置が分かる引きと寄りの2枚を撮る | 大きさの印象、乾いているか、新しそうか |
| 外周の通気口・配管まわり | 建物の外から、破れやすき間の位置が分かるように撮る | 方角、通気口の位置、見取図との対応 |
床下に動物がいるかもしれないとき:捕獲の許可と法律の線引き
環境省の説明では、鳥獣保護管理法は、野生の鳥獣と鳥類の卵について、狩猟を除き、原則として捕獲・殺傷・採取を禁止しています。被害防止などで必要な場合は、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて行え、許可権限を市町村長に移している都道府県も多いとされています。
ネズミでは、同法の「鳥獣」にネズミ・モグラ類が含まれる一方、いえねずみ類3種は対象外とされています。ただ、姿やフンから種類が分からないうちは、野ネズミやイタチなど別の動物の可能性も残ります。断熱材の傷みだけで種類を決めて捕獲器や薬剤を仕掛けず、調査で確かめます。
外来生物法の特定外来生物は、飼養や運搬が原則禁止で、野外へ放つことも原則禁止です。生きた個体を自分で運んだり別の場所で放したりせず、環境省の地方環境局などの窓口に確認します。市販の殺鼠剤は、製品表示の対象動物・使用場所・注意事項に従うのが前提で、製品表示の対象でない動物には使いません。選び方は殺鼠剤と捕獲器、どう選ぶかで比べています。
| 動物 | 資料にある法律上の扱い | 自分でしないこと |
|---|---|---|
| いえねずみ類3種 | 鳥獣保護管理法の対象外とされている | 種類が確認できないまま、捕獲器や薬剤を床下へ置くこと |
| イタチなど野生の鳥獣(卵を含む) | 狩猟を除き、原則として捕獲・殺傷・採取が禁止。許可制 | 無許可の捕獲、毒餌、卵やヒナのいる巣の撤去 |
| 特定外来生物 | 飼養・運搬・野外へ放つことが原則禁止 | 生きたまま運ぶこと、別の場所で放すこと |
断熱材を直すときの仕様確認:厚さ・すき間・防湿・換気
断熱材が落ちた場所を直すときは、害獣への対応と並行して、元の断熱の仕様を戻すことが前提です。国土交通省が掲載する施工資料の、床断熱の改修の留意事項や施工の説明から、確認したい項目を下の表にまとめました。
厚さや材料の数値は、家の地域区分と既存の仕様で変わります。同じ施工資料が1〜3地域、4〜7地域、8地域と版を分けているのもそのためです。見積もりでは、既存の製品名と厚さが分かる写真と、変更する場合の理由を書面で受け取りましょう。主に天井裏を想定した確認は害獣対策で断熱材を戻すときの確認点にあり、考え方は床下にも通じます。
東京都の指針は、通風口に格子がない、または間隔が広すぎる場合に、格子を入れるか金網を張る例を挙げています。ただし床断熱の家は床下の換気を確保する必要があるため、侵入を防ぐ工事が換気を損なわないか、どの部材でどこまで塞ぐのかを、施工担当に図で説明してもらいます。
| 確認項目 | 施工資料の記載 | 見積書や説明で確かめること |
|---|---|---|
| 固定(受け材・押さえ材) | 落下・垂れ下がりを防ぐため、押さえ材などで固定する。大引間では専用金具などの受け材を使う | 材料名、固定の方法と間隔、既存の金具を使い回すか |
| すき間 | 断熱材と根太・大引の間にすき間を生じさせない | 切り口の納め方、すき間を埋める材料、仕上がりの写真 |
| 防湿 | 繊維系は防湿フィルムを室内側へ向ける。床下地盤面の防湿措置が適切であること | 既存の仕様、フィルムの向き、地面側の防湿の有無 |
| 換気 | 床断熱では床下換気を十分に確保する。基礎断熱では床下換気口を設けない | 通気口を塞ぐ・網を付ける場合、換気を損なわない方法か |
| 気流止め | 床と外壁、間仕切り壁との取合い部に設ける | 元の位置にあったか、動かした場合の戻し方 |
害獣対策と断熱工事の相談先を分ける:順番と伝え方
東京都の指針は、天井裏の断熱材が巣材に使われている場合、住まいの侵入口を塞ぐ以外に方法はないと述べています。床下の断熱材でも参考になる考え方で、断熱材を新しく入れても、入口が開いたままなら、また巣材として使われるおそれがあります。害獣対策と断熱の復旧は、同じ現場の作業でも、担当と順番を分けて考えます。
都の別の資料は、ネズミを駆除したあとに、死んだネズミやその巣からイエダニが離れて人を刺すことがあるため、死骸や巣をできるだけ探して速やかに撤去するよう説明しています。巣材になった断熱材の撤去は、駆除の工程と一緒に決めます。汚れた断熱材の交換や見積もりの読み方は、害獣に汚された断熱材は交換が必要かにまとめています。
一社が両方を請け負う場合も、見積書は「動物への対応(調査・侵入口の封鎖・巣の撤去)」と「断熱の復旧(撤去・新設・固定)」を別の項目にしてもらいます。完了報告には、封鎖した場所の写真と、断熱材の製品名・範囲・固定の状態が分かる写真を付けてもらうと、あとで見比べられます。
| 作業 | 主な相談先 | 渡す情報 |
|---|---|---|
| 動物の調査・侵入口の特定・封鎖・巣の撤去 | 害獣の調査を行う事業者、自治体の相談窓口 | 点検口からの写真、見取図、音や痕跡のメモ |
| 断熱材の撤去・新設・固定 | 住宅会社、工務店、リフォーム会社などの施工者 | 既存断熱の種類と厚さの記録、床断熱か基礎断熱か |
| 漏水・湿気の修理 | 水道設備の業者、住宅会社 | 水濡れの跡、水を使ったときの変化 |
| シロアリの疑いの確認 | 防蟻を扱う事業者 | 蟻道や木部の傷みの写真 |





