アナグマの食べ物と狙われやすい作物|農研機構の一覧で見る被害の記録
農林水産省のマニュアルによると、アナグマは雑食性で、ミミズなど土の中の生き物を主な食べ物にしています。昆虫類やイチゴなど甘味のある液果類も好んで食べます。呉市は、イチゴ、トウモロコシ、スイカ、落ちたカキを挙げ、北九州市はスイカやトウモロコシなどの農作物被害を挙げています。延岡市は、近年は露地野菜を中心に被害が増えていると、被害防止計画に書いています。
作物ごとの被害の記録は、農研機構の鳥獣害痕跡図鑑で確認できます。一覧は、その鳥獣が作物を食べたと確認され写真や動画があるもの、文献で報告があるもの、食べる可能性があるもの、情報なしの4段階に分かれています。「情報なし」は、被害に遭わないことを示すものではないと注意書きがあります。下の表は、2026年10月3日に開いた一覧の、アナグマの欄を主な作物について抜き出したものです。
| 作物 | 農研機構の一覧でのアナグマ | 他の資料の記述 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|---|
| いちご | 食べる(写真あり) | 農林水産省のマニュアルと呉市が、イチゴを挙げる | 露地で熟した果実が取り去られ、軸だけが残る。マルチシートに足跡が付く例がある |
| すいか | 食べる(写真あり) | 北九州市と呉市が、スイカを挙げる | 果皮に無数の引っ掻き傷が付く例がある(果肉に届かず食べられていない例も) |
| とうもろこし | 食べる(写真・動画なし。文献等で報告) | 北九州市と呉市が挙げる。農林水産省のマニュアルは、アナグマは根元を掘って倒すと記載 | 茎が根元から掘り起こされて倒れる |
| かき・りんご・ブルーベリー | 食べる(かきとりんごは写真あり) | 呉市は落ちたカキを挙げ、鹿児島市は収穫しない柿の伐採か縮伐を案内 | 落果や収穫しない果樹の周りの痕跡を確認する |
| ぶどう | 食べる可能性がある | 農林水産省のマニュアルは、ぶどう棚に登って食べた報告があると記載。呉市は木登りが不得手で果樹被害は少ないとする | 棚の上の被害でも、アナグマを除外しない |
| さつまいも | 情報なし | 農研機構の一覧で主な加害種はキジとアライグマ | 断定せず、足跡やカメラで確認する |
| 落花生 | 情報なし | 農林水産省のマニュアルは、ハクビシンは土を掘って食べないため、落花生の被害はタヌキやアナグマの濡れ衣の可能性が高いと記載 | 掘り返して食べた跡は、ほかの動物とも見比べる |
アナグマは畑で何を食べますか?
主な食べ物はミミズなどの土の中の生き物で、昆虫やイチゴなど甘い果実も食べます。農研機構の一覧では、いちご、すいか、かき、りんごなどで食べた記録があります。呉市と北九州市は、スイカやトウモロコシの被害を挙げています。
アナグマの掘り返しと食べ跡の特徴|足跡・穴・作物の被害で見分ける
同じ畑でも、複数の動物が来ていることがあります。農林水産省のマニュアルは、対策は加害獣を特定することが重要で、隠れている被害を見抜けずに対応すると効果が得られないと述べています。痕跡を、足跡、穴、作物の被害の順に見ていくと、アナグマかどうかを絞り込めます。見分けのコツは アナグマとタヌキの見分け方 と 畑の害獣対策|食べ跡や足跡で動物を見分ける手順 でも整理しています。
| 痕跡 | アナグマで言われる特徴 | 注意すること |
|---|---|---|
| 地面の小さな穴 | 直径5cm程度の穴が点々と残る。鼻先を地面にねじ込み、前肢で少し掘りながら餌を探す(農林水産省のマニュアル) | ミミズなどを探した跡の可能性。ほかの動物の掘り跡とも見比べる |
| 足跡 | 指が5本で、長い爪痕が付く(呉市、京都府の資料)。農研機構の図鑑は、指球が5つでイタチ科の特徴を示し、爪の先端の痕が残る例を載せる | タヌキは指が4本で爪痕が短いと京都府の資料は記載。ぬかるみやマルチシートで確認する |
