蜂の巣は自分で駆除できる?判断表で先に確認する
自分で駆除するかどうかは、ハチの種類、巣の大きさ、高さ、場所、周りにいる人の体質で決まります。広島市は、巣が人の握り拳より大きい、ハチの数が多い、屋根裏など駆除しにくい場所にある場合は、無理をせず専門業者に依頼するよう案内しています。神戸市も、ボール型に大きくなったスズメバチの巣の駆除は大変危険だとして、専門の駆除業者を勧めています。
下の表は、自治体、メーカー、日本ペストコントロール協会の案内を、一つの見方にそろえたものです。右の列に一つでも当てはまれば、自力は選ばず、窓口か業者への相談に切り替えてください。左の列にすべて当てはまっても、安全が保証されるわけではありません。
| 確認すること | 自力を考えられる目安 | 依頼・相談に回す目安 |
|---|---|---|
| ハチの種類 | アシナガバチ。名古屋市、横浜市港北区、神戸市が、自分で駆除する方法を案内している | スズメバチ。名古屋市と横浜市港北区は専門業者を勧め、神戸市は小さな初期の巣だけ方法を示す。ミツバチ、種類が分からないものも相談へ |
| 巣の大きさと時期 | 巣作りの初期。神戸市は6月ごろまでの逆さ徳利の形、日本ペストコントロール協会はアシナガバチの巣穴が10個程度まで | 握り拳より大きい(広島市)、ボール型(神戸市)、直径25cmを超える(アース製薬の製品ページ)。夏から秋の巣は、まず依頼を考える |
| ハチの数 | 巣のまわりにいるハチが少なく、働きバチが増える前の春先(フマキラーは春先がより安全と説明) | ハチの数が多い(広島市)。数が増えるほど攻撃性も増す(フマキラー) |
| 高さと足場 | 地面に立ったまま巣の全体が見え、安定した足場で作業できる | 脚立・はしご・屋根に上らないと届かない。横浜市港北区は、軒下の高所や茂った木の中のために竿状の噴射器具の貸出を案内している |
| 巣のある場所 | 軒下や庭木など、巣の穴と全体が見える開けた場所 | 屋根裏、壁の中、生け垣の中、木の穴、地中など、巣が見えない場所(広島市、アース製薬) |
| 周りの人と体質 | 周囲に人通りがなく、作業する人にアレルギーや喘息の心配がない | 子ども・ペット・通行人が近い。アレルギー体質や喘息の人は薬剤にも触れない注意がある(アース製薬)。刺されて強い症状が出た経験のある人は作業せず、医療機関に相談する |
蜂の巣が小さければ、自分で駆除しても大丈夫ですか?
小さければ安全とは言い切れません。自治体が自力の目安を示すのは、アシナガバチの小さな巣や、スズメバチの女王バチ1匹の初期の巣が中心で、種類が分からない、見えない場所、高所は対象外です。迷うときは相談に回します。
ハチの種類別|アシナガバチ・スズメバチ・ミツバチの扱いの違い
自治体の案内は、同じ「蜂の巣」でも種類ごとに分けています。まず離れた位置から種類の見当をつけ、見分けられなければ種類不明のまま相談します。形の見分けは、スズメバチの巣は外側がマーブル模様の外皮に包まれ、アシナガバチの巣は外皮がなく下から六角形の穴が見える、という違いが手がかりになります(横浜市港北区)。
アシナガバチ:小さな巣なら自力の案内がある
名古屋市は、アシナガバチはスズメバチに比べて攻撃性が弱く、外皮もないため自分で除去することも可能と案内し、巣が小さいうちに除去するのが要点としています。神戸市も、殺虫剤に弱く比較的簡単に駆除できるとしながら、危険を感じたら無理をせず専門業者に頼むよう書いています。横浜市港北区は、巣に刺激を与えなければ危険はないとして、自分で駆除する手順を載せています。
ただし、これは「触れずに済む場所の小さな巣」の話です。軒下の高い位置や室外機の中など、姿勢や足場が危うい場所では、ハチの性質が穏やかでも自力は向きません。種類と場所の見方はアシナガバチの巣を見つけたときも参考になります。
