熊の出没は何月が多い?平常年は春から初夏、大量出没年は秋に増える
環境省の「クマによる人身被害の分析レポート」(令和8年4月公表)は、人身被害の発生状況を、平常年(令和6年度)と、東北地方を中心にクマが大量出没した大量出没年(令和5年度・令和7年度)に分けて整理しています。どちらの年も、春から初夏にかけては、主に森林や河川敷などクマの生息域で被害が起きています。大量出没年の秋は、市街地や人家周辺、道路、農地といった人の生活圏で、高い割合で被害が発生しています。
月別の人身被害件数を見ると、平常年の令和6年度は6月の18件が最も多く、9月と10月は各8件、11月は6件にとどまりました。大量出没年の令和5年度と令和7年度は、5〜8月は1か月に9〜17件と平常年と同じ規模でしたが、9月に36件・37件へ増え、10月には60件・78件に達しています。次の表は、環境省が公表した月別の人身被害件数(速報値)です。件数は北海道を含む全国の合計です。
| 月 | 令和5年度(大量出没年) | 令和6年度(平常年) | 令和7年度(大量出没年) |
|---|---|---|---|
| 4月 | 4件 | 3件 | 9件 |
| 5月 | 17件 | 11件 | 9件 |
| 6月 | 16件 | 18件 | 13件 |
| 7月 | 17件 | 13件 | 17件 |
| 8月 | 15件 | 11件 | 14件 |
| 9月 | 36件 | 8件 | 37件 |
| 10月 | 60件 | 8件 | 78件 |
| 11月 | 28件 | 6件 | 32件 |
| 12月 | 3件 | 1件 | 5件 |
| 1月 | 1件 | 1件 | 0件 |
| 2月 | 0件 | 2件 | 1件 |
| 3月 | 1件 | 0件 | 1件 |
| 年度計 | 198件 | 82件 | 216件 |
参考:環境省|クマによる人身被害の分析レポート(令和8年4月、PDF)
熊の出没は何月が多いですか?
平常年の令和6年度は6月に人身被害の件数が最も多く、大量出没年の令和5年度と令和7年度は10月が最多でした。令和7年度は10月の出没が15,998件、人身被害が78件で、年によって秋の増え方に大きな差があります。
熊の出没件数を月別に見る|令和5〜7年度と令和8年度(4〜7月)
環境省の「クマの出没情報(速報値)」(令和8年9月9日付、2026年10月3日確認)は、都道府県から聞き取った出没件数を月別に並べています。数え方は、警察への通報件数や市町村からの情報など都道府県ごとに異なり、北海道は出没数を公表していません。令和8年5月の環境省の会議資料も、出没情報数は同一個体が複数回確認されることや、住民の関心の高さに影響されるため、留意が必要だとしています。
表の全国合計(北海道を除く)を見ると、令和6年度は6月の4,459件がピークで、9月は2,054件、10月は2,235件、11月は1,283件にとどまりました。令和5年度は10月が5,983件、令和7年度は10月が15,998件、11月が10,338件と、秋に突出しています。令和8年度は、4〜7月の合計が17,362件で、令和7年度の同じ期間(12,716件)を上回りました。月別では、4〜6月が令和7年度の同じ月を上回り、7月は下回っています。8月以降は、2026年10月3日時点の資料にはまだ載っていません。
| 月 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 593件 | 689件 | 800件 | 1,788件 |
| 5月 | 1,974件 | 2,453件 | 2,528件 | 4,582件 |
| 6月 | 3,124件 | 4,459件 | 4,227件 | 6,257件 |
| 7月 | 2,845件 | 3,260件 | 5,161件 | 4,735件 |
| 8月 | 2,169件 | 2,917件 | 4,069件 | 未掲載 |
| 9月 | 2,686件 | 2,054件 | 4,766件 | 未掲載 |
| 10月 | 5,983件 | 2,235件 | 15,998件 | 未掲載 |
| 11月 | 3,700件 | 1,283件 | 10,338件 | 未掲載 |
| 12月 | 805件 | 636件 | 1,851件 | 未掲載 |
| 1月 | 190件 | 264件 | 484件 | 未掲載 |
| 2月 | 127件 | 120件 | 250件 | 未掲載 |
| 3月 | 152件 | 143件 | 329件 | 未掲載 |
| 年度計 | 24,348件 | 20,513件 | 50,801件 | 17,362件(4〜7月の合計) |
熊の出没は何月から何月まで?春・夏・秋・冬の違い
ツキノワグマとヒグマはどちらも冬眠します。環境省のマニュアルは、11月下旬から12月頃に冬眠期に入り、3月から5月頃まで冬眠するとしています。季節ごとの出没の特徴を、公的資料が示す範囲で整理します。出没の増減は、年度や地域で違うため、お住まいの地域の最新情報も合わせて確認してください。
春(3〜5月)|冬眠明けと若いオスの移動
春は冬眠明けの時期で、体重は春先から夏にかけて減少します。環境省のマニュアルは、春から夏にかけて若いオスが人の生活圏でよく出没するのは、分散行動で行動が活発になり、人目につく機会が増えるためと考えられるとしています。出没件数は、令和7年度の4月が800件、5月が2,528件、令和8年度は4月が1,788件、5月が4,582件でした。
夏(6〜8月)|6月がピークになる年が多く、真夏も続く
環境省の会議資料(令和8年5月)は、出没情報数は例年6月にピークを迎えてその後減少する傾向があるが、令和7年度は7月になっても増加したと整理しています。真夏の7〜8月の人身被害は、令和5年度が17件・15件、令和6年度が13件・11件、令和7年度が17件・14件で、春と同じ規模で続いています。夏も山林や農地では、クマの生息域に入る行動への注意が欠かせません。
秋(9〜11月)|堅果類の豊凶で年ごとの差が大きい
秋は、年度による変動が最も大きい季節です。環境省のマニュアルは、秋の出没はブナ科堅果類の結実量の影響を大きく受けるとしています。環境省の会議資料(令和8年5月)は、東北・関東・北陸・中部で令和6年度は秋の顕著な増加がなく、堅果類が豊作の地域が多かったことが要因の一つと考えられるとしています。同じ資料は、令和5年度と令和7年度の東北での秋の増加は、ブナ科堅果類の凶作の影響による可能性があるとしています。秋はクマが冬眠に備えて脂肪を蓄え、体重が急増する時期でもあります。
冬(12〜3月)|出没は減るが、ゼロではない
令和7年度の出没件数は、12月が1,851件、1月が484件、2月が250件、3月が329件で、人身被害も12月に5件、2月と3月に各1件ありました。環境省のマニュアルは、冬から春先にかけては冬眠穴の周辺での人身被害も発生するため、クマが冬眠に使いそうな場所に近づかない、穴を不用意に覗かないよう呼びかけています。冬は出ないと決めつけず、公式の出没情報で確認してください。
熊の出没時間帯は?明け方と日の入り前後に多い|雨の日の考え方
分析レポートは、令和7年度の人身被害の発生時間をまとめ、明け方や日の入り前後に被害が多く発生していることが分かったとしています。グラフでは6時台の件数が最も多く、午前11時台や午後4時台にも被害があり、夜間や日中にも発生しています。人の生活圏では、出没情報が出ている場合に、クマに出会いやすい早朝や夕方の時間帯を避け、徒歩での外出を控えるよう勧めています。山菜・キノコ採りでは、クマの行動が活発な明け方や日の入り前後に行動しないよう求めています。
雨の日や悪天候について、環境省のマニュアルは、悪天候や夕暮れ時は人とクマがお互いの存在に気付きにくくなるため、より一層の注意が必要だと述べています。分析レポートにも、雨天時にレインカバーに圧されて鈴が鳴らなかった例や、川のそばや雨の水音で鈴の音が周囲に響かない点への注意があります。一方、雨の日にクマの出没が増えるかどうかを示した統計は、今回確認した資料にはありませんでした。
| 時間帯・場面 | 公的資料の説明 | 日常での注意 |
|---|---|---|
| 明け方(5〜6時台) | 令和7年度の人身被害は、グラフで6時台が最も多い | 出没情報が出ている地域では、早朝の徒歩での外出を控える。山菜採りは明け方に行動しない |
| 日の入り前後 | 日の入り前後にも被害が発生している | 夕方の散歩や農作業の時間を見直す |
| 日中 | 午前11時台や午後にも被害が起きている | 見通しの悪い場所では、意識して大きな音や声を出し、複数人で行動する |
| 夜間 | 夜間にも少数の被害が記録されている | 屋外に生ごみや食べ物を放置しない |
| 雨・悪天候 | 人とクマがお互いの存在に気付きにくくなる(マニュアル) | 鈴やラジオの音が聞こえにくい点に注意し、慎重に行動する |
熊の出没が増える理由|公的資料が挙げる要因
出没が増える理由は一つではないと、環境省のマニュアルは整理しています。自然環境の変化、人の活動の変化に伴う社会的な要因、クマの生息状況の変化が複合的に影響しており、短期の要素としてブナ科堅果類の豊凶、長期の要素として中山間地域の社会環境の変化に伴う、クマの生息域や利用域の好適化と、分布域の拡大や行動の変化が挙げられています。
令和8年5月の環境省の会議資料は、令和7年度は東北地方を中心に再びクマが大量出没し、令和5年度を超える大きな被害が発生したとしています。同じ資料は、分布域の拡大や個体数の回復・増加に伴い、全国的に出没件数・捕獲数の増加や、人身被害の発生がみられると説明しています。一方、マニュアルは、秋の出没と堅果類の関係が不明瞭な地域や年度もあり、春や夏にも一定数の出没があるため、大量出没の予測だけでなく、平時の誘引物の管理が重要だとしています。
| 要因 | 公的資料の説明 | 時間の長さ |
|---|---|---|
| ブナ科堅果類の豊凶 | 凶作の年は、高い場所で活動していた個体が低い場所へ行動範囲を広げ、人の生活圏と重なって出没が増えると考えられる。令和6年度は豊作の地域が多く、秋の顕著な増加がなかった | 年ごとに変わる |
| 分布域の拡大と個体数の回復 | 平成30年度の調査は、平成15年度と比べ、四国を除くすべての地域で分布が拡大したと示す。近畿と中国では生息が確認された区画の数が1.5倍以上に増えた。ただし個体数の増減を示すものではない | 長期 |
| 里地里山の変化 | 過疎化や高齢化で人の活動が減り、クマの警戒心が下がる可能性がある。耕作放棄地の拡大で隠れ場所と食物が増え、放任果樹も増える | 長期 |
| 人の生活圏の誘引物 | カキやクリなどの果樹、生ごみ、残飯などが誘引物になり、食べ物に執着して出没を繰り返すことがある | 日々の管理で変えられる |
ヒグマとツキノワグマの違い|出没時期と統計を読むときの注意
日本のクマ類は、本州と四国にツキノワグマ、北海道にヒグマが生息しています。環境省のマニュアルによると、成獣ではヒグマの方が大型で、どちらも冬眠します。この記事の月別の出没件数の表は、北海道の出没数が公表されていないため、本州・四国のツキノワグマの動きを主に反映したものです。
