ツバメが巣を作りやすい場所と理由|軒下・梁・照明まわり
日本野鳥の会のガイドブックによると、ツバメの巣は軒下や納屋、家畜小屋、橋などの建物に作られ、梁のような人工物を巣の支えにすることもあります。泥と草を混ぜて作る椀形の巣なので、泥や草を集められる環境と、巣を支えられる出っ張りがそろう場所が選ばれます。玄関や車庫の天井、店先の庇の裏などは、この条件に当たりやすい場所です。
検索では「ライトの上」のような具体的な場所もよく調べられていますが、今回確認した資料に、照明器具の上と明記したものはありません。梁や軒下と同じく、壁や天井との境目に平らな面があり、雨風が当たりにくい場所は、巣の土台になり得ると考えて点検するのが現実的です。ここは当サイトの整理で、公的な調査結果ではありません。
人の近くに巣が多い理由について、日本野鳥の会は、ツバメがカラスなどの捕食者を避けるため、人通りの多い人家の近くで子育てをすると考えられていると説明しています。同会の全国調査では、報告された巣の88%が都市計画法の対象となる都市の区域にあり、市街化区域だけでも7割余りを占めました。人の出入りが多い玄関や店先ほど、選ばれやすいということです。
| 場所 | 見るポイント | 作らせない側の対策の例 |
|---|---|---|
| 玄関・軒下の天井 | 壁との境目、梁、照明器具まわりの出っ張り | 巣作りの前に進入路をふさぐ。壁面にビニールやアルミ箔を張る(広島市の案内) |
| 車庫・ガレージ | 梁、配線の束、出入口の真上 | 進入路にテープや紐を垂らす(広島市の案内)。巣作りの前から日常的に点検する(香川県の案内) |
| 店先・庇の裏 | 看板や庇の裏のくぼみ、人の出入りが多い場所 | 巣材の運び込みが見えた段階で、卵を産む前に対応を決める(富山県の案内) |
| 集合住宅の共用部 | 廊下の天井、駐輪場の梁、設備の上 | 自分で作業せず、先に管理者へ相談する |
参考:日本野鳥の会|教員向けガイドブック『ツバメの子育てを観察しよう』(PDF)
ツバメが巣を作り始めたら、すぐに取り除いてもいいですか?
卵やヒナがいなければ、撤去できると富山県や大阪府が案内しています。卵を産む前に判断するのが分かれ目で、中を確認できない高さの巣は自分で決めず、都道府県や市区町村の鳥獣担当に相談してください。
ツバメの巣対策は、まず方針を決める|作らせない・作らせて見守る
ツバメの巣対策には、大きく3つの進め方があります。巣作りの前に先回りして作らせない方針、巣ができたあとで見守りながらフンなどの困りごとを減らす方針、巣立ち後に巣を片付けて次の年に備える方針です。どれを選ぶかは、巣の場所と、今の巣の状態で決まります。
日本野鳥の会は、ツバメの巣が人の手で壊される主な理由は「フンが汚い」ことだと述べ、フンが落ちるのは子育て期間のうち2週間程度なので、フン受けを設置して見守るよう呼びかけています。巣を壊すことには法律上の制限があるため、困りごとを減らす手段を先に考えたほうが、選べる方法が多く残ります。
ツバメを含む野鳥は鳥獣保護管理法で守られており、都道府県知事の許可がなければ、卵やヒナがいる巣を壊すことは違法になります。違反すると、1年以下の拘禁刑(従来の表記は懲役)または100万円以下の罰金が科される可能性があると、日本野鳥の会や長岡京市が案内しています。巣の中の卵やヒナの有無で扱いが変わる点は、卵やヒナがある巣の撤去前に確認したいことでも整理しています。
| 方針 | 向く状況 | できる時期 | 主な方法と注意 |
|---|---|---|---|
| 作らせない | 玄関や出入口の真上など、フンが避けにくい場所。巣材がまだ運ばれていない | 巣作りの前から、卵を産む前まで | 進入路をふさぐ、テープや紐を垂らす、古巣を取り除いて壁面を作りにくくする。卵やヒナが入ったあとは使えない |
