毛虫に刺されたら、最初の数分でやること|こすらず、テープで除いて流水で洗う
毛虫皮膚炎の原因になる毒針毛は、長さ0.1ミリほどの微細な毛で、触れた皮膚に付着します。日本皮膚科学会は、ドクガ類の毒針毛に触れたときは、すぐにセロハンテープなどの粘着テープで皮膚に付いた毒針毛を取り除き、よく泡立てたセッケンとシャワーで洗い流すことで被害を最小限にとどめられると説明しています。茅ヶ崎市も、粘着力のあるもので周辺をそっと押さえて毒針毛を取り、その後に強い流水やシャワーで洗い流す手順を案内しています。
かゆくても掻かないことが、最初の対処です。世田谷区は、掻いたり擦ったりすると被害が広がるうえに毒針毛が深く刺さると注意し、茅ヶ崎市は、掻くと毛虫に直接触れなかった部分にまで被害が広がるとしています。次の表は、公的資料の説明を行動の順番に並べた独自の工程表です。
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 木から離れ、かゆい部分を掻かない・こすらない | 毒針毛は風に乗って飛散するため、毛虫が見当たらなくても発生中の木から離れる |
| 2 | 触れた周辺を粘着テープで軽く押さえて外す | セロハンテープやガムテープなどを使い、斜めにそっと押さえてはがす。自治体によっては繰り返す手順を示している |
| 3 | 強めの流水やシャワーで洗い流す | こすり洗いはしない。石けんを使うかどうかは資料で分かれる(次の見出し) |
| 4 | 着ていた衣類を他の洗濯物と分ける | 洗い方は「洗濯物の扱い」の見出しで整理している |
| 5 | 経過を見る | 直後からかゆみと赤み、1〜2日後に強いかゆみのある発疹が出て、2〜3週間続くという説明がある(個人差あり) |
| 6 | 症状が強いときは医療機関へ | 水ぶくれ、広い範囲の赤み、目の症状、呼吸の苦しさなどは受診・相談の目安へ |
毛虫に刺されたら、まず何をすればよいですか?
掻いたりこすったりせず、粘着テープで毒針毛をそっと押さえて取り除き、強めの流水やシャワーで洗い流します。水ぶくれや広い範囲の赤み、強い症状があるときは皮膚科、目に入ったときは水で十分に洗い流して眼科に相談してください。
毛虫に刺されたあとの洗い方は、石けん・テープ・水の順が資料で少し違います
公的資料をいくつか読み比べると、共通しているのは、掻かない・こすらない、そして流水で洗い流すことです。一方で、粘着テープを先に使うか、水で洗うのを先にするか、石けんを使うかどうかは説明が分かれています。どれか1つが正しいと断定できる出典は、今回確認した範囲にはありませんでした。
迷ったときは、受診する皮膚科や、お住まいの市区町村の保健所(衛生害虫の担当窓口)に、どの手順を勧めているかを確認してください。いずれの資料も、こすらないことと、水で十分に流すことは共通しています。
| 出典(2026年10月3日に確認) | 書かれている手順 | 石けんの扱い |
|---|---|---|
| 日本皮膚科学会(皮膚科Q&A Q14) | 粘着テープで毒針毛を取り除き、シャワーで洗い流す | よく泡立てたセッケンを使う |
| 奈良市 | こすらず掻かず、テープで斜めにそっと押さえて毛を除き、強い流水かシャワーで流す | よく泡立てた石鹸を使う |
| 世田谷区 | テープで触れた周辺をそっと押さえて取り、強い流水やシャワーで上から洗い流す | 石けんには触れていない |
| 調布市 | こすらず、水でそっと洗い流す | 石鹸は使わない(泡と毛が混ざって広がるおそれがあるため) |
| 横浜市衛生研究所 | 水道水を勢いよく流し、ガムテープで押さえてはがす操作を繰り返し、再び水で流すことを数度行う | 石けんには触れていない |
毛虫皮膚炎が起きる仕組み|毒針毛と毒のとげで症状が違います
「毛虫に刺された」と言っても、針で刺されたとは限りません。実際には、毒針毛が皮膚に付いて起きる皮膚炎と、毒のとげ(毒棘)が刺さって起きる痛みや皮膚炎があり、症状の出方が違います。日本皮膚科学会は、毛虫のすべてが毒を持つわけではなく、有毒毛を持つ一部の毛虫に触れたときだけ皮膚炎が起きると説明しています。どの毛虫が有毒かは、毒のある毛虫と毒のない毛虫の一覧で種類別に整理しています。