スズメバチ:専門業者を勧める自治体が多い
名古屋市は、スズメバチは攻撃性が強く作業中に刺される場合もあるので、除去は専門業者に依頼するよう案内しています。横浜市港北区も、攻撃性が強いため専門業者への依頼を勧めています。一方、神戸市は、女王バチが1匹で巣を作る6月ごろまでの小さな巣(徳利を逆さにした形)に限って自分で駆除する方法を示し、ボール型に育った巣は専門業者に頼むよう求めています。船橋市も、女王バチが1匹で活動する4〜5月のキイロスズメバチやコガタスズメバチの初期の巣は自分でも駆除できると思われるとする一方、7月以降の巣は大変危険として専門業者を勧めています。
アース製薬は、スズメバチ用スプレーの対象を直径25cmまでの巣とし、巣穴が見えない、巣の全体が見えない、高所、屋根裏、生け垣の中、木の穴、地中などのときは専門家に依頼するよう製品ページで案内しています。自治体が小さな巣の方法を示していても、大きさを正確に判断できない、見えない場所にあるときは、自力の対象から外す方が安全です。出入りの様子から相談する流れはスズメバチらしいハチが出入りするときで確認できます。
ミツバチと分蜂:塊を見たら刺激せず様子を見る
春から夏に、木の枝や軒下へ小さなハチがびっしり固まっているのは、ミツバチの分蜂(巣別れ)のことがあります。広島市は、旅の途中のミツバチはおとなしく、刺激をしない限り危険はなく、普通は数時間から数日でいなくなると案内しています。巣と思い込んで薬剤をかけたり落としたりせず、離れて見守ります。
屋根裏や壁の中の通気口に小さなハチが多数出入りしているときは、分蜂ではなく巣の可能性があります。広島市は、蜜が屋根裏に垂れて天井が傷むことがあるため、刺される危険性は低くても駆除の検討を勧めています。建物の内部を確認できる専門業者へ相談します。
巣の大きさと時期の目安|「小さいうち」と言える範囲
「小さいうちなら自分で」は、どの大きさまでを指すのでしょうか。案内では、時期と巣の大きさの両方で線が引かれています。フマキラーは、働きバチが羽化する前の春先の方が安全で、ハチの数が増えれば攻撃性も増すと説明しています。
表のとおり、同じスズメバチでも、直径約7cmの段階と約20〜30cmの段階では状況がまったく違います。巣は途中で形が変わり、外から大きさを正確に測るのも難しいため、測ろうと近づくのは避けてください。離れた位置から見て迷う大きさなら、小さいと決めずに相談へ回します。時期ごとの形は蜂の巣の作り始めの見分け方でも確認できます。
| 時期・状態 | 巣の様子 | 自治体・協会の案内 |
|---|---|---|
| 4〜7月ごろのスズメバチ | 直径約7cmのトックリや一輪挿しをひっくり返した形。女王バチが1匹で作る | 横浜市港北区が形と大きさを紹介。神戸市は6月ごろまでの小さな巣に限り自力の方法を掲載 |
| 直径約10cmになるころ | 最初の働きバチが羽化し始め、形が野球ボールのように丸くなる | 横浜市港北区の説明。ハチの数が増え始める目安として、小さいと考えず相談へ |
| 8〜11月ごろのスズメバチ | 直径約20〜30cm以上のボール型。表面はマーブル模様で、出入口は1か所 | 横浜市港北区の説明。神戸市は、ボール型の巣の駆除は大変危険で専門業者へ頼むよう案内 |
| アシナガバチの初期 | 巣穴が10個程度までの巣作りの初期 | 日本ペストコントロール協会は、市販の強力噴射型エアゾールで数メートル離れて駆除できる場合があるとし、それ以外は防護服を持つ専門業者による処理が必要と説明。前橋市も、巣穴10個程度の作りかけの巣までなら自力で駆除できる可能性があるとする |
自治体とメーカーが示す準備と手順|アシナガバチの小さな巣の場合
ここで紹介するのは、自治体が自力の方法として載せている範囲です。薬剤の種類、噴霧する距離や時間は製品によって違うため、独自の目安は示しません。使う製品の説明書と、住んでいる自治体の案内を優先してください。
