ヒアリに刺された直後にすること|20〜30分の安静と見守り
ヒアリやアカカミアリの毒への反応は、人によって大きく異なると環境省は説明しています。そのため、刺された直後は、体調に変化がなくても、20〜30分程度は刺された部位を冷たいタオルや保冷剤などで冷やしながら安静にして、様子をみるよう示されています。その間は、なるべく一人にならないようにします。千葉県も、直後20分から30分は安静にして体調の変化を見るよう案内し、まれにアレルギー反応を起こすことがあるとしています。
アリの集団や巣に刺激を与えると攻撃的になるとされ、千葉県は、巣を刺激すると多数のアリが襲ってくる可能性があると述べています。刺された場所の近くにアリの巣がありそうなときは、まずその場を離れ、巣をつついたり踏んだりしないでください。
| 経過 | 起こること(環境省の説明) | 案内されている行動 |
|---|---|---|
| 刺された瞬間 | 熱いと感じるような、激しい痛み | 冷たいタオルや保冷剤で冷やしながら安静にする |
| 直後から20〜30分 | 体調に変化がなくても観察を続ける。強いアレルギー反応は、刺されて20〜30分以内に息苦しさ、声がれ、激しい動悸やめまい、腹痛などで現れることがある | 一人にならない。じんましんや異常があれば医療機関を受診し、重い症状は救急車を呼ぶ |
| 翌日 | 刺された部位の小さな赤みの中央に、膿がたまったようになる。軽いかゆみが出ることもあり、その後、皮膚症状は徐々に改善する | 症状がある場合は、お近くの病院に相談する |
- 刺された時刻を覚えておく。スマートフォンの時計や写真の撮影時刻で確認できます。
- 息苦しさ、声がれ、動悸、めまい、腹痛、じんましんが出ないかを見守る。子どもは、大人がそばで見ます。
- 同じ場所にとどまらず、アリの巣や集団から離れる。
参考:環境省|ヒアリの基礎情報(要緊急対処特定外来生物ヒアリに関する情報)
ヒアリに刺されるとどうなりますか?
環境省は、刺された瞬間に熱いと感じる激しい痛みがあり、小さな赤みが出て、翌日には赤みの中央に膿がたまったようになると説明しています。体質によっては、じんましんや、息苦しさなどの強いアレルギー反応が出ます。
症状の段階別の対応|全員に出る症状と、アレルギー体質の症状
環境省は、症状を、すべての人に現れるものと、ヒアリ類の毒にアレルギー体質を持つ人に現れるものに分けて説明しています。ヒアリの毒には、ハチ毒との共通成分も含まれるため、ハチ毒アレルギーのある人は、特に注意が必要とされています。
日本皮膚科学会の説明
日本皮膚科学会のQ&Aは、日本に生息する虫には、人の生命を脅かすほどの猛毒を持つ種類はほとんどいない一方、毒成分に強いアレルギー反応が起こると、全身のじんましん、腹痛、呼吸困難、意識消失などのアナフィラキシーが出る場合があると説明しています。ヒアリについては、ハチと同様に毒針を持ち、刺されることで痛みやアナフィラキシー症状を起こすことがある、としています。
治療の内容は医療機関で決まる
環境省の資料は、症状の見分けと受診の目安を示すもので、使う薬や処置などの治療内容までは書いていません。痛みやかゆみが強い、赤みや腫れが広がるなど、皮膚の経過が気になるときは、自分で判断せず、医療機関で診てもらってください。
| 段階 | 現れ方(環境省の説明) | 案内されている行動 |
|---|---|---|
| 全員に出る症状 | 焼けるような痛みとかゆみ。刺された部位に小さな赤みが出て、翌日には赤みの中央に膿がたまったようになる。その後、皮膚症状は徐々に改善する | 症状がある場合は、お近くの病院に相談する |
| アレルギー体質の人に出る症状(じんましん) | 刺された直後から、刺された部分を中心に赤みや腫れ、かゆみが出る。全身にかゆみを伴う赤みやミミズ腫れが現れることもある | じんましんが出たり、体調不良などの異常を感じたら、すぐに医療機関を受診する |
