コウモリの食べ物は何?家の周りにいるのは虫を食べるアブラコウモリ

前橋市は、市街地で見られるコウモリ(アブラコウモリ)の食べ物を、昆虫(カ・ユスリカ・ヨコバイ)などで、一日(夜)に300〜500匹を捕食すると紹介しています。国土交通省の天竜川上流河川事務所の資料も、コウモリの餌は蚊や蛾などの飛翔昆虫で、小型のコウモリ1頭が一晩に蚊程度の大きさの昆虫を400〜500匹食べると言われていると説明しています。数は資料によって幅があり、実際に数えた値ではなく目安として受け取ってください。

同じ資料は、日本には吸血コウモリは生息していないと説明しています。一方で、国内には果実や花蜜を食べるコウモリもいます。国土交通省国土技術政策総合研究所の用語解説によると、オオコウモリ類は植物果実や花蜜を餌とし、国内では南西諸島のクビワオオコウモリと小笠原諸島のオガサワラオオコウモリがいて、果実やサトウキビなどの栽培植物に餌付く例が知られています。本州などの住宅の屋根裏や戸袋にいるのは、昆虫を食べる種類です。

コウモリの食べ物は何?家の周りにいるのは虫を食べるアブラコウモリ:確認項目
コウモリの区分主な食べ物国内で確認される範囲人の暮らしとの接点
昆虫を食べる小型のコウモリ(アブラコウモリを含む)蚊・ユスリカ・ヨコバイ・蛾などの飛ぶ虫アブラコウモリは北海道から沖縄まで広く分布し、本州以南の市街地で見かけることが最も多い国内で年間を通じて家屋を休息場所にする唯一の種で、屋根瓦の下、戸袋、通気口などを使う
オオコウモリ類果実や花蜜南西諸島(クビワオオコウモリ)、小笠原諸島(オガサワラオオコウモリ)果実やサトウキビなど栽培植物に餌付く例がある
吸血コウモリ血日本には生息していない国内の住宅で問題になる種ではない

参考:前橋市|コウモリについて 市街地にも姿を現します

読者の疑問

コウモリは何を食べますか?

比較ガイド

家の周りで見かけるアブラコウモリは、蚊・ユスリカ・ヨコバイ・蛾などの飛ぶ虫を食べます。前橋市は一晩に300〜500匹、国土交通省の資料は400〜500匹と紹介しており、数は目安です。国内には果実を食べるオオコウモリ類もいますが、南西諸島と小笠原諸島に限られます。

コウモリは何を食べる?飛んでいる虫を超音波で探して捕まえる

アブラコウモリの食べ方の特徴は、暗い夜に飛びながら虫を捕まえることです。音の反響を使って周りを知っています。ここでは、食べ方と、食べる季節、虫を食べる意味を資料から整理します。

食べ方|超音波の反響で虫を追う

前橋市は、アブラコウモリは夜行性で、超音波(エコーロケーション・コール)を発し、その反響により餌である虫の追跡や周囲の環境を認識すると説明しています。国土交通省の資料も、コウモリが口や鼻から超音波を発し、物にぶつかって跳ね返ってくるのを耳や鼻で捉えて、物体との距離を一瞬で知るとしています。暗い夜でも、飛びながら虫を捕まえられるのはこの仕組みによります。

季節|春から秋の夕暮れに活動し、冬は冬眠する

前橋市は、アブラコウモリの活動期間を春から秋の夕暮れとし、冬は冬眠する(11月頃から4月頃)と紹介しています。虫が飛ぶ季節に外へ出て食べ、冬は休むという生活で、夕方に飛び立つ姿を見かける時期は、この活動期間と重なります。出入りの観察の仕方はコウモリの出入りを記録する方法で確認できます。

虫を食べる意味|益獣と呼ばれる理由

川越市は、コウモリが蚊やハエなどの害虫をエサとしているため、益獣としても考えられていると説明しています。国土交通省の資料も、害虫となる昆虫をたくさん食べ、人に役立っている益獣と表現しています。これらは餌場での食性についての記述で、家に住み着いた場合のフンや騒音の被害をなくすものではありません。

参考:国土交通省 天竜川上流河川事務所|天竜川の動物たち・コウモリ類(PDF)

