店舗に羽アリが集まる時期と時間帯|昼と夜で種類が違う
羽アリは、シロアリやアリの繁殖期に、巣から飛び立つ個体です。日本しろあり対策協会は、シロアリの羽アリが飛ぶ群飛の時期を、シロアリが人前に姿を現す唯一の時期としています。群飛の時期や時刻に注意しておくと、種類の判別にも役立つとされています。夜まで営業する店では、飛ぶ時間帯がそのまま、店の灯りとの関係になります。
日本には22種のシロアリが生息し、建物を加害する主な種類は、ヤマトシロアリとイエシロアリです。ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土に、イエシロアリは神奈川県以西の海岸沿いの温暖な地域や千葉県の一部、南西諸島、小笠原諸島に分布するとされます。お店のある地域と、羽アリが飛んだ季節、時刻を、下の表と照らしてメモしておきます。
季節ごとの詳しい整理は、羽アリの時期は何月?にまとめています。アリの羽アリも飛ぶため、時期だけで決めず、次の節の見分け方と合わせて確認してください。
| 種類 | 群飛の時期 | 時間帯と灯りとの関係 |
|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 4〜5月(沖縄は2月、東北・北海道は6月頃) | 昼間に飛ぶ |
| イエシロアリ | 6〜7月 | 夜に群飛して電灯に飛来する |
| アメリカカンザイシロアリ | 6〜9月 | 昼間に、数回ずつ何度も群飛する |
| ダイコクシロアリ | 5〜8月 | 夜に少数ずつ群飛して電灯に集まる |
参考:日本しろあり対策協会|羽アリが飛ぶ時期はいつごろですか?
羽アリは、なぜ夜に店の灯りへ集まるのですか?
多くの虫には、光に集まる性質(正の走光性)があります。日本しろあり対策協会は、イエシロアリは6〜7月の夜に群飛して電灯に飛来し、ダイコクシロアリは5〜8月の夜に電灯へ集まると説明しています。夜まで営業する店では、看板や入口の灯りが目印になりえます。
シロアリの羽アリとアリの羽アリの見分け方
店に飛んできた羽アリがシロアリかアリかは、触角、翅、腰の3点で見分けられます。日本しろあり対策協会は、アリの触角は「く」の字に曲がり、シロアリの触角は真珠のネックレスのような数珠状だと説明しています。翅は、アリでは前翅が後翅より大きく、シロアリでは4枚がほぼ同じ大きさと形で、腰はアリがくびれ、シロアリはくびれのない寸胴です。
見分けがつかないときは、写真を撮ってから判断します。協会は、羽アリが出たときに殺虫剤をかけると虫が逃げてしまうため、できればそのままにしておくこと、使う場合は出てきた場所をメモし、虫を袋などに入れて保管して業者に見せることを勧めています。食品を扱う店では、殺虫剤が食品や器具を汚さないよう、製品の表示に従って慎重に扱います。詳しくは羽アリが出たら何を残す?と羽アリの駆除は自分でできる?を参照してください。
| 見る点 | アリの羽アリ | シロアリの羽アリ |
|---|---|---|
| 触角 | 「く」の字に曲がっている | 真珠のネックレスのような数珠状 |
| 翅 | 前翅が後翅より大きい | 4枚ともほぼ同じ大きさ・同じ形 |
| 腰 | 細くくびれている | くびれがなく寸胴 |
入口・自動ドア・ガラス面で虫を減らす点検
食品衛生法施行規則の別表第17は、食品を扱う営業者に、窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ、排水溝の蓋などを設けてねずみや昆虫の侵入を防ぐこと、窓や出入口は原則として開放したままにしないこと、開放する場合は侵入を防ぐ措置をとることを求めています。食品を扱わない店にこの基準が直接当てはまるわけではありませんが、入口まわりの点検の観点として使えます。
入口と自動ドア
夜間営業の店では、入口の灯りに集まった羽アリが、扉の開閉に合わせて店内へ入ることが考えられます。いつ、何分間、どの扉が開いているか、すき間やすり切れたゴムがないかを確認します。厚生労働省の解説は、施設の維持管理に、床・壁・天井のすき間や割れ目の補修が含まれるとしています。
- 夜の営業時間中に、入口の扉が開いている時間と回数を、数日分メモする
