アナグマ駆除を市役所に相談できるか|できること・できないこと

アナグマは、鳥獣保護管理法で許可なく捕獲できない野生動物です。鹿児島市は、アナグマは同法で保護されており、市でも捕獲や駆除は行っていないと案内しています。北九州市も、アナグマの捕獲や保護は行っておらず、業者は市から特定の会社を紹介できないとしています。市役所の窓口で相談できるのは、許可手続き、柵などの対策、制度がある場合の貸出や補助が中心です。

同じ市でも、農作物の被害か、庭や床下の被害かで担当課が変わります。農作物の被害対策は アナグマの畑対策 で、アナグマの見分け方は アナグマとタヌキの見分け方 で整理しています。

アナグマ駆除を市役所に相談できるか|できること・できないこと:確認項目
相談内容公式ページで確認できたこと自己手配になりやすいこと
市による捕獲・駆除鹿児島市は捕獲や駆除を、北九州市は捕獲や保護を、市では行わないと案内。延岡市は、猟友会の協力で有害鳥獣捕獲班を編成し、被害農地の周辺で箱わな捕獲を進める計画住宅の敷地や床下での捕獲は、許可を取って自分で行うか、業者へ依頼する
捕獲許可の申請北九州市は、自分で捕獲する場合は許可が必要で、鳥獣被害対策課へ相談するよう案内。長野市は小型鳥獣の捕獲許可を受け付け、対象の獣類にアナグマを含める申請書、被害区域の図、猟具の構造が分かる資料などの準備
箱わなの貸出延岡市は、個人への箱わなの貸出が増え、数に限りがあるため対応しきれない時期があると計画に記載貸出がない自治体では、購入するか業者を使う
補助金・助成大分市は、農林水産物の生産者が自己所有地で使うわなの購入費を、中型獣類は3分の2・上限1万円で補助。呉市は農地等に設置する箱わなの購入を補助住宅の床下の巣穴への補助は、確認した範囲では見当たらない
業者の紹介北九州市は特定の業者を紹介できないとし、福岡県のペストコントロール協会を案内業者探しと、複数社の見積もり比較

参考:北九州市|アナグマについて(2024年9月25日更新)

読者の疑問

アナグマの駆除は市役所がやってくれますか?

比較ガイド

鹿児島市と北九州市は、市ではアナグマの捕獲を行わないと案内しています。延岡市のように、被害農地の周辺で猟友会の協力による箱わな捕獲を計画に載せる市もあり、対応は自治体で違います。

アナグマの罠を置く前に必要な免許と許可|狩猟と許可捕獲の違い

環境省の資料と農林水産省のマニュアルは、野生鳥獣の捕獲には、狩猟による捕獲と、許可を受けた捕獲の2つがあると説明しています。許可の権限者は国指定鳥獣保護区などでは環境大臣、それ以外は都道府県知事で、多くの都道府県が権限の一部を市町村長へ移しています。アナグマは狩猟鳥獣の獣類20種に含まれますが、都道府県によって捕獲が禁止されたり数が制限されたりすることがあるため、登録する都道府県で確認が必要です。窓口が市か県かは地域で違うので、最初に市の担当課へ尋ねるのが近道です。

罰則も定められています。鳥獣保護管理法の第83条は、許可を受けないで鳥獣を捕獲した場合などについて、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定めています。罠を先に置いてから許可を相談する、という順番は取れません。

アナグマの「罠の免許」はわな猟免許を指す

狩猟免許は、網猟、わな猟、第一種銃猟、第二種銃猟の4種類で、都道府県知事が行う試験に合格して取得します。箱わなやくくりわななどを使うには、わな猟免許が必要です。環境省の案内では、わな猟免許が必要な猟具のうち、囲いわなについては、農業者または林業者が事業への被害を防ぐ目的で設置するものが除かれています。

許可捕獲を選んだ場合でも、免許が関係することがあります。大分市の補助は、わな猟免許の所持者を対象にしています。呉市の箱わな購入支援も、狩猟免許を取得している人が対象です。補助や貸出を使うときは、許可の条件と、免許の条件の両方を窓口で確認します。

罠の自作と毒餌は勧められない

「罠の作り方」を調べる人もいますが、自作のわなも、許可や免許の対象になる猟具です。長野市は許可申請に、猟具の構造が分かる写真や取扱説明書の写しなどを求めています。大分市の補助は、わなの購入費に加えて、製作に使う資材の購入費も対象としていますが、対象者はわな猟免許の所持者などに限られます。この記事では、作り方は紹介しません。

