環境省が公表する熊の速報値は3種類|出没件数・人身被害・許可捕獲数の違い

環境省の「クマに関する各種情報・取組」のページは、出没件数、人身被害件数、許可捕獲数の3つの速報値をPDFで公開しています。2026年10月3日に確認した資料は、出没件数と許可捕獲数が令和8年9月9日付、人身被害件数が令和8年10月2日付で、いずれも都道府県から聞き取った速報値です。ページには、今後数値が変更されることがあると明記されています。

ページには、人身被害件数は該当月の翌月第一週、出没数と捕獲数は翌月末を目途に掲載すると書かれています。なお、ページに示された更新日と、PDFの中に書かれた日付が異なる場合があるため、この記事ではPDFに書かれた日付を使っています。3つの資料は数えているものが違うため、混ぜて比べず、目的に合う資料を選んで読みます。

環境省が公表する熊の速報値は3種類|出没件数・人身被害・許可捕獲数の違い:確認項目
資料数えているもの表の範囲更新の目安と、確認した資料の日付
クマの出没情報(速報値)都道府県が把握した出没(目撃など)の件数。数え方は県ごとに異なる都道府県別・月別、直近5か年。北海道は出没数を公表せず、九州・沖縄8県は調査外翌月末を目途。令和8年9月9日付(令和8年度は4〜7月)
クマによる人身被害件数(速報値)人身被害の件数、人数、死亡者数都道府県別・年度別(平成20年度から)。北海道を含む翌月第一週を目途。令和8年10月2日付(令和8年度は8月末)
クマの許可捕獲数(速報値)被害防止目的の捕獲と、特定計画による数の調整による捕獲の頭数(捕殺と非捕殺の合計)都道府県別・年度別。北海道を含む翌月末を目途。令和8年9月9日付(令和8年度は7月末)

参考:環境省|クマに関する各種情報・取組

読者の疑問

熊の出没件数が多い都道府県はどこですか?

比較ガイド

令和7年度の環境省の表で3,000件を超えたのは、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、新潟県の6県です。ただし、数え方が県ごとに違うため、件数の多い少ないで危険度は決められません。

全国合計の年度比較|令和5〜8年度の出没件数・人身被害・許可捕獲数

環境省の表の全国合計を年度で並べると、令和7年度は3つの数字がそろって大きくなっています。出没件数は50,801件で、令和6年度の20,513件の約2.5倍です。環境省は、令和5年度と令和7年度を、東北地方を中心にクマが大量出没した年度と整理しています。

令和8年度の4〜7月の出没件数は17,362件で、令和7年度の同じ期間(12,716件)を上回っています。月ごとの動きは、熊の出没時期と時間帯の記事で、人身被害の月別件数とあわせて整理しています。

全国合計の年度比較|令和5〜8年度の出没件数・人身被害・許可捕獲数:確認項目
年度出没件数(北海道を除く)人身被害件数(うち死亡者数)許可捕獲数(北海道を含む)
令和5年度24,348件198件(6人)9,271頭
令和6年度20,513件82件(3人)5,345頭
令和7年度50,801件216件(13人)14,741頭
令和8年度(途中)17,362件(4〜7月)58件(6人)(8月末)3,363頭(7月末)

参考:環境省|クマの出没情報(速報値)PDF(令和8年9月9日付)

熊の出没件数を都道府県別に見る|令和5〜8年度の速報値(環境省の表の順)

次の表は、環境省の「クマの出没情報(速報値)」(令和8年9月9日付)から、令和5〜8年度の合計を転記したものです。並び順は順位ではなく、環境省の表と同じ北から南への順です。令和8年度は4〜7月の合計で、通年ではありません。数え方が県ごとに違うため、同じ県の年度ごとの変化を見る目的で読んでください。北海道は出没数の公表がないため、表にありません。

「欄なし」は、環境省の表で数値が入っていない県です。表の数字を足すと、令和7年度は東北6県の合計が35,395件で、全国合計50,801件の約7割になります。令和5年度は13,584件で約5.6割、令和6年度は6,723件で約3.3割でした。

東北(青森・秋田・山形ほか)の年度ごとの違い

秋田県は、令和5年度が3,723件、令和6年度が1,340件、令和7年度が13,592件でした。青森県は1,146件、725件、3,334件、山形県は772件、357件、3,124件と、3県とも令和6年度に下がり、令和7年度に大きく増えています。令和8年度の4〜7月は、青森県が845件、秋田県が3,017件、山形県が718件です。

関東の県の出没件数

関東では、令和7年度に栃木県が305件、群馬県が1,398件、埼玉県が172件、東京都が212件、神奈川県が91件、茨城県が1件でした。千葉県は、環境省の表に数値が入っていません。令和8年度の4〜7月は、栃木県が217件、群馬県が528件、埼玉県が78件、東京都が63件、神奈川県が25件、茨城県が0件です。

近畿・中国(山口県など)の年度ごとの違い

環境省の会議資料が近畿・紀伊半島・東中国・西中国に分ける12府県(滋賀・京都・大阪・三重・奈良・和歌山・兵庫・鳥取・岡山・島根・広島・山口)のうち、大阪府と奈良県を除く10府県は、令和5〜7年度の3年度の中で令和6年度が最も多い結果でした。山口県は、令和5年度が444件、令和6年度が799件、令和7年度が408件、令和8年度の4〜7月が209件です。環境省の会議資料(令和8年5月)も、この4地域では令和6年度の出没情報数が過去5年で最多で、令和7年度は概ね例年と同様の傾向だったと整理しており、地域によって多い年度が違うことが分かります。

熊の出没件数を都道府県別に見る|令和5〜8年度の速報値(環境省の表の順):確認項目
都道府県令和5年度令和6年度令和7年度令和8年度(4〜7月)
青森県1,146件725件3,334件845件
岩手県5,877件2,883件9,739件4,302件
宮城県1,357件800件3,559件1,028件
秋田県3,723件1,340件13,592件3,017件
山形県772件357件3,124件718件
福島県709件618件2,047件723件
茨城県0件0件1件0件
栃木県142件255件305件217件
群馬県715件678件1,398件528件
埼玉県144件108件172件78件
千葉県欄なし欄なし欄なし欄なし
東京都114件181件212件63件
神奈川県80件122件91件25件
新潟県1,450件925件3,528件583件
富山県641件326件1,068件227件
石川県276件424件384件180件
福井県766件897件950件407件
山梨県172件315件352件152件
長野県1,406件1,430件1,324件697件
岐阜県660件674件1,104件504件
静岡県121件156件200件76件
愛知県19件19件22件35件
三重県40件162件98件39件
滋賀県92件178件140件84件
京都府868件1,908件1,241件806件
大阪府11件15件25件11件
兵庫県524件1,128件510件393件
奈良県58件143件147件65件
和歌山県47件180件99件61件
鳥取県164件272件95件104件
島根県964件1,561件891件765件
岡山県119件134件42件56件
広島県724件789件592件362件
山口県444件799件408件209件
徳島県1件7件7件2件
香川県0件0件0件0件
愛媛県0件0件0件0件
高知県2件4件0件0件

参考:環境省|クマの出没情報(速報値)PDF(令和8年9月9日付)

熊の人身被害件数と許可捕獲数を都道府県別に見る|令和7年度と令和8年度

人身被害件数は、都道府県から聞き取った件数で、表の括弧内は死亡者数です。令和7年度は全国で216件・238人、死亡者は13人でした。令和8年度は8月末までに58件・62人、死亡者6人です。東北6県の合計は令和7年度が146件(死亡者10人)で、全国の約7割にあたります。許可捕獲数は、被害防止などの目的で許可を得て行った捕獲の頭数で、令和7年度は全国で14,741頭、令和8年度は7月末までに3,363頭です。

次の表は、令和7年度または令和8年度に、人身被害か許可捕獲のどちらかが1件以上あった都道府県を掲載しています。ここに載っていない都道府県は、人身被害と許可捕獲の両方が、この2年度とも0件か、表に載っていない県です。件数は出没の多さと同じではなく、人身被害は被害の有無、捕獲数は各県の対応方針にも左右されます。

