タイワンリス(クリハラリス)とは|ニホンリスとの違い

神奈川県の計画では、台湾固有のクリハラリスを通称タイワンリスと呼び、タイワンリスを含めてクリハラリスと総称しています。この記事でも、同じ動物を指すものとして両方の名前を使います。国立環境研究所の侵入生物データベースによると、日本では、ペットや動物園の飼育個体が逃げたり放されたりして野生化しました。

大きさは、成獣の雄で頭胴長20〜26cm、尾の長さ17〜20cm、体重300〜440g前後です。樹上で生活し、昼行性で、よく鳴くことが特徴とされています。繁殖は通年可能で、最大で年に3回、1回に1〜3頭を産みます。

ただし、毛の色は地域によって違いがあるため、写真だけで種類を決めつけるのは避けます。見分けに迷うときは、近づかずに写真を撮り、市町村の担当に確認します。横浜市は、市内に生息するリスはすべてタイワンリスだと案内しています。

タイワンリス(クリハラリス)とは|ニホンリスとの違い:確認項目
見分けの手がかりタイワンリスニホンリス
全体の色全体的に黒っぽい(背面は黒と黄土色の霜降り)全体的に茶色っぽい
腹灰色か赤褐色白い
耳短く丸い冬毛になると耳先に毛が生え、先端が尖って見える

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・クリハラリス(タイワンリス)

読者の疑問

タイワンリスとニホンリスはどう違いますか?

比較ガイド

タイワンリスは全体に黒っぽく、腹は灰色か赤褐色で、耳は短く丸く、よく鳴きます。ニホンリスは茶色っぽく、腹が白く、冬は耳先の毛が尖って見えます。毛色には地域差があるため、迷うときは市町村に確認してください。

タイワンリスの被害の種類|樹皮はぎ・果実・電線や家屋のかじり・鳴き声

神奈川県の防除実施計画は、生活被害として、庭の果実がかじられた、雨戸や戸袋がかじられた、戸袋の中に繁殖用の巣を作られた、庭木の樹皮が剥がされて枯れた、電線や電話線がかじられて電話が不通になった、物干し竿の上を歩かれて洗濯物が汚れた、店の商品が食べられた、といった例を挙げています。農林業では柑橘類などがかじられる被害が出ています。

生態系への影響としては、樹皮の食害や、巣材として樹皮をはがすことによる高木の立ち枯れ、野鳥の巣が襲われることが挙げられています。計画は、県西部の山塊に広がると、ニホンリス、ムササビ、モモンガと餌や巣場所をめぐって競合するおそれがあると述べています。県は、農作物被害とは別に、生活被害の件数も集計しています。

  • 果実・野菜:庭の果実、ミカンなどの柑橘類、ダイコンなどの野菜をかじる
  • 樹皮はぎ:樹液を採るために樹皮をはがし、巣材にも使う。木が枯れることがある
  • 家屋:雨戸や戸袋をかじる。戸袋や屋根裏に巣を作る
  • 電線・電話線:かじられて、電話が不通になった例がある
  • 鳴き声:独特の声でよく鳴くと、国や研究機関の資料で説明されている

参考:神奈川県|神奈川県クリハラリス(タイワンリス)防除実施計画(令和6年3月、PDF)

特定外来生物として避ける行為|餌付け・飼養・運搬・放出

クリハラリス(タイワンリス)は外来生物法の特定外来生物で、神奈川県の計画は、飼育、保管、運搬、輸入、野外への放出などが原則として禁止されていると説明しています。環境省のQ&Aは、見つけた特定外来生物を生きたまま許可なく運搬することはできないため、不用意に捕まえず、まず場所の管理者や行政機関に相談するよう案内しています。

餌付けについて、神奈川県の計画は、人やペットへの感染症の伝播、人馴れによる生息域の拡大、繁殖力の向上による個体数の増加などの問題を起こすとして、行わないようにするとしています。見た目がかわいらしくても、餌を与えないことが基本です。