| 作らせて見守る | すでに卵やヒナがいる巣。追い払いたくない場所 | 巣作りの途中から巣立ちまで | フン受けを巣から離して置く、カラス除けを付ける。設置の時期を守る |
| 巣立ち後に片付けて備える | 巣立ちを確認でき、翌年は同じ場所に巣を作ってほしくない場合 | 巣立ちを確認したあと | 空になった巣を取り除き、壁面や出っ張りを作りにくくする。2回目の子育ての可能性を先に確認する |
作らせないための対策と、できる時期|卵を産む前までが分かれ目
作らせない対策の分かれ目は、巣に卵が入っているかどうかです。富山県は、巣の中に卵やヒナがいなければ撤去しても問題はなく、都合の悪い場所に巣を作られた場合は卵を産む前に撤去するよう案内しています。香川県も、巣を作られたあとではなく事前に撤去すれば別の場所に移動するので、軒下や車庫を日常的に点検するよう呼びかけています。
日本野鳥の会は、ツバメが日本に到着してから卵を産むまでに、通常1か月以上かかると説明しています。渡来の時期から巣作りの様子を見ておけば、卵を産む前に判断する時間は残されています。
巣作りが始まる前にできること
広島市は、巣作り前の対策として、進入路をふさぐこと、進入路にテープや紐を垂らすこと、空になった古い巣を取り除いたうえで壁面にビニールやアルミ箔を張って巣を作りにくくすることを紹介しています。富山県は、侵入口やすき間をふさぐ、防鳥ネットやワイヤーを設置する、木の枝を剪定するといった方法を挙げています。
防鳥ネットは、目が細かいと鳥が引っ掛かるおそれがあるため、目の粗いものを選ぶなどの工夫が必要だと富山県は注意しています。取り付けの考え方は、ベランダの防鳥ネットの付け方と管理者の承諾も参考になります。
- 進入路をふさぐ、またはテープや紐を垂らす(広島市の案内)
- 空の古巣を取り除き、壁面にビニールやアルミ箔を張る(広島市の案内)
- 侵入口やすき間をふさぐ、防鳥ネットやワイヤーを設置する(富山県の案内)
- 庭木の剪定は、子育て中の巣がないことを確認してから行う(富山県の案内)
巣作りが始まったあとの判断
巣材の泥や草が運び込まれ始めた段階でも、卵が産まれていなければ撤去できる、というのが複数の自治体の案内です。ただし、巣が高い場所にあって中を確認できない場合は、卵の有無を断定できません。清瀬市は、営巣中や営巣直後の巣が空の場合のみ法律に触れないと案内しています。確かめられないときは、自分で判断せず、都道府県や市区町村の鳥獣担当に相談してください。
親鳥を驚かせると、卵があっても巣を放棄することがあると、日本野鳥の会のガイドブックは観察時の注意として書いています。ただし、これは放棄させる方法として使えるものではありません。撤去することで卵やヒナを傷つけることが明らかな場合は、許可がなければ法に触れるおそれがあると大阪府は案内しています。
アルミホイル・スプレー・テグスは効く?公的資料で確認できる範囲
「ツバメ 巣 対策」では、アルミホイル、スプレー、テグス、100円ショップのグッズなどもよく調べられています。今回開いた日本野鳥の会と自治体の公式ページで、方法として確認できたのは下の表のものです。効果の大きさを数字で示した資料は確認できなかったため、「効く」とも「効かない」とも言い切れません。
つまり、公的な案内で根拠が確認できるのは、進入路をふさぐこと、壁面を作りにくくすること、すき間をふさぐことです。スプレーや市販グッズは、成分や使い方が製品ごとに違うため、購入時は製品の表示を読み、使用場所と対象を確認してください。薬剤の希釈や混合などを自己流で変えることは避けます。
| 方法 | 公的資料での扱い | 注意 |
|---|---|---|
| アルミホイル・ビニールを壁面に張る | 広島市が、空の古巣を取り除いた壁面に張る方法を紹介 | 巣作りの前に限る。卵やヒナのいる巣のそばでは使えない |
