毛虫の駆除の基本|小さいうちに、枝ごと袋に入れて処分する
茅ヶ崎市は、チャドクガの駆除は発生している場所の土地所有者や管理者が行うものとし、幼虫が生息する葉に袋をかぶせて枝ごと切り取って処分する方法を案内しています。樹木全体に広がると個人での駆除は難しくなるため、幼虫が小さく、1枚の葉に群がっている4月と8月ごろが適期とされています。
世田谷区、新潟市、横浜市衛生研究所、目黒区の案内を読み比べて、作業の順番を工程表にしました。毛虫がいる枝は、わずかな振動でも糸を引いて落ちるため、落下に備えて袋と足元の準備から始めます。
| 順番 | やること | ポイント(出典) |
|---|---|---|
| 1 | 発生場所と群れの大きさを離れて確認する | 木の下に大きな袋を置けるか、風向きはどうかを見る。毒針毛は風に乗って飛ぶ(茅ヶ崎市) |
| 2 | 服装と保護具を整える | 肌を出さない。詳しくは次の見出し |
| 3 | 毛虫のいる葉に袋をかぶせる | ポリエチレン袋など(世田谷区)。群れはわずかな振動で糸を引いて落ちる(横浜市衛生研究所) |
| 4 | 枝ごと切り取り、袋の中へ落とす | 枝を揺らすと糸を吐いて垂れ下がるため、慎重に作業する(目黒区・新潟市) |
| 5 | 袋を二重にして口をしっかり閉じる | 世田谷区は、中の幼虫が死んだらそのまま処分と案内。新潟市も二重のビニール袋を案内 |
| 6 | 袋の外に落ちた毛虫を取る | 横浜市衛生研究所は割り箸でつまんで袋へ入れる方法を、目黒区は地面の毛虫を掃くときに水をかけて毒毛を飛ばさない工夫を案内 |
| 7 | 道具と服装の後始末をする | 道具に付いた毛は水で洗い流す(調布市)。衣類は他の洗濯物と分けて洗う |
毛虫の駆除はいつ行うのがよいですか?
幼虫が小さく、1枚の葉に群がっているうちが適期です。チャドクガでは4月ごろと8月ごろ(世田谷区は4月中下旬と8月上中旬)が好機とされています。樹木全体に広がると個人での駆除は難しくなるため、発生期の前から葉の裏を点検してください。
毛虫の駆除に適した時期と年間の発生回数|幼虫が小さい4月・8月ごろ
チャドクガの幼虫は、年2回、4〜6月と8〜9月ごろに発生すると、茅ヶ崎市と世田谷区が示しています。気候で時期がずれたり、1年に3回発生したりすることがあると、茅ヶ崎市と奈良市は案内しています。世田谷区は、4月中下旬と8月上中旬を駆除の好機としています。
月ごとの状態と駆除の考え方を、世田谷区の月別表をもとに整理しました。右の列は、各自治体の案内から読み取れる考え方を並べた独自の整理です。
春と夏の幼虫|分散する前に見つける
ふ化した幼虫は、最初は葉の裏から表皮を残して食べ、成長すると葉の裏や表に集団で並んで葉の縁から食べます(茅ヶ崎市)。やがて分散して食べるようになるため(堺市)、見つけるのが遅れるほど、1枚の葉を切り取る方法が使えなくなります。
冬の卵の除去と剪定|発生しにくい木にする
チャドクガは、葉の裏の黄色い毛玉状の卵で冬を越します。奈良市は、ツバキやサザンカを植えている家では、冬のうちに卵を探して除去するか、幼虫が小さいうちに葉を切り取るのが効果的としています。世田谷区は、枝を剪定しておくと駆除しやすく、チャドクガも発生しにくくなると案内し、目黒区と新潟市は、樹木を高くしない、枝葉を茂らせすぎないなどの日常の管理を挙げています。
| 月 | チャドクガの状態(世田谷区の月別表) | 駆除の考え方 |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 卵 | 葉の裏の卵のかたまりを探し、見つけたら葉や枝ごと切り取る(奈良市は冬のうちの除去を案内) |
| 4月 | 卵・幼虫 | 4月中下旬が好機。幼虫が小さく1枚の葉に群がっている |
