床下や土の中に巣を作るハチの種類
床下は、雨風を避けられて人の目に触れにくいため、ハチが巣を作る場所として自治体の資料に挙げられています。名古屋市は、スズメバチが巣を作る場所として、天井裏、軒下、戸袋、生垣の中、床下、土の中、木の枝を挙げ、川口市も同じ一覧を載せています。所沢市は、軒下や屋根裏、床下、庭木、土の中など、風雨を防げるところに巣を作ると説明しています。
ただし、種類によって巣を作る場所は違います。札幌市は、クロスズメバチは主に土中に巣を作るが、屋根裏や床下換気口にも作ることがあるとし、オオスズメバチは主に土中に巣を作るとしています。広島市は、多くのハチは土中に巣を作らないが、オオスズメバチは土中に作ると説明しています。川口市は、ミツバチは人家では床下や屋根裏の通気孔から多数の小さなハチが出入りして気づくことが多いと書いています。
時期にも目安があります。札幌市は、越冬した女王バチが春先から巣を作り始め、巣は9月ごろに最も大きくなり、11月ごろに働きバチが死んで巣は空になると説明しています。所沢市は、巣の中のハチが増える9月ごろが最も危険とし、横浜市は、7月から10月は巣が大きくなっていることが多く、相談が連日寄せられると書いています。
この記事の確認日である2026年10月3日は、活動が続く時期にあたります。月ごとの違いはスズメバチの活動時期も参考になります。巣が空になる11月以降でも、近づく前に、ハチの出入りがないことを確かめる必要があります。
| ハチ | 営巣場所(公的資料の記載) | 時期・特徴(資料の記載) |
|---|---|---|
| コガタスズメバチ・キイロスズメバチ・モンスズメバチなど | 名古屋市と川口市は、天井裏、軒下、戸袋、生垣の中、床下、土の中、木の枝などと説明 | 川口市は、スズメバチの巣は1年限りで再利用されないと説明。キイロスズメバチの活動時期は5月から12月上旬 |
| クロスズメバチ | 札幌市は、主に土中で、屋根裏や床下換気口にも作ることがあると説明 | 札幌市は、体長1cm程の小さな種で、草刈りのときなど巣に気づかず刺されることがあると説明 |
| オオスズメバチ | 札幌市と広島市は、土中に作ると説明。川口市は、木の洞や土中が多く、普通は人家には営巣しないとする | 札幌市は、攻撃性が極めて強く最も危険な種とする。川口市は、巣そのものはほとんど見えないと説明 |
| ミツバチ | 日本ペストコントロール協会は、樹洞や屋根裏、床下、排気ダクト内に巣を作ると説明。川口市は、人家では床下や屋根裏の通気孔から出入りすると説明 | 川口市は、攻撃性は弱いが、順調に活動すると翌年以降も数年にわたり同じ巣を使い続けることがあると説明 |
床下に蜂の巣があるかどうかは、どう確かめればよいですか?