コウモリの餌場になる場所|街灯の周り・川や池・水田

国土交通省の天竜川上流河川事務所の資料は、アブラコウモリについて、天竜川やその周辺の池や川、水田などで羽化した蚊、蛾、カゲロウ、ガガンボなどの水生昆虫を餌にしていると思われると説明しています。同じ資料には、街灯の周辺で餌を探して飛び回っているコウモリの捕獲は大変難しい、という記述もあります。国土技術政策総合研究所の手引きは、ライトなどで誘引すると走光性の昆虫が多く採集されると述べています。

これらをつなげると、夜の明かりの周りに集まる虫を狙って、コウモリが飛び回ることがあると考えられます。ただし、街灯が餌場になるとまでは資料に書かれていないため、この部分は資料の記述をつないだ推測です。

コウモリの餌場になる場所|街灯の周り・川や池・水田:確認項目
餌場の候補資料で確認できる内容家との関係で見ること
川・池・水田周辺の池や川、水田などで羽化した蚊・蛾・カゲロウ・ガガンボなどの水生昆虫を餌にしていると思われる(国土交通省)水辺が近い家で、夕方から夜に飛ぶ姿が見えるか
街灯・明かりの周り街灯の周辺で餌を探して飛び回るコウモリがいる(国土交通省)。ライトには走光性の昆虫が集まる(国土技術政策総合研究所)玄関灯や街灯の周りを、夕方に飛ぶ影が通るか
木立・森林の縁翼の小さなコウモリは木立の間のような入り組んだ場所でも餌をとる。近くに森林がないと見られない種類もある(国土交通省)庭木や公園が近いか。市街地でもアブラコウモリは見られる(前橋市)

参考:国土交通省 国土技術政策総合研究所|コウモリ類の調査の手引き(案)Ⅱ 生態調査段階(餌資源調査・ライトによる誘引ほか、PDF)

餌場とねぐらの関係|家に集まる理由は虫よりも建物のすき間

国土技術政策総合研究所のコウモリ類の調査の手引き(案)は、コウモリ類の生息環境では、出産や哺育、冬眠、昼間の休息の場となるねぐらと、十分な餌を供給する採餌場所の2つが重要で、この2つを結ぶ移動経路も欠かせない要素だとしています。餌場の虫が多いだけでは、その家がねぐらになるとは限りません。昼間に休める場所が建物にあるかどうかが、家に集まる理由に大きく関わると考えられます。

同じ手引きによると、イエコウモリ(アブラコウモリ)は、国内で年間を通じて家屋を休息場所として利用する唯一の種で、人家の屋根瓦の下や雨戸の戸袋の奥、通気口がしばしばねぐらとして利用されます。数頭から数十頭、100頭以上の集団になることもあり、初夏に出産します。見分け方は家にいるコウモリは全部アブラコウモリ?建物・樹洞・洞穴で違う種類の見方にまとめています。

餌場とねぐらの関係|家に集まる理由は虫よりも建物のすき間:確認項目
生息環境の要素資料の内容家で確認すること
ねぐら(休息・出産・冬眠の場)屋根瓦の下、雨戸の戸袋の奥、通気口などが使われる。国内で年間を通じて家屋を使う唯一の種フンが落ちる場所の上に、軒・戸袋・換気口・瓦の下のすき間がないか
採餌場所池・川・水田で羽化した虫、街灯の周りなど近くの水辺や明かり。夕方に飛ぶ時間帯と方向
移動経路ねぐらと採餌場所を結ぶ経路も、生存に不可欠な要素とされる出入りする方向と時刻を数日間記録して、同じ経路を通るか

参考:国土交通省 国土技術政策総合研究所|コウモリ類の調査の手引き(案)Ⅱ 生態調査段階(餌資源調査・ライトによる誘引ほか、PDF)

虫を食べる面と家屋被害を分けて考える

コウモリには、虫を食べる益獣の面と、住み着いたときの生活被害の面があり、別々に考える必要があります。川越市は、益獣としても考えられている一方で、フン等により家屋を汚損する等の生活被害をもたらすことがあるとしています。屋根裏等から出入りしている、家の周りに黒くて5ミリメートル程の細長いフンがたくさん落ちている場合は、コウモリが家に棲みついていると考えられるとも説明しています。

