ネズミは何を食べる?家ネズミ3種の食性の違い

家の中で問題になるのは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種です。東京都の読本は、ドブネズミは動物質を好み、クマネズミは植物質を好み、ハツカネズミは植物質(穀類や種子)を好むと整理しています。ただし、これは好みの傾向です。札幌市は人の食べるものであればなんでも餌にすると案内し、大阪市もあらゆるものを食べると説明しています。

下の表は、自治体の資料から食性と水分の要求度、主な生息場所を並べたものです。種類の見分けはドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの違いで確認できます。

ドブネズミの食べ物|動物質を好む雑食

千葉市は、ドブネズミを強い雑食性で、特に動物質の餌を好む傾向があると説明しています。岡山市は肉類などの動物質を好むと記載しています。台所、厨房、下水溝など水回りを主な生息場所とする(千葉市)ため、調理くずや食べ残し、生ごみが餌になりやすく、家では台所の床や流しの下の確認が中心になります。

クマネズミの食べ物|植物質、特に穀類・種子

クマネズミは植物質の餌、特に種実などを好む傾向があると千葉市が説明し、仙台市は雑食性ながら植物質、特に種実類を好んで食べるとしています。東京都は、クマネズミは食性がドブネズミに比べて偏っているため、毒餌を食べにくいと説明しています。天井裏や壁の中を巣にしても、餌は台所や納戸の食品に取りに来ると考えられます。

ハツカネズミの食べ物|穀類・種子・果物・お菓子

相模原市は、ハツカネズミは穀類、種子、果物、お菓子が好物で、水はほとんど取らなくても生きていけると案内しています。体長は6〜9cmと小さく、備品のすき間などにも住みます(豊田市)。穀類や食品を保管する物置や倉庫では、袋入りの食品も確認の対象になります。

ネズミは何を食べる?家ネズミ3種の食性の違い:確認項目
種類好む食べ物(資料の記載)水分の要求度主な生息場所
ドブネズミ強い雑食性で、特に動物質(肉類など)を好む高い下水溝・下水管・植え込みの土、ビルの低層階、台所など水回り
クマネズミ植物質(穀類・種子・種実類)を好む。食性はドブネズミより偏る普通天井裏・壁の中・ビルの高い所。乾燥に強く、多湿を嫌うとされる
ハツカネズミ植物質(穀類・種子)を好む。果物やお菓子も好物低い(水をほとんど取らなくても生きていける)備品のすき間、物置、倉庫、畑や雑草地からの侵入

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

読者の疑問

ネズミは何を食べますか?

比較ガイド

人の食べるものならほとんど何でも食べます。ドブネズミは動物質、クマネズミとハツカネズミは穀類や種子など植物質を好みます。食品のほか、ペットフード、生ごみ、仏壇の供え物、鉢植え、石けんなども餌になります。

家の中で狙われやすい食べ物|場所別の一覧表

家の中で狙われやすい食べ物は、台所の食品だけではありません。東京都の「窓口対応の実践例」は、台所の食品のほか、鉢植えの植物、仏壇の供え物、生ごみ、ペットフードなど、意外なものが餌になっている場合があると指摘しています。下の表は、各自治体の案内を場所別にまとめたものです。

食べ物がしまってあるのに被害が出る場合は、その家が餌場ではなく巣として使われている可能性があります。東京都は、ネズミは営巣場所と採餌場所を分けられるため、食品を片付けていても営巣場所として使われることがあると説明しています。食品の保管はネズミ対策の食品保管、台所の確認順は台所でネズミの痕跡を見つけたときも参考になります。

家の中で狙われやすい食べ物|場所別の一覧表:確認項目
場所狙われやすいもの見直しの例(自治体の案内)
台所・食品棚・戸棚米・乾麺・お菓子・調味料などの食品。袋やダンボールに入れたままの食品はかじられる。プラスチックや金属の蓋つき容器、扉がしっかり閉まる戸棚、冷蔵庫に入れる。引き戸や観音扉をネズミが開けることもある。
流し・生ごみ生ごみ、流しの三角コーナー、野菜類。生ごみは蓋つき容器に入れ、蓋をしっかり閉める。
ペット用品ペットフード、食べ残し。食べきれる量だけ与えて残さない。夜間は収納する。
仏壇お供え物や花。夜には片付ける。
寝室・居間枕もとに置いた食事やおやつ。蓋つき容器に入れる(高齢者宅の例)。
ベランダ・庭鉢植え、花や観葉植物の葉・新芽・球根、野鳥の餌、収穫しなかった果実や収穫残さ。食べられない場所に移す、夜間は片付ける、収穫を早める。
家の中の他の虫ゴキブリ。ネズミだけでなくゴキブリの防除も行う。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針「窓口対応の実践例」ねずみ被害チェック表(PDF)