床下の巣は直接見えないことが多く、換気口や基礎のすき間に出入りするハチの様子から推測します。離れた場所から出入りの位置と時間帯を記録し、巣の確認は業者に任せます。
離れて出入りを観察する方法|距離・時間帯・服の色
広島市は、駆除の要否を考える目安として、巣の場所と種類ごとに「危険性が高い範囲」を示しています。建物の内部の巣では、スズメバチは、ハチが出入りしている建物の通気口や壁面などから概ね4メートル、ミツバチは概ね1メートルです。床下の換気口は、この通気口にあたると考えられるため、種類が分からないうちは広い方の数字を目安に、その範囲の外から観察します。
観察は、出入りが分かりやすい晴れた日中に行います。日本ペストコントロール協会は、ハチの飛来の有無を晴天の日中に遠くからよく見定めるよう案内しています。一方、広島市は、駆除作業は活動が低下する夜間か早朝に行うもので、昼間に作業すると、帰ってくるハチが興奮して刺される可能性があるとしています。観察は昼、作業は専門業者が時間帯を選ぶ、と分けて考えます。
| 巣の場所・条件 | ハチの種類 | 危険性が高い範囲(広島市の目安) |
|---|---|---|
| 建物の内部(屋根裏など) | スズメバチ | ハチが出入りしている建物の通気口や壁面などから概ね4メートル |
| 建物の内部(屋根裏など) | ミツバチ | ハチが出入りしている建物の通気口や壁面などから概ね1メートル |
| 土中 | オオスズメバチ | 巣の出入口から概ね6メートル |
| 歩道・公園など、不特定多数が使う場所が近い | オオスズメバチ | 巣の出入口から概ね8メートル |
| 歩道・公園など、不特定多数が使う場所が近い | スズメバチ(オオスズメバチを除く) | 巣の出入口から概ね12メートル |
| 歩道・公園など、不特定多数が使う場所が近い | アシナガバチ・ミツバチ | 巣の出入口から概ね2メートル |
観察で記録すること、服の色とにおいの扱い
観察の結果は、相談で最も役に立つ情報になります。何を記録するかと、服装やにおいをどう考えるかを整理します。
記録しておくこと
相談では、出入りの情報が最も役に立ちます。次の内容を、危険な範囲の外から写真や動画で残します。望遠で撮れない場合は、無理に近づかず、見えたことだけをメモします。
- ハチが出入りしている換気口や基礎のすき間の位置(建物の方角、換気口が何番目か)
- 出入りが見える時間帯と、1分間に出入りする数のおおよその数
- ハチの大きさと色の印象(目安として、スズメバチ約3cm、アシナガバチ約2.5cm、ミツバチ約1.5cm)
- 出入り口の近くを、人や子どもが通るかどうか
- ハチを刺激して反応があったかどうか(あった場合は、離れてから書き残す)
服の色とにおいは、ひとつの目安にとどめる
広島市は、刺されにくくするために、大声を出さない、柔軟剤や香水、甘い香りなど強いにおいをさせない、攻撃を受けやすい黒っぽい服装を避ける、激しく動かない、の4点を挙げています。名古屋市も、ハチは黒色に激しく攻撃する性質があると説明しています。
日本ペストコントロール協会は、一般に黒いものやにおいの強いものを襲う習性があるが、興奮したハチは色やにおいに関係なく何にでも襲いかかると説明しています。服を白くすれば安全というわけではありません。範囲の外から見る、という距離の確保が前提です。
換気口を塞ぐ・スプレーをかける・床下に入る|避けたい3つの行動
ハチが出入りしているのを見ると、すぐに塞ぎたい、噴霧したい、巣を確かめたいと思うものです。ただ、床下の巣は位置が見えず、自治体の資料は、巣に近づいて刺激することを避けるよう案内しています。神戸市は巣を見つけたら近づかないよう呼びかけ、所沢市は巣に触れたりハチを追い払ったりしないよう案内しています。
塞いだあとにハチがどう動くかを説明した公的資料は、今回確認できませんでした。そのため、この記事では「塞ぐと別の出口から出る」とは書きません。確かなのは、出入り口の近くへ行く作業そのものが刺激になること、専門業者は通常、処置のあとで最後に巣を撤去すること(日本ペストコントロール協会)、網で塞ぐ予防は巣ができる前の対策として案内されていることです。巣のある場所への対応は、スズメバチらしいハチが出入りするときの相談も参考になります。
| 避けたい行動 | 資料の裏づけ | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 換気口や出入り口を塞ぐ | 塞いだあとの動きを説明した公的資料は確認できない。神戸市と船橋市が案内する防虫ネットや補修は、巣を作られる前の予防策。作業そのものが出入り口へ近づく行為 | 出入りを離れて記録し、処置と撤去のあとで補修を考える |
| 殺虫剤のスプレーをかける | 日本ペストコントロール協会は、初期の巣など以外は防護服を持つ専門業者の処置が必要とする。広島市は、屋根裏など駆除しにくい場所は無理をせず専門業者を勧め、防護服は針が貫通しないことを保証するものではないとする | 巣の位置が見えない場合は噴霧せず、相談する |
| 床下に入って巣を確かめる | 所沢市は、床下などで直接確認できない巣は専門業者への依頼を勧める。厚生労働省の事例は、木造住宅の床下(高さ約47cm)で、換気扇の配線に電動ドリルが当たり、感電したと推定されるもの | 床下には入らず、換気口の外側から見える範囲の確認にとどめる |
床下の巣を駆除するときの作業の流れ|業者の作業内容と確認点
床下の巣は、位置が見えないため、まず現地で出入りと巣の位置を確かめる作業が必要になります。日本ペストコントロール協会は、初期の巣など以外は、防護服を持つ専門業者による防除処理が必要で、専門業者は通常、最後に巣を撤去すると説明しています。巣が大きい場合は、外泊していたハチが数日後に戻ってしばらく飛び回ることがあるとも書いています。
この説明をもとに、作業の流れと、依頼前に聞くことを表にしました。工程の名称はこのサイトの整理で、実際の作業は巣の位置、床下への入り方、種類で変わります。費用の考え方はハチの巣駆除の費用を比べる見積もりの読み方に、屋根裏の場合の流れは蜂の巣が屋根裏にあるときにあります。
愛知県岡崎市の野生蜂除去処理事業は、除去の料金を区分で示しています。一般除去は巣や分蜂が一見して確認できるもの、特別除去は巣や分蜂が地中、床下、天井裏等にあり、除去が困難または危険を伴うものとされ、このほかに薬剤投与や穴埋めなどの「処理」の区分もあります。確定金額は作業前に除去処理業者へ確認するよう案内されています。2026年5月8日更新のページで、令和8年4月1日から、住宅の除去費用の一部(2分の1)が申込者の負担になっています。
この例は、床下の巣が見える場所の巣と別の区分で扱われる自治体があることを示します。ほかの業者や自治体の料金を同じ区分で当てはめることはできません。制度の内容は岡崎市のハチの巣駆除で扱っています。見積もりでは、床下に入る作業、巣の撤去、再訪の費用が別に書かれているかを確認してください。
| 工程 | 業者が行うこと | 依頼する前に確認すること |
|---|---|---|
| 1 現地確認・種類の推定 | 出入りの位置を外から確認し、床下の点検口や換気口から、巣の位置と種類を調べる | 調査だけで終わる場合の費用。床下に入る作業になるか。点検口の有無 |
| 2 ハチの処置 | 防護服を着て、巣の中と周辺のハチを処置する | 作業の時間帯(広島市は、夜間か早朝に行うとする)。使う薬剤の説明 |
| 3 巣の撤去 | 通常、処置のあとに巣を取り出す。床下や土の中では、取り出せない場合もある | 撤去が含まれるか。取り出せない場合の理由と、その後の管理 |
| 4 戻りバチの確認 | 数日間、巣のあった場所に飛ぶハチがいないかを見る | 連絡できる期間。再訪の回数と費用 |
| 5 出入り口の補修 | 通気口に目の細かいネットを付けるなど、すき間を補修する(神戸市・船橋市の案内) | 床下の換気を妨げない補修か。見積もりに含まれるか |
自治体のハチ相談の調べ方|補助・業者紹介・防護服貸出の有無
ハチの巣に対する自治体の対応は、市区町村ごとに違います。市が除去を手配する、費用の一部を負担する、業者を紹介する、防護服を貸し出す、駆除はしないが相談に応じる、といった違いがあり、同じ県でも変わります。次の表は、今回開いた公式ページから対応の例を5つ並べたもので、お住まいの市区町村の対応ではありません。
調べるときは、市区町村名と「ハチの巣」で検索し、環境衛生、保健所、生活衛生課などの担当ページを開きます。見る点は、市が駆除するか、補助があるか、補助の対象に床下の巣が入るか、業者紹介があるか、防護服の貸出があるか、の5つです。制度は更新されるため、ページの更新日と電話での確認を合わせて行ってください。
日本ペストコントロール協会は、全国47都道府県に地区協会があり、害虫相談所が電話などでの相談を無料で受け付けていると案内しています。現場調査や防除施工が必要なときは原則有料で、内容に応じた事業者を紹介することもできるとしています。市区町村が駆除や紹介をしない場合の相談先として使えます。
賃貸住宅や集合住宅の床下は、自分で業者へ連絡する前に、管理会社や管理組合へ伝えます。広島市は、ハチの駆除は原則として巣ができた場所の所有者または管理者が対応すると案内しています。
| 市の例 | 市が行うこと(公式ページの記載) | 確認日・更新日 |
|---|---|---|
| 広島市 | ハチの駆除等は行っていない。原則、巣のある場所の所有者または管理者が対応。保健所で防護服を無料で貸出(原則市内、事前に電話)。特定の事業者の紹介は行わず、2〜3社に電話して見積もりを取るよう案内 | 2026年10月3日確認 |
| 横浜市 | 福祉保健センター生活衛生課は、巣の駆除は行っていないが、相談、駆除業者の案内、防護服や駆除機材の貸出しを行う。スズメバチは無理に自分で駆除せず専門業者への依頼を勧める | 2026年10月3日確認 |
| 所沢市 | 巣のある土地・家屋の所有者(管理者)に駆除を依頼。自分でできない場合は希望者に専門業者を案内するが、費用は全額自己負担。屋根裏や床下など直接確認できない巣は専門業者を勧める | ページの更新日は2023年3月2日 |
| 名古屋市 | 駆除は行っていないが、駆除方法などの相談に応じる。生活保護の世帯、一定の市民税非課税の世帯などは、昆虫等駆除費の補助が使える場合がある。各区の保健センター環境薬務課に相談 | 2026年10月3日確認(ページ更新日は2025年10月16日) |
| 岡崎市 | 市、土地所有者等、除去処理業者が連携する野生蜂除去処理事業。スズメバチとミツバチの巣が対象で、住宅の除去費用の2分の1が申込者負担(令和8年4月1日から) | ページの更新日は2026年5月8日 |
参考:横浜市|ハチについて
刺されたときは医療機関へ|症状の判断は自分でしない
ハチに刺されたときは、まず、刺された場所からできるだけ離れます。名古屋市は、刺された場所から遠ざかり、傷口を洗い流すよう案内しています。船橋市は、体質によってアレルギーが出たり、意識を失ったり、急に血圧が変化したりする症状が出ることがあり、そのようなときはすぐに医療機関で治療を受けるよう案内しています。川口市は、気分が悪くなった人や、以前ハチに刺されたことがある人は、すぐに病院で診察を受けるよう案内しています。
症状が軽いか重いかは、自分では判断しにくいものです。刺されたあとに体の変化を感じたとき、以前に刺されたことがあるとき、症状に不安があるときは、様子を見ずに医療機関へ相談してください。また、巣の近くで刺された場合は、ほかの家族も同じ場所で刺されるおそれがあります。出入りのある換気口の近くに近づかないよう、家族や近所の人にも伝えておきます。
駆除のあとの床下|戻りバチ・出入り口の補修・来年の点検
巣を撤去したあとも、確認することが残ります。戻りバチへの対応と、来年に向けた点検や補修を分けて整理します。
戻りバチへの対応
撤去後しばらくは、巣のあった場所へハチが飛んでくることがあります。広島市は、駆除しきれなかった働きバチがしばらくの間、巣のあった場所を飛び回り、そのうち居なくなるとし、ほかの巣のハチの通り道になっている可能性も説明しています。日本ペストコントロール協会も、巣が大きい場合は、数日後に戻ってくることがあるとしています。自分で追い払わず、作業をした業者に連絡します。
来年に向けた点検と、出入り口の補修
スズメバチの巣は翌年に再び使われませんが、所沢市は、一度巣ができた場所は巣を作りやすい場所なので翌年度以降も注意が必要だと説明し、川口市は、ミツバチは同じ巣を数年使うことがあると書いています。神戸市は、4月ごろから定期的に目視で巣を確認すること、通気口に目の細かいネットを付けること、亀裂やすき間を補修しておくことを案内しています。
床下の換気口は、換気のための開口です。ネットや補修は、換気を妨げない方法で行います。換気口が壊れている場合の考え方は、換気口の破損を見つけたときの相談にまとめています。横浜市は、女王バチが1匹で巣を作る4月から6月に、巣を作られやすい場所を点検するよう勧め、急に近づかない、揺らさない、近くで騒がないよう注意しています。