準備:服装・薬剤・道具・防護服の貸出
神戸市は、厚手の長袖・長ズボンと手袋、首のタオル、顔全体を守る帽子やヘルメットなど、体の露出をなくす服装を挙げ、服は白を基調にして香水や化粧は避けるよう案内しています。広島市は防護服の着用を前提とし、黒っぽい服装や強いにおいも避けるよう注意しています。薬剤はハチ専用のスプレー式殺虫剤で、使い方は製品の説明書に従います。防護服は、広島市が保健所で無料で貸し出すように、貸出を行う自治体があります。
- 昼のうちに、巣の位置、周囲の足場、逃げる方向を確認しておく
- ハチ専用のスプレー式殺虫剤を用意し、使い方は製品の説明書で確認する
- 厚手の長袖・長ズボン・手袋、首のタオル、顔を守る帽子をそろえ、白系の服にする
- ごみ袋、ほうき、ちりとりなど、後片付けの道具を先に用意する
当日:日没後に風上から、人がいないことを確認する
作業の時間帯は、神戸市が夜間、フマキラーとアース製薬が日没後、名古屋市と横浜市港北区が夕方から夜と案内しており、ハチの活動が鈍る暗い時間に行う点で共通しています。広島市は夜間か朝早くとしています。懐中電灯は、フマキラーが巣を照らすとハチを刺激すると注意し、横浜市港北区も巣に光を当てないよう案内しています。広島市は、点けないか、点けるなら電球に赤いセロハンをかぶせて時々照らす方法を示しています。
風上に立ち、巣の出入り口に向けて噴霧します。広島市は、巣から3メートル以上離れた位置からと案内しています。横浜市港北区は、巣の真下から噴射するとハチが落ちてくるため、真下に入らないよう注意しています。噴霧する方向に人がいないことを確かめ、噴霧時間は説明書に従ってください。
作業後:すぐに巣を落とさず、出入りが止まるのを待つ
神戸市は、噴霧した翌朝、明るくなってから棒などで巣を落とすと案内しています。フマキラーは、噴霧を数日繰り返し、ハチの出入りがなくなってから巣を取り除くよう案内しています。薬剤をかけた直後に巣をつつくのではなく、出入りが止まったことを離れた位置から確かめてから取り外します。
巣や死んだハチは素手で触らず、ほうきなどで集めて袋に入れます。広島市は、死んだハチを素手で触ると反射的に腹部が持ち上がり、針で刺されることがあると注意し、集めたハチや巣は袋に入れて口を縛るよう案内しています。
やってはいけないこと|昼間の作業・棒で落とす・火・脚立での高所作業
自治体やメーカーの案内に共通するのは、手順の細かさより、時間帯や足場などの前提を外さないことです。次の表は、避ける行為と、その理由を示している出典を対応づけたものです。
| 避けること | 理由と案内の内容 | 案内している出典 |
|---|---|---|
| 昼間に作業する | 昼に作業すると作業後も次々とハチが帰ってきて、興奮して刺される可能性がある | 広島市。神戸市、フマキラー、アース製薬は日没後を案内 |
| 懐中電灯で巣を照らし続ける | 光でハチを刺激する。明るいうちに巣の位置を確認しておく | フマキラー。広島市は赤いセロハンをかぶせて時々照らす方法 |
| 薬剤の前に巣をつつく・揺らす | 処理前の巣に振動を与えない。棒での取り外しは、噴霧した後に行う | アース製薬、神戸市、フマキラー |
| 火の近くや室内でスプレーを使う | 可燃性の高圧ガス製品。火炎に向かって噴射しない、炎や火気の近くで使わない、室内では使わない | アース製薬の製品ページ |
| 脚立・はしごに上って作業する | 脚立・はしごは、不適切な取り扱いや不注意で転倒・転落の事故が多く、重傷に至る例が毎年ある。補助者なし、傾斜地、天板をまたぐ使い方が事故例 | NITE。アース製薬は高所は専門家を案内 |
| 素手で死骸や巣に触る | 死んだハチでも反射で針が動き、刺されることがある | 広島市、神戸市 |