- 扉の下端、枠、ゴムのすき間、ドアクローザーの調整を点検する
- 入口の足元に落ちている翅や死骸の位置と数を、日付つきで写真に残す
ガラス面とショーウィンドウ
夜にガラス面へ羽アリが張り付いているときは、内側の照明の見え方と、ガラスの継ぎ目や換気口のすき間を、別々に点検します。内側の灯りが外から見えることが集まる一因かどうかは、点灯と消灯で虫の数がどう変わるかを数日記録して確かめます。ガラス面に集まるだけで店内に入っていないなら、まずは灯りの見直しが中心になります。
| 場所 | 確認する観点 | 点検・見直しの例 |
|---|---|---|
| 入口の灯り・看板 | 点灯する時間帯、位置、光源の種類 | 点灯時間と虫の数を日付つきで記録する。出入口から離せるかを確認する |
| 自動ドア・出入口 | 開いている時間、すき間、二重の仕切りの有無 | 開放時間の短縮、すき間の補修、侵入防止の措置を検討する |
| ガラス面・ショーウィンドウ | 内側の照明の見え方、継ぎ目のすき間 | 夜間の内側の照明の点け方を変え、虫の数の変化を記録する |
| 網戸・吸排気口・換気扇 | 網の破れ、取り付け部のすき間 | 別表第17が挙げる網戸やトラップの設置の状態を点検する |
| 床・壁・天井のすき間 | 割れ目、配管周りのすき間 | 補修が必要な箇所を、写真と位置のメモで残す |
看板・店内照明の位置と種類の見直し|メーカー資料の範囲
パナソニックのFAQは、虫の視感度は紫外線の領域が中心である一方、LEDの光は発光の仕組みの上で紫外線がほとんど含まれないため、蛍光灯など従来の光源と比べて虫から見えにくいと説明しています。誘虫指数(昼白色の蛍光灯を100とした比較)はLEDの方が低いとされます。ただし、実際の使用環境では周りの光源の明るさなどで虫の集まりやすさが変わるため、比較上の目安として読むよう注意書きがあります。
同社の店舗向けLED誘虫器の案内は、光で虫を器具の周りに集めて留め、店舗や施設の中への拡散を減らす考え方です。誘虫性は対象の虫により異なり、蚊やゴキブリには効果がないこと、誘虫指数は光源の単位光束あたりの理論上の数値で、実際に集まる虫の数を表すものではないこと、使用環境で効果が異なることが明記されています。設置は別途相談とされています。光源の交換や機器の導入は、これらの説明を前提に、効果を過信せず、位置の見直しと合わせて検討します。住宅向けの整理は夜の照明に虫が集まるにあります。
| 見直す項目 | 考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 光源の種類 | 紫外線が少ないLEDは、従来光源より誘虫指数が低いとメーカーが説明している | 周りの光源の明るさで変わる。交換だけで虫が来なくなるとは言えない |
| 点灯する位置と向き | 出入口から離す、入口に向けない、を検討する | 防犯や安全のための明るさと両立する |
| 点灯する時間帯 | 営業時間外や、羽アリが多い季節の夜間に絞れるか確認する | 消灯できない設備もあるため、管理者に確認する |
| 誘虫器の導入 | メーカーが店舗向けに案内する設備。虫を器具の周りに留める考え方 | 蚊やゴキブリには効果がない。設置位置や費用は別途相談 |
搬入口・バックヤードの侵入口を確認する
客が出入りする入口だけでなく、搬入口やバックヤードも侵入口になります。厚生労働省の解説は、施設とその周囲の維持管理に、定期的な清掃、排水溝の洗浄、床・壁・天井のすき間や割れ目の補修が含まれるとしています。別表第17は、原材料や包装資材を容器に入れて床や壁から離して保存することも求めています。搬入時の段ボールや保管場所の置き方も、あわせて点検します。
荷物の出し入れの間は、搬入口の扉を開けておく店もあります。夜間に搬入がある店では、搬入口の照明と扉の開放時間も記録します。納品された荷物をどこで開封し、段ボールをどこに置くかの決め方は、飲食店の納品時の害虫予防で整理しています。
| 場所 | 見る点 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 搬入口の扉 | 開けている時間、扉のすき間、夜間の照明 | 開放時間と日付、扉の下端の写真 |