食品以外で被害に遭うもの|石けん・巣材・かじられるもの

ネズミが関わる被害は、「食べる」「巣材として持ち去る」「かじる」の3つに分かれます。食品以外のものが被害に遭うときも、このどれに当たるかで対策が変わります。

食品以外でも餌になるもの

中野区は食品の保管の例として、野菜類、生ごみ、石けんを容器に入れるよう案内し、杉並区も殺そ剤の効果的な取り扱いとして、食べ物・植物・石鹸等を片付けるよう案内しています。相模原市は、花や観葉植物(葉・新芽・球根)、油粕などが食べられていないか確認するよう案内しています。石けんや肥料のように食品に見えないものも、置き場所の点検に含めましょう。

巣材として持ち去られるもの

ティッシュ、布きれ、ビニール、紙ごみは巣の材料になると中野区は説明しています。東京都は、衣類やタオルは強固な収納ケースに入れ、ダンボールは不可としています。相模原市は、ダンボールは中が見えないので知らない間にネズミの巣になっていることもあると指摘しています。点検場所は、押入れの奥、流しの下、段ボールの中、引き出しの中、冷蔵庫や電化製品の裏です(中野区)。

食べずに「かじる」もの|電線・壁・家具

ネズミの歯は一生伸び続けるため、硬いものをかじって長さを調整します。中野区は、一日に0.5ミリメートルずつ伸びる歯を削るためと説明し、電線、ガス管、壁、家具、衣類などがかじられる例を挙げています。東京都は、電線やガス管のかじりが停電や火災につながるおそれがあると説明しています。配線に傷を見つけたときは配線のかじり跡と電気設備の点検を確認してください。

参考:中野区|ネズミの被害にご注意を(2026年8月26日更新の表示を確認)

1日に必要な餌と水の考え方|体重比・餓死までの日数・貯め込み

ネズミが1日にどのくらい食べるかは、資料によって書き方に幅があります。下の表は、自治体の案内を並べたものです。体重に対する比率で書かれているため、小型のハツカネズミ(体長6〜9cm)と大型のドブネズミ(体長22〜26cm)では、1日の量そのものが大きく違うことになります。

餓死までの日数も資料で違います。東京都は温度で異なり、寒いと1日以内、暖かいと4〜5日で餓死すると説明し、中野区は何も食べないと2日から4日で死んでしまうと記載しています。実際の日数は条件で変わるため、餌を断てば数日で出ていくと考えず、継続的な管理が必要だと受け止めてください。

水については、豊田市は水分の要求度をドブネズミは高い、クマネズミは普通、ハツカネズミは低いとしています。相模原市はハツカネズミは水をほとんど取らなくても生きていけると案内しています。ドブネズミは水辺を好み、水回りで見つかりやすい(大阪府、千葉市)一方、岡山市は生ごみや水、ペットのエサを放置しないよう案内しています。ペットの水皿や、流し台まわりの水の放置も、見直しの対象になります。

見落としやすいのが貯め込みです。中野区は、巣に餌を貯め込んでいると毒餌やわなに反応しないと説明しています。食品を片付けても反応がないときは、巣の中に貯め込んだ餌がある可能性があり、天井裏や押入れの奥の確認が必要になります。

1日に必要な餌と水の考え方|体重比・餓死までの日数・貯め込み:確認項目
資料1日に必要な餌餌がなくなったとき
大阪府(ねずみの駆除について、2009年更新)体重の1/3から1/4。非常に貪食記載なし
岡山市(家庭のねずみ対策パンフレット)体重の約1/4から1/3記載なし
目黒区体重の約1/10から1/4。胃袋が小さく、しょっちゅう食べていなければならない寒いときで1日、暖かいときでも4から5日で餓死
市川市・新潟市体重の1/3から1/4寒い時期で1日、暖かい時期で4〜5日で餓死
東京都(よくある質問)記載なし寒いと1日以内、暖かいと4〜5日で餓死
中野区記載なし何も食べないと2日から4日で死ぬ。ただし巣に餌を貯め込んでいると毒餌やわなに反応しない

参考:大阪府|ねずみの駆除について

餌を断つと何が変わるか|期待できることと限界

餌を断つことで、ネズミが餓死することはあり得ます。東京都のよくある質問は、屋内での餌の保管方法が完全なら、隙間をふさいで逃げ場を失ったネズミは餓死すると説明しています。ただし同じ資料は、隙間は侵入にも使われるため、家屋内の状況がそのままなら従来どおり生息し続けるとも述べています。餌対策は侵入口対策とセットで考えます。

餌を断つと、罠や毒餌への反応が変わります。東京都は、ネズミは残飯や食材があると毒餌を食べないため、毒餌以外に食べるものがない状態にすることが肝要と説明しています。かごも他の餌があると入らないため、周辺の残飯を片付けて使うよう案内されています。餌の管理は、罠の効果を左右する前提条件でもあります。

近所への影響も考えます。中野区は、自分の家だけ駆除しても隣近所に逃げ込めば効果が半減するため、近所や周辺の飲食店とも協力した地域ぐるみの対応が効果的と案内しています。集合住宅では、東京都が、分譲なら管理組合、賃貸なら家主が主体となって全体で対応するよう案内しています。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 資料「ねずみについてよくある質問&回答集」(PDF)

罠や毒餌の餌選びとの関係|公的資料と製品表示の違い

ネズミが何を好むかは、罠や毒餌の餌選びにも使われます。ただし、餌を置くかどうかは器具で正反対になり、公的資料と製品表示でも書き方が異なります。下の表で整理しました。薬剤は、混合や量を独自に変えず、製品の説明書に従ってください。

同じ粘着でも、東京都の資料と製品表示で餌の扱いが逆になる点は、資料からは理由が分かりません。製品を使うときは説明書の指示を優先し、説明書がない自作の罠や、公的資料だけを見て餌を決めないようにしてください。自作の罠はネズミの罠は自作できる?で限界を整理しています。

罠や毒餌の餌選びとの関係|公的資料と製品表示の違い:確認項目
器具・薬剤公的資料の案内製品表示の例
かご(生け捕り)餌は魚肉ソーセージや油揚げなど、安価で取り付けやすいもの。食べない場合はチーズなどを試す。周囲の残飯は片付けて使う。クマネズミは極めてかかりにくい(東京都)。各製品の説明書に従う。
粘着シート・粘着トラップ餌は置かない。餌があると走るネズミの動きが止まり、粘着面に付く面積が減って逃げられやすい(東京都、中野区)。アース製薬のネズミホイホイは、ソーセージ・カマボコ・天ぷら・カツオブシなどを粘着トレーの中央に置くとさらに効果的と表示。フマキラーは餌を置く必要はなく、置くと警戒されることがあると表示。
毒餌(殺そ剤)周囲の餌になるものを片付けてから設置する。食べ物のにおいを付けるのは有効だが、食べ物を多量に混ぜると毒の成分が不足するおそれがある(東京都、目黒区)。イカリ消毒は、食べないときはまず食品を片付けることが何よりも重要とし、粘着シートの上に殺鼠剤を置くことは勧めないと案内。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 資料「ねずみについてよくある質問&回答集」(PDF)

食べられた食品の扱いと保管の見直し

ネズミが触れた食品の扱いは、衛生面から慎重に考えます。目黒区は、ネズミはサルモネラなどの食中毒菌や雑菌を持ち歩くため、台所など食品や調理器具の汚染に気をつけるよう案内し、東京都の読本は、糞や尿の病原体が食品を汚染して口から感染する場合があると説明しています。かじられた跡がある食品は、中身が無事に見えても食べずに処分する判断が安全側です。体調に不安があるときは医療機関や保健所に相談してください。

保管の見直しでは、容器の素材が分かれ目になります。東京都は、ビニール袋やダンボールに入れた状態ではかじられるため、プラスチックや金属の蓋つき容器、しっかり閉まる戸棚、冷蔵庫に入れるよう案内しています。中野区は、厚手のプラスチック容器は穴を開けられるが時間がかかると説明しています。袋のままの食品がないか、保管場所を一覧にして確認します。

ふんや尿があった場所の掃除について、東京都のよくある質問は、あまり神経質になる必要はなく、消毒するなら消毒用アルコールで拭く程度でよいとしています。ただし、調理台や食器、調理器具など食品に間接的に触れる場所は、よく洗浄・消毒するよう案内しています。詳しい手順はネズミのフンを掃除機で吸う前にで確認できます。

  • 袋のままの食品を、蓋つきの金属・厚手プラスチック容器か冷蔵庫へ移す
  • ペットフードと仏壇のお供えは、夜までに片付ける
  • 石けん・肥料・鉢植えなど、食べ物に見えないものの置き場所も確認する

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)