人身被害は、令和7年度に全国で216件あり、そのうちツキノワグマが211件、ヒグマが5件でした(令和8年10月2日付の環境省資料)。北海道のヒグマについては、本記事の月別の傾向をそのまま当てはめず、北海道や市町村の公式の出没情報で確認してください。
| 項目 | ツキノワグマ | ヒグマ |
|---|---|---|
| 生息地 | 本州・四国 | 北海道 |
| 外見 | 体毛は黒く、胸に月の輪模様があるのが特徴。模様がない個体もいる | 体毛は褐色から黒色まで様々で、肩の筋肉が盛り上がっているのが特徴 |
| 大きさ | 成獣はヒグマより小型 | 成獣はツキノワグマより大型 |
| 冬眠 | する。11月下旬〜12月頃から3〜5月頃まで | する。ツキノワグマと同じ時期 |
| 人身被害(令和7年度) | 211件(死亡者11人) | 5件(死亡者2人) |
| 環境省の出没件数の表 | 都道府県別の速報値がある | 北海道は出没数を公表していない |
季節ごとの家庭での備え|春・夏・秋・冬に点検すること
出没の時期が分かれば、家の周りの点検も季節に合わせて進められます。環境省の分析レポートは、人の生活圏での対策として、寄せ付けない、人の存在を知らせる、出会いを避ける、の3つを挙げ、放任果樹の管理、電気柵の設置、生ごみの管理の徹底、草刈りや薮の刈り払いを例示しています。家の周りの誘引物の点検は、クマ出没への対策|家の周りの誘引物の点検と遭遇時の行動で詳しく紹介しています。
点検を年間の予定に組み込むなら、建物の害獣・害虫点検を年間計画にする方法のように、季節ごとの使用予定と重ねて決めると続けやすくなります。次の表は、公的資料が挙げる対策を季節の目安に当てはめたものです。季節への当てはめは本記事の整理であり、公的資料が時期を指定しているわけではありません。
| 季節 | 点検すること | 公的資料の根拠 |
|---|---|---|
| 春(3〜5月) | 草刈りや薮の刈り払いで見通しを確保する。生ごみやコンポストの管理を見直す。朝夕の外出と山菜採りの時間に注意する | 分析レポート(草刈り・薮の刈り払い、山菜採りの注意)、マニュアル(春の分散行動) |
| 夏(6〜8月) | 畑の周りの草刈りと電気柵の管理、作物の残さの処理。登下校で鈴などの音が出るものを持つ | 分析レポート(電気柵、草刈り、登下校の対策) |
| 秋(9〜11月) | カキ・クリなど放任果樹の果実の除去や伐採を検討する。野外にごみや残飯を放置しない。出没情報を確認し、早朝・夕方の徒歩での外出を控える | 分析レポート、マニュアル(果樹、生ごみ、残飯が誘引物) |
| 冬(12〜3月) | 冬眠に使いそうな場所に近づかない。穴を不用意に覗かない。残った果実や生ごみを片付ける | マニュアル(冬から春先は冬眠穴の周辺でも被害) |
熊の出没はいつまで続く?来年の見通しと最新情報の調べ方
今年の秋や来年の出没件数を予測した数値は、2026年10月3日時点で、確認した環境省の資料にはありませんでした。この記事では見通しを示さず、公的資料にある手がかりだけを紹介します。環境省のクマ被害対策ロードマップ(令和8年3月27日)は、ブナ等の堅果類の開花・結実状況の調査結果を取りまとめ、早期に情報発信を行うとしています。
環境省のマニュアルによれば、都道府県は堅果類の豊凶調査などの結果を踏まえて、出没警報を発出することがあり、令和2年度には29道府県が出没警報で注意喚起を行っていました。お住まいや行き先の都道府県で、出没警報や注意報が出ていないかを公式ページで確認してください。全国の件数の更新は、環境省のページによると、人身被害件数が該当月の翌月第一週、出没数と捕獲数が翌月末を目途に掲載されます。
都道府県別の数字は熊の出没件数を都道府県別に見る記事、公式の出没マップや通知は熊の出没マップを都道府県別に探す記事、関西の2府4県は熊の出没情報を関西で確認する記事にまとめています。




