富山市カラス被害防止条例が対象にするのは、餌やりで集まるカラスの被害
富山市カラス被害防止条例は、平成31年3月26日に制定され、令和元年7月に施行されました。目的は、カラスによる被害を防ぎ、良好な生活環境を守ることです。市と市民等の責務を定め、相互に協力して被害対策を進めると規定しています。市民等には、市内に住む人だけでなく、事業者、市内に勤務や通学をする人、市内に滞在したり通過したりする人も含まれます。
条例が禁じるのは、給餌によってカラス被害を生じさせることです。ここでいう給餌は、自分のものでも占有しているものでもないカラスに餌を与える行為を、継続または反復して行うことで、餌を目当てにカラスが集まると認識しながら、食べられる場所に餌を置いたり放置したりすることも含みます。条文上、給餌は継続または反復して行う行為に限られ、餌を置く・放置する場合は、カラスが集まると認識していることが要件になっています。
| 条例の用語 | 条例での意味 | 相談前に整理すること |
|---|---|---|
| 給餌 | 自分のものでないカラスへ、継続または反復して餌を与える行為。食べられる場所に餌を置いたり放置したりすることを含む | 餌が置かれる場所、時間帯、日付(人物の特定は不要) |
| カラス被害 | 給餌を目当てに集まるカラスの鳴き声、ふん尿や臭気、羽毛の飛散、攻撃・威嚇・破壊行為で、身体や財産に著しい被害が生じるか、生活環境が著しく損なわれている状態 | どの被害か、いつから困っているか |
| 共通認識 | 複数の周辺住民から市長への苦情の申出等があり、被害が周辺住民の間で共通の認識になっている状態 | 同じ被害を感じている近所の人がいるか |
富山市でカラスに餌をやると、罰金になりますか。
条例は、給餌によるカラス被害を禁じ、市長の勧告、命令、公表の順に対応を定めています。罰金は、命令に違反した場合に5万円以下と規定されています。餌をやっただけで直ちに罰金とは書かれていません。
餌やりが疑われるとき、市は立入調査・勧告・命令・公表を行えます
条例は、給餌によるカラス被害が生じているとき、給餌をした人に、速やかに餌を回収するよう求めています。給餌した人が分からず、ほかに回収すべき人もいない場合は、その場所を占有・管理・所有する人が、速やかに回収するよう努めることとされています。駐車場や空き地、集合住宅の敷地を管理する立場の人は、この規定も確認しておきましょう。
違反の事実があると認める相当な理由があるとき、市長は職員に土地や建物へ立ち入らせ、調査や質問をさせることができます。職員は身分を示す証明書を携帯します。また、違反した人に対しては、期限を定めた勧告、従わない場合の命令、命令にも従わない場合の公表という段階が置かれています。命令に違反した人には5万円以下の罰金、正当な理由なく立入調査を拒んだり虚偽の回答をしたりした人には10万円以下の罰金が定められています。
- 立入調査・質問(身分証明書を携帯した職員が行います)
- 期限を定めた勧告
- 勧告に従わない場合の命令
- 命令に従わない場合の公表
- 命令に違反した場合は5万円以下の罰金
中心市街地では、市が捕獲檻の設置と巣の除去を行っています
市の「カラス対策」のページによると、富山市の中心市街地ではカラスのふん害や、夕暮れ時の飛来が見られ、都市景観の悪化が懸念されています。そのため市は、捕獲檻の設置や巣の除去などで個体数を減らす対策を実施しています。富山城址公園周辺をねぐらとするカラスの生息数調査も行い、対策の効果を検証していると説明しています。
これらは都心部の対策として紹介されている取り組みです。ご自宅の庭木にできた巣を市が撤去するか、民間の駐車場や店舗の被害に市が出向くかは、このページからは分かりません。ご自身の場所が対象になるかは、環境保全課に所在地を伝えて確認してください。ページには、カラス捕獲数や生息数調査結果の推移のほか、過去3年間の調査結果概要がPDFで掲載されています。
参考:富山市|カラス対策
子育て時期のカラスは神経質になります。巣と卵・ヒナの扱いも確認
富山市は、6月から7月がカラスの子育ての時期で、親鳥がヒナを守るために神経質になると案内しています。人がヒナに近づくと、親鳥が大きな声で鳴いたり、頭上を飛んだり、時には頭を足で蹴ったりすることがあります。巣がありそうな樹木のそばを通るときは、帽子をかぶる、傘をさす、張り紙で通る人に注意を促すといった方法が示されています。
カラスの繁殖の時期を知っておく
市の案内では、カラスは通常年1回繁殖し、3月ごろから巣作りを始めます。卵は4月から5月ごろにかえり、ヒナは生まれてから30日から35日後に巣立ちます。巣立った後の幼鳥は、家族単位で巣の近くにいることが多く、1週間から2週間ほど巣のまわりで過ごし、ほとんど巣には戻りません。
- 3月ごろ:巣作りが始まります
- 4月〜5月ごろ:卵がかえります
- 生後30〜35日:ヒナが巣立ちます
- 巣立ち後1〜2週間:巣のまわりで過ごします
巣の撤去は、卵やヒナの有無で変わる
県の案内では、巣に卵やヒナがいなければ、撤去しても問題ありません。卵やヒナがいる巣は、取り除くことが採取・捕獲にあたるため、撤去が法令で禁止されており、巣立った後に撤去します。地面にいるヒナは、親鳥が近くで世話をするため、拾わずにそっと離れるよう県が呼びかけています。
フンや鳴き声などの生活環境被害が出ていても、県は、まず自分で被害防除の対策を行い、それでも防げない場合に捕獲という方法が採られることがあるとしています。詳しくは、市町村の鳥獣行政担当課、県農林振興センター、県自然保護課へ問い合わせるよう示されています。
相談前に、被害の種類・場所・時間帯と餌の有無を記録する
市へ相談するときは、被害を「鳴き声」「ふん尿やにおい」「羽毛の飛散」「威嚇や攻撃」のどれかに分け、場所と時間帯、困っている期間を書き出します。餌やりが疑われる場合は、人物を特定しようとせず、餌が置かれている場所、時間帯、日付を記録し、写真は安全な場所から無理なく撮れる範囲にとどめます。直接注意するとトラブルになるおそれがあるため、市の環境保全課に状況を伝え、対応を相談する方法があります。
賃貸住宅やマンションのベランダ、駐輪場などで餌やりや巣の問題があるときは、条例の対象かどうかを入居者が判断する前に、管理会社や貸主へ報告しましょう。共用部の管理者として対応できるか確認してもらえます。連絡文の作り方は賃貸で害獣被害が起きたときも参考になります。
| 状況 | 最初の連絡先 | 記録しておくこと |
|---|---|---|
| 餌やりが疑われる被害(鳴き声・ふん・におい) | 富山市 環境保全課 | 餌が置かれる場所・時間帯・日付、周りの住民も困っているか |
| 巣に卵やヒナがいるか分からない | 県自然保護課、市町村の鳥獣行政担当課 | 巣の場所、親鳥の動き、卵やヒナの有無が分かる様子(巣に近づかずに記録) |
| 子育て中の威嚇・攻撃を受けた | 富山市 環境保全課 | 日付、場所、威嚇された時間帯、巣があると思われる木 |
民間業者に頼める範囲と、頼む前の確認
防鳥ネットやワイヤーなど、巣を作らせない、止まらせないための施工は、民間の業者に依頼できる作業です。一方で、カラスの捕獲や、卵・ヒナのある巣の撤去は、法令上の許可や時期の確認が必要になります。見積もりを受け取るときは、作業が「施工」なのか「捕獲・撤去」なのかを分けて書いてもらい、卵やヒナの有無をどう確認するか、許可が必要な作業を含むかを質問してください。
カラス被害の相談の基本や巣に卵やヒナがあるときの確認も、見積もりを比べる前に目を通しておくと役立ちます。ご近所の被害は一軒の工事では収まらないこともあるため、近所でも害獣被害があるときの共有方法も確認しておきましょう。