| 5月 | 幼虫 | 樹木全体に広がる前に対応する |
| 6月 | 幼虫・蛹 | 幼虫と蛹が混ざる。脱皮殻や繭にも毒針毛が付く |
| 7月 | 成虫・卵 | 成虫が飛んでくる時期。追い回さない(後述) |
| 8月 | 幼虫 | 8月上中旬が好機。2回目の発生に備えて葉の裏を見る |
| 9月 | 幼虫・蛹 | 分散した幼虫や脱皮殻に注意 |
| 10月 | 成虫・卵 | 卵のかたまりの有無を確認する |
| 11〜12月 | 卵 | 冬の点検と剪定の準備。卵のかたまりの除去 |
毛虫の駆除に必要な服装・保護具と風向き|肌を出さない
目黒区と新潟市は、チャドクガの駆除では、帽子、メガネ、マスク、長袖、長ズボン、ゴム手袋、首に巻くタオルなど、できるだけ肌を露出しない服装で行い、風上から近づくよう案内しています。毒針毛は風に乗って飛散し、皮膚に付くとかゆみの強い皮膚炎を起こします(茅ヶ崎市)。
生垣や植え込みに発生した場合は、通行する人が気づかずに被害にあう例もあると目黒区は注意しています。作業のあとの洗い方や衣類の扱いは、毛虫に刺されたときの公的な対処で整理しています。
| 部位 | 身につけるもの(自治体の案内) | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 頭・顔・目 | 帽子、メガネ、マスク | 毒針毛は風で飛び、目に入ると眼科の受診が案内されている(茅ヶ崎市) |
| 首 | 首にタオルを巻く | 肌の露出を減らす。目黒区・新潟市・奈良市が案内 |
| 体 | 長袖、長ズボン | 毒針毛が皮膚に付くのを防ぐ。肌を露出しない |
| 手 | ゴム手袋 | 枝や袋を持つときに触れやすい。切り取り後の道具の毛にも注意(調布市) |
| 作業の向き | 風上から近づく | 毒針毛が作業する人に飛ばないようにする(目黒区・新潟市) |
切り取った枝葉の処分と、ごみの出し方|自治体で違います
切り取った枝葉の扱いは、自治体によって案内が異なります。ごみとして出す場合の区分や袋は、お住まいの市区町村のごみ分別と、衛生害虫の担当課に確認してください。公的資料で確認できた例を並べます。
世田谷区は、駆除したあとでも枝葉に毒針毛が残り続けるため、収集した枝葉に付いていた毒針毛が原因と思われる収集作業員の被害が多数報告されていると説明し、袋に入れて「毛虫注意」などの表示をして出すよう依頼しています。茅ヶ崎市も、同じ集積所を使う人や作業員への注意喚起のため、袋に「毛虫注意」などと表示するよう協力を求めています。
| 自治体 | 袋・処分の案内 | 出し方の注意 |
|---|---|---|
| 世田谷区 | ポリエチレン袋を二重にして口をしっかり閉じ、中の幼虫が死んだらそのまま処分。ごみに出す際は「毛虫注意」などの表示 | 枝葉が大量になるときは管轄の清掃事務所へ問い合わせる |
| 茅ヶ崎市 | 集積所に出す際、袋に「毛虫注意」などの表示をする | 同じ集積所を使う人と作業員への注意喚起 |
| 新潟市 | 切り取った枝葉・卵・幼虫を二重にしたビニール袋に入れて処分 | 死んだ幼虫にも毒針毛が付いている |
| 調布市 | 毛虫のついた枝葉を切り取り、土に埋める方法を案内 | 落ちてくる毛虫に触れない。道具は使用後に水で洗う |
殺虫剤・固着剤を使うときは、ラベルで適用樹木と害虫を確認する
チャドクガの幼虫は殺虫剤に弱く、園芸用殺虫剤で駆除できると、茅ヶ崎市と新潟市が案内しています。毒針毛が飛ばないようにする固着剤もあります。一方、ゴキブリ用などの家庭用殺虫剤は幼虫に効くものの、木が傷むおそれがあります(茅ヶ崎市・世田谷区・奈良市)。殺虫剤をかけると幼虫が葉から落ちてくるため、触れないようにします。幼虫が死んでも毒針毛が残る点は、世田谷区と奈良市が注意しています。