| アレルギー体質の人に出る症状(重い全身症状) | 刺されて20〜30分以内に、息苦しさ、声がれ、激しい動悸やめまい、腹痛などが起こる。進行すると血圧が急に低下し、意識を失うこともある | アナフィラキシーショックの可能性が高く、処置が遅れると生命の危険を伴うため、救急車を呼ぶ必要がある |
救急要請・受診を考える変化と、迷うときの相談先
環境省の案内を行動に置き換えると、体調に変化がなければ様子を見る、じんましんや体調不良があれば医療機関を受診する、息苦しさ、声がれ、激しい動悸、めまい、腹痛などの全身症状があれば救急車を呼ぶ、という区別になります。これらの重い症状は、刺されて20〜30分以内に現れると説明されているため、その時間帯は特に目を離さないようにします。
受診するか、救急車を呼ぶかに迷うときの相談先として、総務省消防庁は、救急安心センター事業(#7119)を案内しています。医師、看護師、救急救命士から電話でアドバイスを受けられる仕組みで、緊急性が高いと判断された場合は、119番通報への転送などが行われます。消防庁のページでは、全国42地域で実施されており、お住まいの地域で使えるかは、同じページで確認できます。
息苦しさや意識の低下など、明らかに重い症状があるときは、#7119で相談するのではなく、119番へ直接かけてください。刺されたアリの種類を調べることよりも、症状への対応を先にします。
受診時に伝えること|アリの死骸の扱いも
環境省は、受診するときに「アリに刺されたこと」と「アナフィラキシーショックの可能性があること」を伝え、すぐに治療してもらうよう案内しています。また、刺したアリの死骸を持参すると、診断に役立つとしています。表の最後の2行は、環境省の案内にはなく、当サイトで補った整理です。
| 伝えること・持参するもの | 理由(公的資料の説明) | 補足 |
|---|---|---|
| アリに刺されたこと | 環境省が、受診時に伝えるよう案内している | ヒアリかどうかが分からない段階でも、アリに刺されたと伝える |
| アナフィラキシーショックの可能性があること | 環境省が、受診時に伝えるよう案内している | 息苦しさなどの症状があれば、その内容も伝える |
| 刺したアリの死骸 | 環境省は、診断に役立つとしている | 素手でさわらず、綿などに包む。セロハンテープに貼り付けない |
| 刺された時刻と場所、症状が出た時間 | 強い症状は、刺されて20〜30分以内に現れることがあると説明されている | 当サイトの補足。メモや写真で残す |
| ハチ毒アレルギーなど、過去のアレルギー | ヒアリの毒にはハチ毒との共通成分があり、ハチ毒アレルギーの人は特に注意が必要とされる | 当サイトの補足。心当たりがあれば伝える |
- 死骸であっても、針が出ていて刺さることがあるため、素手でさわらない、と環境省は注意しています。
- 判別用のアリは、セロハンテープに貼り付けず、綿などに包みます。写真を撮る場合は、環境省のヒアリ同定マニュアルが、アリにピントを合わせ、明るい状態で、定規や方眼紙を添えて撮る方法を示しています。
刺したアリは本当にヒアリか|確認と連絡先
刺されたアリがヒアリかどうかは、見た目だけでは判断しにくいものです。環境省は、ヒアリと間違えやすい種類として、9月頃に巣づくりのため外に出てくるキイロシリアゲアリのオレンジ色の女王アリと、アリに似たクモのアリグモ類を挙げています。ヒアリの働きアリは体長2.5〜6ミリ程度で、一番数が多く、刺すのはこの働きアリです。
環境省は、「ヒアリかな?」と思ったときの対応を、アリの数で分けています。数が少ない場合は、スプレー式殺虫剤などで殺虫します。ヒアリかどうかの正確な判別が必要なときは、ヒアリ相談ダイヤルか市区町村に連絡し、メールで写真を送って相談したうえで、実物を郵送または持参します。アリの集団や巣を見つけた場合は、刺激せず、すぐにヒアリ相談ダイヤルまたは最寄りの市区町村に連絡します。