処分の考え方や、同じ特定外来生物であるアライグマの法的な位置づけは、アライグマ駆除はかわいそう?殺処分が行われる理由で説明しています。

特定外来生物として避ける行為|餌付け・飼養・運搬・放出:確認項目
行為国や県の案内避けたい理由
餌を与える神奈川県の計画は、意図的な餌付けも意図しない餌付けも防ぐとしている個体数の増加、人馴れによる生息域の拡大、感染症の伝播
飼う・連れ帰る特定外来生物は、原則として飼育や保管が禁止されている(神奈川県の計画)ペットとして新しく飼う許可は受けられない(環境省のQ&A)
捕まえて運ぶ・別の場所で放す生きたままの運搬は、許可なくできない(環境省のQ&A)分布や被害が広がるおそれがある
捕まえた場所ですぐ放す環境省のQ&Aでは、問題ないとされる被害は止まらないため、捕獲は市町村の制度の範囲で行う

参考:環境省|外来生物法に関するQ&A(日本の外来種対策)

神奈川県内の自治体の制度|鎌倉市・横浜市・藤沢市を公式ページで比べる

神奈川県は、クリハラリスについて、県全域を対象に2024年4月1日から2029年3月31日までの5年間、外来生物法に基づく防除を行うとしています。目標は分布拡大の防止で、はこわなを置いて捕獲し、適切に処分する方法です。計画は、横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町を高密度区域、横浜市、川崎市、大和市、藤沢市、茅ヶ崎市を分布拡大区域に分けています。

市の制度は、この県の計画の下で、市ごとに違います。下の表は、2026年10月3日に開いた各市の公式ページの記載を、概要だけまとめたものです。条件や窓口は更新されるため、申し込む前に公式ページで最新の内容を確認してください。

手続きの詳しい流れは、鎌倉市の檻の貸出と届出の流れ、藤沢市の捕獲檻の貸出、横浜市のはこわな事業と回収で別に整理しています。県全体の窓口の使い分けは、神奈川県の害獣駆除の相談先も参考にしてください。

神奈川県内の自治体の制度|鎌倉市・横浜市・藤沢市を公式ページで比べる:確認項目
項目鎌倉市横浜市藤沢市
確認したページの更新表示2026年2月13日更新最終更新日2026年9月16日捕獲檻の貸出しのページは2026年4月1日更新
タイワンリスの扱い特定外来生物。タイワンリス用の捕獲檻を貸し出している特定外来生物。被害がなくても捕獲の申請ができ、事前の届出が必要捕獲対象は、アライグマ、ハクビシン、クリハラリス(タイワンリス)。タヌキは対象外
手続きの流れ現地調査の日程調整、職員の訪問と設置場所の相談、届出書の記入、従事者証の郵送を経て、捕獲可能になる従事者証(有効期限は最長1年)の発行を受けて捕獲する環境保全課に相談し、委託業者が自宅等へ檻を持参して使い方を説明する
設置の条件通り道の樹木や、狙われている果樹にくくりつけると効果的。昼行性なので日中に設置し、夜間は屋内にしまう(記載の範囲では、設置場所の細かい条件は示されていない)自己所有地または土地所有者の許可を得た場所の、屋外の地面に限る。高所や家屋内は不可。設置時は立会いが必要
捕獲した個体の回収契約業者が回収後に処分する。処分費用はかからない市が契約した専門業者が回収する委託業者が回収後に処分する。処分費用はかからない
費用・期間檻の設置や餌は自己負担。回収は無料屋根裏のはこわな事業はアライグマ・ハクビシン向けで、今年度は終了と表示されている貸出は2か月で、年度内1回限り。餌は自己負担

参考:鎌倉市|アライグマ・ハクビシン・タイワンリスの捕獲について

家屋・電線・庭木の被害別|住民ができる予防と対処

神奈川県の計画は、捕獲と並行して、生息環境の管理と被害の予防が重要だとしています。具体的には、農地に取り残しの野菜や果実を置かない、屋外に生ごみを放置しない、庭の果実は収穫して管理する、餌付けをしない、家屋は侵入口をふさぐ、農地や住宅の侵入経路になりそうな枝を剪定する、という内容です。

タイワンリスは樹上を主な移動経路とするため、家や農地の周りの樹木の伐採や枝の剪定が侵入防止に役立つと、農林水産省の過去のマニュアル(平成22年3月版)は述べています。一方で、体が小さく樹上で活動するため、有効な侵入防止技術は今のところないとも書かれています。古い資料のため、最新の対策は自治体に確認してください。