| とうもろこしの被害 | 根元を掘って倒す(農林水産省のマニュアルの写真と説明) | アライグマは根本から倒してきれいに食べ、ハクビシンは斜めに倒す。タヌキは地面に着いた側を食べない |
| いちごの被害 | 熟した果実だけが摘み取られ、軸とヘタが残る(農研機構の図鑑) | 鳥類による被害とも見比べる |
| 柵の乗り越え | 高さ60cmのトタン柵を乗り越え、爪痕が残った写真がある(農林水産省のマニュアル) | 掘る動物だから低い柵でよいとは判断しない |
| ためフン | 北九州市は、一定の場所にフンをする「ためフン」による悪臭を、被害として挙げる | フンの片付けは、手袋と手洗いなどの衛生面に注意する |
アナグマ向けの柵・ネットの地際の処理|掘る動物に合わせた物理柵
農林水産省のマニュアルは、動物の侵入行動を「掘る」「登る」「破く」に分け、物理柵はタヌキ、キツネ、アナグマなど、掘ることや破くことを優先する種が対象だと説明しています。重要なのは、裾を掘られないように固定することです。裾を長めにして埋める方法が有効で、埋められない場合は、裾に鉄筋や直管パイプなどを巻き込んで、一点で持ち上がらないようにします。目合いは5cm以下で破られにくい資材を使い、高さは1m以上が必要で、管理用の出入り口も設けます。
一方で、アナグマは木登りや狭い通路の移動はアライグマやハクビシンに劣るものの、慣れれば金網柵を自由に上り下りでき、高さ60cmのトタン柵を乗り越えた例もあります。同マニュアルは、「登れない動物」という思い込みは危険だと注意しています。登ることを優先するアライグマ、ハクビシン、テンには物理柵の効果は期待できないとも書かれており、複数の動物が来る畑では、動物の種類の特定が先です。
| 柵の種類 | 資料の記述 | 地際と補修の注意 |
|---|---|---|
| ネット柵 | 安価で簡易だが強度に不安があり、長期間の使用には適さない(農林水産省のマニュアル) | 柔らかく点で止めにくいため、パイプなどを巻き込んで固定する。噛みつきや農作業でほつれや穴ができ、すぐ補修しないと広げられて侵入される |
| 金属柵 | 強度には問題がないが、中型動物用の目合いにすると費用がかかる(同) | 目合い5cm以下を目安に、裾を固定する |
| 庭のトタン板などの侵入防止柵 | 北九州市は、アナグマは地面を掘るのが得意なので、柵の下部を30cm程度まで埋め込むよう回答。地上部は40cm程度ならアナグマが乗り越えるため、防風ネット等で高さを補うよう案内 | 家庭の庭向けの回答(令和3年5月の回答として掲載)。畑では農林水産省の高さ1m以上の目安と見比べる |
| 防除柵の埋め込み | 京都府農林水産技術センターの2011年のリーフレットは、ハクビシン向けの防除柵の例として、15cm程度の埋め込みを示し、タヌキ、アナグマがいる地域は30cm程度と記載 | ハクビシン対策の資料で、古い資料。参考程度にとどめ、地域の窓口に確認する |
アナグマの電気柵|段張りの間隔・漏電・安全確保
電気柵は、電気ショックで痛みを記憶させて侵入を防ぐ「心理柵」です。農林水産省のマニュアルによると、一般的な段張り方式では、中型動物は狭い空間も通れるため、電気さく線の間隔を10cm以下(種によっては5cm)にする必要があり、イノシシ用の20cm間隔では広すぎます。地面に近い位置に線を張るため、草が触れて漏電しやすく、地面のへこみで一段目との間隔が広がらないよう、支柱を増やす対応も必要です。
物理柵と電気柵を組み合わせた複合柵の例として、同マニュアルは、高さ約40cmの柵の上部に電気さく線を設置する方式を紹介しています。草による漏電のリスクが軽減され、掘る・噛むことを優先する種でも上部を探査するため、中型動物全般に効果が期待されるとしています。呉市は、この方式の電気柵はアナグマにも効果的だが、柵の下を掘ることがあるので、柵の下をしっかり止めるよう書いています。
電気柵は人が感電する事故が起きた例があり、農林水産省は設置にあたって、次の感電防止の措置を求めています。
- 電気さくを施設した場所に、人が見やすいよう危険である旨の表示をする
- 電気さく用電源装置は、電気用品安全法の適用を受けるものなど、出力電流が制限されるものを使う
- 30ボルト以上の電源から供給を受け、人が容易に立ち入る場所に施設する場合は、電流動作型で定格感度電流15ミリアンペア以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を設ける
- 電気さくに電気を供給する電路に、容易に開閉できる専用の開閉器を設ける
光・ミント・忌避剤はアナグマに効くか|根拠と限界
「アナグマ 対策 光」「アナグマ 対策 ミント」は検索候補に出る言葉ですが、公的資料で効果が確かめられた例は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。農林水産省の総合対策編のコラムは、イノシシやシカを例に、光や音や匂いを使った慣れが生じる対策は、効果がないか、あっても一時的だと述べています。匂いは特に効果が得られにくく、置くだけで来なくなる忌避資材は見つかっていないとも書かれています。アナグマは別の動物ですが、野生動物が刺激に慣れるという一般的な考え方として参考になります。
慣れを前提にした使い方
光や匂いの対策を試すなら、防ぎたい期間だけ設置し、効果を過信しないことが前提です。農林水産省の総合対策編は、追い払い道具の効果は設置当初の一時的なもので、日数の経過とともに慣れて効果がなくなると述べ、使用は防除したい期間に限るよう書いています。効果の見方は 害獣の忌避剤だけで解決する?効果を確かめる見方 でも整理しています。
| 方法 | 公的資料の記述 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 光(ライト・点滅・反射物) | 農林水産省のコラムは、光や音は慣れが生じ、効果がないか一時的と述べる。アナグマに光が効くと確認した公的資料は、今回見当たらなかった | 一時的な補助にとどめ、柵や餌の管理と併用する |
| ミントなどハーブの植栽 | ミントがアナグマを遠ざけると確認した公的資料は、今回見当たらなかった。匂いは特に効果が得られにくいと農林水産省のコラムは述べる | 根拠が確認できないため、柵の代わりにしない |
| 木酢液・竹酢液 | 鹿児島市は、臭いの強いもの(木酢液や竹酢液など)を直接まく、または布に浸み込ませて置くと、嫌がって近づかなくなることもあると案内。町田市のハクビシン・アライグマ向けの資料は、強い匂いのものは近所まで臭いが及ぶことがあるため、事前に声をかけるよう記載 | 自治体の案内はあるが、公的機関の検証ではない。近隣への配慮が必要 |
| 市販の忌避剤・忌避資材 | 農林水産省のコラムは、ホームセンターなどで販売される忌避資材は公的機関で効果を検証したものではないと述べる。農薬登録された忌避剤は鳥用の種子処理など対象が限られ、収穫期に使えるものはない | 製品の表示(対象・使用場所・時期)に従い、効果を前提にしない |
| 毒餌・駆除剤 | 鳥獣保護管理法の第36条は、爆発物・劇薬・毒薬を使う猟法による鳥獣の捕獲等を禁止(環境大臣の許可を受けた場合を除く) | 使えません。「アナグマ 駆除 剤」で毒を使う方法を探さないでください |
庭の芝生や花壇を掘られる場合|餌と侵入経路を分けて考える
住宅の庭では、畑のような大きな柵は難しく、餌になる物と侵入経路を分けて対策します。北九州市の市民のこえ(令和3年5月の回答として掲載)には、夜中にたびたび見かけ、花壇を掘り起こされて困るという相談に、庭の周りにトタン板などの侵入防止柵を設置するよう回答した例が載っています。アナグマは地面を掘るのが得意なので柵の下部は30cm程度まで埋め込み、地上部は40cm程度なら乗り越えるため防風ネット等で高さを補うという内容です。同じ回答は、イノシシの被害も考えられるとして、砂利やコンクリートで掘らせない方法や、屋外のペットの餌は食べ終わったら容器ごと片づける方法も挙げています。