| テープや紐を垂らす | 広島市が、進入路に垂らす方法を紹介 | 垂らした位置が通路をふさがないか、風で人に当たらないかを確認する |
| すき間をふさぐ・防鳥ネット・ワイヤー | 富山県が方法として列挙 | 防鳥ネットは目の粗さに注意。細かい目は鳥が引っ掛かるおそれがある |
| テグス(釣り糸) | ツバメの巣作り防止としての記載は確認できなかった | 大阪府は釣り糸に絡まった野鳥への対応を案内している。細い糸は絡まる事故につながりかねない |
| スプレー・忌避剤 | ツバメの巣作り防止としての記載は確認できなかった | 製品の表示にある対象・使用場所・注意事項に従う。鳥に直接かけない |
| 100円ショップなどの市販グッズ | 商品を評価した資料は確認できなかった | 製品の表示に従い、巣作りの前に設置する。商品名での効果は断定できない |
フン受けの設置方法と掃除|設置の時期と巣からの距離
巣を作らせる場合の中心になるのがフン受けです。日本野鳥の会は、フンが落ちるのは子育て期間中の2週間程度とし、店舗や車庫のようにフンが落ちると困る場所では、フン受けを設置するよう案内しています。置き方と時期には決まりがあり、ここを間違えると親鳥の警戒を強めてしまいます。
フン受けの作り方と置く位置
日本野鳥の会が紹介する手軽な方法は、浅い段ボール箱に新聞紙を中敷きにして地面に置く方法です。巣の直下に設置するときは、段ボールなどを強力な粘着テープで固定します。大きくて頑丈なものにすると、天敵のカラスが足場にしてしまうため注意が必要で、巣から50cm以上離すとよいとされています。
- 使うもの:浅めの段ボール箱、強力な粘着力のテープ(日本野鳥の会の案内)
- 地面に置く場合は新聞紙を中敷きにして、時々取り替える
- 巣の直下に付けるときは固定し、巣から50cm以上離す
- 大きく頑丈な台は、カラスの足場になるので避ける
設置のタイミング
設置の時期は、親鳥の警戒心が強い巣作り中や抱卵中は避け、ヒナが孵化してから置くか、巣台を設置するときにあわせて作る、と日本野鳥の会は案内しています。カラス除けの設置も、巣作り中は避けて、抱卵が始まってから行います。
掃除のしかた
掃除の基本は、古新聞などのフン受けを時々取り替えることです。日本野鳥の会は、鳥インフルエンザがツバメから人にうつることはないと説明したうえで、気になる方には、巣の下にフンを受けるものを置き、取り替えや掃除で清潔に保つよう勧めています。取り替えるときは手袋をして、終わったら手を洗うといった、一般的な衛生にも気を付けましょう。
| 時期 | フン受け | カラス除け |
|---|---|---|
| 巣作り中 | 置かない(親鳥の警戒心が強い) | 設置しない |
| 抱卵中 | 置かない | 抱卵が始まったら設置する |
| ヒナが孵化したあと | 置く(巣台を設置するときにあわせて作ってもよい) | 設置済みにしておく |
| ヒナが羽ばたきの練習を始める頃 | 引き続き使う | 新たに設置するとヒナが驚いて巣から飛び出すことがあるため避ける |
玄関・店舗・駐車場など場所別の工夫
同じツバメの巣でも、場所によって困りごとと使える工夫が変わります。下の表は、日本野鳥の会と自治体の案内にある方法を、場所ごとに当てはめて整理したものです。共用部や賃貸では、作業の前に管理者の了解を取ってください。
日本野鳥の会は、ツバメの巣を見守っている団体や企業に感謝状を贈る取り組みを行っており、2021年度には全国16の団体に贈呈を決めたと発表しています。フンの手間を負担に感じる場合でも、フンが落ちる期間が限られていることと、見守りを続けている事例があることは、知っておくと判断の助けになります。
| 場所 | 困りごと | 作らせない側 | 見守る側 |
|---|---|---|---|