| 換気扇・吸排気口 | 網の破れ、取り付け部のすき間 | 破れの位置と補修日 |
| 排水溝・排水ホースの周り | 蓋の有無、すき間、掃除の頻度 | 掃除日と状態の写真 |
| ごみ置き場 | 蓋の有無、置き場と搬入口の距離 | ごみ出しの時間と置き場の位置 |
| 原材料・包装資材の置き場 | 容器に入っているか、床や壁から離れているか | 置き方を直した日付 |
店内で羽アリが繰り返し出るとき|建物の調査へ
灯りの近くに集まるだけなら、光と出入口の見直しが中心になります。しかし、店内の床や壁、水まわりから羽アリが出るときは、建物の中にシロアリの巣や被害があるかもしれません。日本しろあり対策協会は、玄関の前にシロアリの羽アリの死骸が数匹落ちていただけでも、念のため業者に建物を点検してもらうよう案内しています。
ヤマトシロアリは、日当たりの悪い湿気の多い場所に多く、台所、洗面所、トイレ、風呂場などの水まわりや、換気の悪い床下で被害が出やすいとされます。イエシロアリは水を運んで湿らせながら加害するため、被害が建物全体に及ぶこともあります。店では、厨房、トイレ、バックヤードの水まわり、床下の点検口の周りが、確認の中心になります。薬剤を自分で使う場合は、製品の表示に従ってください。
調査を頼むときは、羽アリが出た日時と場所、飛んだ時間帯、写真、保管した虫、過去の同じ時期の発生の有無を渡します。調査の結果の読み方はシロアリ調査の写真が参考になり、大量に出たときの動き方は羽アリが大量発生したらにあります。
| 羽アリが出た場所・状況 | 考えられる方向 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 入口の灯りの周りだけで、店内には入っていない | 光と出入口の見直しが中心。ただし、毎年続くなら点検も検討する | 点灯時間・位置の記録、出入口のすき間の点検 |
| 店内の水まわり・床・壁際から出る | 建物内にシロアリの被害や巣がある可能性を考える | 発生場所のメモと写真、虫の保管。専門業者に建物の点検を相談する |
| 数匹の死骸が入口に落ちているだけ | 協会は、念のため建物の点検を受けるよう案内している | 発生日時と場所を記録し、点検を相談する |
テナントの場合は管理会社へ連絡する
賃貸の店舗では、建物の構造や共用部分を管理しているのは、通常、貸主や管理会社です。民法は、賃貸人は賃貸物の使用と収益に必要な修繕をする義務を負うこと(賃借人の責めに帰すべき事由による場合を除く)、賃借物が修繕を要するときは賃借人が遅滞なく賃貸人に通知しなければならないことを定めています(第606条・第615条)。通知しても相当の期間内に修繕されない場合や急迫の事情がある場合は、賃借人が修繕できるとも定められています(第607条の2)。実際の費用の分担は、賃貸借契約書の特約や被害の原因で変わるため、まず契約書を確認し、早めに連絡してください。
建築物衛生法の対象になる大きな建物では、管理側に調査の義務があります。同法の施行令は、店舗や事務所などで延べ面積が3,000平方メートル以上の建物を特定建築物と定め、施行規則は、その維持管理権原者に、ねずみ等の発生場所、生息場所、侵入経路、被害の状況について、6か月以内ごとに1回、定期に統一的な調査をして、その結果に基づき必要な措置を講じることを求めています。自分のビルが対象かどうか、共用部分でどんな調査や防除が行われているかは、管理会社に聞けます。
営業時間と立入範囲を管理会社や業者とどう調整するかは、店舗の害獣調査で整理しています。連絡のときは、次の内容を一通のメッセージにまとめると伝わりやすくなります。
- 羽アリが見えた日時、時間帯、場所(入口、店内、バックヤード)
- 数と、翅や死骸が落ちている範囲の写真
- 営業への影響(客席に入った、商品や食品に付いたなど)
- 共用部分(廊下、階段、ごみ置き場、隣の店舗)の状況と、他のテナントの被害の有無
- 店で行った対応(殺虫剤を使った場合は日時と製品名、虫を保管したかどうか)




