賃貸で蜂の巣を見つけたら、最初の連絡先は管理会社(大家)
賃貸住宅で蜂の巣を見つけたとき、入居者が最初にすることは駆除ではなく連絡です。札幌市は、私有地の巣は所有者または管理者が処理する立場で、賃貸マンションに入居している人は所有者(大家)または管理者に相談するよう案内しています。分譲マンションの入居者は、入居者の負担で駆除するか、マンション管理組合に相談するとしています。
国民生活センターも、賃貸住宅なら、事業者へ依頼する前に管理会社や大家等に相談するのも一法と助言しています。同センターが紹介した相談には、賃貸アパートの入居者が大家に連絡せず、ネット広告で「約500円~」と表示していた業者を呼び、作業後に高額な料金を請求された例があります。緊急に見えても、一度落ち着いて管理会社へつなぐ方が安全です。賃貸の害獣全般の流れは賃貸で害獣被害が起きたらにまとめています。
刺された、またはハチが向かってくるときは、連絡より安全の確保が先です。前橋市は、ハチに刺されて呼吸困難や意識がもうろうとしている人がいたら、迷わず救急車を呼ぶよう案内しています。巣の近くで遭遇したときは、手やタオルで払わず、ゆっくりその場を離れます。
参考:札幌市コールセンター|よくある質問「ハチの巣を駆除したい、駆除してほしい」
賃貸で蜂の巣を見つけたら、まず誰に連絡しますか?
管理会社です。管理会社がなければ大家(貸主)へ連絡します。札幌市は、賃貸マンションの入居者は所有者(大家)または管理者に相談するよう案内しています。自分で業者を手配する前に連絡してください。
巣の場所別|連絡先と費用負担の考え方
同じ蜂の巣でも、場所によって管理する人が違います。下の表は、公式資料から確認できた考え方を、場所別に並べたものです。費用負担は「この場所ならこの人」と断定できないため、右の列の資料を読み、管理会社に根拠を聞いてください。
表に出てくる「標準管理規約」は国土交通省が示す雛形で、実際の管理規約はマンションごとに違います。賃貸借契約書も同じです。右の列は確認の手がかりであり、費用を誰が払うかの結論ではありません。共用部分で被害を見つけたときの連絡の仕方はマンション共用部で被害を見つけたらも参考になります。
| 巣の場所 | 最初の連絡先 | 費用負担を考えるときの確認先 |
|---|---|---|
| 専用で使うベランダ・バルコニー | 管理会社(いなければ貸主)。分譲マンションは管理組合にも | 標準管理規約は、バルコニー等の通常の使用に伴う保存行為を、専用使用権を持つ人が行うとし、例に清掃や窓ガラスの入替えを挙げる。蜂の巣が当たるかは明記なし。賃貸は賃貸借契約書の修繕の条項を確認 |
| 共用廊下・階段・外壁・植栽・エントランス | 管理会社、管理組合、貸主 | 標準管理規約は、共用部分の管理を管理組合の責任と負担で行うのが基本とする。さいたま市は、集合住宅の共用部分の巣は貸主・管理者へ相談とし、前橋市の補助は共有部分を対象外としている |
| エアコン室外機・給湯器などの設備まわり | 管理会社。設備が貸主の備え付けか、入居者の持ち込みかも伝える | 賃貸借契約書の設備と修繕の項目、設備の所有者を確認 |
| 室内(天井裏・壁の中・換気口など) | 管理会社へ連絡し、立入調査の日程を決める | 賃貸借契約書の修繕の条項。国土交通省の標準契約書は、必要な修繕は貸主が行い、入居者の責めに帰すべき事由によるものは入居者の負担とする |
| 隣の部屋のベランダ・隣の敷地 | 自分の管理会社。隣室や隣の敷地には入らない | 巣のある場所の所有者または管理者が対応するのが原則(札幌市)。自分で業者を手配しない |
賃貸借契約書・管理規約で確認する箇所
費用の話を始める前に、手元の書類で確認できることがあります。賃貸なら賃貸借契約書、分譲マンションなら管理規約です。どちらも、条文の見出しだけでなく、蜂の巣のような想定外の事態に使えそうな「修繕」「通知」「承諾」の条項を探します。
賃貸借契約書:修繕・通知・承諾の条項を見る
国土交通省の賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)は、第9条で、貸主が入居者の使用に必要な修繕を行うこと、入居者の責めに帰すべき事由で必要になった修繕の費用は入居者が負担すること、修繕が必要な箇所を見つけた入居者は貸主に通知して協議することを定めています。貸主が正当な理由なく修繕を実施しないときは、入居者が自ら修繕できる条項もあります。これは標準の雛形で、自分の契約書の条文と同じとは限りません。
