巣から落ちたスズメのヒナを見つけたら|まず羽毛を見る判断フロー

日本野鳥の会などが作ったパンフレット「野鳥のヒナと出会ったら?」は、地面にいるヒナへの対応を、羽毛が生えそろっているかどうかから始まるフローチャートで示しています。ここではそのフローを、表と文章で整理します。まず、離れた場所からヒナの羽毛を見てください。素手で持ち上げて確かめる必要はありません。

パンフレットは、親鳥は人のにおいを気にしないこと、ヒナの声で親鳥が気づくことを注記しています。また、ほかのヒナを巣立たせるために、弱いヒナがあえて巣から落とされることもあると書いています。巣に戻せば解決する、というものではなく、その後も親鳥の世話が続くかは親鳥の行動しだいです。カラスのヒナは親鳥が威嚇してくることがあるため、地面にいるカラスのヒナへの対応も確認してください。

巣から落ちたスズメのヒナを見つけたら|まず羽毛を見る判断フロー:確認項目
順番見るポイント当てはまるときパンフレットが示す対応
1羽毛は生えそろっているか生えそろっている(巣立ち直後のヒナ)けがをしていなければ、そのままにする
2巣立ち直後のヒナにけががあるかけがをしている各都道府県の鳥獣保護担当部署に相談する(またはそのままにする)
3羽毛は生えそろっているか生えそろっていない(巣立ち前のヒナ)巣の場所が分かれば、巣に戻す
4巣の場所は分かるか分からない街路樹や茂みに置く

参考:日本野鳥の会ほか|パンフレット「野鳥のヒナと出会ったら?」(2023年度版、PDF)

読者の疑問

スズメのヒナを拾ってしまいました。どうすればいいですか?

比較ガイド

兵庫県は、なるべく早く拾った場所に戻すよう案内しています。大阪府は、人のにおいが付いても親鳥は気にしないため、すぐ親鳥の元に返すよう説明しています。素手を避け、触ったあとは手を洗います。

巣立ち直後のヒナと、落ちた未熟なヒナの見分け方

スズメについて、日本野鳥の会は、卵は5個くらいで、孵ったヒナは約2週間で巣立ち、その後1週間くらいを親子で過ごしてひとり立ちすると説明しています。つまり、巣立ち直後のヒナは、巣を出て1週間ほどの、まだ飛ぶ練習中の鳥です。巣立ちの時期は春から夏の幅広い期間にあり、スズメは1年に1〜3回子育てをするとパンフレットは書いています。

大阪府は、ヒナには尾羽が短い、口の周りが黄色っぽいといった特徴があると説明しています。羽毛が生えそろっていて、体が親鳥に近い大きさなら、巣立ち直後と考えられます。判断に迷うときは、手を出さず、離れて様子を見ることが、公的な案内に共通した基本です。

広島県は、スズメやツバメなど巣立ち前のヒナを見つけた場合は、親鳥のいないときに巣に戻すよう案内しています。ツバメの子育ての日数や時期は、ツバメの巣作りの時期と巣立ちの暦で確認できます。

巣立ち直後のヒナと、落ちた未熟なヒナの見分け方:確認項目
見た目の特徴巣立ち直後のヒナ巣立ち前のヒナ
羽毛一通り生えそろっているが、うまく飛べないことがある生えそろっておらず、赤裸や地肌が見える
体の大きさ親鳥と同じか、少し小さい親鳥より小さい
尾羽親鳥より短いパンフレットに記載なし
目・脚パンフレットに記載なし目がきちんと開いていないこともある。脚が十分に成長しておらず、しっかり立てない

参考:大阪府|野鳥のヒナは拾わないで

拾わないほうがよい理由|親鳥が近くにいる

巣立ち直後のヒナの近くには親鳥がいて、人が近くにいると警戒して近づけません。日本野鳥の会は、そのヒナには親鳥が給餌や誘導をしながら飛べるようにしていくので、けがをしていなければ、そっとその場を離れるのがよいとしています。

親鳥は離れて見守っている

大阪府は、野鳥のヒナが一羽でいても「迷子」ではなく、巣が近くにあったり、親鳥が少し離れたところで見守っていたりすることが多いと説明しています。親鳥は人の姿が見えなくなるとヒナのもとへ戻って世話をするため、保護せず自然のままにするよう求めています。兵庫県も、大抵の場合は近くに親鳥がいて、ヒナに近寄ると親鳥が警戒して来なくなるので離れるよう案内しています。

人が育てるのが難しい理由

大阪府は、ヒナは食欲が旺盛で、親鳥のように10分に1回程度の給餌(強制給餌の場合が多い)が必要で、スズメが巣立つまでの約2週間に運ぶ餌の回数は4000回にもなると説明しています。日本野鳥の会も、巣立ち後の1週間から1か月に、何が食べ物で何が危険かを親鳥から学んでひとり立ちするため、人が育てたヒナは自然の中で生きていけるとは限らないとしています。

すでに拾ってしまったとき

兵庫県は、子どもが拾ってきてしまった場合は、なるべく早く拾った場所に戻すよう案内しています。大阪府は、多くの鳥は嗅覚があまり発達していないため、人のにおいが付いても問題なく、すぐ親鳥の元に返すよう説明しています。取り扱うときは素手を避け、手袋やマスクで防護し、終わったら手洗いをします。

参考:日本野鳥の会|よくある質問と回答「ヒナを見つけた」

道路や猫の近くなど危険な場所にいるときの対応

地面にいるヒナが、車道や、猫やカラスの近くなど危険な場所にいる場合は、公的な案内に、最小限だけ動かす方法が示されています。動かすときも、親鳥から見つけやすく、危険が少ない場所を選ぶことが共通しています。

