ムカデに噛まれたら|直後・様子見・受診の3段階で整理する
ムカデに噛まれたときの動き方は、「直後にすること」「様子を見ている間に記録すること」「救急や受診を考える症状」の3つに分けると整理しやすくなります。案内の出どころは、日本中毒情報センター、日本皮膚科学会、福岡県薬剤師会、厚生労働省、総務省消防庁などの公開資料で、2026年10月3日に開いて確認しました。公的な資料では「咬まれた」「咬傷」と書かれるため、資料の説明を紹介するときは「咬まれた」と書きます。
ムカデは自分から人を襲うというより、寝具などに潜んでいるところへ気付かずに触れたり刺激したりしたとき、防御のために咬みつくと堺市や川崎市は説明しています。日本中毒情報センターには、ムカデに咬まれたという相談が年間20〜30件ほど寄せられ、特に8〜9月に多いとされ、就寝中に指や首元を咬まれた相談が例として紹介されています。この件数は同センターへの相談数であり、全国の被害の件数ではありません。
| 段階 | 公的資料などが案内している内容 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 直後 | 咬まれた部分を石けんと水で洗い、痛みがあれば冷やす(日本中毒情報センター)。氷は薄い布などでくるんで使う(MSDマニュアル家庭版)。 | 洗う・冷やす・ムカデに素手で触れない、までを自分で行う範囲として扱います。 |
| 様子を見る間 | 痛みは数時間で軽くなる一方、翌日以降に腫れやかゆみが出ることがある(福岡県薬剤師会、日本皮膚科学会)。虫の写真や実物は診療の役に立つ(日本皮膚科学会)。 | 咬まれた時刻、場所、ムカデの特徴、赤みや腫れの広がりを記録します。 |
| 救急や受診を考える | 我慢できない強い痛みや気分不良、嘔吐、頭痛(日本中毒情報センター)。息苦しさ、めまい、意識が薄れる感じ(福岡県薬剤師会)。 | 迷うときは#7119や中毒110番に相談し、息苦しさなど急な変化は救急要請を考えます。 |
参考:公益財団法人日本中毒情報センター|情報提供資料「ムカデに注意しましょう!」(2024年9月、PDF)
ムカデに噛まれたら放置してもいいですか?
痛みは数時間で軽くなると資料に書かれていますが、放置と経過観察は別です。翌日以降に腫れやかゆみが出ることがあるため、時刻と写真を残して見守り、強い痛みや全身の症状、数日たっても改善しないときは医療機関へ相談してください。
噛まれた直後の対応|洗う・冷やす・ムカデに触れない
日本中毒情報センターの資料は、咬まれた部分を石けんと水で十分に洗い、痛みがある場合は冷やすよう案内しています。MSDマニュアル家庭版は、ムカデの咬み傷は、氷をビニールと薄い布でくるんで冷やすと痛みが軽くなると説明し、症状が48時間以上続くことはほとんどないと書いています。氷を直接当てず布でくるむ点が、この説明の特徴です。
メーカーの解説には、流水の下で毒を絞り出す方法を紹介するものもありますが、日本中毒情報センターの資料は洗浄と冷却を案内しており、毒を絞り出す方法には触れていません。この記事では、洗浄と冷却までを自分で行う範囲とし、それ以上の処置は医療機関や薬剤師に確認します。
咬んだムカデの扱いにも注意が必要です。日本中毒情報センターは、見つけたムカデは殺虫剤などで駆除し、直接手で触れないよう案内しています。川崎市のリーフレットやアース製薬の製品表示にも、殺虫剤をかけた直後や薬剤に反応したムカデは暴れることがあるため、咬まれないよう注意するとの記載があります。慌てて素手で払う、つかむといった動きは避け、距離を取ってから処理します。
- 流水と石けんで、咬まれた部分を洗う(日本中毒情報センター)
- 痛みがあれば冷やす。氷は薄い布などでくるんで使う(MSDマニュアル家庭版)
- ムカデは素手で触らず、殺虫スプレーなどで処理する。薬剤に反応して暴れることがあるため、距離を取る
