ヒアリの見分け方|環境省の資料に沿った特徴と大きさ(体長・サイズ)

環境省の基礎情報によると、ヒアリ(別名アカヒアリ、学名Solenopsis invicta)の働きアリは体長2.5〜6mm程度で、数が最も多く、人を刺すアリです。センチメートルにすると0.25〜0.6cmほどの小さなアリです。女王アリは7〜8mm程度で、羽化したときは翅がありますが、交尾後は翅を落とします。雄アリは5〜6mm程度で体が黒っぽく、翅があります。

環境省の同定マニュアルは、ヒアリやアカカミアリかどうかを肉眼だけで判断することはできないとしたうえで、可能性の有無をある程度絞り込む(スクリーニング)ことは可能だと説明しています。下の表は、その確認点を「当てはまる状態」と「当てはまらないとき」に整理したものです。当てはまれば確定ではなく、疑う段階として連絡や相談につなげる目安です。

肉眼で確認する4つの点

同定マニュアルが野外での肉眼確認に挙げているのは、体長、色、ツヤ、集団の大きさのばらつきの4つです。いずれかに当てはまれば可能性があるとして次の確認に進み、体全体が黒くツヤがない、頭が黒く胸が赤っぽい、毛に覆われている、のいずれかならヒアリやアカカミアリではないとされています。

ルーペで見る確認は専門家への橋渡し

ルーペや顕微鏡を使う確認では、胸と腹の間の細い部分(腹柄)が2節であること、胸の後ろ側にトゲや突起がないこと、触角の先の膨らみが2節であることが、ヒアリ類の可能性を絞る点とされています。ただし、種の確定は専門家の確認と位置づけられており、家庭でヒアリと確定する手順ではありません。相談先に写真や実物を渡すための参考にとどめてください。

ヒアリの見分け方|環境省の資料に沿った特徴と大きさ(体長・サイズ):確認項目
確認する点ヒアリの働きアリで当てはまる状態当てはまらないとき・注意
体長2.5〜6mm程度(0.25〜0.6cm)明らかに大きい、または1.5mm程度と小さい。在来のトフシアリは1.5mm程度で、黄色から黄褐色
色頭・胸・腹柄部が暗赤褐色、腹部は黒褐色。アカカミアリは全体が黄褐色全体が黒くツヤがない、頭が黒く胸が赤っぽい、毛に覆われている場合は、ヒアリでもアカカミアリでもない。暗色型もあり、色だけでは見分けにくい
ツヤ全体に光沢があり、ツヤツヤしている黒っぽい個体でも、ヒアリには体にツヤがある。ツヤのない真っ黒な体は当てはまらない
集団の大きさ大きさが小から大まで連続的にばらつく小型と大型の2サイズに分かれる集団は、在来のアズマオオズアリなどの例がある

参考:環境省|ヒアリの基礎情報(要緊急対処特定外来生物ヒアリに関する情報)

読者の疑問

ヒアリの大きさは何ミリ(何センチ)ですか?

比較ガイド

環境省の資料では、働きアリは体長2.5〜6mm程度(0.25〜0.6cm)、女王アリは7〜8mm程度、雄アリは5〜6mm程度です。集団では大きさがそろわず連続的にばらつくのが特徴ですが、大きさだけでは判断できないため、色やツヤと合わせて確認し、疑わしければ相談します。

ヒアリとアカカミアリの違い|よく似た近縁のアリ

アカカミアリはヒアリによく似た近縁のアリです。環境省の基礎情報は、ヒアリほど毒は強くないものの、アカカミアリも要緊急対処特定外来生物に指定されていて、注意が必要としています。色は、アカカミアリが全体に黄褐色とされますが、暗色型もあり、色では見分けにくいことが多いと同定マニュアルは説明しています。

2つを区別する手がかりは、頭の前縁の中央にある突起(ヒアリにはある)や、前脚の付け根付近の胸の側面にある突起(アカカミアリにはある)など、顕微鏡で見る特徴です。同定マニュアルは、種名の確定には専門家の確認を受けるよう求めています。一般の方が見分けられなくても、疑わしいときの連絡先は同じです。