農林水産省と環境省の通知は、公園、街路樹、住宅地に近接する農地や森林などの病害虫防除で、農薬取締法に基づいて登録された、その植物に適用のある農薬を、ラベルに書かれた使用方法(使用回数、使用量、使用濃度)と注意事項を守って使うことを求めています。希釈倍率や回数は製品ごとに違うため、この記事では数字を示しません。商品名や有効成分名で選ぶのではなく、ラベルと登録情報で、その木と害虫に使えることを確かめます。農林水産省の農薬登録情報提供システムでは、農薬名、作物名、病害虫名などから登録内容を検索できます。
同じ通知は、病害虫の発生や被害にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、被害部分の剪定や捕殺などの物理的な防除で対応するよう努めること、無風か風が弱いときを選ぶこと、散布前に周辺住民へ目的・日時・薬剤・連絡先を周知することも求めています。通知は主に公園や街路樹、住宅地に近い農地などを対象にしていますが、省令は、住宅の用に供する土地とその近くで農薬を使うときも、飛散を防ぐ措置を講じるよう努めることを定めています。家庭の庭でも、同じ考え方で近隣への配慮が必要です。
日本皮膚科学会は、毎年毛虫が発生する木に、あらかじめ殺虫剤を撒布して駆除する方法もあるとしています。一方、国の通知は公園や街路樹などの管理で、発生にかかわらず定期的に散布することをやめるよう求めています。家庭の庭への適用は通知に明記されていないため、予防的に散布する場合も、発生状況を確認し、ラベルと近隣への配慮を優先してください。ペットや乳幼児のいる家では、散布の日時や範囲を事前に確認すると安心です。ペットがいる家の害虫駆除も参考にしてください。
| ラベル・登録情報で見る項目 | 確認すること | 理由 |
|---|---|---|
| 適用の樹木・植物 | 駆除したい木(ツバキ、サザンカなど)に使えると表示されているか | 登録された、その植物に適用のある農薬を使うことが通知の趣旨 |
| 適用の害虫 | チャドクガ、毛虫類などが対象に含まれているか | 対象外の害虫には効果や安全の確認がされていない |
| 使用方法 | 使用量、希釈倍率、使用回数、使用時期 | 数字は製品ごとに違い、独自に変えない |
| 使用上の注意 | 周囲への飛散、ペットや子どもへの注意、保護具 | 近隣への配慮と、事前の周知が求められている |
| 登録の有無 | 農薬登録情報提供システムで、農薬名・作物名・病害虫名から登録内容を検索できる | 無登録農薬の使用は農薬取締法で禁止されている(農林水産省) |
- 殺虫剤の使用後に体調が悪い、吸い込んだ、目や皮膚に付いたときは、日本中毒情報センターの中毒110番(一般専用、365日24時間、情報提供は無料)に相談できます。実際に事故が起きている場合に限った情報提供です。
- 毒針毛による皮膚症状は、薬剤の事故とは別に、皮膚科の受診の対象になります。
家にあるもの・無農薬・焼く方法はどう扱う?公的資料で確認できたこと
「家にあるもので毛虫を駆除したい」「無農薬で済ませたい」という声は多いですが、公的資料で確認できたのは、次の表の範囲でした。表は、方法ごとに、確認した資料の記述と、この記事の整理を分けて書いています。毛虫への効果を示す公的資料を確認できなかった方法は、そう書いています。
無農薬で行いたい場合に、公的に示されているのは、被害部分の剪定や捕殺などの物理的な防除です(農林水産省・環境省の通知)。チャドクガでは、枝ごと袋に入れて処分する方法が、自治体の基本の案内でした。
| 方法 | 公的資料で確認できたこと | この記事の整理 |
|---|---|---|
