ネズミの繁殖期はいつ?屋内と屋外で違う季節性

国立環境研究所の侵入生物データベースは、家に入るネズミ3種の繁殖期を種類ごとに載せています。ドブネズミとクマネズミは、どちらも「1年中繁殖するが春、秋にピーク」と書かれています。ハツカネズミは、野外では春と秋に明瞭な繁殖期を持つ一方、人間の暮らしに依存している集団では、年中繁殖活動をしているとされます。

つまり、「冬は増えない」「夏は安心」と季節で決めることはできません。とくに暖かい建物の中は、寒さの影響を受けにくい環境です。ここでは、まず各資料が書いている内容を、種類ごとに並べて確認します。

ドブネズミ・クマネズミの繁殖期と産子数

国立環境研究所のデータベースでは、ドブネズミの産仔数は1〜18匹で平均8〜9匹、クマネズミは2〜10匹で平均5.5匹とされています。数字は資料が記載した範囲で、幅があります。自宅で1回に生まれる頭数を示すものではないため、目安として読みます。

ハツカネズミは屋外と屋内で差が出る

ハツカネズミの産仔数は平均5.6匹で、秋にやや高いと記されています。屋外では春と秋に繁殖期がはっきりしますが、人間世界に依存する集団では、生息場所による違いはあるものの年中繁殖するとされています。倉庫や押入れなど、人の暮らしに近い場所では、季節の区切りが薄くなる点に注意します。

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース ハツカネズミ(繁殖期・産仔数)

読者の疑問

ネズミの繁殖期はいつですか?

比較ガイド

国立環境研究所の資料では、ドブネズミとクマネズミは1年中繁殖し、春と秋がピークです。ハツカネズミは野外で春と秋に明瞭な繁殖期があり、人の暮らしに依存する集団は年中繁殖するとされています。

ネズミは何匹産む?3種の妊娠期間・産子数・年間回数の表

大阪府の「ねずみの駆除について」のページは、家ネズミ3種の寿命と繁殖を、最適な条件下の目安として表にまとめています。妊娠期間はクマネズミとドブネズミが約21日、ハツカネズミが約20日です。年間の分娩回数はクマネズミとドブネズミが5〜6回、ハツカネズミが6〜10回で、1回の出産数はクマネズミが約6匹、ドブネズミが約8匹、ハツカネズミが約6匹とされています。

東京都の質問集は、これとは少し違う数字を載せています。生後3か月から出産し、条件が良ければ年に6〜7回分娩し、1回に6〜10匹程度の仔を生む、という説明です。資料によって幅があるため、細かな差ではなく「年に何度も、数匹ずつ生む」という目安として読みます。大阪府のページは2009年更新の資料である点も、あわせて押さえてください。

ネズミは何匹産む?3種の妊娠期間・産子数・年間回数の表:確認項目
種類妊娠期間1回の出産数(大阪府)年間の分娩回数繁殖できる時期産仔数(国立環境研究所)
クマネズミ約21日約6匹5〜6回生後約3か月から2年2〜10匹(平均5.5匹)
ドブネズミ約21日約8匹5〜6回生後約3か月から2年1〜18匹(平均8〜9匹)
ハツカネズミ約20日約6匹6〜10回生後約35日から平均5.6匹(秋にやや高い)

参考:大阪府|ねずみの駆除について

生まれてから繁殖できるまで|世代交代は数か月で進む

ネズミは哺乳類で、卵ではなく、妊娠期間を経て子を産みます。大阪府の表では、ドブネズミとクマネズミは生後約3か月から繁殖でき、その期間は約2年まで続くとされています。ハツカネズミは生後約35日から繁殖が始まるとされ、最適な条件下の寿命は1〜1.5年です。東京都の質問集も、生後3か月から出産するとしています。

子が親になる速さに比べて、寿命は数年あります。そのため、目に見える成獣を取り除いても、巣に子が残っていれば次の世代が育つことが考えられます。「ねずみ算」では、ひとつがいが1年後に9,434匹になるという計算が知られています。ただし東京都は、餌の量、巣の場所、仲間同士の争いなどの制限要因があるため、そこまで増えることはないと説明しています。この数字は増える速さの目安であり、家にいる頭数を表すものではありません。

集合住宅では、自分の家だけ対策しても他から来る可能性があり、近隣が一斉に駆除する、ネズミがいないときに防そ工事をするといった対応が大切とされています。繁殖の場が共用部や隣の部屋にある可能性も考え、管理会社や近隣と情報を共有します。

参考:東京都保健医療局|行政担当者のためのねずみについてよくある質問&回答集(PDF)

1匹見かけたら何匹いる?痕跡の量と範囲で見る

1匹の目撃から頭数を決めることはできません。東京都のねずみ防除指針(窓口対応の実践例)は、姿、音、声、糞、食害、齧害、ラットサイン、痒みを項目にした「ねずみ被害チェック表」を示しています。頭数は数字ではなく、どこに、どのくらい、どんな種類の痕跡があるかで見る考え方です。