熊の人身被害件数と許可捕獲数を都道府県別に見る|令和7年度と令和8年度:確認項目
都道府県人身被害 令和7年度(死亡者数)人身被害 令和8年度8月末(死亡者数)許可捕獲数 令和7年度許可捕獲数 令和8年度7月末
北海道5件(2人)2件(0人)2,139頭302頭
青森県10件(0人)3件(1人)1,265頭109頭
岩手県39件(5人)12件(3人)1,153頭480頭
宮城県5件(1人)2件(0人)505頭51頭
秋田県59件(4人)7件(1人)2,691頭252頭
山形県12件(0人)5件(1人)1,591頭193頭
福島県21件(0人)7件(0人)1,684頭548頭
栃木県4件(0人)2件(0人)53頭66頭
群馬県10件(0人)2件(0人)624頭215頭
埼玉県0件(0人)0件(0人)22頭2頭
東京都1件(0人)2件(0人)11頭4頭
神奈川県0件(0人)0件(0人)5頭0頭
新潟県16件(0人)2件(0人)919頭80頭
富山県5件(0人)3件(0人)397頭74頭
石川県0件(0人)1件(0人)98頭59頭
福井県3件(0人)0件(0人)166頭90頭
山梨県2件(0人)0件(0人)30頭23頭
長野県11件(1人)1件(0人)630頭391頭
岐阜県4件(0人)2件(0人)458頭205頭
静岡県0件(0人)1件(0人)41頭17頭
愛知県0件(0人)0件(0人)1頭1頭
三重県0件(0人)0件(0人)3頭1頭
滋賀県2件(0人)0件(0人)2頭2頭
京都府2件(0人)1件(0人)63頭74頭
兵庫県1件(0人)0件(0人)32頭6頭
奈良県2件(0人)1件(0人)2頭5頭
和歌山県0件(0人)0件(0人)0頭3頭
鳥取県0件(0人)0件(0人)13頭9頭
島根県1件(0人)2件(0人)86頭63頭
岡山県0件(0人)0件(0人)2頭7頭
広島県1件(0人)0件(0人)33頭15頭
山口県0件(0人)0件(0人)21頭16頭
徳島県0件(0人)0件(0人)1頭0頭

参考:環境省|クマによる人身被害件数(速報値)(令和8年10月2日付、PDF)

熊の出没件数を比べるときの注意|集計基準・通報件数・面積や人口

都道府県別の表は、一目で多い県と少ない県が分かるように見えますが、そのまま危険度の比較にはなりません。環境省の表の注記は、出没数は都道府県ごとにそれぞれ異なる方法(警察への通報件数、市町村からの情報など)で取りまとめたものだとしています。令和8年5月の会議資料も、出没情報数は、同一個体が複数回確認されることや、住民の関心の高さの影響を受けると断っています。

環境省のマニュアルは、人身被害件数が突出して多かった年度は出没件数も多くなっており、特に大量出没年は、人の生活圏での人身被害に注意する必要があるとしています。件数が多い年ほど、自分の県でも注意が必要という見方はできますが、県の間の優劣をつける材料にはなりません。

熊の出没件数を比べるときの注意|集計基準・通報件数・面積や人口:確認項目
比べたいこと注意すること確認できる根拠
県同士の件数の多い・少ない数え方が県ごとに違う(警察への通報件数、市町村からの情報など)ため、単純に並べて比べない環境省の出没情報の表の注記
出没件数とクマの頭数同一個体の複数回の確認や、住民の関心の高さが件数に影響する。頭数を示す数字ではない環境省の会議資料(令和8年5月)
面積・人口・森林の広さ表の数字には、県の面積や人口、生息域の広さの違いが反映されていない。件数だけで県の間の密度や危険度は比べられない表に調整が記載されていないこと
年度途中の数字令和8年度は4〜7月分(人身被害は8月末まで)。前年度の通年の数字と並べず、同じ期間で比べる環境省のページと表の見出し
速報値の更新聞き取りの速報値で、後から変更されることがある。年度の確定値とは別に扱う環境省のページと表の注記

参考:環境省|クマ対策に関する連絡会議の概要及び会議資料(令和8年5月、PDF)