環境省は、ヒアリ類4種群23種とその種間交雑種が要緊急対処特定外来生物に指定されていると説明しています。2026年度の確認事例の一覧には、神戸港でヒアリ・アカカミアリ以外のヒアリ類が確認された事例(発見日は9月14日)も載っています。

参考:環境省|ヒアリ同定マニュアル Ver.3.1(PDF)

ヒアリと間違えやすい在来アリ・アルゼンチンアリ・アリグモの違い

環境省の基礎情報は、間違えやすい種類として、第1位がキイロシリアゲアリの女王、第2位がアリグモ類と紹介しています。次の表は、環境省の資料と国立環境研究所のデータベースをもとに、ヒアリとの違いの手がかりを並べたものです。屋内で見るアリの基本的な見分けは、屋内のクロアリの確認方法も参考になります。

羽アリについて、同定マニュアルは、ヒアリの結婚飛行は春から晩秋まで見られ、キイロシリアゲアリは8月下旬から10月、特に9月に羽アリがよく見られると説明しています。シロアリの羽アリとの区別が必要なときは、羽アリが出たら何を残す?も参考にしてください。

アルゼンチンアリは別の外来アリ

国立環境研究所のデータベースによると、アルゼンチンアリは体長約2.5mmで体色は黒褐色の外来アリです。住宅や建造物に大量に侵入して食品に群がるなど、日常生活に障害をもたらすとされ、外来生物法で特定外来生物に指定されています。ヒアリとは別の種類で、確認の仕方はアルゼンチンアリらしい長い行列の確認と家の中の小さいアリの種類にまとめています。

アリグモはクモの仲間

アリグモ類は体長5〜7mmの小さなハエトリグモの仲間で、脚は8本あります。前の脚を触角のように持ち上げて動かすため、アリそっくりに見えます。同定マニュアルは、集団で地面にいるのではなく、単独で草木の葉や人工物の上にいて、ピョンピョン跳ねるように動くことが多いと説明しています。場所や数、動きも手がかりになります。

ヒアリと間違えやすい在来アリ・アルゼンチンアリ・アリグモの違い:確認項目
間違えやすい相手ヒアリとの違い確認の手がかり
キイロシリアゲアリの女王9月ごろ、オレンジ色の女王が巣づくりのため外に出てくる。体長7mm程度で、ヒアリの女王とほぼ同じ大きさ全体が黄色っぽい。ヒアリの女王は頭・胸が濃い赤褐色(環境省)
アリグモ類体長5〜7mmの小さなクモで、脚は8本。前の脚を触角に似せる単独で葉や人工物の上にいて、跳ねるように動く。頭は黒く、胸は赤っぽい
アズマオオズアリなど、大小2タイプの在来アリ集団が小型と大型の2サイズに分かれるヒアリは大きさが連続的にばらつく
トフシアリ・オキナワトフシアリ(在来)体長1.5mm程度でヒアリより小さく、体色は黄色から黄褐色大きさと色(環境省)
アルゼンチンアリ(別の外来種)体長約2.5mm、体色は黒褐色(国立環境研究所)行列で屋内に入る。ヒアリの特徴(赤褐色・ツヤ・大小のばらつき)と照らす

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・アルゼンチンアリ

ヒアリが見つかりやすい場所|港湾・コンテナ・輸入貨物と2026年度の確認状況

環境省は、国内でヒアリが確認されている場所として、国際貨物が到着する港や空港のコンテナ・貨物の中、港から陸送されて倉庫に運び込まれた荷物の中、海外製品の箱の中などを挙げています。事業者向けのページでも、日本で確認されたヒアリは、輸入されたコンテナや貨物に付着して侵入していると説明しています。国立環境研究所の侵入生物データベース(2014年1月更新の記載)では、ヒアリの国内分布は「国内未定着」とされています。

2026年度のヒアリ確認事例の一覧(2026年10月1日までの公表分)には、横浜港、神戸港、大阪港、東京港、名古屋港、四日市港、博多港、北九州港、水島港、松山港、清水港などが確認地点として載っています。載っている地点はいずれも港湾名が付いており、確認状況の欄はコンテナヤードの地面などが中心です。一覧の冒頭には、2017年6月以降の確認事例は21都道府県で211事例と書かれています。