芝生や花壇の穴を見たときの確認
農林水産省のマニュアルは、アナグマが土の中のミミズなどを探すとき、前肢で少し掘りながら鼻先をねじ込み、直径5cm程度の小さな穴が点々と残ると説明しています。大きな穴や、床下へ続く穴は巣穴の可能性があるため、塞ぐ前に不在を確かめる必要があります。穴の分布を記録する方法は 庭が掘られている。穴の分布と周辺の変化を相談資料にする にあります。
庭の餌になる物を減らす
鹿児島市は、餌付けをしない、生ごみやペットフードを外に置かない、収穫しない柿などの果樹は伐採するか縮伐するよう案内しています。芝生や花壇の下にいる虫やミミズを餌にしている場合は、餌になる物を減らしても、すぐに来なくなるとは限りません。柵などの物理的な対策と並行して、状況を記録します。
- ペットフードや生ごみを屋外に置かない(鹿児島市の案内)
- 収穫しない果樹や落果を片付ける、または伐採・縮伐する
- 穴の位置と大きさ、足跡を、日付つきで写真に残す
畑の餌場を減らす|廃棄作物・収穫残さ・放任果樹
柵だけでなく、畑のまわりの餌場も見直します。農林水産省のマニュアルは、廃棄した野菜や果実、放任果樹、無防備な田畑は野生動物の餌場になり、野生動物が身近になった今は、残さの管理までが栽培技術だと述べています。食べ物を放置して増加の手助けをしながら被害を減らすことはできず、地域全体で共有して行動することが必要だとも書かれています。
収穫しない果樹や、傷んで捨てた作物を畑の端に積んでいないかを、一度点検してください。京都府農林水産技術センターの2011年のリーフレットは、廃棄した作物や果樹の扱いとして、防除柵の内側へ廃棄してすき込む、埋設する、焼却するといった例を挙げています。地域の規則は自治体で違うため、処分の方法は市の窓口で確認してください。
- 収穫しない果樹の伐採または縮伐を、持ち主と相談する
- 傷んだ作物や収穫残さを、畑の周囲に捨てない
- 近所と餌場の情報を共有し、地域で同じ時期に片付ける
アナグマの被害が続くときの相談先|自治体・捕獲許可・補助
柵を直しても被害が続くときは、市の農林系の窓口に相談します。延岡市は被害防止計画で、被害地域の住民への研修会、緩衝帯の設置、集落単位の対策を進めると記載しています。農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金は、被害防止計画に基づく地域ぐるみの取組を支える仕組みで、侵入防止柵の設置や管理などの取組が支援の内容に含まれますが、個人の畑の被害を直接補助する制度とは書かれていません。補助の有無と条件は、自治体ごとに確認が必要です。自治体へ先に聞くことと業者に頼める作業の範囲は、タヌキ・アナグマの駆除を業者に頼むときの確認点でまとめています。
捕獲を考える場合は、狩猟免許か捕獲許可の手続きが前に必要です。免許と許可の違い、市役所の窓口は アナグマ駆除は市役所に相談できる?罠の免許と捕獲許可の手続き で整理しています。柵やわなの補助の例は 大分市の防護柵とわなの補助 にもあります。
| 被害の状況 | 最初の相談先 | 聞くこと |
|---|---|---|
| 柵を設置しても掘られる | 市の農林・鳥獣担当の課 | 地際の処理の見直し、電気柵の条件、補助制度の有無 |
| 作物の被害が毎年続く | 市の農林・鳥獣担当の課 | 被害防止計画の内容、集落単位の対策、捕獲許可と免許の条件 |
| 庭や花壇を掘られる | 市の環境系の課、または区役所の窓口 | 具体的な助言や現地調査の可否、庭の柵の考え方 |
| 床下や物置の下に巣穴がありそう | 市の鳥獣担当と、業者の現地調査 | 不在確認の方法、封鎖の時期、業者の許可の確認 |