熊が生息しない・確認が少ない地域は?表の欄なし・0件の見方

表で数字が小さかったり空欄だったりする地域には、クマがいないために載っていない場合と、公表の方法の違いで載っていない場合があります。環境省の出没情報の表の注記は、九州・沖縄8県はクマが生息していないので調査外とし、北海道は出没数の公表を行っていないと書いています。数字がない、または0件であることは、その場所の安全を保証するものではありません。山林に入る予定がある場合は、最新の出没情報を確認してください。

四国では、環境省のマニュアルが、平成30年度と平成15年度の調査を比べて、徳島県中央部での分布が縮小し、高知県中央部での分布が拡大したと示しています。出没件数の表では、徳島県が令和5〜8年度に1件、7件、7件、2件、高知県が2件、4件、0件、0件で、香川県と愛媛県は0件です。

熊が生息しない・確認が少ない地域は?表の欄なし・0件の見方:確認項目
地域環境省の表での扱い補足
北海道出没件数の表は、出没数を公表していないため数値なし人身被害件数と許可捕獲数の表には載っている(令和7年度は人身被害5件、許可捕獲2,139頭)
千葉県出没件数は欄なし人身被害件数と許可捕獲数は、令和5〜8年度とも0件・0頭
九州・沖縄8県出没件数は、クマが生息していないため調査外人身被害件数と許可捕獲数の表にも載っていない
香川県・愛媛県出没件数は令和5〜8年度とも0件人身被害件数は0件。許可捕獲数の表には載っていない
徳島県・高知県出没件数は少数が計上されている徳島県は令和7年度に出没7件、許可捕獲1頭。高知県は令和7年度に出没0件で、許可捕獲数の表には載っていない

参考:環境省|クマの出没情報(速報値)PDF(令和8年9月9日付)

自分の都道府県の詳しい熊の出没情報を探す手順

全国の表は、お住まいの県の動きをつかむ入口です。より具体的な目撃場所や日付は、都道府県や市町村の公式ページにあります。環境省の「国民向けのクマに関する情報」には、都道府県が提供するクマ出没情報へのリンクが地方別に並んでおり、2026年10月3日に開いたときは、北海道から徳島県までの32の都道府県が載っていました。滋賀県と島根県は、環境省の件数表には出没件数がありますが、このリンク集には載っていないため、県名と「クマ 出没」で公式ページを探します。

公式の出没マップや通知の受け取り方は、熊の出没マップを都道府県別に探す記事に、関西の2府4県は熊の出没情報を関西で確認する記事に一覧にしています。過去の年度の都道府県別・月別の人身被害件数は、環境省のページに、平成26年度から令和8年度までの年度別のPDFが並んでいます。

  • 環境省の「国民向けのクマに関する情報」から、お住まいの都道府県の公式ページを開く
  • 県のページで、出没件数の表、出没マップ、メールやLINEなどの通知の有無を確認する
  • 市町村の公式ページで、目撃情報と通報先を確認する
  • リンク集に載っていない県は、県名と「クマ 出没」で検索し、県庁や市町村の公式サイトのページを探す

参考:環境省|国民向けのクマに関する情報(都道府県が提供するクマ出没情報)

熊の件数が多い年に、家庭で確認すること

環境省のマニュアルは、大量出没年は人の生活圏での人身被害に注意が必要だとしています。分析レポートは、人の生活圏の被害は日常生活中のものが最も多く、特定の行動だけが危ないわけではなく、誰もが遭う可能性があると整理しています。家の周りの誘引物の点検は、クマ出没への対策|家の周りの誘引物の点検と遭遇時の行動にまとめています。

件数が多い年は、秋に増える傾向が強いため、9月までに次の点を確認しておくと安心です。

  • 放任果樹(柿・栗など)の果実の除去や伐採を検討する
  • 生ごみを含むごみを野外に放置せず、管理を徹底する
  • 畑や果樹園の周りの電気柵と、草刈りを点検する
  • 早朝・夕方の外出や作業の時間を見直し、鈴やラジオなど音の出るものを用意する
  • お住まいの都道府県の出没情報と警報・注意報を、定期的に確認する

参考:環境省|クマによる人身被害の分析レポート(令和8年4月、PDF)