- 写真が撮れるなら、ムカデと咬まれた部分の写真を残す(日本皮膚科学会が虫刺され全般で案内)
ムカデの噛み跡と腫れの経過|痛み・腫れ・かゆみはいつまで続くか
今回開いた公的な資料には、ムカデの噛み跡の形を詳しく説明したものは見当たりませんでした。見た目の特徴を探すより、赤み・腫れ・痛みがいつ、どのように変わるかを記録する方が、受診するときにも役立ちます。日本中毒情報センターの相談例では、就寝中に咬まれて直後の激しい痛みで目が覚めたとされています。かゆみが中心の跡は別の虫の可能性もあるため、トコジラミの噛み跡の特徴も参考にしてください。
直後から数時間|激しい痛みと赤み
日本中毒情報センターは、咬まれた直後に咬まれた部分の激しい痛みが出て、赤くなったり腫れたりすることがあり、通常、痛みは数時間以内に改善すると説明しています。日本皮膚科学会は、ハチに刺されたりムカデに咬まれたりしたときの激しい痛みを、皮膚に注入される有毒物質による化学的な刺激によるものと説明しています。
翌日以降|腫れ・かゆみ・しびれが出ることがある
福岡県薬剤師会の資料は、痛みが数時間で軽くなったあとも、翌日以降にさらに腫れたり、かゆみやしびれ、赤みが出たりすることがあり、遅延型のアレルギー反応にあたると説明しています。日本皮膚科学会も、虫刺されの遅延型反応は1〜2日後にかゆみや赤み、水ぶくれなどが出て、数日から1週間で軽くなると説明しています。症状の経過には個人差があります。
放置してよいか|様子を見るときの考え方
「放置」は、状態を見ずに放っておくことと、記録しながら経過を見ることを分けて考えます。福岡県薬剤師会の資料は、一般用医薬品の外用薬を使って様子を見ても5〜6日で改善しない、または悪化している場合は速やかに受診するよう書いています。日本皮膚科学会は、症状が強い場合は皮膚科専門医の受診が望ましいと説明しています。日数だけで決めず、強い痛みや広がる腫れ、全身の症状があれば早めに相談します。
- 咬まれた日時と場所(寝室、玄関、靴の中など)
- ムカデの大きさと色が分かる写真(処理前に撮れる場合)
- 赤みや腫れの範囲の写真(時間を置いて、同じ角度で撮る)
- 使った外用薬や製品の名前と、使った時刻
- 気分不良、吐き気、息苦しさなど、体調の変化
ムカデに噛まれたときの市販薬と、温める・冷やす情報の扱い方
ムカデに咬まれたときの薬の使い方や、温める・冷やすといった方法は、資料によって書かれ方が違います。次の表は、今回開いた資料の内容を並べたもので、特定の薬や方法を勧めるものではありません。薬の名前や強さの区分は示しません。温める方法は、福岡県薬剤師会が科学的根拠が乏しいと書いており、ほかの公的資料でも案内を確認できなかったため、取り上げません。
薬局で買える外用薬には、成分の種類や強さの区分が複数あります。アレルギー体質の人、妊娠中の人、小さな子ども、持病や服用中の薬がある人は、使ってよいかどうかが変わることがあります。購入や使用の前に、薬剤師か医師へ、咬まれた状況(時刻、部位、症状)と一緒に確認してください。
| 確認した資料 | 書かれている内容 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 福岡県薬剤師会(2025年4月) | 流水で洗う。温熱療法は科学的根拠が乏しい。症状があるとき、一般用医薬品の外用薬を使って様子を見る方法を紹介。5〜6日で改善しない・悪化は受診。 | 温める方法は勧めない。薬の種類は示さない |
| アース製薬・堺市 | 流水の下で毒を絞り出し、抗ヒスタミン含有のステロイド軟膏を塗る(アース製薬)。抗ヒスタミン軟膏で痛みがやわらぐ(堺市)。 | 資料ごとに書き方が違うため、薬の選択は薬剤師・医師へ |
| 日本皮膚科学会(虫刺され全般) | 軽症は市販のかゆみ止め外用薬でもよい。赤みやかゆみが強い場合はステロイド外用薬が必要で、症状が強いときは皮膚科専門医へ。 | 一般的な虫刺されの説明として参照 |