港湾で確認されたことは、住宅の庭で見かけたアリがヒアリだという意味ではありません。松山市の案内は、現在のところ市内の住宅地等で繁殖の心配はないと考えられるとしたうえで、疑わしいアリを見つけたら環境省のヒアリ相談ダイヤルに連絡するよう求めています。実例は松山市のヒアリ・セアカゴケグモの案内に整理しています。

環境省は、ヒアリが日当たりの良い開けた場所を好み、定着した国では公園、芝生・緑地、水辺、畑地などで巣を作ると説明しています。ただし、アリ塚が大きくなるまでには2〜3年かかり、初期の塚は在来のアリの巣と区別しにくいため、同定マニュアルはアリ塚だけを目印にするのは現実的ではないとしています。塚が目立つ前の、疑わしいアリの段階で連絡することが大切です。

参考:環境省|2026年度のヒアリ確認事例一覧(PDF)

ヒアリかもしれないアリを見つけたときの連絡先と伝える内容

環境省の案内では、ヒアリかもしれないと思ったときの連絡先は、環境省のヒアリ相談ダイヤルか、最寄りの市区町村・都道府県の環境部局です。ヒアリ相談ダイヤルは0570-046-110で、IP電話の場合は06-7634-7300、通話料は発信者の負担です。開設時の環境省の発表には、土日祝日を含む毎日(12月29日〜1月3日を除く)午前9時から午後5時とあり、神奈川県の案内(2026年6月24日更新)も同じ時間です。最新の受付時間は環境省のページで確認してください。

都道府県の環境部局の電話番号は、環境省の連絡先ページに一覧が載っています。近畿の例では、大阪府は環境農林水産部みどり推進室みどり企画課(06-6941-0351、代表)、兵庫県は農政環境部環境創造局自然環境課(078-341-7711、代表)と記載されています。番号は変わることがあるため、電話する前に同ページで確認してください。

連絡するときは、発見日時、見つけた人、場所、見つけたときの状況を伝えるよう、神奈川県は案内しています。同定マニュアルも、サンプルに添える情報として、採取した年月日と場所、採取位置の特徴(コンテナ内、コンクリートの地面、草地など)、輸入品の場合は出発国と到着港、採集者の名前と連絡先を挙げています。アリの数、巣らしきものの有無、周辺に輸入品の箱があるかも整理しておくと、相談が進みます。

ヒアリかもしれないアリを見つけたときの連絡先と伝える内容:確認項目
連絡・相談先向く場面確認事項
環境省 ヒアリ相談ダイヤルヒアリかもしれないアリを見つけた。特徴や健康への影響の相談0570-046-110(IP電話は06-7634-7300)。通話料は発信者負担。受付時間は環境省のページで確認
最寄りの市区町村の環境担当身近な窓口で相談する。写真の送り方や実物の渡し方の確認窓口の名称は自治体ごとに異なる。まず市区町村のホームページや代表電話で確認
都道府県の環境部局疑わしいアリの発見の連絡環境省の連絡先ページに、担当部局と代表電話の一覧がある
医療機関・119番刺されて症状がある。息苦しさなどは救急車「アリに刺されたこと」「アナフィラキシーの可能性」を伝える

参考:環境省|ヒアリかな?と思ったら、お問合せ先

ヒアリを見つけたときの注意|触らない・巣に手を出さない・殺虫剤と写真の扱い

環境省の案内は、アリの数が少ないときと、集団や巣を見つけたときで動き方が違います。数匹ならスプレー式殺虫剤でよいとする一方、集団や巣には薬剤も熱湯もかけず、すぐ連絡するとしています。フマキラーのアリ・ムカデ粉剤など、適用害虫の一覧にヒアリが載る製品もありますが、適用の表示があることと、巣を個人で処理してよいことは別です。環境省は、ヒアリと同定される前にむやみに毒餌を置くと、在来のアリや他の生物を殺し、かえってヒアリが定着しやすい環境をつくるおそれがあると説明しています。