雨戸・戸袋・屋根裏

戸袋や屋根裏に巣を作られる被害があります。農林水産省の過去のマニュアルは、戸袋のすき間をふさいで入られないようにする工夫を紹介しています。ふさぐ前に、中に動物がいないかを確かめます。音や出入りの観察は、昼行性の動物なので日中に行い、巣がありそうなときは自分で壊さず、市町村に連絡します。音の原因が分からないときは、天井裏で音がするときの最初の確認も使えます。

  • 戸袋や屋根まわりのすき間や破損を、外から見る
  • 雨戸や木部のかじり跡を、写真に残す
  • 音や出入りは日中に観察し、時刻と回数をメモする

電線・電話線

電線や電話線をかじられた被害は、神奈川県の計画にも挙がっています。電線や通信線は事業者の設備で、近づいたり触ったりすると危険です。切れたり垂れ下がったりしているときは近づかず、設備の管理者に連絡します。被害の場所は、市町村の担当にも伝えると、生息情報として生かされます。

  • 被害の場所、日時、写真を残す
  • 電線や通信線には触らず、設備の管理者に連絡する

庭木・果樹

樹皮をはがされると木が弱り、枯れることがあります。過去のマニュアルは、タイワンリスには複数の個体が同じ餌場を共有する傾向があると記しています。庭の果実は取り残さずに収穫し、落ちた実も片づけます。屋根にかかる枝を切ると、建物への足がかりを減らせます。

  • 収穫しない果樹は、実を残さないようにする
  • 屋根にかかる枝を剪定する
  • 庭に置いた餌や、取り残した野菜を放置しない
家屋・電線・庭木の被害別|住民ができる予防と対処:確認項目
被害起きること住民ができること相談先
家屋(戸袋・雨戸・屋根裏)かじられる、巣を作られるすき間や破損を外から確認する。音を日中に観察して記録する市町村の担当。補修は建築の専門家
電線・電話線かじられて通信や電気に支障が出る触らず、被害の場所と日時を残す設備の管理者と、市町村の担当
庭木・果樹樹皮をはがされる、実を食べられる収穫して実を残さない。屋根にかかる枝を剪定する市町村の担当
餌付けの可能性餌を求めて集まり、増える餌を与えない。近所にも声をかける市町村の担当

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 特定外来生物編(アライグマ、ヌートリア、キョン、マングース、タイワンリス、平成21年度作成)

分布が広がっている地域と情報提供先

国立環境研究所のデータベース(2013年3月更新の情報)は、国内の定着地域として、神奈川県南東部、静岡県の伊豆半島東部と浜松城公園、岐阜県の金華山、大阪府の大阪城公園、兵庫県の姫路城公園、和歌山県の和歌山城公園と友ヶ島、長崎県の壱岐と福江島、大分県の高島、熊本県の宇土半島、伊豆大島、東京都あきる野市、埼玉県入間市を挙げています。情報が古いため、現在の分布は、市町村や県の最新の案内で確認してください。

神奈川県の計画では、横須賀三浦地域のほか、藤沢市、茅ヶ崎市、大和市、横浜市南部で生息が確認され、相模川の西側などにも記録はあるものの、定着は確認されていないとされています(2023年4月時点)。これは、生息確認後に速やかに捕獲できたことが主な理由と考えられています。

新しい地域で見かけた情報は、早期発見・早期対応の手がかりになります。県の計画は、目撃者がクリハラリスを知らなければ、見かけても情報提供につながらないとして、普及啓発を重視しています。見かけたら近づかず、場所・日時・写真を、市町村の担当に伝えてください。

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・クリハラリス(タイワンリス)

見つけたとき・被害が出たときの順番

タイワンリスの対応は、被害が出てから慌てるより、順番を決めておくと落ち着いて進められます。次の流れで、できるところから確認してください。

  • 近づかず、餌を与えない。見かけた場所と日時を写真やメモで残す
  • 餌になるもの(取り残した果実、屋外のペットフード、生ごみ)と、足がかりになる枝を片づける
  • 戸袋や雨戸、屋根まわりの破損とかじり跡を外から確認し、写真に残す
  • お住まいの市町村の公式ページで、相談窓口と、檻の貸出・届出の制度の有無を確認する
  • 捕まえて運ばず、飼わず、別の場所で放さない。捕獲は市町村の制度の範囲で行う

参考:神奈川県|神奈川県クリハラリス(タイワンリス)防除実施計画(令和6年3月、PDF)