野良猫が庭を使う理由|トイレ・通り道・餌・休み場所
埼玉県の動物指導センターは、猫が庭や花壇、畑に入ってフン尿をするのは、その場所が周辺で一番心地よいからだと説明しています。人の出入りが少なく番犬もいない静かな場所、気持ちよく排泄できるやわらかい土や砂、芝生がある場所、餌を探し歩かなくても手に入る場所が、猫にとっての快適な場所です。猫が来ないようにするには、その環境を変えることが対策の基本になります。
大田区のリーフレットは、猫は縄張りの中で暮らす習性があり、その範囲は直径約1kmとされていると書いています。また、飼い主のいない猫への餌やりを禁止しても、地域から完全に猫を排除できるわけではないとも説明しています。「毎日来る」と感じるときは、通り道、トイレ、休み場所、餌のどれが庭にそろっているかを分けて見ると、対策の優先順位をつけやすくなります。
庭で確認する4つの条件
次の4つのうち、どれが庭にあるかを書き出します。条件が重なっている場所ほど、優先して手を入れます。
- トイレ:やわらかい土、砂地、花壇、プランターの土
- 通り道:塀の上、フェンスの下、物置の脇、隣家との境
- 休み場所:物置や車の下、日当たりのよい縁側や植え込みの陰
- 餌:外に置いたペットフード、生ごみ、近所で餌を与えている場所
参考:埼玉県動物指導センター|猫が庭などに入らないようにする方法(2023年12月1日掲載)
野良猫が毎日庭に来るのはなぜですか?
庭が静かでやわらかい土があり、通り道や休み場所、餌が得やすいなど、猫にとって快適だからと考えられます。埼玉県は、環境を変えることが対策の基本だとしています。どの条件が庭にそろっているかを確認し、清掃と物理対策から進めます。
野良猫の対策は5段階で進める|違法になる線を段階ごとに確認
対策は、現状の確認、においと清掃、好む場所を変える、物理的に入れなくする、自治体の制度と地域での対応、の順に、費用や手間の小さいものから進めます。大田区の資料も、侵入口・侵入経路・被害場所を調べてから対策を行うことと、効果があった方法を1〜2週間おきに交互に使うことを勧めています。
どの段階でも、猫を傷つける方法は、被害が大きくても許されません。動物愛護管理法第44条は、愛護動物をみだりに殺傷した場合を5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金としています。詳しい条文は、後の「してはいけないこと」の見出しで扱います。
| 段階 | やること | してはいけないこと・守る条件 |
|---|---|---|
| 1 清掃とにおい消し | フンを取り除き、においの残った土を入れ替える | 猫が口にする目的で、毒物や薬品を置くことは、殺傷にあたるおそれがある |
| 2 好む場所を変える | やわらかい土を覆い、においや感触を嫌がる素材を置く | 猫に薬剤を直接かける、強い水流を当てるなど、体に害が出る方法は虐待にあたるおそれがある |
| 3 物理的に入れなくする | ネット、柵、とげ状マット、砂利などで通路と砂地をふさぐ | 猫がけがをする、挟まる、出られなくなる仕掛けは、傷害や虐待にあたるおそれがある |
| 4 自治体の制度を使う | 猫よけ器の貸出、啓発プレート、窓口への相談 | 貸出品は、飼い主のいない猫の被害を減らす目的以外には使えない(新宿区の利用条件) |
| 5 地域で対応する | 餌のルール、不妊去勢手術、地域猫活動 | 捕まえて遠くへ放す行為は、遺棄の禁止に触れるおそれがある |
野良猫のフン・尿の片付けと、においを残さない清掃
最初にするのは、フンの片付けと、においが残った土の対処です。新宿区は、いろいろ試しても効果がないときに、フンが深く埋まっていたり、土ににおいが染みついていたりする可能性があるとして、土を掘ってフンを取り除くか、土を入れ替えると改善することがあると案内しています。大田区のリーフレットも、猫は決まった場所に排泄する習慣があると説明しています。
フンの片付け方
片付けるときは、使い捨て手袋を使い、袋に入れて、お住まいの自治体のごみの出し方に従って捨てます。素手で触らず、作業後は手を洗ってください。フンが猫のものか判断がつかないときは、触る前に確認することを先に読んでください。
消臭剤や薬剤を使うとき
においを消す目的で薬剤や消臭剤を使う場合は、製品の表示に従ってください。埼玉県は、化学薬品が化学物質過敏症など健康被害のきっかけになる可能性があるとして、使用をひかえるよう呼びかけています。庭の植物、ペット、近所の人への影響も考え、強いにおいのものは事前に近隣へ伝えておきます。
庭・花壇・家庭菜園の物理対策|ネット・砂利・とげ状マット
猫が来る場所を物理的にふさぐ方法は、猫を傷つけずに続けやすい対策です。ただし、設置しただけではやがて猫が慣れてしまうと新宿区は指摘しており、位置や素材を時々変えて続ける必要があります。次の表は、場所ごとに、自治体が例として挙げる方法を整理したものです。
家庭菜園では、フンや尿が野菜に付くことを避けたい場面が多くなります。畝をネットや目の細かい網で覆い、土をむき出しにしないなど、猫が入らない構造を先に作ると安心です。埼玉県は、やわらかそうな裸の土を見せないことがポイントだとしています。野菜そのものを猫が好んで食べるとする資料は、今回確認できませんでした。
水を入れたペットボトルを並べる方法について、埼玉県は効果がほとんどなく、場合によっては火災の原因になるのでやめましょうと注意しています。新宿区も、ペットボトルの効果は確認できていないとしています。
| 場所 | 自治体が例に挙げる対策 | 注意点 |
|---|---|---|
| 砂地・やわらかい土の地面 | 砂利や大きめの石、軽石、松ぼっくり、枯れ枝、タイルなどで覆う | 裸の土をなるべく見せない。タイルやコンクリートが効かない猫もいる |
| 花壇・菜園の畝 | 防猫ネットや目の細かい網、とげ状シート、地面を覆う植物 | ネットは猫が入り込むすき間や、引っかかる緩みを作らない。人も猫もけがをしない設置にする |
| 塀の上・侵入の足場 | とげ状シート、突起のあるマット、防猫バー | 猫が跳び越えられない幅に敷く。2mほど跳べる猫もいる |
| 物置の下・フェンスの足元 | ベニヤ板や金網で入口をふさぐ | 中に猫や子猫が残っていないことを確認してからふさぐ |
| トイレ代わりに使われる砂地 | 別の場所に猫用トイレを設ける(自治体が紹介する方法) | 設置場所や管理は、近隣や土地の管理者と相談する。迷うときは自治体へ相談する |
猫よけの忌避剤・超音波・センサー式散水の選び方と限界
ホームセンターや通販には、においで遠ざける忌避剤、超音波で追い払う機器、センサーで放水する装置、音で知らせるブザーなどが並びます。埼玉県、新宿区、長野市の案内は、猫には個体差があり、効果がない場合や、慣れて反応しなくなる場合があると述べています。購入の前に、仕組みと限界を表で確認してください。
においで遠ざける忌避剤
新宿区は、猫の嗅覚が人よりはるかに鋭いため、強すぎるにおいでは嗅覚が麻痺して効果がなくなることがあると説明しています。また、一度まいただけでは効果は続かないため、定期的な清掃と散布が必要で、同じものを使い続けると慣れてしまうので、数種類を取り替えるよう勧めています。薬剤は製品の表示に従い、猫に直接かけないでください。
超音波発生器と貸出の活用
大田区が貸し出す超音波式の猫よけ器は、18〜23キロヘルツの超音波を出し、センサーの感知範囲はおよそ10mです。同区は、超音波が子どもや他の動物にストレスを与える場合があるため、設置場所や超音波が届く方向に配慮するよう求めています。新宿区は、敷地の内側に向けて設置し、猫の侵入口に向けても高い効果は得られないと案内しています。
害獣の忌避剤だけで解決するかでも整理したとおり、機器だけに頼らず、清掃や物理対策と組み合わせ、貸出制度で試してから購入を考えるのが現実的です。
| 方法 | 資料での説明 | 限界・注意 |
|---|---|---|
| 忌避剤(におい) | 市販の猫用忌避剤、酢、木酢液、かんきつ類の皮などを、猫の通る場所に使う例がある | 雨や風で薄れ、猫がにおいに慣れる。定期的な交換や種類の変更が必要で、強すぎるにおいは逆効果になる場合がある |
| 超音波発生器 | センサーが猫を感知すると超音波を出す機器。複数の自治体が無料で貸し出している | 個体差があり、慣れる場合がある。人や他の動物への影響と、近隣への配慮が必要 |
| センサー式散水機 | センサーが感知すると自動で放水する製品が市販されている | 埼玉県は効果を検証していないとしている。水量や向き、近隣への飛散に注意する |
| 防犯ブザーなど | 遠隔操作式やセンサー付きの製品が市販されている | 資料では、警戒して近寄らなくなると言われている、という説明にとどまる。近隣の騒音に配慮する |
- 猫の侵入口、通り道、フン尿の場所を先に特定する
- 貸出制度があれば、購入の前に使って効果を確かめる
- 同じ方法を続けず、1〜2週間おきなどで交互に使う
- 近隣に事前に説明し、においや音の迷惑にならないようにする
野良猫対策でしてはいけないこと|毒物・けがをさせる仕掛け・遠くへ放す行為
猫は、飼い主がいなくても動物愛護管理法の愛護動物です。2026年10月3日にe-Gov法令検索で確認した第44条は、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者を5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、外傷が生ずるおそれのある暴行を加えるなどの虐待を行った者を1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、遺棄した者を1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。条文には、被害に困っている場合を例外とする書き方はありません。
大田区と埼玉県は、猫は愛護動物であり、虐待にあたる行為は法律で罰せられると、対策の案内の中で繰り返し注意しています。大田区のリーフレットは、水をかけて追い払う場合も、虐待に当たらない適度な範囲にとどめるよう求め、埼玉県は強い水流を直接かけないよう注意しています。次の行為は、条文の文言に照らして、殺傷、虐待、遺棄にあたるおそれがあるため、対策として行いません。
具体的な行為が条文にあたるかは、事情によって判断が分かれる場合があります。自分で判断せず、被害の記録を持って、自治体の動物愛護担当や保健所に相談してください。この線引きは、野良猫の駆除は違法かで、条文ごとに詳しく整理しています。
- 毒物や薬品を混ぜた餌を置く
- 猫がけがをするおそれのある仕掛けを設ける
- 猫に強い水流を直接当てる、薬剤を直接かける
- 捕まえて遠くの公園や山へ放す
自治体の制度|猫よけ器の貸出・地域猫活動・不妊去勢手術の助成
猫よけ器の貸出、地域猫活動の支援、不妊去勢手術費用の助成などを行う自治体があります。制度の有無、対象者、期間は自治体ごとに違うため、下の表は2026年10月3日に確認した各自治体の掲載内容を例として並べたものです。お住まいの自治体の制度は、保健所、動物愛護センター、環境担当課に確認してください。茨城県日立市の例は日立市の猫よけ器の無料貸出で扱っています。
猫よけ器の貸出は、買う前に効果を試すための制度です。大田区は、お試しの後にご自身での購入を検討するよう案内し、新宿区と長野市も、効果の確認を目的に貸し出すとしています。新宿区は、貸出品を飼い主のいない猫の被害を減らす目的以外には使えないと明記しています。
地域猫活動は、猫を排除するのではなく、地域で管理して数を増やさない取り組みです。長野市は、不妊去勢手術、決まった場所と時間での給餌と片付け、屋外トイレの設置と掃除などを地域で行う活動として推奨しています。長野市の案内では、給餌している人や被害に困っている人、近所の人に活動を説明し、動物病院と手術の段取りを決めて進めます。1人で始めるものではないため、始めたいときは、自治体の窓口に進め方や支援制度を相談してください。
| 制度 | 自治体の例(2026年10月3日確認) | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 超音波式猫よけ器の貸出 | 大田区:1か月・2台まで無料、電池は自己負担。新宿区:1か月、1世帯1回まで、予約が必要。長野市:原則最長2週間、1世帯1台まで無料、電池は自己負担 | 対象者(在住者・管理者)、貸出期間、予約の要否、在庫 |
| 地域猫活動の支援 | 長野市は、地域内の猫への不妊去勢手術、決まった場所と時間での給餌と片付け、屋外トイレの設置などを推奨している | 自治会の合意、世話をする人、手術済みの目印、近隣への周知 |
| 不妊去勢手術の助成 | 長野市:飼い主のいない猫は、オス10,000円、メス13,000円。耳先の切除が条件で、手術前の申請が必要 | 助成の有無、対象、事前申請、予算の上限、動物病院の指定 |
| 啓発プレートの配布 | 新宿区は、猫に餌を与える人へ、フンの清掃を呼びかけるプレートを配布している | 対象、貼る場所の許可 |
近所の餌やりが原因のときの相談の進め方
近所の人が餌を与えていることが、猫が集まる原因になっている場合があります。長野市は、飼い主のいない猫への餌やりを禁止するだけでは、問題の根本的な解決にならないとしています。猫は繁殖力が高く、餌を出したままにすると、他の地域から猫を呼び寄せたり、野生動物が集まったりするため、決まった場所と時間に与え、食べ終えたらすぐ片付けるマナーが必要だとも説明しています。
動物愛護管理法第25条は、動物の飼養、保管または給餌・給水に起因した騒音や悪臭などで、周辺の生活環境が損なわれている事態が環境省令で定める基準に当たる場合に、都道府県知事が、その事態を生じさせている者へ必要な指導や助言をでき、さらに勧告、命令へ進められると定めています。餌やりが原因でお困りのときは、当事者へ直接強く抗議するより、被害の内容と場所、日時を記録して、保健所や動物愛護センターへ相談する方が、行政が関われる形になります。該当するかどうかは窓口で確認してください。
話し合いが必要なときは、近所でも被害があるときの情報共有の方法のように、決めつけず、被害の事実と困っている点を中心に伝えます。