チェック表の注記には、読み方の手がかりが書かれています。糞は新しいものなら生息の可能性、古いものなら迷入の可能性とされ、大小の糞が同じ場所で見つかれば、繁殖している可能性があるとされています。また、クマネズミの成獣は鳴かないが、幼獣はよく鳴くという注記もあります。昼間の目撃だけで多いと決めつけないための見方は、昼間にネズミを見たら大量発生?にまとめています。

範囲は見取り図に書き込んで見る

東京都の読本は、ラットサインから、外からの侵入経路、家の中の通路、餌場と営巣場所が分かるとしています。クマネズミの行動範囲は、東京都の質問集では半径約30mぐらいとされています。見つけた場所を間取り図に書き込み、痕跡が一部屋だけか、複数の部屋や階にまたがるかを見ます。壁際の黒い汚れはラットサインかの記録の仕方も参考になります。

1匹見かけたら何匹いる?痕跡の量と範囲で見る:確認項目
痕跡見方(東京都のチェック表の注記)記録すること
糞新しいものは生息の可能性、古いものは迷入の可能性。大小の糞が同じ場所にあれば、繁殖している可能性場所、大きさ、新しさ、日付つきの写真
声・音クマネズミの成獣は鳴かないが、幼獣はよく鳴く聞こえた場所、時間帯、どんな音か
食害・齧害食品とそれ以外の齧られた物を分けて記録する場所、齧られた物、日付
ラットサイン体の脂分と汚れで、通り道が黒光りした跡になる(東京都の読本)壁際や配管沿いの位置を見取り図に記入

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 2) 窓口対応の実践例(PDF)

巣と子ネズミを見つけたときの注意

東京都の読本は、ネズミが暖かく人目につきにくい場所に、紙や布、ビニールなどを集めて巣を作ると説明しています。営巣場所になりやすい場所は、天井裏、物置、家具の裏、押入れやたんすの中、壁の中、テレビや冷蔵庫など電気製品の裏です。鳥のような整った巣ではなく、巣材を一か所に集めた程度の巣が多いとされます。

小さな個体や紙くずの塊を見つけたら、頭数を数えるために崩したり、素手で触ったりしないでください。見つけた場所を写真に残し、子どもとペットを近づけないようにします。細かく裂かれた紙や布はネズミの巣?では巣材の見分け方を、ネズミの赤ちゃんを見つけたらでは、幼獣そのものを見つけた場面の対応を扱っています。

片付ける場合は、乾いた巣材やフンを掃いたり掃除機で吸ったりしないことが大切です。米国のCDCは、手袋を着け、換気をしたうえで、乾いたまま掃除しない方法を案内しています。東京都の質問集は、ネズミを駆除すると、死んだネズミや巣からイエダニが離れて人を刺すことがあるため、死がいや巣はできるだけ探して速やかに撤去するとしています。

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

増える前にする対策|餌・巣材・侵入口を減らす

繁殖を抑えるには、増えにくい環境を作ることが基本になります。東京都の読本は、環境的防除の3本柱として、餌を与えないこと、巣材を与えないこと、住まいへの出入りと建物内部での移動を防ぐことを挙げています。食品はふた付きの容器に入れ、ビニール袋や段ボールのまま置かないことも、具体例として示されています。

侵入口については、東京都の質問集が、クマネズミは1.25cmのすき間があれば通り抜けると説明しています。配管の貫通部、屋根と壁の間、基礎の通気口などが入口になりやすいとされます。食品の置き場所の見直しはネズミ対策の食品保管、すき間の補修の考え方は防鼠金網ですき間を直す前にで確認できます。

時期の目安も押さえておきます。東京都の質問集では、一般に寒くなる10〜11月ごろに暖かい民家へ侵入するため苦情相談が多くなると説明されています。これは侵入の話であり、繁殖が冬だけという意味ではありません。年間を通じて点検を続けます。

  • 食品、ペットフード、生ごみは、ふた付きの容器か、すき間のない戸棚に入れる
  • 衣類や紙類は、強い収納ケースに入れ、天井裏や押入れの奥を時々点検する
  • 1.25cm以上のすき間は、侵入口の候補として位置と寸法を記録する

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

相談を考える目安と、伝えると役立つ情報

痕跡が複数の場所にあり、大小のフンが同じ場所に落ちている、子の鳴き声が続く、巣らしい場所が天井裏や壁の中で手が届かない、といった場合は、自分で数を確かめようとせず、調査の相談に移ります。東京都の読本は、ねずみ防除を業者に頼む場合、生息調査と防除後の効果判定、環境的防除の指導、工事内容の説明、見積書の説明が適切に行われることを確認するよう示しています。

相談するときは、フンや音の場所と日付、見取り図、食品の傷、これまでにした対策を伝えます。市区町村の窓口でも、記録があると説明がしやすくなります。東京都の読本は、ねずみの相談先として、特別区や市町村のねずみ・昆虫等の防除を所管する部署を案内しています。お住まいの自治体の窓口を確認してください。

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)