毒を使う方法も認められていません。鳥獣保護管理法の第36条は、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法による鳥獣の捕獲等を禁止しています(環境大臣の許可を受けた場合を除く)。環境省は、とらばさみの狩猟での使用が禁止され、くくりわなの規制も強化されていると説明しています。

アナグマの罠を置く前に必要な免許と許可|狩猟と許可捕獲の違い:確認項目
方法必要になるものできる時期・場所アナグマで確認したい点
狩猟(猟期に法定猟法で捕獲)わな猟免許、都道府県への狩猟者登録と狩猟税の納付猟期は北海道以外で11月15日から翌年2月15日まで(都道府県で延長・短縮あり)。区域の制限もあるアナグマは狩猟鳥獣。都道府県によって捕獲禁止や数の制限がある場合がある
許可捕獲(被害防止のための捕獲)市町村長または都道府県知事の許可。申請書、被害区域の図、猟具の構造が分かる資料など(長野市の例)許可された期間(年中可能)。方法は問わないが、危険猟法などは制限される許可の対象にアナグマが含まれるか、免許が要るかは自治体ごとに違う
許可捕獲(免許を持たない人の申請を認める自治体)捕獲許可。長野市は、特定の要件を満たせば、免許を持たない人でも許可を得て捕獲できると案内長野市の案内PDFの例では、塀や囲いのある住宅の敷地内やビニールハウス。住宅の敷地外の自家用菜園は不可。許可は1〜6か月案内PDFが例示する鳥獣は、ハクビシン、タヌキ、アライグマ、ドバト、カラス等で、アナグマは例示にない。窓口で確認する

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(令和6年3月版)

アナグマの箱わなで確認すること|見回り・錯誤捕獲・捕獲後の扱い

許可や免許の手続きが済んだあとの運用にも、守る点があります。長野市の免許を持たない人向けの案内は、わなを設置したあとは鳥獣の保護のため1日1回以上見回ること、許可を受けた鳥獣以外が入ったときは速やかに放すこと、許可期間が終わったら許可証を返し、捕獲頭数を報告することを求めています。同じ案内では、捕獲後に捕殺や処分ができない場合は許可にならないこと、捕殺と処分は市が行わないことも書かれています。

農林水産省の中型獣類のマニュアルは、箱わなの設置の考え方として、農業被害の現場では被害作物を柵などで囲い、柵の外側に沿って置くこと、家屋への侵入被害の現場では侵入経路を見つけて建物に沿って置くことを説明しています。餌は中型獣類全般について書かれており、アナグマ専用の餌の記述は確認できませんでした。ネコなどの錯誤捕獲には注意が必要とされています。

  • 許可証や標識の扱いなど、許可の条件を窓口で確認する
  • 設置後の見回りの頻度と、許可を受けた動物以外が入ったときの対応を確認する
  • 捕獲後に放すのか処分するのかは、許可の内容と窓口の案内に従う

参考:長野市|狩猟免許を所持しない者がハクビシン等捕獲申請する場合について(PDF)

アナグマの被害は農地と住宅で窓口が違う|被害の場所別の相談先

担当課は、被害が農作物なのか、住宅まわりなのかで分かれます。北九州市は、アナグマの主な被害として、スイカやトウモロコシなどの農作物被害と、「ためフン」と呼ばれる一定の場所へのフンによる悪臭、建物の下に穴を掘って地盤が緩むおそれを挙げています。延岡市は、近年は露地野菜を中心に被害が増え、住宅地の近くに潜んで敷地内を荒らされるという相談も多くなっていると、被害防止計画に記載しています。

呉市は、蓋付きの道路側溝にハクビシンがいるという電話が最近多く、現地で確認するとすべてアナグマだったと書いています。アナグマは顔の模様が似て間違えられやすいため、窓口には足跡や穴の写真も伝えると、動物の特定に役立ちます。