毒針毛を持つドクガ類・カレハガ類|激しいかゆみと赤いブツブツ
毒針毛は、ドクガ類(ドクガ、チャドクガなど)やカレハガ類(マツカレハ、タケカレハなど)の幼虫が持ちます。ドクガ類の毒針毛は長さ0.1〜0.2ミリほどで、幼虫1匹に数十万本以上が密生しています。触れると、激しいかゆみを伴うじんましんのような症状や、赤いブツブツが多発し、首や腕に集中するのが特徴です。掻くと次第に数が増えるとされています。
症状の続く期間は資料によって幅があります。茅ヶ崎市は、触れた直後からかゆみと赤み、1〜2日後に発疹が出て、かゆみは2〜3週間続くとし、大阪健康安全基盤研究所は、かゆみが何度もぶり返して1か月ほど続く場合があるとしています。症状の出方や程度には個人差があります。
毒のとげを持つイラガ類|触れた瞬間の痛みが先に出る
イラガ類は、毒棘に触れた瞬間にピリピリした激しい痛みと赤みが出て、1〜2時間でいったん治まります。しかし翌日に、同じ場所が赤く腫れてかゆみが出ることがあると、日本皮膚科学会は説明しています。主に西日本の人家周辺では、サクラ、カエデ、バラ、クスノキなどにつくヒロヘリアオイラガの被害が多いとされています。
毛虫に触れていないのに症状が出る理由|飛んだ毒針毛・脱皮殻・卵・成虫
日本皮膚科学会は、庭木の手入れのあとに発症することが多い一方で、毛虫に触れた覚えがなくても皮膚炎を起こす例が意外に多いと説明しています。理由は、毒針毛が微細で、幼虫の体の上だけにとどまらないためです。茅ヶ崎市の案内では、チャドクガの毒針毛は風に乗って飛散し、卵を覆う毛の塊、成虫の体、幼虫の脱皮殻にも残ります。
世田谷区は、羽化のときに成虫の尾の先へ毒針毛が付くことや、死骸にも毒針毛が残ることを挙げ、すべての段階で注意が必要としています。毛虫がいなくなった木や、すでに殺虫剤で駆除した木でも、肌を出さない服装で手入れをする必要があります。
- 幼虫の体と、脱ぎ捨てた脱皮殻(脱皮のたびに残る)
- 卵を覆う黄色い毛玉状のかたまり
- 成虫(ガ)の体。室内に入った成虫が原因になることもある
- 死んだ幼虫や、殺虫剤で落ちた幼虫の死骸
衣類・洗濯物・干していた布団の扱い|公的資料に書かれている手順
洗濯物は、見落としやすい経路です。横浜市衛生研究所は、庭木の手入れのあとに取り込んだ洗濯物を着てかゆみや痛みを感じた経験がないかを問いかけ、洗濯干し場の近くにツバキやサザンカがないか確認するよう呼びかけています。公的資料に載っている手順を、場面別に並べました。
洗濯物や衣類については、複数の自治体が共通した方向を示しています。他の洗濯物と一緒に洗わず、すすぎを長めにする点は、世田谷区、奈良市、新潟市に共通します。一方、寝具やカーテンなど家庭で洗いにくいものは、確認した公的資料に具体的な手順が書かれていませんでした。
| 場面 | 公的資料に書かれている手順 | 出典 |
|---|---|---|
| 毒針毛が付いたかもしれない衣類 | 洗濯の前に掃除機で毒針毛を吸い取り、他の洗濯物と分けて洗い、すすぎを長めにする。一度で取りきれないことがあるため複数回洗濯する | 世田谷区 |
| 衣服に毛が付いたとき | 粘着テープで取り除き、他の洗濯物と区別して洗い、すすぎを長めにする。熱いお湯での洗濯や、乾燥後のスチームアイロンも効果的とされる | 新潟市・奈良市 |
| 干していた洗濯物 | 庭木の手入れ後に取り込んだ洗濯物でかゆみが出ることがある。洗濯干し場の近くのツバキやサザンカを確認する | 横浜市衛生研究所 |
| 近くで毒毛虫が発生している間 | 毒針毛が風で飛んでくるおそれがあるため、屋外に洗濯物を干すのを避ける(ドクガについての案内) | 北海道檜山振興局 |
| 寝具・カーテンなど洗えないもの | 確認した公的資料には手順が書かれていない。心配なときは保健所の衛生害虫の窓口へ相談する | (記載なし) |
受診を考える症状と相談先|皮膚科・眼科・救急の目安
日本皮膚科学会は、虫刺されの治療について、軽症なら市販のかゆみ止めの外用薬でもよい一方、赤みやかゆみが強い場合や症状が強い場合は医師の判断で使う薬が必要になるため、皮膚科専門医を受診するのがよいとしています。薬の選び方は年齢や症状で変わるため、この記事では薬の種類は示しません。購入前や使用前に、薬剤師や皮膚科に相談してください。