民法も、賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うと定め(第606条)、賃借物が修繕を要するときは賃借人が遅滞なく賃貸人に通知しなければならないと定めています(第615条)。蜂の巣の駆除がこの「修繕」に当たるかは、巣の場所、状況、契約の内容で判断が分かれるため、ここでは断定しません。大切なのは、見つけたらすぐ知らせたという記録を残すことです。
分譲マンションの管理規約:専用使用部分と共用部分を見分ける
標準管理規約は、バルコニーなどについて区分所有者が専用使用権を持つとし(第14条)、専有部分を借りた人は、その区分所有者が専用使用権を持つバルコニー等を使えると定めています(同条第3項)。一方、敷地や共用部分の管理は管理組合が責任と負担で行うのが基本です(第21条第1項)。賃貸でマンションの一室を借りている場合、専用使用権を持つのは貸主である区分所有者で、入居者との費用の分担は賃貸借契約の定めで決まるため、まず契約書を見ます。
第21条は、共用部分の保存行為を、理事長への申請と承認なしに区分所有者が行うことを認めていません。例外は、専有部分の使用に支障が生じていて緊急を要する場合などに限られます。承認なしに行った場合、その費用は行った区分所有者の負担とされています。蜂の巣の駆除が保存行為に当たるかは明記されていないため、管理会社や管理組合に確認が必要です。
管理会社へ送る連絡文と写真|安全な距離から
連絡文は、管理会社が現場の判断と手配をしやすい情報に絞ります。入れる項目は、場所、高さと大きさ、ハチの様子、見つけた日と変化、生活への影響、希望する対応の六つです。前橋市が業者への依頼時に伝える情報として挙げる「巣の場所(地面からの高さ)」と「巣の大きさ」は、管理会社への連絡にも使えます。種類が分からなければ「不明」のままで構いません。アパートでもマンションでも、アシナガバチかスズメバチかを確かめに近づく必要はなく、見分け方はアシナガバチの巣を見つけたときにあります。連絡文全体の組み立ては賃貸の害獣被害を管理会社へ報告する連絡文と同じ考え方です。
文面の例は次のとおりです。「○○マンション○号室の○○です。○月○日の朝、ベランダの手すりの外側に、握り拳ほどの丸い巣のようなものを見つけました。ハチが数匹出入りしており、種類は不明です。近づいて確認はしておらず、触れてもいません。洗濯物を干せず困っています。離れた位置から撮った写真を添付します。現地の確認と対応の手配をお願いします。」
写真は、ズームを使って離れた位置から撮ります。前橋市は、巣に近づかないことが第一で、巣を揺らしたり棒でつついたりすることは大変危険だと注意しています。ベランダでも、手すりの外へ身を乗り出して撮るのは避け、見える範囲の一枚で十分です。撮れないときは、場所を言葉で伝えれば足ります。
| 伝える項目 | 書き方の例(自分の状況に置き換える) |
|---|---|
| 場所 | ○号室のベランダ手すりの外側。共用廊下の○階、○号室側の天井付近。外壁の○側 |
| 高さと大きさ | 床や地面から約○mの高さ。握り拳より大きいか小さいか、丸いか、穴が見えるか。近づいて測らない |
| ハチの様子 | 出入りしているハチが数匹か多数か、体が大きいか細長いか。種類は不明でよい |
| 見つけた日と変化 | ○月○日の朝に気づいた。前日は見なかった。日ごとに大きくなっている気がする |
| 生活への影響 | ベランダに出られない、洗濯物を干せない、玄関の出入りの近くを通る、小さな子どもがいる |
| 希望する対応 | 管理会社または貸主による現地確認と業者の手配。連絡がつきやすい時間帯 |
自分で駆除する・業者を手配する前に確認すること
賃貸では、自分で駆除しても業者を呼んでも、あとで費用や原状の問題になることがあります。国土交通省の民間賃貸住宅の相談事例集は、借主が自ら修繕する場合について、必要のない修繕や、必要でも過度の修繕を行うと、費用負担の問題が生じたり、貸主から損害賠償を請求されたりする可能性があるため、貸主に状況、必要性、緊急性を通知して相談することが重要と説明しています。蜂の巣の駆除が修繕と同じとは限りませんが、考え方は参考になります。
共用部分では、標準管理規約が、理事長への申請と承認を経ずに保存行為を行うと、その費用は行った区分所有者の負担になると定めています。ベランダなど専用で使う場所でも、薬剤が共用部分や隣の部屋へ及ばないか、外壁や手すりを傷めないかを、先に管理会社へ伝えます。さいたま市は、集合住宅や賃貸住宅の入居者が市の駆除を依頼する前に、貸主や管理組合の承諾を得るよう求め、駆除に伴って共用部分や貸主の管理所有部分に影響が生じても、原状回復や補償はしないとしています。
- 管理会社や貸主から「自分で手配してよい」と言われたか(メールなど文字で残す)
- 業者を手配する場合、誰が見積もりを取り、誰が支払うか
- 共用部分や隣の部屋に、薬剤や作業の影響が出ないか
- 自治体の補助や貸出を使う場合、申請者と領収書の宛名を誰にするか
対応が遅いときの進め方と記録
連絡しても返事がない、巣が大きくなってきた、というときは、記録と再連絡を重ねます。返事がなければ、受領を確かめる連絡を一度入れ、担当者名と次の連絡の目安を聞きます。同じ内容を複数の窓口へ増やすより、誰が担当かを整理した方が進みます。
連絡と巣の変化を記録に残す
記録は、あとで管理会社や貸主、自治体、消費生活センターに説明するときの土台になります。日時と相手、送った内容と写真、返事、巣の変化を、同じ場所にまとめておきます。
- 連絡した日時、相手(担当者名)、方法(電話・メール・アプリ)、内容
- 送った写真と文面の控え(同じ内容を保存する)
- 返事の日時と内容、次に連絡をもらう目安
- 巣の変化(大きくなった、ハチが増えた)と、近づけない・刺されそうになったなどの出来事
民法の修繕の規定は、根拠にする前に管理会社へ確認する
民法第607条の2は、賃借物の修繕が必要な場合に、賃借人が賃貸人へ修繕の必要を通知した、または賃貸人がそれを知ったのに相当の期間内に必要な修繕をしないとき、あるいは急迫の事情があるときは、賃借人が修繕できると定めています。国土交通省の相談事例集は、相当の期間や急迫の事情の内容は具体化されておらず、貸主と借主で認識が分かれうるため、貸主に通知して相談することが重要としています。蜂の巣がこの場面に当たるかは断定できないため、この条文を根拠に自分で業者へ依頼する前に、管理会社へ文字で確認してください。
業者への支払いに納得できないときは、188へ相談する
手配済みの業者との契約や請求に納得できないときは、その場での支払いを避け、消費者ホットライン188へ相談します。188は、最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の番号です。相談の前に、見積書、契約書、請求書、支払いの記録、やり取りの記録をそろえておきます。
自治体の補助・貸出制度を入居者が使えるか
自治体の駆除や補助には、入居者を対象に含める制度と、所有者・管理者に限る制度があります。2026年10月3日に開いた公式ページから、賃貸や集合住宅の扱いが読み取れた例を並べます。共用部分の巣は、対象外にするか、貸主・管理者の対応とする記載が目立ちます。防護服の貸出も、八千代市のように使用場所を原則として自分が所有・管理する土地や建物とし、所有者や管理者が別にいるときはその許可を求める例があるため、借りる前に管理会社の了承を得ておきます。
補助や貸出の申請では、領収書の宛名と申請者の名前をそろえる決まりがあります。小山市は、申請者氏名、領収書の宛名、振込先口座の名義人が同じでなければならないと注意しています。管理会社が業者を手配する場合は、誰が申請者になるかを先に決めましょう。補助金の読み方は蜂の巣駆除の補助金、自治体の窓口の型は蜂の巣駆除は市役所で無料?で確認できます。
| 自治体 | 入居者(賃借人)の扱い | 共用部分の扱い | 制度の内容 |
|---|---|---|---|
| さいたま市 | 賃貸の戸建て、集合住宅の専有部分やベランダなどの専用使用部分の巣は対象。居住者が依頼し、貸主や管理組合の事前の承諾を求める | 共用部分の巣は対象外。貸主・管理者へ相談 | 委託業者による駆除。費用は市が負担 |
| 前橋市 | 賃貸住宅は、自らが居住する住戸とベランダ・バルコニーの巣が対象 | 階段・エントランスなどの共有部分は対象外 | 指定業者に依頼し、個人負担6,000円 |
| 小山市 | 営巣する土地・建物を賃借している個人も対象 | 公式ページに共用部分の記載は確認できず(担当課に確認) | スズメバチ駆除費の2分の1、上限5,000円 |
| 札幌市 | 賃貸マンションは所有者(大家)または管理者に相談 | 分譲マンションは入居者の負担、またはマンション管理組合に相談 | 市は駆除も補助も行わない |
| 八千代市(防護服の貸出) | 市内で駆除する人に無料で貸出。使用場所は原則、自分が所有または管理する土地・建物 | 使用場所の所有者や管理者が別にいる場合は、その許可を得る | 防護服一式の貸出。期間は原則2日間、薬剤は借りる人の負担 |