| 酢・木酢液 | 農林水産省は、無登録農薬の製造・使用を禁止する一方、殺菌効果が明らかだった食酢と重曹を特定農薬に指定した。それ以外の検討対象の資材は、客観的な薬効の確認が必要として指定が保留された。農薬かどうか判断が保留されたものは、効果をうたって販売することは取り締まり、効果は分からないが使用者が自分の判断と責任で使うことは可能としている | 毛虫への効果を示す公的資料は確認できなかった。駆除の中心にはしない |
| 洗剤 | 滝川市は、マイマイガの大きく育った幼虫は殺虫剤が効きにくいため、火ばさみで捕まえてつぶすか、少量の家庭用洗剤を溶かした水に漬けて駆除するよう案内している | マイマイガについての案内。チャドクガでは、枝ごと袋に入れる方法が自治体の基本の案内 |
| 手作りスプレー | 濃度や効果を示す公的資料は確認できなかった。国は無登録農薬を禁止し、安全性が明らかなものだけを特定農薬としている | 庭木に自作の混合液を使えるかを直接説明した資料はない。登録農薬のラベルに従う |
| 焼く | 廃棄物処理法第16条の2は、例外を除き廃棄物の焼却を禁じている(環境省の通知)。毛虫を火で駆除する方法を勧める公的資料は確認できなかった。毒針毛は風に乗って飛ぶ | 避ける。枝葉は袋に入れ、自治体の区分で出す |
| 割り箸でつまむ・水をかけて掃く | 横浜市衛生研究所は、袋の外に落ちた毛虫は割り箸でつまんで袋へ入れるとしている。目黒区は、地面の毛虫を掃くときに水をかけて毒毛が飛ばないようにするとしている | 取り残しの対応として公的資料が示す方法。素手では触らない |
自分で毛虫を駆除しない目安|高い場所・大量発生・隣地や公共の木
奈良市は、家庭での駆除が難しいときは、専門の駆除業者へ相談・依頼するよう案内しています。茅ヶ崎市も、自分での駆除が難しい場合には専門の業者へ依頼するよう案内し、樹木全体に広がると個人での駆除は難しくなるとしています。次の状態に当てはまるときは、自分で無理をせず、管理者や専門業者に相談する目安になります。
発生源が公園や街路樹、隣の敷地の木のときは、駆除を行うのは所有者や管理者です。連絡先の整理は、毛虫が大量発生したときの連絡先の記事にまとめています。隣家の木が原因のときの伝え方は、近所でも被害があるときの情報共有も参考になります。
- 毛虫が樹木全体に広がり、1枚の葉の群れを切り取る段階を過ぎている
- 枝が高く、高枝切りバサミが届く範囲(山形市の貸出品は約3mまで)を超えている、または足場が不安定
- 生垣が長く、通行する人が毛虫に触れるおそれがある(目黒区が注意)
- 発生源が公園・街路樹・隣地・空き家など、自分の管理でない木
- 毎年同じ木に発生し、剪定や植え替えを含む管理を相談したい
駆除したあとに確認すること|成虫・死骸・道具の後始末
駆除が終わっても、毒針毛は残ります。殺虫剤で幼虫が死んでも毒針毛は残り(世田谷区・奈良市)、茅ヶ崎市は、樹木に残っている毛にも気をつけるよう案内しています。作業のあとに皮膚に症状が出たときは、毛虫に刺されたときの公的な対処の手順に進みます。
道具と服装の後始末|毛が付いた道具に素手で触れない
調布市は、道具に毛虫の毛が付くと、素手で道具に触れたときに間接的にかぶれる場合があるとして、使用後は道具を水で洗い流すよう案内しています。着ていた衣類は、他の洗濯物と分けて洗い、すすぎを長めにします(世田谷区・新潟市・奈良市)。
成虫(ガ)が飛んできたとき|追い回さず、濡れた布で押さえる
世田谷区と茅ヶ崎市は、成虫が飛んできたときは、止まったところを濡れた雑巾や、何枚か重ねたティッシュペーパー(世田谷区は5枚ほど)で押さえつけ、毒針毛を飛散させないように捕獲するよう案内しています。追い回したり、殺虫剤をかけたりすると、暴れて毒針毛をまき散らすため避けます。