どの場合も、触るときは使い捨て手袋や段ボールなどを使って直接触れないようにし、終わったら手を洗います。移動はごく短い距離にとどめ、移したあとはその場を離れて、親鳥が戻れるようにします。

道路や猫の近くなど危険な場所にいるときの対応:確認項目
ヒナのいる場所公的案内の対応避けたいこと
庭・歩道の地面で、危険が近くにないそのままにして離れる手のひらに載せて持ち帰る、餌や水を与える
車道近くに巣があれば巣に戻す。なければ近くの雑木林や草原など自然が残る場所にそっと放す(大阪府)道路の脇に置いたままにする
猫やカラスが近くにいる近くの茂みの中、木の枝先、建物の影へ移す(兵庫県、広島県、岡山県)見えやすい地面に置いたままにする
手が届かない高い巣の下小さな箱やカップ麺の容器で作った簡易巣を、親鳥が見つけやすい場所に置く(広島県、大阪府)巣の真下に放置する

参考:広島県|ヒナを拾わないで

連れ帰って飼育できない理由|鳥獣保護管理法

環境省は、鳥獣や鳥類の卵について、狩猟を除き、原則として捕獲、殺傷、採取を禁止していると説明しています。許可が認められるのは、被害の防止や学術研究上の必要がある場合などで、環境大臣または都道府県知事が出します。違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は、1年以下の拘禁刑(環境省のページの表記は従来の懲役)または100万円以下の罰金に処せられると、環境省は案内しています。

日本野鳥の会のパンフレットは、野鳥はけがをしていても、勝手に捕まえると法律違反になるため、行政の担当部署に連絡するよう書いています。三重県は、一時的な保護であっても許可なく保持するのは法に触れるため、速やかに元の場所に戻すよう案内しています。「かわいそうだから」と持ち帰ることも、善意であっても同じ扱いになるおそれがあります。

都道府県から保護を指示された場合

都道府県の指示で保護する場合の注意点を、日本野鳥の会が小鳥について示しています。鳥かごや大きい箱では暴れて羽を傷めることがあるため、羽をたたんでかがんだ大きさの紙箱を使います。自己判断で保護を始めるためのものではなく、指示を受けた場合の持ち運びの案内です。

  • 体がやっと収まる紙箱に、目より低い位置に小さな通気穴を開ける
  • 25〜30度を目安に保温する。使い捨てカイロは酸素を使うため、箱の外に置く
  • 暗くして安静にさせ、何度ものぞかない
  • 水や餌は与えない(ストレスになる)
  • 触るときは手袋を使い、触ったあとはせっけんで手を洗う

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

けがをしているときの相談先|都道府県の窓口

けがをした鳥を見つけて、放っておけないと判断した場合は、各都道府県の野生鳥獣担当機関に相談するよう、日本野鳥の会は案内しています。連絡先の一覧は同会が公開しており、部署名は変更されることがあります。窓口の対応は都道府県で大きく異なるため、下の表で例を確認してください。

窓ガラスに衝突して動けない鳥のように、人の活動の影響が疑われる場合は、窓の対策や様子の見方を窓にぶつかった鳥と動けない鳥への対応にまとめています。相談の電話では、見つけた場所、時間、ヒナか成鳥か、けがの様子を伝えられるようにしておくと、話が早く進みます。

けがをしているときの相談先|都道府県の窓口:確認項目
窓口公式ページで確認できた案内ヒナの扱い
大阪府明らかに人間活動の影響で傷ついた野鳥で、野生復帰が見込める個体について、見つけた人が自分で持ち込むことを条件に、協力する動物病院を紹介する制度がある野鳥のヒナは救護制度の対象外
兵庫県県には傷病鳥獣を保護する施設がない。人為的な負傷で、発見者が指定の動物病院へ事前に連絡して搬入できる場合のみ、治療を受けられることがある弱っている野鳥やヒナは自然のままにしておくよう案内
三重県原則として保護せず、見守る方針。人との関わりでけがをし、かつ希少な鳥の場合は、救護対象になることがあるスズメ、ヒナ全般は、保護対象としない鳥の例に挙げられている
岡山県明らかにけがをして動けないなど、心配なときは県の鳥獣保護センターへ相談ヒナは拾わないよう案内
広島県傷病の鳥獣は、そっとしておくよう案内野鳥の捕獲(保護飼育を含む)は法律で禁止と明記

参考:日本野鳥の会|ケガをした鳥を見つけた

自宅の巣から何度も落ちるときの確認

大阪府は、巣に戻してもまた落ちてしまう場合について、ヒナの成長につれて巣が狭くなり、何度も落ちることがあると説明しています。その場合は、近くに簡易巣を作って、親鳥に世話を続けてもらう方法を紹介しています。日本野鳥の会のパンフレットが書くように、弱いヒナが巣から落とされることもあるため、落ちる理由は一つに決められません。

兵庫県は、飛行の練習中のヒナが、強風などで巣から落ちることがあると説明しています。自宅の屋根やすき間の巣から繰り返し落ちる場合は、次の点を順に確認します。なお、卵やヒナがいる巣を許可なく撤去できない点は卵やヒナがある巣の撤去前に確認したいことで、スズメが屋根に巣を作った場合の巣立ちの確認はスズメが屋根のすき間に巣を作ったときの確認で整理しています。

  • 落ちたヒナは羽毛が生えそろっているか(巣立ち直後か、巣立ち前か)
  • 巣の位置は手が届く場所か。届くなら巣に戻せるか
  • 同じ日に何度も落ちる場合、巣の近くに簡易巣を作れる場所があるか
  • 猫やカラスが近づきにくい位置か
  • 巣立ち前のヒナが複数落ちている、親鳥が戻らないなど、状況が変わらないか

参考:大阪府|野鳥のヒナは拾わないで