アリや巣をつついたり、踏んだり、殺虫剤や熱湯をかけたりしないことも、示されています。ヒアリと同定されるまで、むやみに毒餌を置かないよう求めている点も重要です。在来のアリなどを殺してしまい、かえってヒアリが定着しやすい環境をつくるおそれがあるためです。特定外来生物は、飼養・運搬・保管・輸入・譲渡・放出などが規制されているため、生きたアリを自分で捕まえて持ち運ぶことはせず、連絡先の案内に従ってください。
見分け方の比較は、ヒアリの見分け方|在来アリとの違いと見つけたときの連絡先にまとめています。アルゼンチンアリなど、別の外来アリはアルゼンチンアリらしい長い行列で確認できます。種類ごとの一覧は、ヒアリなどの外来アリの対策一覧から見られます。
子どもや屋外作業者が注意する場面
ヒアリは、国内では港や物流の現場で見つかる例が中心ですが、見慣れないアリを見かけたときの行動は、場面ごとに決めておくと迷いません。ここでは、環境省の資料に基づいて、子ども、庭や屋外の作業、輸入品を扱う仕事、ペットに分けて整理します。
子どもが公園や空き地で見慣れないアリを見つけたとき
環境省は、海外の定着地域では、ヒアリは公園、芝生や緑地、水辺、畑地のような日当たりの良い開放的な場所に巣をつくると説明しています。子どもには、見慣れないアリの集団や、盛り上がったアリ塚を見つけたら、近づいたりつついたりせず、すぐ大人に知らせるよう伝えておくと安心です。刺されたあとは一人にならないようにする点も、子どもには特に大切です。
庭や屋外で作業をするとき
環境省のヒアリ同定マニュアルは、アリを採取する際に、刺されないよう長袖、長ズボン、手袋や長靴などを着用し、肌の露出をできるだけ避けること、ズボンや靴にベビーパウダーを振りかけておくとヒアリが登りにくくなると言われていることを示しています。アリや巣に刺激を与えると攻撃的になるため、むやみに刺激しない、という点も同じです。
コンテナや輸入品を扱う仕事
環境省は事業者に対して、コンテナの開封時などにヒアリやアカカミアリと疑わしいアリを発見した場合、刺激を避けつつ状況を確認し、多数の生きたアリの集団がいる、またはいそうなときは、扉を閉めて逃げ出さないよう静置したうえで、港湾管理者、地方公共団体、環境省の地方環境事務所などに速やかに連絡するよう求めています。
犬や猫が刺された可能性があるとき
環境省は、犬や猫などのペットも、刺されると人と同じように重い症状を起こすことがあると説明しています。ペットが刺された可能性があるときは、動物病院に連絡してください。
日本国内でのヒアリの確認状況|刺される場面をどう考えるか
環境省のヒアリ情報ページによると、国内でヒアリが初めて確認されたのは2017年6月です。確認されているのは、国際貨物が到着する港や空港、コンテナや貨物の中、港から運ばれた倉庫の荷物の中などで、ヒアリは船や飛行機に積まれたコンテナや貨物に紛れ込んで入ってくるとされています。
環境省の確認事例一覧(2026年10月3日に閲覧)は、2017年6月以降の確認事例が、21都道府県で211事例になったと示しています。2026年度の事例の多くは港のコンテナヤードの地面で、個体数は約10匹から3,000匹以上まで幅があります。同じ一覧には、ヒアリ・アカカミアリ以外のヒアリ類が、2026年9月に神戸港で確認された事例も載っています。千葉県のページは、国内での定着は確認されていないとしています。
確認事例の多くが港のコンテナヤードであることから、まず港湾地域や、輸入品を扱う場所の周辺で注意が必要になります。それ以外の場所でも、見慣れないアリの集団やアリ塚を見かけたら、近づかず連絡するという行動は変わりません。自治体ごとの案内は、松山市のヒアリ・セアカゴケグモのように、各市区町村のページで確認できます。