ムカデに噛まれてアナフィラキシーが心配なとき|救急要請と相談窓口
ムカデの毒でアナフィラキシー(重い全身のアレルギー反応)が起きることは、稀とされています。福岡県薬剤師会の資料は、ごく稀に咬まれた直後に蕁麻疹や呼吸困難、めまいなどが現れ、過去に咬まれたことがある人は特に注意するとしています。東京都ペストコントロール協会も、2度目以降の咬傷で稀に起きると説明し、学術誌『アレルギー』には、咬傷後に全身の蕁麻疹や呼吸困難が出た3症例の報告があります。
ここで挙げる症状は、公的な資料に例として書かれているもので、診断ではありません。日本中毒情報センターは、我慢できない強い痛みや気分不良、嘔吐、頭痛などの全身症状があれば受診を案内しています。厚生労働省の「上手な医療のかかり方」は、成人の急な息切れや呼吸困難、顔色が明らかに悪い状態などを救急車を呼ぶ症状の例に挙げ、緊急性が高いと判断したときは迷わず要請するよう案内しています。
救急車を考える症状の例
次の症状は、咬まれたあとに出た場合、様子見にせず救急や受診の相談へ進む目安として、資料の記載をまとめたものです。迷うときは、まず119番か地域の電話相談に連絡します。
- 急な息切れ、呼吸困難(厚生労働省)
- 全身に広がる蕁麻疹、めまい、意識が薄れる感じ(福岡県薬剤師会、日本皮膚科学会)
- 顔色が明らかに悪い(厚生労働省)。気分不良や嘔吐、頭痛などの全身症状(日本中毒情報センター)
迷ったときの電話相談の使い分け
総務省消防庁の説明では、#7119は、救急車を呼ぶか今すぐ病院に行くか迷ったときに、医師・看護師・救急救命士などから電話で助言を受けられる窓口です。実施は地域ごとで、2026年10月3日に確認したページでは全国42地域とされ、番号や対象年齢、受付時間は地域で異なります。日本中毒情報センターの中毒110番(一般専用)は、化学物質や動植物の毒などによる急性中毒について、実際に事故が起きている場合の相談を受け付けています。
| 相談先 | 向く場面 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 119番 | 息苦しさなど急な体調の変化、意識が薄れる | 迷わず要請し、ムカデに咬まれたことと症状を伝える |
| 救急安心センター(#7119) | 救急車を呼ぶか、今すぐ受診するか迷う | 実施地域のみ。番号・対象年齢・受付時間は地域ごとに確認 |
| 中毒110番(一般専用) | 受診が必要か迷う、毒による症状の相談 | 大阪072-727-2499、つくば029-852-9999。365日24時間、情報提供料は無料(2026年10月3日確認) |
| 子ども医療電話相談(#8000) | 休日・夜間の子どもの症状で迷う | 全国統一の番号で、住んでいる都道府県の窓口へ転送される |
| かかりつけ医・皮膚科 | 腫れや痛みが数日続く、外用薬で改善しない | 咬まれた日時と写真を持参する |
子ども・高齢者・ペットがムカデに噛まれたときの連絡先
咬まれた人の年齢や体質によって、相談先と急ぐ度合いは変わります。子ども、高齢者、ペットに分けて整理します。
子どもが咬まれたとき
福岡県薬剤師会の資料は、幼児から小学生や2歳未満の乳児は成人より症状が強く出やすいため、医療機関で医師の診断と治療を受けるのが望ましいと書いています。休日・夜間に迷うときは、厚生労働省が案内する#8000があり、全国共通の番号にかけると住んでいる都道府県の窓口に転送され、小児科医師や看護師が助言します。
唇の色が紫色、呼吸が苦しそうといった症状は、救急車を呼ぶ症状の例として同省の資料に挙がっています。家で薬剤を使う対策を進めるときは、乳幼児がいる家の害虫駆除のように、子どもが触れる場所と退避の段取りを先に決めます。
高齢者が咬まれたとき