| 玄関先 | 出入りする人の足元にフンが落ちる | 巣作りの前に進入路をふさぐ。空の古巣を取り除き、壁面を作りにくくする | 巣の真下ではなく、50cm以上離した位置にフン受けを固定する |
| 店先・店舗の出入口 | 客の動線や商品が汚れる、衛生面の心配 | 巣材の運び込みを日常的に点検し、卵を産む前に対応を決める | フン受けの掃除担当を決める。フンが落ちる2週間程度の間だけ動線をずらす |
| 駐車場・車庫 | 車の屋根や荷物が汚れる | 梁や配線、照明まわりを、春の渡来前に点検する | 子育て期間中の2週間程度だけ、車を巣の真下から外す |
| 集合住宅・賃貸の共用部 | 個人の判断で作業できない | 作られる前に管理者へ相談し、承諾を得てから対策する | 管理者と合意のうえでフン受けを設置する |
カラスやスズメから巣を守る対策|見守る場合のもう一つの困りごと
ツバメの巣を見守る場合は、カラスの襲撃も心配になります。日本野鳥の会は、ツバメの天敵はカラスで、襲われるのは自然の摂理としつつ、人が出すごみでカラスが増えたことや、昔は土間の奥や玄関の中で子育てできたのに、今はカラスに狙われやすい場所に巣を作らざるを得ないことが背景にあると説明しています。
防ぐ方法として、巣の下にツバメが通れる程度のすき間を空けてひもを張る、場合によってはネットを張る、カラスは下から巣を蹴り落とすので、下から狙えないよう巣の下に板などを設置する、といった例が紹介されています。設置は抱卵が始まってからで、ヒナが羽ばたきの練習を始める頃に付けると、ヒナが驚いて飛び出すことがあるため注意が必要です。
日本野鳥の会の全国調査(2013〜2022年)では、繁殖失敗の要因のうち、カラスやヘビなどの天敵が約36%で最も多く、その60%はカラスによると疑われていました。次いで多かったのはスズメによる巣の乗っ取りの14%で、巣の撤去など人に起因する失敗も12%ありました。原因の特定は難しく、推測を含む集計とされています。カラスの動きはカラスの繁殖期と威嚇される時期も参考になります。
スズメによる乗っ取りについて、今回確認した公的資料に具体的な防ぎ方は見つかりませんでした。スズメが巣を狙う様子が見られたときは、日付と場所を記録して、住んでいる地域の鳥獣担当に相談してください。スズメが屋根のすき間に巣を作る場合の考え方は、スズメが屋根のすき間に巣を作ったときの確認で整理しています。
巣立ち後の片付けと翌年への備え
巣立ちを確認できたあとは、神奈川県が、巣立ち後であれば許可なく巣を取り外せると案内しています。長岡京市も、巣立ち後なら撤去しても問題ないとしつつ、中に卵やヒナが残っていないか必ず確認するよう求めています。抱卵は13〜14日、ヒナが巣立つまで17〜22日が目安で、巣の中の状態を見ないまま片付けないことが大切です。
ただし、ツバメは春から夏に2回、時には3回子育てをします。巣が空いて見えても、2回目の準備や抱卵中である可能性があるため、空いたように見える場面の確認はツバメの巣作りの時期と巣立ちの表で確かめてください。古巣を片付けたあとに室内で小さなダニが気になる場合は、野鳥の巣の近くの小さなダニ(トリサシダニ)の確認を参照してください。
翌年の備えとして、広島市は空になった古い巣を取り除き、壁面を作りにくくする方法を紹介しています。富山県は、一度巣を作った場所は再び巣作りをする可能性が高いため、対策を徹底するよう呼びかけています。渡来は3〜4月頃なので、その前に、巣を支えられる出っ張りやすき間を点検しておくと、巣作りの前に動けます。
- 巣立ちと、2回目の子育てが終わったことを確認してから片付ける
- 古巣を取り除いたら、壁面にビニールやアルミ箔を張る(広島市の案内)
- 渡来前の3月までに、すき間やワイヤー、ネットの状態を点検する
- 来てほしい場合は、巣台の設置とフン受けの準備を一緒に考える(日本野鳥の会の案内)