アナグマの被害は農地と住宅で窓口が違う|被害の場所別の相談先:確認項目
被害の場所被害の例(公式ページの記載)相談先の系統実例
畑・露地野菜・果樹スイカやトウモロコシなどの農作物被害(北九州市)。露地野菜を中心に増加(延岡市)農林・鳥獣被害対策の課。柵、捕獲許可、箱わな、補助の相談北九州市(産業経済局鳥獣被害対策課)、延岡市(農林水産部林務課)、呉市(農林水産課)、大分市(林業水産課)
庭・花壇・家庭菜園花壇を掘り起こされる相談(北九州市の市民のこえ。令和3年5月の回答として掲載)。家庭菜園はネットを張るよう案内(鹿児島市)環境系の課、または区役所の窓口。具体的な助言や現地調査は区役所の広報広聴係へと案内する例がある鹿児島市(環境局環境保全課)、北九州市(各区役所の総務企画課広報広聴係)
床下・物置の下・側溝建物の下の穴で地盤が緩むおそれ(北九州市)。床下や物置の下に住み着く(鹿児島市)。蓋付き側溝に潜む(呉市)市の鳥獣担当への相談と、業者への調査依頼を並行して考える北九州市は業者を紹介せず、県のペストコントロール協会を案内

参考:延岡市|延岡市鳥獣被害防止計画(令和8〜10年度、PDF)

アナグマへの自治体の対応を比べる|公式ページの実例(2026年10月3日確認)

次の表は、2026年10月3日に開いた公式ページの記載を、型の違いが分かるように並べたものです。更新日が古いページもあるため、窓口へ電話するときは最新の運用を確認してください。自治体の優劣や順位を示す表ではありません。鹿児島市と延岡市の詳しい案内は、鹿児島市のアナグマ・アライグマ と 延岡市のアナグマ・アライグマ対策 にもあります。

アナグマへの自治体の対応を比べる|公式ページの実例(2026年10月3日確認):確認項目
自治体(担当課)アナグマへの対応(公式ページの記載)捕獲許可・免許・貸出・補助ページの更新日など
鹿児島市(環境局環境保全課)許可なく捕獲できず、市も捕獲や駆除は行わない。餌付けをしない、生ごみやペットフードを外に置かない、家庭菜園にネットを張る、床下や物置の下の穴を塞ぐ、収穫しない果樹を伐採か縮伐するよう案内市による捕獲なし2024年5月30日更新
北九州市(産業経済局鳥獣被害対策課)市は捕獲や保護を行わない。業者は紹介せず、福岡県ペストコントロール協会を案内。自分で捕獲する場合は許可が必要捕獲許可は鳥獣被害対策課へ相談2024年9月25日更新
延岡市(農林水産部林務課。被害防止計画)猟友会各支部の協力で有害鳥獣捕獲班を編成し、被害農地周辺で箱わな捕獲。個人への箱わなの貸出が増加箱わなの数に限りがあり、対応しきれない時期がある令和8〜10年度の計画
呉市(農林水産課)防護柵を案内し、アナグマは柵の下を掘ることがあると注意箱わな購入支援事業は、農地等に設置する箱わなが対象で、狩猟免許の取得者が条件。費用の2分の1以内・上限5万円で、決定後に購入有害鳥獣の保存版ページは2025年7月9日、箱わなの事業ページは2022年4月1日の掲載
大分市(林業水産課)イノシシ、タヌキ、アナグマ等による被害の自衛を目的とした、わなの購入費補助農林水産物の生産者で、わな猟免許を持ち、自己所有地で使う人が対象。中型獣類は3分の2・上限1万円。決定前の購入は対象外リーフレットのPDF
長野市(農林部森林いのしか対策課)小型鳥獣の捕獲許可を受け付け、対象の獣類にアナグマを含める。申請手数料は無料特定の要件を満たせば免許を持たない人も許可を得られる。許可証の交付まで1週間程度2026年8月4日更新

参考:長野市|野生鳥獣に関するご案内(小型鳥獣の捕獲許可)

床下・庭の巣穴は捕獲より先に時期を確かめる|冬眠と出産の判断

農林水産省のマニュアルは、アナグマは林内の斜面に巣穴を作る傾向がありますが、人家に近い林縁にも繁殖用の巣穴を作る場合があり、複数の場所に巣穴を掘ってねぐらや繁殖場所にすると説明しています。呉市は、穴を掘るのが上手で、市街地でも家屋の床下や蓋付き側溝に潜むと書いています。巣穴や床下の出入り口を見つけたら、塞ぐ前に、時期と、中にいるかどうかを確認します。

同マニュアルによると、アナグマは地域で多少の違いはあるものの、11月から4月にかけて冬眠し、最長7か月に及ぶこともあります。春から夏に交尾して、冬眠明けに1〜4頭、平均2頭を出産します。同マニュアルは、建物の侵入口を塞ぐ作業について、中にいないことの確認を忘れないよう注意しています。時期だけで封鎖の日を決めず、出入りの有無を確かめてから進めます。