健康面は、断定を避けて確認します。前橋市は、国内ではコウモリを直接的な原因として発症した事例は現在のところないが、海外ではフンに含まれるカビ菌を吸い込んで病気に感染したケースが報告されていると説明しています。川越市は、野生動物は人と動物に共通する感染症の病原体をもつものがいるため、素手で触らないよう呼びかけています。フンの片づけ方はコウモリのフンの特徴と掃除方法にまとめています。体調に不安があるときは、医療機関へ相談してください。

虫を食べる面と家屋被害を分けて考える:確認項目
見る面資料にある内容考え方
虫を食べる面蚊やハエなどの害虫をエサとし、益獣としても考えられている(川越市)餌場での食性の話。住み着いた家の被害と相殺できるとは資料に書かれていない
生活被害羽音がうるさい、天井裏でキーキー鳴く声、フン害(前橋市)出入り口と時刻を記録して、被害の範囲を把握する
健康面国内で直接の発症事例は現在のところないが、海外ではフンのカビ菌を吸い込んだ感染例の報告がある(前橋市)乾いたフンを舞い上げない、素手で触らない。心配なときは受診する
法律面コウモリは鳥獣保護管理法の対象。捕獲は困難で、捕獲には許可が必要(浜松市、東京都ペストコントロール協会)捕獲や殺傷はしない。追い出しや封鎖は時期と方法を確認する

参考:川越市|コウモリによる生活被害

餌(虫)を減らす対策は現実的か|虫より出入り口を見る

家の周りの虫を減らせばコウモリは来なくなるのでは、と考える方もいます。確認した資料には、虫を減らす対策でコウモリが来なくなったという記述はありませんでした。餌場は、川や池、水田、街灯の周りなど、敷地の外にも広がっています。敷地内の水たまりや明かりを見直しても、コウモリのねぐらを使えなくするわけではありません。

自治体の案内は、侵入口の確認と封鎖が中心です。浜松市は、糞が落ちている場所等が侵入口と考えられ、1cm程の隙間があればコウモリは出入りできるとしています。東京都ペストコントロール協会は、6mmほどのわずかな隙間からも出入りが可能だと説明しています。餌を減らす対策より、ねぐらになる出入り口の確認に力を入れるほうが、資料の考え方に沿っています。これは資料から導いた考え方で、個別の家で効果が出るかは調査で確かめます。

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|コウモリの防除

コウモリの住み着きを防ぐための確認|侵入口・時期・法律

住み着きを防ぐ確認は、侵入口、時期、法律の3つに分けて進めます。コウモリが残っている状態で封鎖すると、閉じ込めて死なせ、臭いや害虫の原因になるため、自己判断で穴をふさぐ前に、いつ、どこから出入りしているかを観察します。時期の考え方はコウモリ対策の時期|暦だけで封鎖日を決めないための相談にあります。

侵入口の確認|出入りしやすい4か所

前橋市は、コウモリの侵入ポイントとして、窓やドアの隙間、換気口や通気口、エアコンと室外機を繋ぐ配管用の隙間、屋根と壁の隙間を挙げています。フンが落ちている場所は、侵入口を探す手がかりになります。換気口まわりの確認と補修は換気口の周りにコウモリらしき痕跡で整理しています。

  • 窓やドアの隙間
  • 換気口や通気口の外蓋の破損やすき間
  • エアコンと室外機をつなぐ配管のすき間
  • 屋根と壁のすき間

時期と法律|封鎖を急がず、許可の要る捕獲は避ける

浜松市は、侵入口の封鎖は、まだ飛べない幼獣のいる時期(6〜8月)や、冬眠前後の時期を避けて行うよう案内しています。東京都ペストコントロール協会は、一例として、穴を塞ぐ際は日没後、餌を取りに行き、屋内から出たところで行うと紹介しています。環境省は、鳥獣の捕獲や殺傷は原則として禁止され、許可を受けた場合に限って認められるとしています。コウモリは鳥獣保護管理法の対象のため、捕まえたり殺したりする方法は選べません。法律の整理はコウモリ駆除の法律|捕獲・殺傷が禁止される理由と許可の窓口にあります。

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている