カラスがゴミを荒らす理由と、カラスは何を食べるのか

カラスは雑食で、農林水産省の資料は、穀類、昆虫、果実、鳥の卵やヒナのほか、生ごみや動物の死体も食べると説明しています。大阪市は、半透明の袋の中で、赤っぽいものや濡れたものが狙われやすいと説明しています。赤いものは肉、濡れたものは魚の肉などの目印になり、栄養価の高い食べ物に出会いやすいためだとされています。港区は、マヨネーズや脂身など、カロリーの高いものを好むことが観察されていると説明しています。

荒らされやすい条件は、時間にもあります。環境省の手引は、カラスは日の出の30分ほど前から活動を始め、ごみが集積所に置かれている時間が長いほど散乱を受けやすいとしています。米子市は、前の日の夜から出したり、収集後に出したりすることが荒らされる原因になると案内しています。東京都は、ごみの散乱が多い地域では巣も多く作られていると説明し、地域全体でのごみ出しルールの徹底が重要だとしています。

参考:大阪市|カラスについて

読者の疑問

カラス対策のネットは、目が細かいほどよいですか?

比較ガイド

環境省の手引と米子市は、目合い5mm以下が有効としています。ただし細かいネットは軽く、風で浮いたり下から頭を入れられたりするため、端にチェーンや重りを付け、ごみ全体を覆う使い方が必要です。

防鳥ネットの掛け方と失敗しやすい例:目合い・重り・隙間・大きさ

ネットは、適切に使えば簡便で低コストな対策ですが、扱い方を誤ると効果がなくなります。環境省の手引と米子市のガイドブックは、網目は5mm以下の細かいものが有効で、3cmの目では太いくちばしでも入りつつかれると説明しています。一方で、目の細かいネットは軽く、風にあおられる、カラスが下から頭を入れる、破れやすいといった弱点があるため、縁に錘(チェーンやロープ)を入れる、物干し竿などで重しをする工夫が示されています。

使い方では、ごみ全体をネットで覆い、ネットの上にごみを置いたり、ごみの一部をはみ出させたりしないことが重要です。ネットが小さすぎて入りきらないと、どうせ入れても、というマナー違反を招くため、出されるごみの量に合わせて大きさを選びます。環境省の手引は、1か所だけに掛けると、掛けていない集積所が集中して荒らされがちになるため、できる限り広い範囲で行うよう求めています。

ネットの大きさと重さの目安

杉並区の配布は、大(3m×4m)が10世帯以上、中(2m×3m)が5〜9世帯、小(1.5m×2m)が2〜4世帯を対象にしています。環境省の手引も、複数の利用者がいる集積所では3m×4mほど、戸別収集では1.2m×1.2mの小型が扱いやすいとしています。大きなネットは重くなります。手引に載る区の調査では、集合住宅用の3m×4mのチェーン付きネットが4kgを超え、重くて扱いにくいという意見があり、3kg台までが適当とされています。

防鳥ネットの掛け方と失敗しやすい例:目合い・重り・隙間・大きさ:確認項目
失敗しやすい例起きること直し方(公的資料の説明)
網目が粗い(3cm、10mm×7mm程度)くちばしが入り、つつかれる5mm以下(4mm角の例)のネットにする
ネットが軽く、風で浮く下から頭を入れられ、ごみを引き出される縁にチェーンやロープの重りを付ける。物干し竿などで重しをする
壁面側の横にすき間があるすき間からごみを引き出される横に三角のネットを縫い付けてすき間をなくす(米子市の例)
ごみがはみ出す、ネットの上にごみを置くはみ出した部分が狙われるごみ全体をネットの中に入れて覆う
ネットが小さいごみが入りきらず、ルール違反を招く出されるごみの量に合わせた大きさにする
破れたまま使う穴からつつかれる破れたら補修する。自治体によっては破損時にネットを交換する

参考:環境省|自治体担当者のためのカラス対策マニュアル 対策編(PDF)

折りたたみ式ボックスとふた付き容器の選び方:ネットとの違い

環境省の手引は、ごみを容器に入れたり、ネットを掛けたりして、カラスとごみの接点を絶つ方法を紹介しています。厚いビニール製のシートは、ごみが見えないため有効と言われますが、扱いやすさと価格からネットが普及したとされます。カラスとごみを物理的に隔離する方法は効果が高く、集合住宅などでは小屋型のものが設置されるようになり、市街地では場所を取らない折り畳み式の集積所ケースが東京都品川区で試行された、と手引の作成当時の事例が紹介されています。

杉並区は、ごみ出しにふた付きポリバケツによる容器出しをすすめ、袋で出す場合は生ごみがカラスから見えないようにしっかり包むよう案内しています。容器出しは散乱防止のほか、悪臭の防止、美観の向上にも役立ち、散乱が改善されれば集積所を管理する人の負担も軽くなるとされています。米子市は、据え置き式のボックスを置ける場所ではボックスの使用が効果的とし、設置を検討するときは事前に担当課へ相談するよう求めています。

自治体が配る折り畳み式ボックスの条件(杉並区の例)

現在も折り畳み式のボックスを配っている自治体があります。杉並区は、カラス対策用の折り畳み式防鳥用ボックスを、申し込みを受けて配布・交換しています。大きさは大が幅180cm、小が幅120cmで、どちらも高さ66cm・奥行60cmです。収集が終わったら必ず畳んで片づけることが、使い方の前提として示されています。

申し込みには、集積所に接する人と利用者の合意が要り、利用者でボックスを管理でき、置いても車両や歩行者の通行、収集作業の妨げにならない集積所が対象です。5世帯以上で使う集積所1か所に1台で、申し込みから配布まで3か月程度かかるとされています。ネットより場所を取るため、置き場所と片づける人を先に決めておくことが欠かせません。

  • 集積所に接する人と、利用者全員の合意があるか
  • 畳んで片づける当番を決められるか
  • 通行や収集作業の妨げにならない置き場所があるか
折りたたみ式ボックスとふた付き容器の選び方:ネットとの違い:確認項目
方法向く場所良い点注意(資料の説明)
防鳥ネット場所が狭く、ボックスを置けない集積所簡便で低コスト目合い5mm以下、重り、隙間、ごみのはみ出しに注意する
折り畳み式のボックス・集積所ケース設置場所が限られる市街地カラスとごみを物理的に隔離できる。場所を取らない収集後は畳んで片づける。杉並区は5世帯以上の集積所に配布(合意と管理が条件)。品川区の試行は環境省手引の事例
据え置き式ボックス・小屋型広さを確保できる集積所、集合住宅隔離としての効果が高い設置を検討するときは、事前に担当課へ相談する(米子市)
ふた付き容器(ポリバケツ)戸別、または少量の排出散乱・悪臭を抑え、美観が良くなる容器を出し入れする手間がかかる。生ごみを包み、ふたを閉める
厚いビニール製シート小規模な集積所ごみが見えない扱いやすさと価格から、ネットの方が普及している(環境省)

参考:杉並区|カラス対策 ごみ容器・カラスネットなどの使用

出す時間・生ごみの包み方と、黄色い袋・黄色いネットの扱い

出し方の工夫は、道具より先に見直せる対策です。東京都は、収集日や排出時間を守る、生ごみは水気を切って新聞紙などで包む、ふた付き容器で出せる地域では容器に入れてふたを閉める、カラスよけ専用の防鳥ネットでごみをしっかり覆う、などを挙げています。米子市のガイドブックは、袋の真ん中に生ごみを入れる工夫や、新聞紙・チラシで包む方法を示し、ただし全体を包むと中身が分からず不適物の判断ができなくなるため、包むのは生ごみだけにするよう求めています。

黄色い袋やネットについては、公的資料が注意を促しています。米子市は、カラスに黄色が見えないわけではなく、以前に行った実験で一定の効果が認められたのは、袋に特殊な顔料が入っていたためで、ただ黄色いだけでは効果がないとしています。杉並区も、推奨する黄色いごみ袋は特殊な材料を使ったもので、ただの黄色い袋では効果は認められていないと明記しています。ネットには穴があり、中身が普段と同じ色に見えるため、色は黄色にこだわらなくてよい、というのが米子市の説明です。

CDやきらきら光るテープを下げる方法は、カラスの警戒心を利用した対策ですが、当たり前の光景になると、カラスが慣れて効果がなくなると米子市は説明しています。ネットやボックスで物理的に遠ざける方法を中心に考え、光り物などは補助として扱います。

  • 収集日の決められた時間より前(前日の夜など)に、ごみを出さない
  • 生ごみは水気を切り、新聞紙などで包んで、袋の中央に入れる
  • 袋で出すより、容器やネットを優先し、ごみ全体を覆う
  • 黄色い袋や光り物だけに頼らない(効果が条件付き、または慣れが生じる)

参考:東京都環境局|カラスに関するQ&A

ネット貸与・ボックス補助など自治体制度の探し方(制度名と担当課の例)

ごみ集積所のカラス対策では、自治体が防鳥ネットを配布・貸与している例があります。制度の名称と窓口は自治体で違います。探すときは、「(市区町村名) カラス ネット 貸与」「ごみ集積所 防鳥ネット」「カラス対策 補助」などで検索し、清掃事務所、環境部局、ごみ減量の担当課、クリーン推進課などの窓口を確認します。

条件は、制度ごとに異なります。杉並区は、申込みにはごみ集積所に接する方と利用している方の合意が必要としています。港区は、集積所単位でネットを適正に管理できる場合に渡し、破損や汚損の場合は交換するとしています。箕面市は、戸建住宅5戸以上が使用する集積場所に1枚を貸し出し、集合住宅は対象外で、オーナーや管理会社の責任で対策するよう案内しています。購入費を補助する制度は、大垣市のごみステーションのネット購入費補助や、練馬区の防鳥ネット貸出の記事で確認できます。

ネット貸与・ボックス補助など自治体制度の探し方(制度名と担当課の例):確認項目
自治体(確認日 2026年10月3日)制度の名称対象・条件窓口の例
杉並区(2024年11月26日更新)カラスネットの配布(破損時は交換)集積所に接する方と利用者の合意が必要。大(3m×4m)は10世帯以上、中は5〜9世帯、小は2〜4世帯杉並清掃事務所、ごみ減量対策課など
杉並区(同上)折り畳み式防鳥用ボックスの配布・交換5世帯以上で使う集積所1か所に1台。合意と利用者による管理が必要。配布まで3か月程度杉並清掃事務所・同方南支所(電話で申し込み)
港区防鳥用ネットの配布集積所単位で適正に管理できる場合に渡す。破損・汚損時は交換みなとリサイクル清掃事務所
箕面市(2026年4月1日更新)ごみネットの貸し出し戸建住宅5戸以上が使う集積場所に1枚。集合住宅は対象外。3m×3mまたは3m×4m環境クリーンセンター(申込書は市役所別館・豊川支所にも置かれている)
大阪市防鳥用ネットの貸出条件は環境局のページ「カラスにごみを荒らされてお困りの時は」で確認する環境局
東京都(都の案内)防鳥ネットの貸し出し防鳥ネットの貸し出しは、所管の清掃事務所に相談する清掃事務所
米子市(平成30年4月のガイドブック)ボックス設置の相談ボックスの設置を検討するときは、事前に相談するクリーン推進課

参考:箕面市|カラス対策「ごみネット」の貸し出し

集積所の利用者・管理会社との合意の取り方

ネットやボックスは、置く場所を管理する人と、実際にごみを出す人の協力がないと続きません。東京都は、地域全体でのごみ出しルールの徹底が被害の減少に重要としています。杉並区の配布は集積所の利用者の合意を条件とし、箕面市は集合住宅をオーナーや管理会社の責任での対策としています。ネットを一部の集積所だけに掛けると、掛けていない集積所が荒らされがちになるという環境省の手引の指摘も踏まえ、近隣と歩調をそろえることが大切です。

賃貸や分譲マンションでは、集積所を管理するのは管理会社や管理組合であることが多くなります。管理者への連絡のしかたは、マンション共用部で被害を見つけたときの連絡や、賃貸で害獣被害が起きたとき、管理会社へ伝えることでも整理しています。合意の場では、ネットを掛ける人、外す人、保管場所、破れたときの連絡先を先に決めておくと、続けやすくなります。

管理者や自治体へ伝える内容(例)

相談では、荒らされている事実と、現在の出し方を短く伝えると、貸与や補助の対象か、管理者が行う対策かを切り分けやすくなります。次の項目を、メモにまとめておいてください。

  • 荒らされた日と時間、ごみが散乱した様子の写真
  • 現在の出し方(出す時間、袋か容器か、ネットの有無)
  • 利用したい制度の名称と、条件(合意・戸数・管理者)
  • ネットを掛ける当番や、保管場所の案

参考:港区|カラス対策について

ごみ以外で見直す点:エサやり・針金ハンガー・生ごみの置き場所

集積所の対策と並んで、カラスを引き寄せる原因を、地域で減らします。大阪市は、エサを与えるとカラスが人を恐れなくなるため、エサやりはやめるよう求めています。針金ハンガーやプラスチックは巣の材料になるため、外に放置しないことも案内しています。東京都は、都会のカラスが針金ハンガーで巣を作る例を挙げ、外に出したままにせずしまうよう呼びかけています。

農林水産省のマニュアルのコラムは、生ごみや収穫残さのように人の活動から出る餌を減らすことで、地域に棲めるカラスの数の上限を下げる考え方を示しています。家庭では、庭先に置く生ごみやコンポストにふたをして、外から見えない状態にすることがこれにあたります。畑や庭の対策はカラス対策を畑でするなら|テグスと防鳥網の張り方、法律の線引きはカラスの駆除と法律で確認できます。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 鳥類編(令和6年3月版)3-3 生息環境管理(PDF)