巣穴や床下を見つけたときの順番

農林水産省のマニュアルは、通りそうな場所にベニヤ板やトタン板、石灰を置いて足跡を残す方法や、センサーカメラで動物の通過を確かめる方法を紹介しています。穴の位置と大きさ、足跡、掘り返しの範囲を写真に残し、動物と建物の構造の両方を確認する考え方は、アナグマが疑われる庭の穴。掘り返しと建物周辺の調査 にまとめています。建物の基礎の近くが掘られている場合は、北九州市が地盤が緩むおそれを挙げているため、早めに専門家へ相談してください。

床下・庭の巣穴は捕獲より先に時期を確かめる|冬眠と出産の判断:確認項目
時期(マニュアルの記載)巣穴の状態として考えられること塞ぐ前の確認
冬眠の時期(11月から4月頃。地域で違いがある)個体が巣穴や床下で冬眠している可能性がある冬眠中は出入りの足跡が付かず、不在を確かめる材料が得にくい。自分で塞がず、市の窓口や業者へ相談する
冬眠明けから出産の時期冬眠明けに出産するため、子がいる可能性がある。単独、または母子のグループで活動する親だけが出ていても、巣に子が残っているおそれがある。調査を頼んでから塞ぐ
どの時期でも共通複数の場所に巣穴を掘り、使い分けている可能性がある足跡が付く板や石灰、センサーカメラなどで、出入りの有無を一定期間記録してから塞ぐ

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(令和6年3月版)

役所で対応できない範囲を業者へ頼むときの確認

確認した自治体の案内には、市が床下の封鎖や巣穴の調査を行うという記載は見当たりませんでした。こうした作業は、民間の業者へ頼むことになります。業者の探し方は市によって違い、北九州市は特定の業者を紹介できないため、自分で選ぶか、県のペストコントロール協会を案内するとしています。捕獲を含む依頼では、イタチについての高槻市の案内ですが、駆除業者を名乗っていても、捕獲する地域の自治体の許可がない状態で野生動物を捕獲すれば違反になるため、許可の有無や手続きの予定を確認するよう求めています。アナグマでも、同じ考え方で確認してください。

国民生活センターは、広告の料金と実際の請求がかけ離れる相談があるとして、複数社から見積もりを取って比較する前提で話を聞くこと、他社と比較する機会を奪う事業者とは契約しないことを勧めています。見積もりの比べ方は 害獣駆除の相見積もり。2社の金額が違うときの比較手順 にあります。

  • 捕獲を含む場合、許可を誰がどの窓口で取るのか。必要な書類は何か
  • 巣穴や床下の出入りを、塞ぐ前にどう確認するのか(足跡、カメラなど)
  • 封鎖する箇所の数、位置、材料を、図や写真で示してもらえるか
  • 調査、捕獲、封鎖、清掃が、見積書で別の項目になっているか
  • 再発したときの保証の範囲と、連絡先、再訪問の条件

参考:国民生活センター|【広告の格安料金に要注意!】作業後に高額請求する害虫駆除トラブル(2025年3月4日)

役所に電話するときに伝える情報|場所・時期・痕跡の写真

窓口は、被害の場所と種類から、担当課や手続きを判断します。場所・時期・痕跡・これまでの対策を短く伝えると、案内が早くなります。北九州市の市民のこえには、花壇を掘り起こされて困るという相談に対し、具体的な助言や現地調査を希望する場合は各区役所の窓口へ連絡するよう案内した例が載っています。

鹿児島市は、アナグマを見かけても近づかず、刺激を与えないよう案内しています。姿の撮影は、近づかずに離れた位置から行い、足跡や穴、食べ跡を主な写真にします。

  • 被害の場所(畑・庭・床下・側溝)と、自己所有か賃貸かの区別
  • 気づいた時期と時間帯、見かけた回数
  • 足跡、穴、掘り返し、食べ跡の写真(近づかずに撮る)
  • これまでに行った対策(ネット、柵、餌の片付けなど)と日付
  • 希望すること(相談だけか、許可の申請か、箱わなの貸出か、業者の紹介か)

参考:北九州市|アナグマ(害獣)対策について(寄せられた市民のこえ、2025年2月25日更新)