表の「公的資料の表現」は、各ページの記述を要約したものです。毛虫に限った説明がない項目は、その旨を書いています。
| 状態 | 公的資料の表現 | 相談先 |
|---|---|---|
| 水ぶくれになった、被害の範囲が広い | 茅ヶ崎市は皮膚科の受診を案内している。世田谷区と奈良市も、発疹や強い炎症、広い範囲のときは皮膚科の受診を案内している | 皮膚科 |
| 赤みやかゆみが強い、治まらない | 日本皮膚科学会は、症状が強い場合は外用薬や内服薬が必要になるため皮膚科専門医を受診するのがよいとしている | 皮膚科 |
| 目に入った、目に症状が出た | 茅ヶ崎市は、水で十分に洗い流した後に眼科を受診するよう案内している | 眼科 |
| 全身のじんましん、腹痛、呼吸困難、意識を失う | 日本皮膚科学会は、虫刺され全般で強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる場合があるとしている。毛虫に限った説明ではない | 救急(119番)。迷うときは救急安心センター(#7119、実施地域のみ) |
| どの薬を使えばよいか分からない | 年齢や症状で合う薬が違うため、公的資料は一律の薬を示していない | 薬局・皮膚科 |
原因の木と毛虫を確認する|受診のときに伝える情報の残し方
日本皮膚科学会は、刺された虫によって対処法や治療法が異なる場合があるため、可能であれば実物を保管して持参するか、スマートフォンで虫の写真を撮影して記録しておくとよいとしています。毛虫は、死んだあとも毒針毛が残る(世田谷区)ため、実物を持ち込むのではなく、離れた位置から写真で記録する方が安全と考えられます。
庭木の毛虫として相談の多いチャドクガは、ツバキ、サザンカ、チャなどツバキ科の植物に発生します(茅ヶ崎市・世田谷区)。種類の確認は、保健所が受け付ける自治体もあります。姫路市は、保健所衛生課で虫の同定や生態、駆除方法の説明を行う窓口を、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで、無料で開いており、担当者が不在のことがあるため事前予約を案内しています。窓口の有無や受付方法は自治体で違うため、電話で確認してください。
- 木の全体と、葉の形が分かる写真(ツバキ科かどうかの目安になる)
- 葉の裏の幼虫の群れや卵のかたまり(離れた位置から。手で触れない)
- 葉の食べ跡や、足元に落ちた糞
- 症状が出た場所、日時、そのとき行っていた作業(剪定、草取り、洗濯物の取り込みなど)のメモ
参考:姫路市|虫の相談窓口
再発を防ぐ庭木の管理|点検の時期・剪定・作業の服装
症状が治まっても、原因の木に毛虫や卵が残っていれば、同じことが繰り返されます。新潟市は、毛虫の発生する季節になったら樹木を点検すること、樹木を高くしない、枝葉を茂らせすぎないなどの日常管理も大切としています。実際の駆除の手順は毛虫の駆除方法の記事に、公園や隣地の木が原因のときの連絡先は毛虫が大量発生したときの連絡先の記事にまとめています。
隣の敷地の木が原因のときは、決めつけずに事実を伝える方法が近所でも被害があるときの情報共有の参考になります。小さなお子さんのいる家で薬剤を使うときの確認事項は、乳幼児がいる家の害虫駆除も合わせて確認してください。
木の点検と剪定|発生期の前に葉の裏を見る
チャドクガの幼虫は年2回、4〜6月と8〜9月ごろに発生すると、茅ヶ崎市と世田谷区が示しています。堺市は、幼虫の時期の始まりを4月中旬ごろと8月上旬ごろと案内しています。気候で時期がずれたり、1年に3回発生したりすることもあるため、春と夏の終わりを目安に、ツバキやサザンカの葉の裏を見ておくと、小さな群れのうちに気づけます。
作業するときの服装|肌を出さない
庭木の手入れや駆除をするときは、帽子、メガネ、マスク、長袖、長ズボン、ゴム手袋を着け、首にタオルを巻くなど、できるだけ肌を露出しないようにすると、目黒区と新潟市が案内しています。風上から近づくことも、あわせて挙げられています。
参考:新潟市|チャドクガ