| 黒い服・香水・化粧で作業する | ハチは黒いものを攻撃しやすく、匂いにも反応する | 神戸市、広島市 |
高い場所・閉鎖空間・スズメバチの巣を依頼に回す理由
自力を断る条件は、「怖いから」ではなく、作業の前提が成り立たないからです。代表的な三つの場面を確認します。
高い場所:薬剤が届くかと、足場の安全は別の問題
高い位置の巣は、スプレーが届けば解決とは限りません。薬剤が届く位置でも、脚立やはしごの上での作業そのものに転落の危険があります。製品評価技術基盤機構(NITE)は、脚立・はしごの事故が不注意な使い方で多く起きていると注意し、補助者をつける、天板をまたがない、傾斜や滑りやすい場所で使わないといった基本を挙げています。
横浜市港北区は、軒下などの高所や茂った木の中で殺虫剤が使いにくい場合のために、竿状の噴射器具を貸し出しています。これは港北区の福祉保健センターの案内です。同じような貸出が住んでいる自治体にあるかは、窓口で聞いてください。
屋根裏・壁・床下・地中:巣の全体が見えない
巣が見えない場所では、巣の大きさもハチの数も分かりません。日本ペストコントロール協会は、初期の巣以外には、防護服を持つ専門業者による防除処理がどうしても必要と説明しています。アース製薬も、巣穴に噴射できない、巣全体が見えない、高所などでエアゾールでは駆除しにくい場合は、専門家への依頼を案内しています。
屋根裏の出入り口を先に塞がない理由と、駆除と封鎖の順序は蜂の巣が屋根裏にあるときで整理しています。見えない巣を探して屋根裏へ上がることも、自力では選ばないでください。
夏から秋のスズメバチ:数と攻撃性が上がる時期
神戸市は、スズメバチの活動が7月下旬から8月中旬に最盛期を迎え、巣の大きさと働きバチの数がピークになると紹介しています。9月から10月ごろには新女王バチとオスバチが数十匹ずつ生まれ、巣から離れて家の壁や庭木に群がる種類もあります。この時期の巣は、自治体の窓口や専門業者への相談が前提です。
駆除後の巣の処分と、戻り蜂への対応
巣を落としたあとも、すぐ終わりではありません。神戸市は、2、3日の間は働きバチが巣のあった場所を飛ぶことがあると案内しています。広島市も、駆除しきれなかった働きバチがしばらく飛び回るものの、そのうちいなくなるとしたうえで、ほかの巣のハチの通り道になっている可能性にも触れています。巣のあった場所に近づいて確かめず、離れた位置から数日見守ります。
外に出ていたスズメバチが戻ってくることがあるため、アース製薬は、巣の処分も防護服などを着けたまま行うよう案内しています。日本ペストコントロール協会は、巣が大きいと外泊していたハチが数日後に戻って飛び回ることがあり、気になる場合は、巣のあった場所に粘着シートなどをつるすと捕獲できることがあると説明しています。
落とした巣は袋に入れて口を縛って処分します。ハチの巣は1年限りで、翌年に同じ巣が使われることはないと、神戸市が説明しています。ただし、毎年同じ軒下に新しい巣が作られることはあるため、春に初期の巣の形を確認し、点検する場所を決めておくと早く気づけます。
防護服の貸出や補助など、自治体の支援の調べ方
フマキラーは、自治体の支援の例として、自治体による駆除、殺虫剤など用具の貸出、委託業者の紹介、業者に頼む場合の費用補助を挙げています。アシナガバチやミツバチは対象外のことがあり、所有者や管理者からの依頼や立会いが条件のこともあるため、自治体のウェブサイトで確認するよう注意しています。
調べるときは、「市区町村名+ハチの巣 駆除」で公式ページを探し、衛生、環境、保健所などの担当課の案内を読みます。貸出の例では、広島市が保健所で防護服を無料で貸し出し、事前の電話と申込書の提出を求めています。自治体の窓口の型は蜂の巣駆除は市役所で無料?、補助金の申請の順番は蜂の巣駆除の補助金で詳しく整理しています。