高齢の家族が咬まれたときは、持病や服用中の薬、過去にムカデやハチに刺されて強い反応が出たことがあるかを、受診先や電話相談で伝えられるようにします。厚生労働省の「こんな時は迷わず119」には、高齢者向けの症状の例も載っています。#7119は地域で対象年齢が異なり、たとえば青森県の窓口は概ね15歳以上と案内されているため、お住まいの地域の案内を確認してください。
ペットが咬まれたとき
犬や猫が咬まれたかもしれないときは、かかりつけの動物病院に連絡し、咬まれた時刻、場所、様子を伝えます。人用の外用薬を使ってよいかは、獣医師に確認してください。中毒110番の一般専用電話の案内は、患者の氏名・年齢・体重などを聞き取る人の事故を前提とした内容で、動物が対象に含まれるかは確認できませんでした。薬剤を使う対策は、ペットがいる家の害虫駆除も参考にしてください。
寝ている間にムカデに噛まれないための寝室・寝具まわりの点検
日本中毒情報センターは、ムカデは夜行性のため夜間の事故が多く、寝ている間に咬まれたという相談が多いと説明しています。例として、就寝中に手の指や首元を咬まれた、靴の中に入っていたムカデに足の指を咬まれた、という相談が挙げられています。堺市も、夜間、寝具などに潜んでいるところにうっかり触れて咬まれるケースがほとんどで、ムカデの性格は臆病だと説明しています。
このため、寝室では「入れない」「隠れ場所を作らない」「触れる前に確認する」の3点を見直します。アース製薬は、わずか数ミリのすき間があれば侵入してくることがあり、ドアや窓を開けっ放しにしない、網戸のすき間を確認する、餌になるゴキブリなどの虫を減らす、といった対策を紹介しています。庭や外周の見直しは、ムカデが室内に入る原因を庭と侵入口から点検するで、薬剤の表示の読み方はムカデ用殺虫剤の選び方で整理しています。
| 点検する場所 | 確認すること | 考え方の手がかり |
|---|---|---|
| 寝具(布団・シーツ・枕元) | 寝る前に掛け布団をめくり、床まで垂れた端がないか見る | 寝具に潜むところへ触れて咬まれる例が多い(堺市) |
| 靴・スリッパ・洗濯物 | 履く前に中を見る。取り込んだ洗濯物は畳む前に振って確かめる | 靴の中で咬まれた相談例がある(日本中毒情報センター) |
| 窓・網戸・玄関 | 開けっ放しにしない。網戸の下端や戸の隙間を確認する | わずかなすき間から侵入する(アース製薬) |
| 壁際・配管・エアコンの穴まわり | 寝室で見つけたとき、どこから出てきたかを記録する | 配管まわりやエアコン導入部のすき間が、発生場所の一覧に挙がっている(東京都ペストコントロール協会) |
| 餌になる虫 | ゴキブリやクモなどが出ていないかを見る | 餌となる虫を減らすことが侵入抑制につながる(アース製薬) |
参考:堺市|ムカデ
ムカデに繰り返し噛まれる家で調査を頼む目安
咬まれた体の症状は医療機関や救急相談に任せ、家のほうは「同じ場所で繰り返すか」で考えます。堺市は、ムカデの生息場所が屋外の広い範囲に及ぶため、発生源の抜本的な駆除は難しく、住みにくい環境づくりと家屋内への侵入防止が中心になると説明しています。東京都ペストコントロール協会は、防除の難易度をヤスデ類とゲジ類では「難しい」、ムカデ類では「非常に難しい」と記載しています。
寝室や子ども部屋で複数回見つかる、咬まれた経路が分からない、床下・壁の中・天井裏など自分で確認できない場所が疑わしい、咬まれたのが乳幼児やアレルギー体質の人で再発を避けたい事情がある、といった場合は、調査を相談する目安になります。相談の前に、咬まれた日時と場所、見つけた場所、写真、使った製品を整理しておくと、説明が伝わりやすくなります。
業者に頼む場合の作業内容、見積もりの単位、再発保証の確認点は、ムカデ駆除の業者に頼む前の確認点にまとめています。薬剤を自分で使う範囲との線引きは、害虫の侵入予防はどこまで自分でできるかも参考になります。