ヒアリを見つけたときの注意|触らない・巣に手を出さない・殺虫剤と写真の扱い:確認項目
見つけた状況環境省の案内しないこと
アリの数が少ないスプレー式殺虫剤等で殺虫する。判別が必要なら、相談窓口や市区町村に連絡し、メールで写真を送って相談する死骸でも素手でさわらない。判別用のアリはセロハンテープに貼り付けず、綿などに包む
アリの集団や巣刺激せず、すぐヒアリ相談ダイヤルか最寄りの市区町村に連絡する。駆除は状況に応じて専門家に相談しながら実施するつつく、踏む、殺虫剤や熱湯をかける。ヒアリと同定される前にむやみに毒餌を置く
写真を撮る(生きているアリ)長袖・長ズボン・手袋・長靴で肌の露出を減らす。アリにピントを合わせ、明るく撮る。群れは集団の様子も撮るむやみに近づいて刺激しない
写真を撮る(死んでいるアリ)定規か方眼紙を添えて明るく撮り、アリの体にピントを合わせる。可能なら画質を最高にし、角度を変えて数枚撮る素手で触らない(針が出ていて刺さることがある)

参考:環境省|ヒアリかな?と思ったら、お問合せ先

ヒアリに刺されたときの症状と受診|20〜30分は冷やして様子をみる

環境省は、ヒアリやアカカミアリの毒への反応は人によって大きく異なるとし、体調に変化がなくても、20〜30分程度は刺された部位を冷たいタオルや保冷剤などで冷やしながら安静にして様子をみるよう案内しています。その間、なるべく一人にならないようにとも書かれています。全員に現れる症状は、焼けるような痛み、かゆみ、膿です。

アレルギー体質の人では、じんましんが出たり、体調不良が出たりすることがあり、そのときはすぐ医療機関を受診するよう案内されています。刺されて20〜30分以内に、息苦しさ、声がれ、激しい動悸やめまい、腹痛などが出たときは、アナフィラキシーショックの可能性が高く、救急車を呼ぶ必要があるとされています。受診するときは、アリに刺されたことと、その可能性を伝え、アリの死骸があれば持参すると診断に役立つとされています。ハチ毒アレルギーのある人は特に注意が必要です。

環境省は、犬や猫も刺されると人と同じように重い症状を起こすことがあると説明しています。日本皮膚科学会も、ヒアリは毒針を持ち、刺されると痛みやアナフィラキシー症状を起こすことがあると説明しています。症状の判断や治療は医師に任せてください。

参考:環境省|ヒアリの基礎情報(要緊急対処特定外来生物ヒアリに関する情報)

要緊急対処特定外来生物のヒアリ|生きたまま運ばない理由と法律上の位置づけ

ヒアリは、外来生物法で特定外来生物に指定され、さらに「要緊急対処特定外来生物」とされています。環境省は、特定外来生物について、飼養、栽培、保管、運搬、輸入、放出、譲渡しなどが規制され、対象は生きているものに限られ、卵や器官も含まれると説明しています。要緊急対処特定外来生物には、まん延した場合の影響が著しく重大なおそれがあるため、物品・土地・施設の検査、移動の制限や禁止、消毒や廃棄の命令といった制度が設けられています。

このため、疑わしい生きたアリを自宅に持ち帰って飼う、容器に入れて運ぶ、逃がす、といった行為は避けてください。ヒアリなど特定外来生物であった場合、いずれも外来生物法で規制される行為にあたります。環境省の事業者向けページは、ヒアリ類が付着している貨物などを移動すると外来生物法違反になるとも注意しています。判別が必要なときは、先に相談し、殺虫したうえで、相談先の指示に従って実物を送付または持参します。

環境省によると、国が関係機関と連携して主要港湾等で定期的に侵入状況を調べ、発見された場合は緊急駆除とモニタリング(継続的な監視調査)を行っています。環境省は、いったん繁殖すると根絶は極めて困難で、ニュージーランドが定着初期に徹底した対処を行って唯一根絶に成功したと説明しています。個人が行う駆除の費用について、公的な目安は確認できず、扱いません。疑わしいアリを見つけたら、まず国や自治体の窓口に連絡するのが基本です。

参考:環境省|外来生物法の概要(特定外来生物・要緊急対処特定外来生物とは)